投資家・不動産コンサルタントのゴドウです。
いきなり暗い話題で申し訳ありませんが、ご時世柄避けて通れぬこの話題。経済の酸いも甘いも噛み分けてきたワタクシ、ゴドウがコロナ禍経済を勝手に語らせていただきます。
新型コロナウイルスの影響が長期にわたって続く可能性が高くなっています。
さて、このコロナ禍において「怖いもの」、というのは、コロナそのものの脅威というよりも、「人の心理的萎縮による経済効果の低下」なのではないでしょうか。昼間はともかく「夜は飲みに行かない」という人は多いですし、大企業を中心に「自社からクラスターを発生させるわけにはいかない」という警戒感から、社員の飲み会そのものが禁止されていたり。
旅行もしかり。「東京に行くだけで非難される」「東京から行くだけで非難される」という状況で、私の友人知人も「東京出張を人に言えない」、「東京に来ていることがバレないよう、SNSに写真をアップしないでほしい」と頼まれるほどです。リーマンショックのときのような金融恐慌は再びお金が回り始めれば回復しますし、震災なども復興が進めば回復します。しかし、昨今の人々の意識と行動は明らかに大きく変容しており、ワクチン接種が開始されたとしても、そう簡単には元に戻ることはないだろうな、と感じます。
廃業・失業のビッグウェーブがやって来る
4月以降、倒産件数は増加していますが、これは法的整理をするから計測できるだけで、実際には自主的な廃業が背後ではもっと加速しており、それにともなって失業者数もうなぎ登りです。2020年11月の厚生労働省の発表によると、2020年1月末から2021年1月6日までに、解雇や雇い止めで仕事を失った人は、見込みも含めて7万242人となりました。ただし、これも全国のハローワークなどで把握できた人数なので、実際、仕事を失った人はさらに多いと見られます。
失業せずとも、シフトを減らされるとか、ボーナスがカットされるといったことも珍しくなく、旅行会社大手のJTBや航空大手の全日本空輸(ANA)などがコロナ禍苦境で冬の賞与が支給なしになったことは記憶に新しいと思います。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、民間企業(5人以上)の2020年夏のボーナスは、コロナ禍の長期化を見通していなかったので一人当たりの平均支給額が前年比-2.6%にとどまりましたが、冬のボーナスは、-10.7%と大きく減少すると予想。多くの企業が支給額を大幅に削減、または見送るという動きが本格化しています。旅客・観光業界や飲食はもとより、それに関連する事業者や店舗系の業態は焼け野原になる可能性があります。今はまだ耐えることができたとしても、これが長期にわたれば「もう無理」となる企業も少なくないでしょう。
そうなると先に待っているのが貧困層の大増加、まさに貧困の大バーゲンセールが始まろうとしているのです。いったん貧困に陥れば、復活するのは難しいかもしれません。なぜなら今後は企業側も経済の先行きに警戒感が強いため、おいそれと人も雇えないし給与水準も上げられないからです。
貧困のバーゲンセールに備えろ
多くの人々にとっては、本業で収入を得て、一部を貯蓄し、一部を自己投資に充て、一部を運用に回す、というのが基本スタイルになると思います。しかし、新型コロナウイルスの流行によって、まずは収入面で大きな変化が生じます。コロナ禍の影響を受けにくい業種業態に勤めている従業員はそれほど心配ないかもしれませんが、「この自粛社会はまだまだ続く」という前提で、不安な人は転職なども考慮に入れて生活の防衛体制を構築する必要があります。
まず、自分が勤めている会社が、コロナ禍の影響を受けて業績が悪化する事業構造なのかどうか見極めておく必要があります。とくに「来店型」の事業に携わっている人、観光・移動・外食といった業界にいる人は、「ジョブチェンジ」も視野に入れたほうがよいかもしれません。今すぐでなくても、長期的にじわじわと影響を受け、希望退職募集や整理解雇といったことが起こる可能性はあるでしょう。もうひとつ、このコロナ禍で企業による資金の内部留保が正当化されたため、給料がより上がりにくくなる可能性があります。
従来は企業が資金を溜め込み、従業員に還元していないという批判がありましたが、コロナ禍でも雇用を守れるのはその溜め込んでいた資金があったからだ、と言われればなかなか反論しにくいものがあります。
今すぐ家計改革に踏み切れ
