吉田悠軌の怪談一服~マネと怪談【guest:BBゴロー】#今もっともマネしたい怪談師 は?

怖い話、不思議な話、怪しい体験談。
”怪談”
それらを集め・語り・書き・生活の糧とする特殊な職業がある。

ーー怪談師

その仕事の実態を当連載の著者であるオカルト研究家:吉田悠軌さんとともに実践的に明らかにするYoutube&記事連動シリーズ。今回は「マネ」から怪談を楽しんでみよう。

怪談の魅力は怖い話の内容=ネタだけではない。その「語り方」にも特徴がある。どんな怪談師が語るかで怪異はそれぞれの像を結び、あらわれる。

そして…怪談らしい語り方、といえば、誰もが思い出すワードがあるはずだ。

 怖いな~~ 怖いな~~…

そう。

今回のゲストはレジェンド・稲川淳二さん!

の!!

モノマネを極めた芸人【BBゴロー】さんだ。


「モノマネ」は「ニセモノ」ではない。それは技能であり、怪談を語ることへの愛情を込めた芸だ。
すべてはマネからはじまる。
では、BBゴローさんと吉田さんのトークをどうぞ!

『ケムール』コラボ前編 怪談?対談 BBゴローVS吉田悠軌

▶後編は記事の最後に。

編集部からは「勝手に」独特の語りスタイルを持つ「いまもっともマネしたい」怪談師の方々をセレクトしお届けします。

ケムールが選んだ【マネしたい怪談師】10選

夜馬裕(やまゆう)

「でもね、夜馬裕さん…」からはじまるイジメ・嫉妬・自殺など後味の悪~い怪談=「厭談(えんだん)」の騎手。
口調は早口。「皆さん」「お客様」「~させていただいています」など言葉遣いは丁寧だが妙な抑揚があり、何とも気持ち悪い。目をそらさず、薄~く笑いながら話すのがポイント。

一人称:わたし
話出し:私ねえ、人の笑顔が嫌いなんで、絶対に笑わないで聞いてくださいね。…そういってお話を聞かせていただいたのは、ゴジョウさんという30代の男性なんです。…
話終わり:…今でもご無事でいるといいんですが。ありがとうございました。

城谷 歩

講談の流暢な語り。『怪談噺』として1時間程度にもなる長尺の怪談を披露することも多い。台詞ではなくト書き(描写)が多めに語られる印象。「溜め」が長く、表情は一定。身振りも大きくはなく、静か。聞きほれるような、低い美声。この「色気」のある上品な語りをモノマネするには相当な練習が必要だろう。

一人称:あたくし(※フリートークの時は「ぼく」になる)
話出し:「贈り物」というのは、贈る側も贈られる側も、嬉しかったり楽しかったり、ワクワクとした心持ちになるものですが、時には例外があるようでございます。…
話終わり:…「贈り物」に、秘められた想いは……。

怪談社

上間月貴さんと糸柳寿明さんによる、2人組怪談ユニット「怪談社」。メンバーふたりのスタイルはまさに対照的だ。

上間月貴(かみま つきたか)

特徴は描写が非常に緻密であること。古風な言葉遣いで、台詞は少なめ。背筋を伸ばし、たたみかけるような早口&ゆるやかなテンポの語りが緩急つけて繰り返される。そのたびに視線を左右に動かしながら語ってみよう。

一人称:わたし
話出し:怪談噺を集めておりますと、なぜそんなことが起きたのか理由が皆目見当がつかないというお話、数多(あまた)ございます。…
話終わり:…そのころから、あの妙な夢を見ることはパタリとなくなった、ということです。

糸柳寿明(しやな としあき)

クールな見た目と反して、カジュアルな関西弁。口ぶりはナチュラルに早口、怖がらせようとは感じられない淡々とした口調。「めっちゃ」「う~わ…」「何言うてるんやろ?」などの日常語が混じる。擬音語、擬態語も多い。姿勢はちょっと前かがみ。手と目は常に動いていて、マイムのような振りも出るが、表情はほとんど変わらないのがポイント。

