今年も開催された日本最大の喫煙業界の展示会「スモーキング・コレクション2025」通称スモコレ!
ここには毎年、全国のたばこ店が新商品の仕入れにやってくる。業界人しか入れない会場内を取材していこう。
タバコを探して平和島へ
今年のスモコレは10/15~10/16の2日開催。会場は、東京流通センター(通称TRC)だ。大田区平和島にある物流施設で、約600坪のイベントホールを持つ。その会場がまるごと喫煙関連商品で満載になるという。
東京モノレール「流通センター」駅を下りると……おお、あった!

駅から30秒くらいで会場到着。タバコが喫いたくなるスキマ時間もない最高アクセスだ。
受付を済ませて中に入ろう。
スモコレ全25ブースを紹介 まずは「紙巻きたばこ」から!
今回のスモコレは、25社の喫煙具メーカー/団体が出展している。最初は「壁サークル」から攻めてみるか……。と探していると、入り口近くに「新聞」が!

ブース:有限会社ガスライタータイムス社
スモコレが1面に……! ここは喫煙業界紙「ガスライタータイムス」のブースだ。各社新商品の情報も掲載。
その横には大手「フィリップ モリス ジャパン(PM)」が!
ブースのメインは加熱式たばこの王者「アイコス」。昨年10周年を迎え、すっかり喫煙者のライフスタイルにも定着した。

ブース:フィリップ モリス ジャパン合同会社
以前取材したジャズミュージシャンの菊池成孔さんもアイコス派だった(リンク)……と思いつつ、TEREAのフレーバーを当てるクイズコーナー(※記者は1問正解)の横に、今年は紙巻きたばこの大きな展示があった!

ブース:フィリップ モリス ジャパン合同会社
PMはスモコレ2023、2024とアイコス推しのブース構成だったため、正直驚いた。タバコ専門メディアとしては注目せざるを得ない。
担当者によれば、
「今回の展示は、1847年に創業した当社の最初の銘柄でもある『フィリップモリス』です。特に近年の伸びが良く、PMの歴史とあわせて展示を行いました」
とのこと。
PMといえば、マールボロを始め人気ブランドを数多く抱えるが、「成長率」で押しだすところがいかにも「たばこ屋さん向け」の展示である。
加熱式やVAPEが伸長し、紙巻きたばこがますます選ばれたオトナの趣味の世界に近づく昨今、嬉しい景色だ。
そこで、まずは紙巻きメインのブースを探してみることにした!
・日本たばこアイメックス:限定セブンスター「BOLD」

JT傘下の日本たばこアイメックスのブースでも、イチオシは紙巻きタバコ。しかも「セブンスター」だと……!? 同社は葉巻や手巻きタバコ(シャグ)など、たばこ店向けのコアな商材をメインに扱う会社。今回なぜセッター推しに?
「『セブンスター・ボールド・ブラック』と『セブンスター・メンソール・ソリッド・ホワイト』は、現在JTのEC『Club JT』のみで販売している限定品で、2026年からたばこ専門店での流通がスタートするんです」
コンビニには置かれない、レアなセブンスター。それをメイン展示にするというまさにスモコレ向けのプロモーションだ。たばこの旨味・香りを活かした重厚な味わいのタール18mg。販売は2026年1月13日、ぜひ町のたばこ屋さんへ!
・太豊通商:中国たばこの新作「四季」


「中華」「中南海」「WIN」など中国タバコを扱う太豊通商。今回の新商品「黄鶴楼 Four Seasons(四季)」は、柱のような箱に極細のタバコが20本。独特なケースだが……。
「この箱の形に見覚えがないですか?『DUO』に似ていますよね(笑)。『四季』は女性にも持ちやすい細さで、パッケージの四面で春夏秋冬がプリントされているビジュアルにもこだわった中国タバコなんです」(担当者)
「DUO」! お前、デュオじゃないか(※別銘柄です)! これはスタイリッシュなタバコだ。ぜひ喫ってみたい。
・昇陽物産:ガラム

もちろんブランドが確立した紙巻きタバコブランドも参加。昇陽物産はクセになる香りの「ガラム」を扱う。クローブなどの香料を入れたシガレットは「クレテック」と呼ばれ、ガラムはその代表格。
・インターコンチネンタル商事:L.A.

