今回は✡特別編🛫でございます
一般的な紙巻きたばこよりコスパがいいだけでなく、シャグ・巻紙・フィルター、さらにスパイス・ハーブ・オイルなどをプラスして自分だけのオリジナルブレンドを作れる「手巻きタバコ=シャグ」。その奥深い魅力を「おまじない」と「調合」のエキスパートである魔女さんのブレンドで探究する「シャグ・カクテル」連載。
今回は特別編です。
本連載の案内役”現代魔女”の弥富マハさんは、世界のローカルフードを提供するレストラン「魔女の厨房コルドロン」のオーナーシェフです。バックパックひとつで世界中を旅しながら現地の文化に触れ、料理と魔法を研究することは、マハさんの魔女術の実践の大きな要素。
そんなマハさんが旅に出る!!と聞き、ケムールでは現地の魔女事情&タバコ事情をレポートしていただきました。
現代魔女術実践家
生きものから食べものへ 育み刈り取り繋ぐ者として「食」を通して母なる大地との循環を伝える者。
大阪道頓堀の川沿いにある隠れ家Restaurant&BAR 魔女の厨房CAULDRONのオーナー兼シェフ
辺境国を旅する事と異国の飯と煙草が好きな人。
中世、「魔女狩り」によって絶えたかに思われた「魔女=WITCH」の力強い精神を現代に受け継ぐ人々。その活動は占いや儀式といったスピリチュアルな営みだけでなく、エコロジーなどの社会的発信、チャリティ活動、ファッション・料理まで多岐にわたる。なお、「WITCH」に性別は関係ない。
今回はちょっと趣向を変えて。愛煙家の魔女が訪ねる、秘密の旅行記をどうぞ。
そうだ、⚫⚫に行こう
3月の「魔女シャグ」記事で
『海外旅行行きたいわよ!でも今行くの色んな意味でハードル高いねん…』
などと私が言っていた事を覚えている人もいるかも知れません…
が!
実はこの記事を書いている今、私はエジプトにいます。
そう、ファラオとピラミッドと砂漠の国。ジョジョの奇妙な冒険~スターダストクルセイダース~の舞台じゃないですか!(歳がバレるw)
そしてこのエジプトは「魔女」にとっても、とても重要で魅力的な国なんです。
「魔女」と「エジプト」
ケムール読者の皆さんはエジプトの神様と言われたら、どんな姿を思い浮かべるでしょう?
たぶん一般的によく知られているのはオシリス、イシス、ホルス辺りじゃないかしら。
なかでも、魔女目線でエジプトといえば女神イシスがメジャーどころです。
翼を広げる「イシス」
ローマ時代においてはヌビア地域アスワンから(スーダンの首都ハルツームまでの地域)イタリア半島、ガリア(現代のフランス南部)に至るまで広く崇拝されていたイシス。
トビの翼を持ち、キリスト教の聖母像の原型ともされる女神イシスは神話ではホルスや王を守護する母として登場する。死者の魂の守護者であり、またラーの真名を知る事により魔術を司り、豊穣や癒しを与える者であるとも言われている。
「イシス」はギリシャ語の読みで、本来のエジプトでの読み方は「アセト」。
その名はエジプトで『王座』を意味するともされ、かつて古代エジプトで最も崇拝された女神です。
今やエジプトはすっかりイスラム教が主流の国。
古代エジプトの神々を祀る民は、ピラミッドが砂に埋もれ、神殿が忘れ去られるとともに消えてしまいました。
しかしイシスだけは、エジプトがイスラム教国になったあとも6世紀ごろまで現地で崇拝され続けたといいます。さらに聖母像の原型としてキリスト教にすら爪痕を残しました。この力強い女神アセト(イシス)こそ現代の魔女達の系譜に近い存在だと私は感じています。
私達「魔女」にとっても、「イシス」は切っても切れない、いにしえのまつろわぬ女神の1人なのです。
この旅はそんな導きではじまります。
「魔女シャグ旅」スタート!
