今月の「魔女シャグ」は?
一般的な紙巻きたばこよりコスパがいいだけでなく、シャグ・巻紙・フィルター、さらにスパイス・ハーブ・オイルなどをプラスして自分だけのオリジナルブレンドを作れる「手巻きタバコ=シャグ」。その奥深い魅力を「おまじない」と「調合」のエキスパートである魔女さんのブレンドで探究する「シャグ・カクテル」連載です。
案内役は”現代魔女”の弥富マハさん。
弥冨Maha
現代魔女術実践家
生きものから食べものへ 育み刈り取り繋ぐ者として「食」を通して母なる大地との循環を伝える者。
大阪道頓堀の川沿いにある隠れ家Restaurant&BAR 魔女の厨房CAULDRONのオーナー兼シェフ
辺境国を旅する事と異国の飯と煙草が好きな人。
中世、「魔女狩り」によって絶えたかに思われた「魔女=WITCH」の力強い精神を現代に受け継ぐ人々。その活動は占いや儀式といったスピリチュアルな営みだけでなく、エコロジーなどの社会的発信、チャリティ活動、ファッション・料理まで多岐にわたる。なお、「WITCH」に性別は関係ない。
10月、今回の魔女シャグは、日本ではいちばん有名な「儀式=サバト」…そう、カボチャとお菓子と渋谷スクランブル交差点のコスプレ大発生の…アレの回です。
もはや原型をとどめないまでにPOPになったハロウィン!!ですが、 魔女さんは毎年どう過ごしている?
「儀式」+「手巻きタバコのオリジナルブレンド」で一服しましょう。
では、今月も魔女が調合した秘密のシャグ・カクテルをどうぞ。
実はこのシャグ・カクテルのこの記事を書き始めて1年が経とうとしています。
今回の記事を書いたら魔女の暦的には残すところ、ユールのサバトで1年のサバトをぐるっと一回りするのでサバトに纏わるお話は今年で終わり。
”Samhainn”ってなに?
ドイツ、スカンジナビア、スペイン、イタリア及び多くの文化圏で現代でも盛んに祝われる「ハロウィン」。日本でもすっかりおなじみですね。
このイベントは、アイルランドを起源とするケルト民族の祭りであるサムハイン(ソーウィン)に由来します。
スコットランド・ゲール語ではSamhuinn、 Samhainn とされ、「サウィン祭」、「サウェン」、「サマイン」、「サムハイン」とも呼ばれる、夏の終わりを意味する祭りです。
■サムハインの祭壇
多くの文化には、伝統的にハロウィンの形があります。
その祭典は国や場所によって異なり曜日や慣習が異なりますが、共通点は、それらすべてが故人や祖先の霊や悪しき霊・善き霊や精霊達を敬い信じている事です。
11月1日の前後3日間祝われるサムハインは、めっちゃ盛り上がるケルト人の祭典です。死者の日であると同時に1年の最後の収穫祭というわけ。
(編集部注:ケルト人の一年の終わりは10月31日)
ケルト人たちは、古い年から新しい年への移りかわるための 3 日間が特別な時間であると信じていました。
ハロウィンといえは「トリック・オア・トリート」。ハロウィーンの活動で最も認知されている単なる恐喝の一種ですが、子供たちは知っているかどうかにかかわらず、お菓子をくれない人にいたずらをしたり、呪いをかけたりする精霊としての役割を担っています。
夏の終わりと冬の始まりであるこの祭りは、10月31日の日没に始まります。伝統に倣い火を焚き、ご馳走を用意して故人の霊を迎える準備をすると同時に、精霊達にいたずらされないよう外にお裾分けを忘れずに!
