一般的に、加熱式タバコの臭いは紙巻きタバコより少ないといわれています。
これが本当なら、タバコの臭いに悩みがちな愛煙家にとっては喜ばしい話です。実際のところ、有意なレベルで臭いは少ないのでしょうか。
また、加熱式タバコでも製品によって差はあるのでしょうか。ここでは、加熱式タバコの臭いに関する知識をご紹介します。
加熱式タバコ特有の臭いの正体とは
加熱式タバコは紙巻きタバコよりも臭いが少ないと聞いて、加熱式タバコへの乗り換えを検討している方は多いのではないでしょうか?
確かに、一般的には加熱式タバコのほうが紙巻きタバコより臭いが少ないとされています。そして、加熱式タバコを始めた理由として「紙巻きタバコよりも臭いが気にならないから」と答える人が多いのも事実です。
そこで今回は、加熱式タバコ主要3ブランドの臭いを比較するとともに、加熱式タバコをより臭わせない方法や対策についても解説します。
加熱式タバコの臭いはブランドごとに違いがあるのかどうかが気になっている方、ブランドごとの臭いの特徴を知りたい方などは、ぜひ参考にしてください。
IQOS・グロー・プルーム!大手3ブランドの臭いを比較!
加熱式タバコは紙巻きタバコとは異なり、タバコの葉そのものを燃やした煙が出ているわけではありません。そのため、臭いがあるとしても、紙巻きタバコのような刺激的な臭いとは違うタイプの臭いがします。
加熱式タバコは加熱温度200℃以上で使用する「高温加熱タイプ」と、30℃~40℃以下の「低温加熱タイプ」に分かれ、ブランドやモデルごとに加熱温度が異なります。
実は加熱式タバコの加熱温度と臭いには相関関係があり、加熱温度が高ければ高いほどキックが強くなり、独特の臭いが増すのが一般的です。
ただし、各製造会社は加熱方法や高温にならないように構造設計するなどして、臭いをなるべく抑えるようにしています。
臭いを抑えたいなら、加熱温度に注目してブランドやモデルを選んでもいいでしょう。
IQOS(アイコス)の臭い
IQOSはフィリップモリスが販売している、加熱式タバコのトップシェアブランドです。
高温加熱式の中で最も高温の300〜350℃程度で加熱することが特徴で、それゆえに「IQOS臭」と呼ばれる酸味のある独特の臭いがします。他に、焼き芋や焦げたポップコーンのような臭いがすると感じる人もいますが、これも高温加熱の影響によるものです。 最高加熱温度350℃程度とシリーズの中で最も高温なのが「IQOS3デュオ」「IQOS3マルチ」です。
差したタバコスティックを内側から直接加熱する方式が、この高温を実現しています。
紙巻きタバコに慣れた方にも支持されるキックがとても魅力です。一方で、臭いが一番強い点も特徴と言えます。
IQOS イルマシリーズ
出典:IQOS公式サイト
IQOS最上位モデルの「イルマ」「イルマプライム」「イルマワン」は、IQOSがリリースされて以来初となる「加熱ブレード」のない構造を特徴とします。
加熱ブレードなしで高温加熱ができる理由は、専用のタバコスティックの内部に金属片がセットされており、内側から直接タバコを加熱できるからです。 この画期的な加熱方法「スマート・コア・インダクション・システム」により、イルマシリーズはいずれも高い加熱温度で喫煙できます。
加熱温度は公開されておらず、推定で300℃以上とされています。効率的に高温加熱することで満足度の高い喫味を実現しており、火も煙も出ないためイルマシリーズは臭いがあまり気になりません。臭いを感じるとしても、焦がしたポップコーンのようと表現されることが多く、不快な臭いではないようです。
IQOS 3シリーズ
出典:IQOS公式サイト
数あるIQOSのモデルの中で、最も高温なのが「IQOS3デュオ」「IQOS3マルチ」です。これらは「イルマシリーズ」より古いモデルですが、内側から直接タバコスティックを加熱できるという点ではイルマシリーズと似た構造を持ちます。
そして、臭いが一番強い点も特徴です。 デュオシリーズの加熱構造は、さしたタバコスティックを内側から直接加熱するもので、最高加熱温度は350℃程度まで上昇します。
これらのモデルはカラーバリエーションも豊富で見た目もスリムでおしゃれです。
また、長年紙巻きタバコを愛用してきた愛煙家にも指示される独特の臭いも魅力です。
glo(グロー)の臭い
グローはBAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)が販売しているブランドです。
IQOSと同じく高温加熱式ですが、その温度はやや低い240〜280℃程度になっています。高温ですので、紙の焦げた臭いやポップコーンのような臭いがする点ではIQOSと同じです。しかし、臭いはIQOSと比較すると抑えめで、ほうじ茶に例えられることもあります。
グローの加熱構造はIQOSの最上位クラスの高温加熱モデルとは異なり、タバコスティックを本体の穴にさし、周囲から熱が伝わるのが特徴です。300℃以上に達するブランドやモデルは、タバコスティックの内側から直接加熱するという共通点があります。グローでも、高温タイプはやや臭いがきつめですが、IQOSと比較すると臭いは比較的軽いと感じる人が多いでしょう。
グロープロ
出典:glo公式
グロープロは、最短10秒という加熱時間を実現したモデルです。本格的な喫味を楽しめつつ、マイルドな紙巻きタバコを愛用していた方からの乗り換えが多く、吸いやすい点が魅力と言えます。