まずカイロから空路で南へ、スーダン国境に近いエリア=ヌビアの町アスワンを訪れました。
アスワンには、女神アセト(イシス)の神殿「フィラエ」があるのです。
紀元前305年 – 紀元前30年のプトレマイオス朝時代、アスワンのフィラエ島に建造されたイシスを祀るフィラエ神殿。ローマ時代からは増築やキリスト教会に使われるなどの歴史を経て、1979年にユネスコ文化遺産に登録。近隣のアギルキア島に移築保存されている。移築前の本来の神殿跡は、いまもフィラエ島の片隅にひっそりと遺されている。
この旅では、多くの現地の人々に助けられました。フィラエで出会ったのは、ヌビア人のこのふたり。
フィラエに渡し船を出す船頭ヘィサム
アスワンの空港で交渉して乗ったタクシーのドライバー、ティト
そうそう、ケムールの「魔女シャグ」連載らしく、エジプトのタバコ事情もがっつりレポートしていきますよ(笑)
エジプトは喫煙大国。
ヘィサムもティトもゴリゴリのヘヴィスモーカーで車内でも船上でもめっちゃタバコ吸いまくりw
彼らの好むタバコの銘柄はこちら。
エジプトでシェアNo.1を誇るのではないかと思われる「クレオパトラ GOLD」!
もう「みんなこれ吸ってませんか?」というくらいの支持率を誇ります。
アスワンから北へ。
また別の車を手配してもらいコムオンボ、エドフ、エスナ、ルクソールへ。
因みにルクソールからキナにも行きましたがドライバーの名前はムハンマドとアフマドというエジプト人めっちゃ多い名前ランキング5本指に入る名前。
この旅ではドライバーの名前がめっちゃ被るので
『WhatsAppでどれがどのムハンマドorアフマドか分からない』
という問題が起きました笑
『どこのムハンマド?』って言われます。今回はルクソールのムハンマドさんとカイロのムハンマドさんにお世話になりました!
カイロ・ハンハリーリのムハンマドさん
怒涛の神殿巡り
ムハンマドとアフマドのタクシーで向かったのは、ルクソールから車で片道2時間ほどのキナにあるデンデラ神殿!
約4万㎡の巨大なエリアに複数の神殿がある神殿群です。
キナのデンデラ神殿
美しすぎる…。
某番組で有名になった古代のオーパーツとして有名なレリーフも見て来ましたよ(笑)
某番組で「電球ではないか」と紹介されていたレリーフ
ほかにもエジプトには神殿がたくさん。
「イシス」をはじめ、エジプトの神々の姿を生で見れてめっちゃ感動!
エドフ神殿
コムオンボ神殿
アブシンベル神殿
エジプト悲喜こもごも
さてさて、そんな神秘の国ばかり…ではないエジプトのリアルな部分も今回の旅ではたくさん見れました(笑)。
デンデラ神殿があるキナは治安があまり良くないこともあって、軍や警察の検問があります。私達外国人は警察で届出をして書類を持たなければ移動ができません。
※この移動登録はキナだけでなく、アスワンからルクソール間でもありました。
それにインド、トルコ、エジプトと三大うざい国に名を連ねる国民性は健在でしたw
(ルクソールのぼったくりと詐欺と連日戦うハメになりマジでキレそうになるし、同行した友達は実際ずっとガチギレしてましたw)
王家の谷に向かう途中にレンタルした自転車がいきなり故障したことも!ぶっ壊れた自転車を交換しにバイク2ケツ(ノーヘル)でレンタルサイクルショップの店員が代車の自転車を担いで持って来ましたwちなみに王家の谷からレンタルサイクルショップまでは往復20km!!
このチャリ👆が、突然ぶっ壊れることに
ルクソールからカイロに行き、次はアレクサンドリアへ。
アレクサンドリアはエジプトでは『イスカンダリーヤ』なんですね、イスカンダルですよイスカンダル!(ヤマト世代)
アレクサンドリアは地中海側でヨーロッパでーす!って感じの建物だらけ。
アレクサンドリアの街並みは欧米的
次はシーワオアシス。
アレクサンドリアからバスで10時間かかりました…。ローカルバスは出発と同時に壊れたエアコンから強風のめちゃくちゃ冷たい風がwww
ただでさえ寒い砂漠のドライブに激寒ギンギンに冷えた風(調整不可能)で地元民激おこ抗議。無事に1回目の休憩からエアコン切られましたが笑
乗り合いバスの車内
検問を通る度にエジプト軍人に起こされ、身分証明書を確認されること3回。やっと到着!
ここはアマジグ人の要塞シャーリーのある町。
アモン神殿は、300万年以上前の人類の足跡👣が発見された場所です。
ゲーム「アサシンクリード オリジン」の舞台にテンション爆上がり
ソルトレイクと呼ばれる塩湖があり、死海のように体が浮いちゃうんですw
フレーバーシーシャ発祥の地へ
そして喫煙大国らしく、フレーバーシーシャの起源がこのエジプトなんですって。
日本でもここ数年フレーバーシーシャを楽しめるカフェが増えていますが、その発祥の地ともいえるのです。
もともとエジプトのシーシャはオスマントルコ時代(17世紀頃)に輸入された文化です。
もともとエジプト人は葉タバコをたしなむ愛煙文化でしたが、暑気のなかで熱い煙を吸うのは大変な面も。当時のエジプト人たちはクールスモーキングができるトルコのシーシャに憧れていました。そこでトルコ由来のシーシャに果物のジャムや蜂蜜、地元の葉タバコを混ぜて練ってみたところ水タバコとして美味しく吸えることがわかり、この吸い方が中東からインド・トルコへと爆発的に広がっていったそうです。これが現在のフレーバーシーシャの元祖というわけ。
そこでカイロのシーシャ専門店街、通称「シーシャストリート」へ。
どこもかしこもシーシャ!