一人称:ぼく
話出し:とある男性の話なんですが、ときどき聞くんですが、「免疫」が落ちると、何かすぐ治るものも、治らない。口の中に血豆ができるとか、口内炎がすげえ増えて、治らないとか。めちゃくちゃ増え続けて数えてみたら10コ以上あったとか。「免疫」が落ちるということだけで結構色んなことが起こるらしく。この話を聞いた男性もそうだったみたいです。…
話終わり:…と、いう話がありました。気持ちが悪いですね。

いたこ28号

ハスキーで声が高く、しかめっ面をしながら早口で語るのが特徴。関西弁がベースだが、かなり標準語も混ざる。「…ですよ」「…なんっすよ」と繰り返すオリジナルなスタイル。マネするときは「…でね、」「…あのね、」という独特なリズムで恐怖のギアを上げていくテクニックを覚えよう。

一人称:ぼく
話出し:芸人じゃない一般人のいたこ28号です。ヘンですねこの空気(笑)。…この話はタナカさんっていう男性から聞いたんですけどね。彼の友人が2か月前にマンションに引っ越したんですよ。仮に「Aさん」としましょう。…
話終わり:…って言ってましたね。そんな話を聞きました。ありがとうございました。

田辺青蛙(たなべ・せいあ)

フリートークの出演が非常に多く、ストレートな怪談を語ることは少ない印象だ。「素のままで通す」のに「怖い」という特殊な例で、同じ関西勢の田中俊行さんとも近いノリと言える。基本は「めんどくさそうな」「ゆるい」関西弁のしゃべり。身振りは「遅く、控えめ」。背中を丸めて、顔はほぼ動かさず、目は伏せていることが多い。
田辺氏のトーク(特に怖くない実体験)から、いつのまにか怪談に移ってしまい、怪談が終わってもいつのまにかトークに戻っているという異様なテクニックがある。しかも怪談中に他の出演者に普通に話しかけたりする。

一人称:わたし
話出し:私あのー、色んな趣味があるんですけれど、本当に、そのいくつかある趣味のひとつで、あのー、「切腹マニア」って知ってます?
話終わり:…って思いました。っていう話です。

ファンキー・中村

イカつい体形とサングラス。「…ってわけよ」「…なのさ」というフランクな口調で、風景・服装・仕草まで想像しやすいしゃべり。特に音楽関係の描写・クルマの描写はいきなり詳しくなるのが特徴。
怪異は本人の実体験も多め。あった当時のエピソードが入り、思い出し笑いも出る。台詞の掛け合いが続くシーンが入ることが多い。

一人称:おれ
話出し:…怪談ライブに来てくれたお客さんに向けて、う~ん、えっと…「今から始めるんですけど、ちょっと皆さん、お付き合いください」って言って「今日ここにご来場の方の中で『俺は幽霊なんか信じないよ そんなのいるわけないじゃん』って言う人、手を挙げてください」って頼むんだよ。すると…
話終わり:…だから人間ってのは、いつどこでどんなものと出くわしてるかわかんねえよ、って話。

大島てる

特徴はとにかく低い美声。身振りは少なく、声のトーンはほぼ変わらない。衣装はスーツが多い。
そして語りの特徴はとにかく「説明的」「事務的」であること。恐怖の演出というよりも「正確に話すために言葉を選んでいる」という感じの非常に長い「溜め」が入る。マネするときは、丁寧すぎて笑えるほどの事務的な口調を心がけよう。本領である「事故物件」のエピソードだけでなく「人怖」でも、かなり多くのケースで詳細な「立地」の説明が入るのがポイント。

一人称:わたくし
話出し:…東京の、郊外。住宅街……、での…出来事なんですが。ある駅の前にある、集合住宅。マンションというか、ビル。そのある部屋で殺人事件が起きていたんです。…
話終わり:以上です。