ですが、どうしてケルト文化とは異なるキリスト教の国でも、大きなイベントになっているのでしょうか? ちょっと不思議ですよね。
ここには興味深い話があります。かつてローマ・カトリックがケルト民族の異教徒を「改宗」させた際、司祭たちは11月2日の「諸聖人の日(万霊節)」に祈るよう半ば強制したのですが、教会に出席して聖人のために祈るよりもはるかに楽しかったので、ケルト人はサムハインを祝い続けたそうです。彼らにとって失くす事のできない信仰だったのでしょう。
そこで西暦835年、教皇グレゴリオス4世が諸聖人の日をサムハインに合わせて移動させたのだとか。そこでハロウィンがキリスト教圏でこの祭典は現代でも祝われ続けているんですよ。
いざ”魔女式”ハロウィン✡
この日にふさわしい食べ物はジャガイモ、ビーツ、蕪、人参などの根菜と穀類、ナッツ類、グリューワイン、リンゴ酒。
ジャック・オー・ランタンでお馴染みのカボチャもよく供されます。
■「魔女占い」の占い師・マグまぐさんも参加
祭壇には果実や木の実、穀物の穂などをお供えして1年の収穫を祝い、また死者の為に、屋外にそれらを置きます。
火を焚き拝し、祈りを捧げる。
魔女にとってのサムハインは、自分の為の祈りだけでなく、大切な人の為に祈る儀式の日です。
アイルランドではカボチャではなく、蕪をくり抜いてジャック・オー・ランタンを作ります(蕪のジャック・オー・ランタンって何だか不気味なのよね…)
沢山の供物を備えて祝うサムヘイン、私は毎年恒例の羊の頭を調理して命への感謝をしています。
モンゴル、モロッコをはじめイランなどの中近東やアイスランドなど諸国で食べられている羊の頭、日本ではなかなかお目にかかれません。
私のレストラン・CAULDRONでも要予約のメニューとして提供していますが、人気で売り切れもしばしば。
山葡萄をスピリッツに漬けたりもしています。
今年は色々漬けてたから来年が楽しみ❤
今回はアイルランドでこのソーウィンに食べられている「バーンブラック」と呼ばれるパンを用意しましたよ。
バーンという言葉は、古代英語のベオルマを由来とし、イーストのようにパン種を発酵させる働きのあるお酒の名前から来ています。
ブラックはアイルランド語のブラック(brac)で、「小さな斑点のある」という意味。ドライフルーツと、砂糖の果物の皮が斑点のように見えるからだそうですよ。
バーンブラックには特別な楽しみも。中に指輪や硬貨、布の端切れなどが仕込まれていて、切り分けたときに、それを手にした人の運勢を占うのです。
とはいえ実物を食べ物に入れるのは衛生的によろしくない(笑)。パーティーなどにバーンブラックを持っていくときは、紙やクッキングシートなどにイラストを書いて仕込むといいでしょう。
この特別な食べ物「バーンブラック」。今回のシャグは自家製バーンブラックのドライフルーツ&ラム酒&スパイスの風味に近い味わいになるタバコの調合をしてみましょう!
手巻きタバコは供物としての役割もありますからね。
魔女シャグ調合スタート
CHOICE ダブルチェリー
PAPILLON クローブ
今回はブレンドにシャグを3つ使っています。
ここにスパイスを追加したらラム酒を加湿と風味付けに加えましょう。
スパイスは、カルダモンとオールスパイス、アニスシードを少々。
こちらをグラインダーで挽きます。細かく挽いたら、シャグにブレンドし、ローラーは使わず手巻きに!
最近はお気に入りのペーパーを見つけたためローラーばかりでしたが、めちゃくちゃ久しぶりにコニカル巻きにしてみました。
うーん、まあまあ(笑)。
シャグ・カクテルの香味は?
火を点けて吸い込むと…
吸い始めには舌に来るピリッと、後に続く甘さは仄かに感じる程度に。
甘さ控えめなスパイシーさと、ダブルチェリーがいい感じの華を添えてくれます。
夜空に昇る煙は高く、高く。
死者の魂の中にも愛煙家が居るんだろうな…。などと思いながら、揺らめく炎を見つめ祈りを捧げた後は、この日に来ていた友達と供物を分け合って宴を開くのが私のサムヘインです。
Samhainn
【スモーキー】 ☆☆★★
【スパイシー】 ☆★★★
【甘さ】☆☆☆★
【レシピ】
シャグ=CHOICE ダブルバニラ
=CHOICE ダブルチェリー
=PAPILLON クローブ
スパイス=カルダモン
=オールスパイス
=アニスシード
ペーパー=チャッカーズ ハイクオリティヘンプペーパー
フィルター=チャッカーズ ハイクオリティヘンプペーパーの付属ローチ