シーシャストリート
シーシャの専門店だらけの中、私はシーシャの販売店へ買い付けに。(旅する魔女は観光だけじゃなくお仕事もするのですw)
訪れたお店はハーンハリーリのシーシャストリートから近く、モスクの多い落ち着いた通り、老舗の風格を漂わせています。
客引きを全くせず、ラマダンの午後を店内でゆっくりと椅子で過ごす姿が好印象(だってエジプトって客引きすごいんだもの…)だったのでシーシャに関する全ての物が揃うこのお店に決めました!
シーシャの販売店のオーナーとガイドの皆さん
左側の女性が今回、私の仕入れの仕事を手伝ってくれたSoraya(ソライヤ)さん。現地で障害のある子供達の為のサポートをされています。
ソライヤさんの隣がカイロでお世話になったムハンマドさん、カイロ大学卒、日本語も話せるガチムチナイスガイ(エリート!)
右端がオーナーさんです。
もらったショップカード
Googleマップにすら登録してないw
エジプトのシーシャ葉
エジプト人がこよなく愛するシーシャを「実喫」
私はタバコ大好きなのですが、実はシーシャは吸ったことがなかったんです。
そこで、フレーバーシーシャ発祥の土地エジプトで初のシーシャを体験したいと思いました。
シーシャというとタバコ葉を水にさらしてニコチンを抜いて、香料とグリセリンで味やフレーバーを添加しているものがメインです。
ガラムユーザーの私としてはフレーバーも楽しみたいので、スパイスシーシャとして有名なパンラズナを加えたりしたいところ。
で
す
が
!
今回はあえてフレーバーではなく、ガチのエジプトのローカルリーフを吸いたい!
実はシーシャにはダークリーフと呼ばれるキックの強い種類があるらしいのです。
このダークリーフはタバコ葉を水に晒してニコチンを抜く工程がなく、しっかりとしたタバコ感を味わえるシーシャとのこと。
美味しい味付きの煙を楽しむのも良いけれど、喫煙者としてはニコチンがほとんど抜けちゃうのでちょっと物足りない🤔
ダークリーフなら愛煙家も満足出来るという訳ですね!(ほんとかよ?)
そんなダークリーフのシーシャを楽しめるエジプトのシーシャのお店に行って来ましたよ!
『エジプトのローカルシーシャが吸いたい、ニコチンゴリゴリのフレーバーついてないやつ!』
そんなオーダーをエジプトアラビア語の出来ない私をサポートしてくれる現地人ムハンマドさんが説明してくれますw
ありがとうムハンマドさん。
今回来たお店はルクソールのコーヒーショップ
TEL:0114 258 5557
https://goo.gl/maps/uR8e6hvdkanyTKZP9
名前の読み方全然分かりませんwww
コロナの大恐慌前はエジプトも街中、いたる所で吸えるシーシャはエジプト通貨で20EGP(日本円で132円くらい)。
130円で40分ほど吸えちゃうという…安っww
生のミントが入ったシャイ(紅茶)ティナーナーを頂きつつシーシャを待ちます。
シーシャのオリジンとも言われる「ザクロール」と呼ばれるタバコ葉を頼みました。
このフレーバー無しのシーシャ用タバコ葉をご覧下さい。
うわっ、めっちゃタバコのニオイ!
シーシャの葉なのでシャグみたいに乾燥してない!ベタベタしてる…。そのリーフを直で炭にどーん!
高火力のシーシャをローカルのエジプトおじいちゃんたちはゴリゴリ吸って大量の煙を吐き出しております。
最高にイケてるわ。
いよいよ実喫です!