そのクレテックたばこを一押しするブースがあった。インターコンチネンタル商事はシガレットの「ジャルム」、シャグの「ドラム」、リトルシガーの「フォルテ」など愛煙家ならおなじみのブランドを多く扱うが、今回はインドネシア発のクレテック「L.A.」の大きなブースを展開。
「クレテックは東南アジアでは主流のシガレットです。現地ではマールボロのクレテックなんかもあるんですよ。今回発表した『L.A.アイス MANGOBOOST』は、マンゴーフレーバーのカプセルをクラッシュすることで香りの変化も楽しめます」(担当者)
ガラムとL.A.を喫い比べてみるのも面白そうだ!
・モリソン商会:スモーキンジョー

そして、「紙巻きタバコ推し」の出展社のなかでも、特にケムール編集部が驚いたのがモリソン商会。手巻きタバコブランド「RAW」の取り扱いで有名な「シャグの立役者」というイメージだが、なんとブースの一角に紙巻きタバコが!! ……しかも、この銘柄って!?

「25年8月からSmokin Joes(スモーキンジョー)を取り扱いはじめました。本物のアメリカン、100%無添加のタバコで、巻紙を外せばそのまま手巻きタバコの葉としても楽しめるほどピュアなんです。これからシガレットとして拡大して、そのあとシャグとしての発売も目指したいですね」(担当者)
スモーキンジョーは、北アメリカ北東部のアメリカ先住民「タスカローラ族」の居住地で製造されている「本物中の本物」と言えるが、国内供給が停止している時期があった。モリソン商会が扱うことで、さらなるブランドの飛躍を遂げそうだ。
—— スモコレ、毎度ながら面白すぎる! タバコがこんなにも多彩であると教えてくれるのだ。さて記事にはどの会社を掲載しよう……。と考えていると、こんな声が聞こえた。
ケムール編集長「全部レポートしよう! 25社あるけど、余裕っしょ?」
記者「そうですね!?」
「手巻きタバコ」定番から新作まで!
というわけで、全出展社を紹介していく!
次は定番から新作まで、手巻きタバコをイチオシにしたブースを巡っていこう。
・日辰貿易:アークローヤル

シャグ・スモーカーにはおなじみのアークローヤルはウルグアイ発祥。それを扱うのが日辰貿易だ。シガレットのアークローヤルにも根強いファンがいる。
・柘製作所:「ブラックスパイダー」新フレーバー5種登場


柘製作所のブースには、ユニークなフレーバーでファンを魅了する「ブラックスパイダー」の新作が並んでいた。同社・三井弘司社長はこう話す。
「新フレーバーの『巨峰メンソール』『ライチメンソール』『トロピカルメンソール』『アップルパイ』『ダブルリッチカスタード』の5種が今日リリースです。ヨーロッパでフレーバータバコの規制が強まるなか、自社で企画・開発しました。担当は若手の社員たちなんですよ。ラオスの工場で着香し、日本に持ち帰って味わいを見て、またラオスへ……というトライ・アンド・エラーを約1年繰り返して編み出した香りのレシピ。やっとお客様にお届けできるのが嬉しいね」
スモコレ会場ではその場で香りを試せる。新フレーバーもまるで本物のような鮮明で深い香り。シャグのブレンドの幅も広がりそうだ。
・秋山産業:「PURE」から待望の新商品!


