ハートを鍛える会話のレスリング! WWEで学ぶ英会話 その1 「身の程を知れ そして黙れ!」「貴様の名前など関係なし!」

三度の飯よりプロレスリング、寝食惜しんでプロレスリング、口を開けばプロレスリング。プロレスと関係ない記事でも勢い余ってプロレストークしがち、プロレス愛好家ライターのしゃれこうべ村田です!

中学1年生のころはアルファベットの書き取りテストですらアレな成績だったのが、2002年ごろに世界最大規模のプロレス団体であるWWEと出会ってからはプロレスを通して英語漬け。いつの間にやら英語が一番好きで得意な科目になっていました。

グローバル化が叫ばれる世の中、というフレーズも使い古された感のある昨今ですが、いざ英語の勉強をしようとなると途端に腰が重くなるのも事実……。

しかし勉強が面倒なら、勉強じゃない方法で学べばいいじゃない! 自分が楽しいと思えるもので英語に触れていけば、英語に触れる機会が勝手に増えて自然と英語力がアップするというもの!

本記事ではそんな発想からWWEに登場するフレーズから日常で使える(かどうかは個々人のご判断にお任せする)ものをピックアップして紹介していきます。

秩序のない現代に心は荒み、ドロップキックをかましたくてもかませないこの世の中。ここで紹介するフレーズを使えば、マッチョなアナタも細身なアナタもハートはボディロッキンで激ヤバ、日々の生活もストレスフリーになること間違いなし……!?

◆WWEとは

と、フレーズの紹介に入る前に、まずはWWEって何やねんという方に向けて簡単にご紹介しましょう。

WWE、略さずに表記すればWorld Wrestling Entertainment(以前はWWFという団体名でしたが、このお話はまた今度)は、その名の通りプロレスリングのエンターテインメントを世界にお届けしている団体です。

世界中のトップレスラーが集まる世界最大規模のプロレス団体であり、日本からも中邑真輔やAsuka(明日華)、紫雷イオが活躍、最近では里村明衣子やSareee(サリー)改めSARRAY(サレイ)、黒潮”イケメン”二郎なども続々と参戦しています。

▲中邑真輔(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Two-time NXT Champion Shinsuke Nakamura debuts on SmackDown LIVE: SmackDown LIVE, April 4, 2017”より © 2017 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

▲Asuka(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“FULL MATCH – Asuka vs. Alexa Bliss: Raw, March 19, 2018”より © 2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

▲手前が紫雷イオ(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Io Shirai enters to Poppy’s “Scary Mask”: WWE NXT, Oct. 30, 2019”より © 2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

もちろんプロレスが大きな軸にはなっているものの、エンターテインメントの名を冠している通りエンタメ性に富んだ展開も魅力であり、三角関係がもつれてのタッグ解散といった昼ドラ展開から雷や炎を操る特撮ばりの怪人が登場するなど、色々な意味で振り切ったショーになっています。

プロレスはよく知らないし……、という人もアクションが激しいドラマとして見れば楽しめる、はずです!

そんなWWEのマイクパフォーマンスからフレーズを拝借してお届けするわけですが、初回に扱うとなれば、知名度的にもまずはこの人でしょう!

WWEが生んだ世界的メガスターにして、いまや超ビッグなハリウッドスター! ロック様です!

◆ドウェイン・“ザ・ロック”・ジョンソン

ザ・ロック、通称ロック様ことドウェイン・ジョンソン。

WWEでは“全娯楽界で最もシビれる男(The Most Electrifying man in All of Entertainment)”、“皆の王者(The People’s Champion)”などなどの異名とともに活躍し、『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』におけるスコーピオン・キングに始まり『ワイルド・スピード』シリーズなどの映画作品にも出演、『モアナと伝説の海』では声優としても出演したスター中のスターです。

プロレスは知らないけど映画で見たことがある、という人は多いことでしょう。映画でもノンストップな喋りを披露してくれるロック様ですが、WWEのスーパースター時代(WWEではレスラーのことをスーパースターと呼びます)も、そのマイクはキレッキレ!

▲ザ・ロック(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho’s WWE Debut”より © 2013 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

今回取り上げるのは、1995年にデビューしたロック様がカリスマ性を爆発させ、すでにトップスターとして君臨していた1999年9月の場面です。

ロック様が番組冒頭で攻撃してきた相手に向けてマイクアピールをしていると、突如会場が真っ暗になり、スクリーンには謎のカウントダウンが。そしてカウントがゼロになって登場したのが、WWE(当時WWF)のライバル団体であったWCWから電撃移籍したクリス・ジェリコ!

▲クリス・ジェリコ(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho’s WWE Debut”より © 2013 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

当時話題になっていた2000年問題(Y2K問題)になぞらえ、「Y2J問題の襲来だ!」と豪語するジェリコはWWEのスーパースターたちを2流だとこき下ろし、それを応援するファンどもがかわいそうだ、この俺がお前たちを救ってやるぜと言いたい放題!

じつに4分半に渡ってディスりまくったジェリコ。その発言が収まったところでロック様が口を開くわけですが、その発言はまさに名言祭り! 今回はこの場面からフレーズをご紹介です(前置きが長い)。

ロック様のマイクが始まるのは7:00以降なので、フレーズを見ながらマイクを聞きたい人はそこまでスキップするのもアリですが、ジェリコの喋りも秀逸なのでぜひ聞いていただきたいところ!(余談ですが、デビューからトップスターとの絡みという破格の扱いに思わず顔が緩んでしまうジェリコにも注目!)