もし売上や収入が以前の8割に減ったのだとしたら、その8割で生活が回せるようにまずは家計を改革しなければなりません。その際、「固定費」の削減を最優先に考えるべきでしょう。変動費はただガマンすればよいだけですが、固定費は売上や収入に関わらず必ず出ていくお金だからです。また、一度手続きすれば、そのあとは努力や意識をしないでも効果が継続します。
住宅ローンやマイカーローン
長期ローンを組んでいる場合は、金利の値下げ交渉や借り換えを検討してみる。金利が下がれば返済負担は大きく改善します。
賃貸物件
大家さんに家賃の減額を交渉してみる。できないと思っている人は意外に多いですが、契約中でも大家の了解があれば減額は可能なのです。
固定電話
固定電話のほうが信用力が高いという風潮は廃れつつあります。ほとんど使うことがないであろう固定電話は廃止し、格安スマホに切り替えれば、大幅な通信費が削減できます。
電気代
電力会社を新興の電力小売企業に変更して電気代を削減する。また、自宅にいる時間が増えて電気代が上がったならば、家庭のすべての電球をLED化する。これで電気代は大幅に削減できます。
新聞代
証券口座を持っていれば日経テレコン21などが無料で読める証券会社もあるので、それを利用すれば新聞は解約してよい。これで新聞代が浮きます。
NHK受信料
今回のコロナ禍煽り報道に見られるように、テレビはもはや洗脳ツールでしかなく教養も思考力も奪うことが明白?w。テレビを捨てるのも一興か。ついでにNHKも解約すれば受信料が不要になります。
ほかにもクレジットカードの切り替えや各種値引きが受けられる決済手段など、検索して調べれば方法はたくさんあるので、面倒くさがらず、家計を筋肉質にしていくことが肝要です。
住所を失ってはいけない!
これだけは絶対におさえておきたいのが、どんなに貧困に陥っても「住所だけは失ってはいけない」ということ。なぜなら、行政のあらゆる支援制度は住所に紐づいており、住所がなければ各種給付金や補助金はもとより、生活保護も受けられないからです。
実際、ネットカフェ暮らしで住所がないために、10万円の特別定額給付金を受け取れない人もいるそうです。また、住所がなければ銀行口座も証券口座も作れないし、保険にも加入できません。住所がないと人生は一気にハードモードになってしまうのです。
住まいを失いそう・・・私ならこうする!
それでは、もし私が仕事も家族も失い住まいも失いそうだ、あるいは失ってしまったとしたらどうするか?私なら寮付きの仕事を選びます。
たとえば半導体製造工場といった製造業では寮付きの求人が比較的豊富です。寮費はタダもしくは激安。なかには水道光熱費無料とか、寮から工場への無料送迎バスが出ているとか、格安の賄い食事付きといった条件の求人もあります。工場には当然ながら社員食堂があり、栄養バランスが考えられたランチを安価で食べられる。
これなら仮に正規雇用ではなくても住まいが確保できるしお金も貯まる。むろん慣れない仕事に最初の1~2週間は心身ともにキツイと想定されますが、慣れるまでの辛抱です。これで資金を貯め、無理のない範囲でスモールビジネスを展開する。そうやって復活ののろしを上げようと思います。
自分が蒔いた種しか収穫できない
コロナ禍は(一部の人を除き)人生の最重要事項ではありません。これは慢心して対策をおろそかにしろということではなく、本当に大事なことはほかにあると気づくべきだということです。
不安に怯えて萎縮し、引きこもって何も手を打たなければ、自粛社会の波をもろに被って経済的に困窮するだけというリスクにさらされます。私たちは、自分が蒔いた種しか収穫できません。スイカの種を植えればスイカが収穫できる。もちろん何も蒔かなければ何も収穫できない。そしてどの種を蒔けばよいかは誰も教えてくれない。
自分が目指す未来に向けて今蒔ける種は何か、コロナ禍で視野を狭めることなく、しっかりと見据えて行動する場面ではないでしょうか。
中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声を作るためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。独自の投資理論と手法で貯金70万円を1年で3億円の資産に。現在は数社の会社を経営。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。