…これは…
ヘヴィースモーカーの私にはちょっと軽い気もするけど、これはめちゃくちゃタバコ葉本来の味がしていい…しっかりとしたタバコ葉本来の味。
何か初めてタバコ吸った時みたいな、あの懐かしい感じ…
と、調子こいてゴボゴボしてたらムハンマドさんに
「肺に入れたらヘヴィやから喉焼けんでw煙は口の中に溜めて吹かすやでー」
って言われましたw
大丈夫やろ、私いつもガラム吸ってるから…
と、油断していたらめちゃくちゃクラッとwww
嘘やん…てくらい
エジプト、ザクロール恐るべし…でも好き♥
エジプト煙草あれこれ
そしてこちらはエジプシャンが愛するメイド・イン・エジプトタバコ
その名も
『✨クレオパトラ✨』
こちら👇はロングのお高い方のクレオパトラSuperです。
ニコチンもタールも不明w
クレオパトラ、3種類くらいあるみたいですが私が出会ったエジプシャンはみんな1番安い「GOLD」を愛用。
香味はセブンスターやKENTみたいな感じ。キックはかなり強いです!
GOLDのほうが重め、Superはちょっと上品な香りがします。
それだけじゃありませんよ…。
エジプト人が自ら手巻きしてくれたメーカー不明のローカルタバコすらも吸いました!
シーワの案内人・アリさん
このタバコをくれたのはシーワオアシスに同行してくれたドライバーのおっさん、アリ。
アリはラマダン中で自分は吸えない時間帯なのに、私にタバコを巻いてくれたんですよ…シュクラン!(エジプトアラビア語で「ありがとう」)
ご覧下さい、この完璧なコニカル巻きをw
恐れ知らずの「実喫」!
…………ん?
…何か干し草みたいな味…?
タバコなんやけど…あれ?
いや大丈夫です!安心して下さいタバコです!
日本ではメーカー不明のタバコなんか喫う機会ないですからね。貴重な経験になりました。こんな濃密な出会いがあるのもバックパッカーの醍醐味です。
このローカルタバコ葉、ペットボトルの小さいやつに詰めたやつを持って帰ります笑
だ、大丈夫なのか…?
忘れられた神々を訪ねる旅
イシスに導かれ、エジプト人の商魂逞しい洗礼を受け、言語の壁に何度も打ちのめされながら、人種の坩堝に我が身を投じた14日間となりました。
エジプトのまつろわぬ神々は、今この国に住む人々の中にもう居ないのかも知れません。
遺跡となった神殿。風化を続けるレリーフ。
ローマ時代のキリスト教徒達に削り取られたヒエログリフ。
カラブシャ神殿
そんな時代の中でもイシス神だけはイスラム教国になったあとの6世紀ごろまで、異教の神としてエジプトで崇拝され続けました。
湖に沈むフィラエ神殿
ヌビア人の船頭のヘィサムがフィラエに船を出してくれたのもイシスの導きなのでしょう。
私達魔女はいつも、その地のいにしえの神々にその地に足をつけた最初の日に祈りを捧げ、旅の安全と加護を願い祈りを捧げます。
イスラム教のアザーンの祈りの響くカイロの街。
煌びやかなライトとヨーロッパを思わせる建築物が並ぶ一方で、昔ながらの古い家屋が並び、モスクと教会が並立する中で。
スーク(市場)で今も昔と変わらぬ売り方で商売をする人々と、オーダーメイドの立派なスーツを着たビジネスマンや私のようなバックパッカーが入り交じり、歩けばストリートチルドレンやホームレスや身体欠損者がバクシーシを乞う日常。
ターメイヤ(そら豆のコロッケ)1つ30円
現地の人と相乗りでの移動も多かった
繁栄と衰退、発展と貧困の入り交じる喧騒。
カイロ中心部からほんの少し離れれば、倒壊寸前の廃墟にも見える崩れかけた建物に沢山の人々が住む首都。
ルクソールのホテルからの眺め
ピラミッドと砂漠と、あちこちに積み重なるゴミの山。
ラマダンの夜を飾るランプ。
良い人、悪い人、親切な人、優しい人、詐欺師、ぼったくり、無関心な人、この旅で私が出会った人々。
人種の入り交じる、今はイスラム教の国となったこのエジプトで、夕暮れの中、静かに佇むアセト(イシス)は何を思うのか。
デンデラ神殿の天井画
見上げたピラミッド、ジリジリと肌を焦がすように降り注ぐ太陽を表すセクメトのまるで怒りにも似た暑さを肌に刻まれて旅は終わります。
次の旅の準備の為、日本に帰国です。
ルクソールの夕焼け
【魔女シャグ特別編:イシスが導く魔法の旅】
エジプトシーシャ ザクロール
【スモーキー】 ★★★★
【キック】★★★★
エジプトタバコ クレオパトラGOLD
【スモーキー】 ★★★
【キック】★★
エジプト シーワオアシスのローカル手巻きタバコ
【スモーキー】 ★★
【キック】★★★