「チェ・シャグ」「ペペ」「スタンレー」などなど、有名シャグブランドを扱う秋山産業も新作を大量投入!紙巻きタバコの「ブラックデビル」アークティックメンソールはメンソール感を増強。「チェ・シャグ」はパッケージのゲバラ氏がリアルに。なかでもオススメは?
「手巻きたばこ用のフィルター『PURE』シリーズから久々にリリースした商品です。レギュラーサイズのスーパーロング。スリムサイズからはチェリーフレーバーが登場。チャコールフィルターをアセテートフィルターで挟み、チャコールがこぼれないように工夫したトリプルチャコールフィルターも発売しました」(担当者)

シャグ・スモーカーなら全員知ってる手巻きタバコ用フィルター「PURE」の新作が続々登場していた。アツい!!
「さらに『PURE HEMP』から、もっとも薄い『AIR』と『EARTH』(漂白なし)が出ています。シングルでは50枚入りから60枚入りに増量しています」
ヘンプ製の巻き紙「PURE HEMP」からも新作が。タバコ葉だけでなく、多様なアイテムを組み合わせるシャグならではの商品展開に出会えるのもスモコレの楽しみだ。
・坪田パール:GIZEH(ギゼ)のラインナップが一新

シガレットケース・携帯灰皿・シガーカッターなどの喫煙具雑貨を製造・輸入する坪田パールのイチオシは、シャグユーザーに便利なアクセサリー「GIZEH」シリーズ。ペーパー、フィルター、ローリングトレイなどを本国の定番に合わせてラインナップを刷新!
・日本たばこ協会(TIOJ):葉たばこ葉原料ブレンド体験会


そしてシャグ展示の変わり種が、20歳未満喫煙防止や喫煙マナーの普及を行う業界団体・TIOJのブース。国内外の産地別・品種別のたばこ葉をブレンドし、香りの違いを喫い比べるというもの! たばこ専門店であっても「原料としてのタバコ」を見る機会は少ない。スモコレならではの体験学習コーナーだ。
シャグ、やはり濃い。
会場にはまだまだブースがある。次はどのジャンルを攻めようか??
と、その前に……喫煙所行っていいですか!?
スモコレ名物「最強の喫煙所」!
決してサボりではない。この「喫煙スペース」こそ、スモコレの真骨頂なのだから。
スモコレはもともと様々な喫煙具を「その場でタバコに火をつけて試せる」見本市として30年を超える歴史を紡いできた。
新型コロナウイルス後に会場内が禁煙になってからは、その精神は独自の「屋外喫煙所」の活用に受け継がれることになった。つまり、スモコレの喫煙所はただのタバコ休憩スペースではないということ。
会場に隣接した喫煙所に入ると……。

テント:秋山産業

テント:タビドフ・オブ・ジュネーブ・ジャパン
—— これが、スモコレ特設喫煙所だ!
喫煙スペース内にメーカー各社がテントを設営、その中はカフェ風になっていたり、葉巻のレクチャーをしていたり、ずらりとシーシャが並んでいたり。もちろん全面喫煙OKだ。


テント:日本たばこアイメックス


テント:フカシロ
愛煙家にとって天国のような場所だが、れっきとした商談スペース。来場者のたばこ屋さんは新商品の味をじかに確かめ、情報交換をしながら買い付けの参考にしている。
ケムールでは2023年からスモコレを取材させてもらっているが、毎年のようにパワーアップする喫煙所の熱気に驚かされる。さすが全国のタバコ関係者が集う展示会だ。
さあニコチンも補給したところで、次は「葉巻」を見ていこう!
「葉巻」の多様化が止まらない!
喫煙関連商品の中でも、葉巻は深い大人の趣味であり、いまもっとも勢いのあるジャンルのひとつといえる。今回のスモコレでも葉巻推しの出展社は非常に多かった。
・ダビドフ・オブ・ジュネーブ・ジャパン:限定の10本入りBOX