中山功太

関西弁がベースの、ですます口調。「台詞」はいきなりくだけた口調になる特徴がある。テンポは一定。基本は無表情で、たまに眉にしわが寄る程度。特徴は、話の途中で怪異が展開する直前「話したくなさそうな」間が入ること。ためらうような、息をのむような仕草が入る。これが怖い…。ぞっとするようなうつろな目つきは、たぶん誰もマネできないだろう。

一人称:ぼく
話出し:…奇跡っていうのが悪いほうに出たら、こんなこともあんねや、って思った話なんですけど。
話終わり:って、冷たい目で笑ってました。ありがとうございました。

木根緋郷(きね ひさと)

抑揚を抑えた、低い声。語尾を伸ばしめに、ちょっと気だるそうに話すのがコツ。テンポと身振りは小刻みに変化させよう。姿勢は腕を組んで前かがみになっていることが多く、時折、上目遣いでボソボソとしゃべる。マネするときは服装をロックテイストにするのを忘れるな! ちなみに動画制作ができる人は、独特の「木根編集」もマネしがいがあるぞ。

一人称:
話出し:これは知人のミサトちゃん、ってコから聞いた話なんですけど…ミサトちゃんが高校生の頃。まぁ、冬の、とある金曜日のことだっていうんですね…
話終わり:…っていうのが、今でも気になるんだそうです。

稲川淳二/BBゴロー

怪談ファンじゃなくてもマネた人はめちゃくちゃ多いはずの、達人中の達人。
怖い話の中に笑いを誘う小話も絶妙に混ぜながら、観客を引き込んでいく。表情は何となく笑っている。
「変だなー、変だなー」「おかしいな~、おかしいな~」などの呟きの繰り返しの他にも、「これ、生きてる人間じゃないな…」「仮に…この方をAさんとしておきましょうか」などの怪談口調のお手本となった名言が満載。
「ファーッ」「サァーッ」「グッ!!」などオノマトペも多用する。
吉田会長も怪談を始めた当時、稲川さんの名作「ゆきちゃん」の完コピから入った。

一人称:あたし
話出し:あぁ、こんな話あったなあって、思い出したんですがねえ。えぇそうでした、これも懐かしい話なんですが、セトさんという人が、会社の人事異動がありまして……
話終わり:それじゃあまた、いつかこの場所で。

代名詞ともいえる「怖いな~ 怖いな~」は、実はBBゴローさんが言い始めたモノマネ発の名言だったのは、あまりにも衝撃…


いかがでしたか。
ああ、あの怪談師が入ってない、と思ったでしょう。
続きはBBゴローさんの動画へのコメントと、Xでお聞かせください。

 

それでは、また一服の時間にお会いできますことを。

【いままでの怪談一服コラボ】はこちら

第1回目は木根緋郷さん(怪談の根っ子)。
第2回目は高田公太さん(オカさん)。
第3回目は田中俊行さん&下駄華緒さん(不思議大百科)。
第4回目は川奈まり子さん(川奈怪談)。

■プロフィール

BBゴロー
Youtube【BBゴローチャンネル】@BB-ho1ss
X@BeeBeeGoRo

吉田悠軌(よしだ・ゆうき)…1980年、東京都生まれ。怪談サークル「とうもろこしの会」の会長をつとめ、オカルト、怪談の研究をライフワークにする。著書に『現代怪談考』(晶文社)『一生忘れない怖い話の語り方』(KADOKAWA)『オカルト探偵ヨシダの実話怪談』シリーズ(岩崎書店)『恐怖実話 怪の遺恨』(竹書房)、『日めくり怪談』(集英社)、『禁足地巡礼』(扶桑社)、『一行怪談(一)(二)』(PHP研究所)など多数。
Twitter:@yoshidakaityou

 

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