現代魔女が語るWITCHな映画セレクション12作品!

ケムールの人気連載「魔女占い」「魔女が教える秘密のシャグ・カクテル」。その連載作家である弥冨Mahaさんとマグまぐさんに、魔女の視点で映画を語っていただきました。
ふだんは占いをしたりレストランを経営しながら、折々で儀式を行い、祈りを捧げながら暮らしているおふたりですが、話を伺うとかなりの映画好き。誰でも知っている魔女映画の名作から、様々な魔女の姿を描いたもの、魔女が出てこないけれど「魔女的」な映画まで12作品が出そろいました。
現代魔女って何?な方も、スクリーンを通してちょっと魔女の世界を覗いてみて。

「現代魔女」とは?
中世、「魔女狩り」によって絶えたかに思われた「魔女=WITCH」の力強い精神を現代に受け継ぐ人々のこと。その活動は占いや儀式といったスピリチュアルな営みだけでなく、エコロジーなどの社会的発信、チャリティ活動、ファッション・料理まで多岐にわたる。なお、「WITCH」に性別は関係ない。
弥冨Maha
現代魔女術実践家
生きものから食べものへ 育み刈り取り繋ぐ者として「食」を通して母なる大地との循環を伝える者。
大阪道頓堀の川沿いにある隠れ家Restaurant&BAR 魔女の厨房CAULDRONのオーナー兼シェフ
辺境国を旅する事と異国の飯と煙草が好きな人。

 

マグまぐ
大阪にある魔女の厨房「CAULDRON」で毎週日曜日に占いを行っている。
ケムールの連載『魔女占い』では、女神が刺繍された布にオブジェを落とす「はざま占い」と煙草のけむりのカタチからインスピレーションを得る「紫煙占い」を組み合わせたオリジナルセットで占う。


■魔女のイメージの変遷

――映画のなかの魔女といえば、ディズニーの「白雪姫」ではないでしょうか。魔法でヒロインを邪魔する意地悪な老婆です。

① 『白雪姫』

 

マハ 一般的な魔女のイメージですね。実際のところ、現代魔女の映画ってのも基本はファンタジーで。
マグまぐ  多分、超常的なパワー使う悪い女=魔女て枠組みなんやろなぁ。それか魔女っ子かな? 魔女っていう悪者に、魔法で立ち向かう女の子のストーリーなんよね。
マハ そのイメージも最近変わり始めてるよね。シャーリーズ・セロンの『スノーホワイト』。この映画だと魔女も子供の頃、母親に呪いをかけられている。魔女=悪というのではなく、悪を受けた人間という造形だね。


② 『スノーホワイト』

マグまぐ 綺麗だとめちゃパワー強なる呪いな〜。
マハ ある意味ではアナ雪のエルサも魔女だね。
マグまぐ うん。ある種の魔女。
マハ 氷を支配する力や、超自然的な力を操るわけで、国を滅ぼす事すら出来る。
マグまぐ 「力を使っちゃダメよ!貴方は排除される側よ」的な教育受けてたしね。
マハ それを踏まえて考えると、魔女は悪というより、人間に危害を与える存在、または脅威になる存在なのよ。
マグまぐ 多分、女性的な正義?て言うたらええんかなぁ。そういう包括的なありようが良き!ってなってきてるんやと思う。


③ アナと雪の女王

 

ディズニーが繰り返し描いてきた魔女のイメージも変わってきている。時代の変化なのだろうか?

■ジブリ映画で「魔女い」作品は?
――ケムールSNSで「魔女な映画」でアンケートをとってみたところ、1位は「魔女の宅急便」でした。

たくさんの投票ありがとうございました!