まずは名門・ダビドフの葉巻。スモコレ2025では仕立ても美しい葉巻用のBOXがイチオシ。
「同じ銘柄の葉巻を10本セットで入れることはもちろん、たばこ店様のおすすめ銘柄を詰め合わせてもきれいです。プレゼントにも喜ばれます」(担当者)
葉巻はインバウンドがお土産で買っていく需要も大きいため、このBOXはさまざまなシーンで活躍しそうだ。
・春山商事:アレック・ブラッドリー


数々のパイプ・葉巻などを扱う老舗、春山商事。今年のイチオシはホンジュラス産の葉巻「アレック・ブラッドリー」。春山社長(写真)が紹介してくれた「GATEKEEPER」は、伝説的な葉巻職人、エルネスト・ペレス=カリジョとのコラボレーションによって生まれたスペシャルな銘柄。
・フカシロ:ハンドロールのシガリロ『BIN MINI CIGAR』


フカシロは1924年創業の老舗。葉巻の「CIGARO」、パイプの「Roland」などのオリジナルブランドのほか、喫煙具専門店「Kagaya」も持つ。オススメは?
「インドネシアの『BIN MINI CIGAR』です。珍しいハンドロールのシガリロなんです。ドライシガーとは思えない本格的な味わいを楽しめますよ」
・タン・タバコ・ジャパン CIGAR CLUB:秘密の葉巻「Confidenciaal」

東京、大阪の一等地にシガークラブを展開するタン・タバコ・ジャパンのイチオシはConfidenciaal(コンフィデンシャル)。
「製造はホンジュラスですが、葉の品種とブレンドは一切非公開の秘密の葉巻なんです。コクがある味わいと、繊細な香り。デイリーシガーにも使いやすい価格帯です」
・CubanCigar(街づくりデザイン研究所):オリジナル銘柄「メディア・ルエダ」

2007年にキューバ葉巻専門ショップとしてオープンしたCubanCigarは、2024年からスモコレに参加した。整然と葉巻が並ぶ棚から見せてくれた銘柄は?
「当社のオリジナルブランド『Media Rueda de la Vida(メディア・ルエダ・デ・ラ・ヴィーダ)』。産地はニカラグアでありながら、非常に入手困難なフィラーを使い、キューバ産の葉巻に究極に近い香りと味わいを作り出すことができました」
・なのじ:受賞多数の「MY FATHER」をオススメ

なのじたばこ店のオススメは、ニカラグアの葉巻メーカー「My Father」から「Flor de las Antillas Toro」「Le Bijou 1922 Toro」「The Judge Grand Robusto」。各所で受賞多数の名作葉巻を集めた。
・TABANAKA:プレミアムシガー「VIVA LA VIDA」


葉巻の輸入卸「TABANAKA」は、世界から目利きした葉巻のなかから「VIVA LA VIDA(ビバラヴィーダ)」をオススメ。ニカラグアの有名な葉巻農園「A.J. フェルナンデス」で製造されたプレミアムシガーだ。
・マルセン通商:アガノルサリーフ ルナティック

ニカラグアの名作葉巻ブランド「アガルノサリーフ」を取り扱うマルセン通商。オススメの一品は—— なんだ、このデカさは!?
「このサイズの名前は『狂気』を意味する『ルナティック』。葉巻は大きければ大きいほどいい、というわけですね」(担当者)
ルナティックは、太さ80RG(約3.2cm)、長さ8インチ(約20cm)! チャーチルやダブル・コロナよりさらに大きい。贅沢の極みだ……。
葉巻は、キューバを最高峰としながらも、産地も味わいも価格帯も、その愉しみ方もバラエティ豊かに進化していた。その裏には、こうしてスモコレに集結しているインポーターの活躍があることを忘れてはならない。
そして奥深い葉巻の魅力を理解して売り出す、タバコ専門店の腕も問われる。ECで手軽に葉巻が手に入る時代だが、お店に行かないのはもったいないぞ!
パイプ・ライター…… 深すぎる喫煙具の世界
最後は、パイプ、ライター、そして新しいジャンルの喫煙具をオススメしているブースへ。
・柘製作所:名品「IKEBANA」