加熱温度は240℃ですので、高温加熱タイプでは低いレベルですが、「ブーストモード」に切り替えると280℃まで上昇して喫味が増すのが特徴です。
そのため、ブーストモードで使用すると、臭いもやや強くなります。
グローハイパー
出典:glo公式
グロープロよりも軽やかな吸い心地を特徴とするのがグローハイパーです。グローハイパーは90分の充電で約20回吸える点や、グロープロ同様のスピーディーな加熱が魅力です。
また、専用の細めのスティックを使用しているためか、吸い心地が軽い分吸い応えも弱めと言えます。加熱温度は「ブーストモード」で260℃、通常モードなら250℃とグロープロよりも低く、臭いもやや弱めです。
プルームの臭い
プルームはJTが販売しているブランドです。シリーズの代表格であるプルーム・テックは加熱温度が30℃と、現時点であらゆる加熱式タバコの中で最も低い温度となっています。
喫味は非常に軽く、臭いも大幅に抑えられているため、ほぼ無臭と感じる人もいます。
加熱温度を40℃に高めたプルーム・テック・プラスや、高温加熱式のプルーム・エックスなども発売されており、選択肢が豊富です。 臭いに関するプルームの最大の特徴は、モデルごとに臭いが大きく異なる点です。モデルによっては、加熱式タバコというよりも電子タバコと同じ仕組みで喫煙するものもあります。
また、新規モデルから他ブランドに匹敵するほどの高温を実現しているモデルもあり、モデルごとに喫味も臭いも全く違うのです。詳しく見ていきましょう。
プルームテックプラス
出典:CLUBJT
プルームテックプラスは、カートリッジの中のグリセリン類を加熱すると、発生した蒸気が刻んだタバコの葉の入ったタバコカプセルを通過し、蒸気がニコチンを含んでいく独特の構造を持ちます。
この構造は、タバコカプセルを通過させる特徴以外は、電子タバコと共通するものです。 プルームテックプラスの加熱温度は、プルーム・テックよりも10℃高い40℃です。
吸い応えが弱いため、紙巻きタバコでライトを愛用していた方でも、場合によっては物足りないと感じるかもしれません。吸い応えだけでなく、臭いもかなりライトです。臭ったとしても「臭いを感じる人もまれにいる」という程度と言えそうです。
プルームX(エックス)
出典:CLUBJT
プルームXはプルームの高温加熱式モデル「プルームエス」の改良モデルとも言えます。
プルームエスは加熱温度が高温加熱式では最も低いレベルの200℃でした。その後、吸い応えの弱さが課題として指摘されていたことを受け、プルームXの加熱温度は295℃まで引き上げられました。
スティックの中心部を直接加熱する他ブランドのような方式を採用するとともに、スティックの内部で発生する温度の高い気流をうまく利用した「ヒートフロー」という新たな加熱技術も採用されています。これらの点が改良されたことで、従来モデル以上の本格的な吸い応えを実現しました。
一方で、いわゆる「加熱式タバコ臭」はグンと高まっています。プルームの改良モデル、プルームXはかなり臭いが強いですが、喫味が強いことも確かです。
加熱式タバコの臭いを抑えるための対策
ここまで見てきたように、加熱式タバコの臭いは紙巻きタバコに比べて抑えられているものの、決して無臭ではありません。 さらに臭いを抑えたい時は、もう少し工夫する必要があります。
誰でもできる対策をご紹介しますので、気になる方は試してみてください。
加熱する温度の低いものを選ぶ
高温加熱式より低温加熱式、高温加熱式の中ではIQOSよりグローというように、温度の低いものを選べば臭いは減らせます。
ただ、同時に喫味も減ってしまうので、バランスを考えて選びましょう。
好ましい臭いのものを選ぶ
どの程度の臭いを不快に感じるのかは人それぞれです。IQOSの臭いでも平気という人もいれば、グローの臭いでも我慢ならないという人もいますし、それこそ紙巻きの臭いの方が好きという人もいるでしょう。 「加熱式タバコ」でひとくくりにせず、周囲の人の意見も聞きながら、より好ましい臭いのものを探してみてはいかがでしょうか。
吸い終わったらスティックをすぐに抜く
加熱式タバコを吸い終わって電源が切れたとしても、しばらくは余熱で蒸気が発生し続けています。これは余計の臭いを発生させる原因になるので、吸い終わったらすぐにスティックを引き抜きましょう。
なお、引き抜く際はそれなりの蒸気が出るため、窓の近くなどで行うのがおすすめです。
吸い終わったスティックは部屋の外に出す
加熱式タバコのスティックは、使用した後も臭いを放ち続けているため、部屋のゴミ箱などに捨てるとそこから臭いが漂ってきます。
スティックの熱が冷めたら、密閉された容器に入れておくか、屋外のゴミ箱などに出してしまいましょう。
換気や歯磨きをしっかりと行う
こまめな換気は、部屋に漂うタバコの臭いをなくすための最も基本的な対策です。 また、手についた臭いは手洗いで落とせますし、口臭は歯磨きによって防ぐことができます。
こういった基本的な対策を毎日続けることが、ある意味では1番重要です。
まとめ
タバコの臭いを抑えたい場合に、加熱式タバコが有力な選択肢になるのは間違いありません。
しかし、加熱式タバコにしたからといって、臭いをゼロにできないのも確かです。
喫味と臭いのバランスの取れた理想的な銘柄を探すとともに、基本的な臭い対策をしっかりと行って、加熱式タバコをじっくり楽しみましょう。