④ 『魔女の宅急便』

マハ キキはキリスト教的な見方ではない、悪ではない魔女ですね。「女神の三相」の中の処女(少女)性が最も強い感じ。

女神の三相
太古の女神の三位一体のこと、処女・母・老婆の姿からなるもので、満ちゆく月・満月・欠けゆく月で表される事も。

マグまぐ 処女もビッチもクソババアもひっくるめて、女!!て感じよな。
マハ  『魔女宅』はそうした全てをひっくるめての魔女性ではないのよね。
マグまぐ うん。「魔女宅」は「処女性」だけを尊んどるんよね。
マハ それな。結局ジジの声が聞こえないままだし。魔女の映画というよりキキという女の子の成長記録で、『エヴァンゲリオン』みたいな物語ですね。キキはある意味では碇シンジなんですよ。
マグまぐ そやねw 『エヴァ』は、バブみ求めすぎ問題あるけどな。ゲンドウとシンジもアスカも。
マハ 悩んで、孤立して、自暴自棄になって、それでも自分と向き合おうとするのが『魔女宅』で、子供という庇護される側から大人になる為の成長の姿。『エヴァ』はそこを他者に埋めてもらう感じなのよね。エヴァは登場人物全員が愛情を色んな形で補おうとしてるなって。
マグまぐ ジブリ映画で魔女なのは、むしろ『もののけ姫』じゃない?

――『魔女の宅急便』より『もののけ姫』の方が魔女の要素が強い映画なのでしょうか?

マハ うん。ある意味では魔女だね。
マグまぐ  サンカ(かつて少数集団で山間を漂泊して暮した人々。戦後急速に姿を消した)とも取れるサン。アイヌや縄文的な世界観のヒイ様。人を惑わす悪の女王のようなエボシ御前。マイノリティどうしが居場所を確立しようとしてる話よね。
マハ  キャラが女神の三相になってるね。
マグまぐ なってる!!サンとエボシ御前とヒイ様=少女・女性・老婆ってな!

⑤ 『もののけ姫』

 

「魔女宅」に比べて、『もののけ姫』は女性の描き方が多面的なのがよくわかる。

マハ 森を第一に考えるサンはある意味で自己中なんよね、排他的で、人間要らない!って頑なで。一方でエボシ御前は世間から見捨てられ疎まれる人々を救おうとしてるけど、森を犠牲にしてる。
マグまぐ エボシ御前は、多分現代を生きる私たちだよね。ある種地球に対して傲慢な。
マハ そうね、ある意味でエボシ御前は現代魔女やねんけど、ヒイ様こそ「ちょっと待って」なんよな。もしやアシタカに特攻させようとしてね?て感じるんよね…。タタリ神を知り過ぎてるし、あんな都合良く聖水みたいな水用意してアシタカを追放する手筈が整い過ぎてると思わない?て。
マグまぐ ある種の賢さかもしれんけどね…そこも魔女みあるポイントの1つよな。

――「魔女み」って可愛いですね。

マハ 「魔女い」って言葉もよく使うね(笑)
マグまぐ 使うw。ジブリで魔女いのは、『もののけ姫』ってことで!


■さまざまな魔女の描かれ方

⑥ 『The Witch』

 

マハ キリスト教のピューリタンとペイガンの話がベースにあるんだけど、魔女(ペイガン)の描写ははっきりしてない。森で出会ったのは本当に魔女なのか異常者なのか、欺瞞と不安、それぞれが内に秘めた不満、欲望・猜疑心と恐怖に支配されて行く中で現れる悪魔なのか幻覚なのか?
どの角度から観るかで取る意味が変わってくる映画なんだよね。世間一般的に人が思う魔女っていう存在の得体の知れなさが描かれてるかな。

⑦ 『ラスト・ウィッチ・ハンター』

マハ 「魔女狩り一筋800年」ていうキャッチコピーがおかしいw ラストウィッチハンターは魔女メインじゃないし魔女狩りが主人公やけど、魔女が市民権を得て生活してる設定がめちゃくちゃいいよね。
マグまぐ この映画の世界で、魔女で生活したい! あの色んなスタイルの魔女が出てくるのは現代魔女っぽいよね。
マハ 主人公のコールダーを助ける魔女のクロエも、クロエの友達の魔女も魔女としての力を活かした仕事してるのよね。仕事が占い師じゃないとこはポイント高い(笑)。クロエの友達の殺された魔女はハーブ屋さんやし。あと、魔女術にも違法行為のガイドラインがあるの、現代やなって。
マグまぐ ま、実質、現代も呪いは違法行為だったよね。恐喝罪が適用されるよね…?
マハ イギリスでは呪いは違法だったと思う。
マグまぐ 丑の刻参りも、不法侵入、器物破損に当るよね。
マハ 神社とか勝手に入ったらあかんやろ。木も敷地は私有地やし。
マグまぐ 痛い目見せたいなら、ボコボコに殴った方が手っ取り早いね(笑)。