再び、柘製作所のブースへ。数々のパイプを扱い、自社開発してきたTSUGE製品のなかでもひときわ創作的なブランド「IKEBANA」がイチオシだ。ハンドメイドパイプ職人の菊池朝美さんはこう語る。
「木目の走り方を活かせるよう、竹などの異素材も継ぐなどして形を作っていきます。制作中は時間を置いて見返したりして、自分の気分もデザインに乗せていく感覚ですね」
一点ごとに個性豊かな「IKEBANA」は世界中のパイプ・スモーカーから愛され、受注は数か月待ち。スモコレ会場でも売約済みが多数出ていた。
・Oo Work’s:元金型職人の技術をパイプ制作に


パイプ作家・真木紬さん(写真中央)をデザイナーに迎えるOo Work’s。スモコレへの出展は2度目だ。ブース訪問時は3種のパイプを見せてくれた。真木さんは熟練の金型職人を経てパイプ製作を始め、愛知県の工房で新作を生み出し続けている。
・マルカイコーポレーション:ZIPPOクンに注目!

タバコに欠かせないライターの出展も充実! ZIPPO日本正規輸入代理店であるマルカイコーポレーションのブースには、「ジッポーのガチャガチャ」(1回5000円)が! 同社オリジナルキャラクター「ZIPPOクン」はSNSでも活動中。
・ペンギンライター:仮面ライダーZippo


1946年創業の老舗、ペンギンライターのブースでは、各種のオイルライターのほかにも、4種のフレーバーを切り替えて楽しめるVAPEなどの新商品が並んでいた。なかでもイチオシは「仮面ライダー」「クウガ」「電王」のZippo! スモコレ2025に合わせてお披露目に。
・シーシャジャパン:多彩なシーシャ商品を展開

国内のシーシャ・カフェやバーに多くの取引先を持つ卸企業、シーシャジャパンもブースを展開。若年世代や女性にも厚いファンを持つシーシャは、喫煙業界の中でも新しいマーケットだ。「MYA」や「BLADE HOOKAH(ブレード・フーカ)」などのブランドを扱い、イベントなどの企画コンサルティングも手がける。
・ライテック:オーラルたばこ「VIKA(ヴィカ)」&シーシャ用フィルター

「ケムール」運営元であるライテック。使い切りライターをメインビジネスとしながらも、VAPEをはじめ、近年ますます多様なライフスタイル製品を展開してきた。
スモコレ2025の推しは「VIKA SVENSON(ヴィカ・スヴェンソン)」。今年の8月から販売開始した、同社にとって初の取り扱いとなるスウェーデン産のスヌースだ。屋内・屋外問わず禁煙エリアが常識となったいま、口の中に入れればどこでもニコチンが補給できるオーラルたばこの需要が徐々に高まっている。フレーバーは4種展開。
他にも、見たことのない商品が。指先に乗るほど小さな「網」のようなものだが……。
「これは新開発のシーシャ用フィルターなんですよ。車のマフラーに使われる触媒を改良し、一酸化炭素を最大約80%吸着します。このフィルターを使えば『換気不要』とまではいかなくても、エアコンと換気扇程度の環境でシーシャが喫えるようになります」(担当者)
これまで屋内でシーシャを楽しむときは、一酸化炭素中毒を防ぐために猛暑でも寒い冬でもしっかりとした換気が必須だったが、このフィルターでライフスタイルが変わるかもしれない。一見、目立たないパーツだが、全国のシーシャバーや自宅シーシャ勢が待ちに待っていた商品だ。
全てのブースを巡り、2日間にわたる日本最大級の「タバコFES」がフィナーレとなった。でも、愛煙家にとっては、これがスタートだ。
スモコレで買い付けられた商品は日本各地のタバコ店に並び、会場で交わされた情報はスタッフの知識に変わる。そしてタバコの楽しみを私たちに教えてくれるのだから。
業界唯一の見本市「スモコレ」実行委員に聞いた!

左から:
・渡部たばこ店(山形県新庄市)渡部さん
・たばこのなかみち (広島県広島市)中道さん
・世田谷たばこセンター天野屋(東京都世田谷区)天野さん
・ヒュミドールスギシマ(神奈川県横浜市) 杉島さん
最後に、スモコレ2025実行委員にインタビュー。全国のたばこ店の店主の方々にとって、業界唯一にして最大の見本市「スモコレ」の価値とは?
世田谷区で1893年(明治26年)からたばこ店を営む「世田谷たばこセンター天野屋」の天野さんはこう話す。
「今回のスモコレのテーマは会場のTRCにちなんで『Tobacco!Re Communication』。メーカーとタバコ屋さん、そしてタバコ屋さんどうしの交流の場を絶やさない想いを込めました」
前回までは「浅草ビューホテル」を会場にしていた(2024年スモコレはこちら)。今回から平和島のTRCを会場に移した理由は?
「浅草ビューホテルも良い会場でした。しかし、スモコレの『売り』である特設喫煙所が、本会場からすこし距離があった。都内で開催でき、会場直結の広い喫煙所がある会場を探していて見つけたのがTRCだったんです」
と、横浜で葉巻・パイプなどを取り揃える「ヒュミドール スギシマ」の杉島さん。喫煙所のクオリティが会場選定の決め手になるイベントなど、日本でもスモコレ以外にないだろう。

喫煙所テント:秋山産業
日本中からたばこ店が集まる見本市の価値を、山形県で「渡部たばこ店」を営む渡部さんはこう語る。
「たとえば2025年は、JTの『プルームオーラ』とBAT『グロー ヒーロ』が同時期に発売され注目を集めました。その商品情報はネットやSNSですぐに確認できますが、実際お店ではどう受け入れられているのかを知れるのがスモコレの強みです」
「2025年はスヌース(かぎたばこ)の伸びが大きかった」(天野さん)など、同業者と話すことで「たばこ業界の全体像」を深く理解できる。
各地域でのたばこの状況を知れることもスモコレの強みだ。「20歳からスモコレに来ている」という広島の名店「たばこのなかみち」の5代目店主である中道さんは、いま大きなチャレンジをしているという。
「いま広島駅では、駅ビルの建て替えや路面電車の乗り入れなどを含む大規模リニューアルを行っています。そのタイミングで大きな「駅前喫煙所」を作る計画に参加しているんです。自治体・民間企業・市民が協力して、防災機能を備え、イベントスペースとしても使える新しいタイプの喫煙所を目指しています。喫煙を取り巻く状況が変化していくなかで、たばこ店ができることはまだまだあると思うんです。『喫煙』という文化を継承するよう、心折れずに頑張っていきたいと思います」
「たばこそのものの価値を伝えるのも、専門店の役目ですね。銘柄の名前やパッケージにも全て意味がある」(渡部さん)
「『愛煙家』とよく言うけれど、愛というほどじゃなくていいと思う。たばこは生活の一部ですから。そこに私たちは、ちょっとうんちくをくっつけて売っていこう、ということですよね(笑)。その繰り返しがお客様を呼ぶことにもなる」(杉島さん)
コンビニのカウンターに「○○番のタバコくださーい」と話しかければ、すぐタバコは買える。しかし、その「○○番」の奥に隠された深い楽しみを、たばこ専門店だけが教えてくれる。スモコレで取材に協力いただいた実行委員会、そしてメーカーに感謝を!
2025年も、お疲れ様でした!
取材協力
一般社団法人スモーキングコレクション実行委員会
「スモコレ2025」出展社のみなさん
『Tobacco!Re Communication』。メーカーとタバコ屋さん、そしてタバコ屋さんどうしの交流の場を絶やさない想いを込めました。 —— スモーキング・コレクション実行委員会