編集部注)それもダメです

■魔女が出ない魔女映画

⑧ 『ミッドサマー』

マグまぐ あの村、ちょっと滞在したい!!ああいう参加型の儀式、したくない??
マハ これも死生観は魔女いね。私達魔女は「生まれて・死んで次に繋げる」って事を概念として持っていますが、新しい命が生まれる為に年老いた者が死ぬってサイクルは共通かな。
儀式の中で老人が生贄になるシーン、ここで石碑に掘られた【ᚱ】raidō=旅って意味のルーン文字が出てくる。これ、人生は旅であり旅は終わるて意味かなと。
マグまぐ あの村、太陽信仰なんだけどね…。
マハ これでもかってくらい意味深なルーンがそこかしこに散りばめられてるの考察するの面白いよね。
【ᛣ】kalcと【ᛈ】perth。「秘密」「聖杯」って読み取るとキリスト教?て感じもするけどやってる事は過激祭儀集団て感じかな…。

――現代魔女は皆さんルーン文字が読めるんですか?

マグまぐ だいたい読める…はず(笑)!


⑨ 『来る』

マグまぐ『来る』は良かった(笑)! 得体の知れない、正体不明の強大な存在に力を持つ全ての人々が集結して、あらゆる神様の力を借りて祓おうとする話。
マハ 現代魔女、というか魔女いなと思うのは、信仰する神も祝詞も儀式も違う宗教が1つに向かって祈るところかな。現代魔女は主神や教義や祝詞、流派とか1人1宗と言われているくらい様々でアプローチの仕方は違うけど、川みたいに何れ海に流れつくみたいな感じなのよね。
マグまぐ アジアの宗教ぜんぶ集めましたぁ!!!!て。あの終盤の祓いのシーンは、魔女もだけど、宗教関係者や、色々な層で評判になってたね。
マハ 監修に関わった人は凄く博識な人やな。
マグまぐ 儀式を設置するシーンも、凄いリアルだよ。たぶん、あの中に本物おるよね。柴田理恵が持ってる「イラタカ数珠」とかに胸キュンしてたw お唱えしてた言葉も本当にリアル。祝詞の発声とかもしっかりしてるから、観てて本当に敬意を感じさせるんですよね。
あと、ちょっとネタバレになるけど、見終わって「オムライス食べてぇ!」ってなった(笑)。
マハ  私は「オムライス作りたい!」ってなった(笑)。


■魔法は誰の為にある?

⑩ 『ウィッチクラフト 黒魔術の追跡者』

マグまぐ 呪いを掛ける際に己が代償を負うってのが、リアルやなぁ…と思うし、オカンて強いわぁ…てなるよね。
「the craft」もそうだったね。女子高生4人組が魔女になる話。


⑪ 『The Craft』

 

マハ 何かを得る為には何かを失う。対価が必要であるってのは「ハガレン」みたいな錬金術も同じやけど、魔女のそれはまた別物なんよね。
――魔女の場合は何が対価になるのでしょうか?
マハ 誰に頼むか、やり方にもよるけど…人間が払える対価で叶う願いなんてたかが知れてますよ。
マグまぐ そう、願う事への心の取り組み方とか姿勢によるよね。どない完璧に魔術が上手くいっても、願う人が行動しやんかったら意味ないんよ。


⑫ 『奥様は魔女』

©ソニーピクチャーズ

マグまぐ 最後はこれやね。
マハ この主人公って、基本的に自分以外の誰か、愛する人の為にしか魔法使わないよね。家庭において、我が子や夫の為、大切な人の為にまじないをする。そういう魔女ってのが本来の魔女の姿かも。
マグまぐ 自分の周りの大切な人の幸せの為のまじないて素敵やもんな。ウイッチクラフトて、ほぼそんなんや。セーターやマフラーという結び目の魔法。刺繍に込めた魔法。単純な繰り返しする手仕事って、魔法ですよ。おむすびもまじないになるよ!

 


魔女の視点で見ると違った楽しみ方ができる映画はいろいろ。けれど「これぞ現代魔女!と呼べる映画は実はそんなにない…」と語るおふたりでした。現代魔女の日々の営みは映画映えしないのだとか。(逆に気になってきますね)
今後おふたりの日常にも密着しようと思いつつ、現代魔女の日々のこぼれ話も書いてあったりする連載記事はこちら!

▶ケムール魔女記事まとめ

弥冨Maha
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マグまぐ Twitter:@gagaga0888

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