【今回の使用動画】Chris Jericho’s WWE Debut

◆フレーズ1:Know your role and shut your mouth!(身の程を知れ そして黙れ!)

▲こちらのフレーズが飛び出すのは7:05~7:15ごろ(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho’s WWE Debut”より © 2013 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

4分半とかなりの長尺で喋ったジェリコに対し、マイクを静かに持ち上げたロック様。その口から飛び出した第一声がこちら!

“After 3 boring minutes, The Rock says… Know your role and shut your mouth!”

「3分間ものツマらん話を聞いて、ロック様曰く……身の程を知れ そして黙れ!」

長々と悪口を言い連ねた相手にこのひと言! 見事なカウンターが決まっています。

話が長い相手はビシッと一発で黙らせるというこのテクニック(?)は英会話だけでなく日本語での会話にも活かせることでしょう!

また、単純に黙れと言うだけでは相手の口車に乗ったようになってしまいますが、“Know your role(身の程を知れ)”というひと言を加えることによって自分が格上である事実を叩きつけ、相手をひるませてから黙らせることで余裕もアピールできる見事なフレーズです。

英文ポイント 命令文
動詞であるKnowから始めることで「~せよ」という命令文になっている、というのは基本的な文法ですが忘れずに押さえておきたいところですね!

さてこのフレーズ、やはり役に立つのは無駄に話が長い相手を切り捨てたい場面でしょう。最近はご時世的にあまりありませんが、飲み会などで一方的にベラベラと喋る相手っていますよね……やっちゃいましょう! 日本語では言い出しにくいあなたも、英語でなら強めのハートで言えるはず!

※時と場合と相手を選んで使いましょう

使用例:飲み会などの自慢話に

NG例:仕事場で反抗的な部下に

本来こんな使い方はしちゃいけませんが、長くなりそうな話の芽を摘むことに使えそうです。ガタガタうるさい部下に対して、ここは思い切って大声で浴びせかけてやりましょう!

もし言われてしまった場合には、「あ、これWWEで出たやつだ!」と思って衝撃を和らげつつ、労基に相談しましょう! ボイスレコーダーを仕込んでからもう一度言わせるとベター!

◆フレーズ2:It doesn’t matter what your name is!(貴様の名前など関係なし!)

▲こちらのフレーズが飛び出すのは7:31~7:38ごろ(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho’s WWE Debut”より © 2013 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

フレーズ1で黙らせた後、「ロック様のショーに出てきて自己紹介もしないとは礼儀のなっていないチンピラだ」と続けるロック様(ちなみにジェリコは4分半のマイクで散々自分のアピールをしています)。

そして畳みかける煽りがこちら!

“What is your name?”「貴様の名前は何だ?」

“I told you…”「言っただろう俺は――」

“It doesn’t matter what your name is!”「(食い気味に)貴様の名前など関係なし!」

自分で聞いておいてからの、関係なし!

わざわざ相手に喋らせておいて潰す、というパーフェクトディスコミュニケーション炸裂なこのフレーズ、どうですか!

(余談ですが、相互不理解の意味で使われるディスコミュニケーションは和製英語です。ここではディスリスペクト的な意味もかかっていますね!)

このフレーズは後半を“what you say”、“what you think”などに変えることで「貴様の言うことなど」、「貴様の考えなど」と変えられるあたりも汎用性が高く、フレーズとしての使いやすさもなかなかのもの。これは使える!

英文ポイント 間接疑問文
文法的には、こちらで使われているのは間接疑問文と呼ばれるものです。

直接疑問文、いわゆる「~ですか?」などの文章なら“What is your name?”、“Do you ~?”のように動詞などの語順を入れ換えて疑問文にします。

関節疑問文はその「名前が何か」、「(何を)~するか」などの内容を目的語(今回なら何が関係ないのかという部分)にする場合に用いる文法で、この場合は語順が疑問文の並びではなく、いわゆる肯定文の並びになります。

“It doesn’t matter what your name is!

の後半が“what is your name”ではなく“what your name is”になっているのがまさにその部分ですね! 地味に大事!

このフレーズは使い勝手がよく煽り力も高いので、幅広い場面で使えることでしょう。たとえば新学期や新年度など、初手からゴリゴリ来る人に滅入っちゃうこともありますよね。そんなときに使えば、その場を切り抜けつつ周りにも一目置かれるはず!

※時と場合と相手を選んで使いましょう

使用例:初対面からウザい相手に

NG例:部下に考えを求めたときに

応用パターンです。言い方のハードさは違えど、こういうのって現実に蔓延してるというか、言われたことあるような気がしますよね!

◆今回はここまで……にしたいところですが!

と、こんな感じでイカしたフレーズを紹介していくわけです、が……。

一度に紹介するフレーズを絞ってくれ、ということで手前上記ふたつに絞ったのですが、ロック様と言ったら絶対に忘れてはいけない名言があるじゃないかと! そのように数百万の(そして数百万の!)ロック様ファン(※)もおっしゃっていると思いますので!

※ロック様が自分のファンに触れる際に「数百万の……」と言うと会場のファンが後追いで「そして数百万の!」と大合唱する現象を模した活字表現。伝わりづらいことこの上ない。

今回は特別に(初回から特別も何もって感じしますが)、もう1フレーズご紹介!

◆フレーズ3:If you smell what The Rock is cooking!(ロック様の妙技を堪能するがいい!)

マイクパフォーマンスの締めに、そして後年は入場曲の出だしにも使われるこのフレーズ。まさにロック様の代名詞とも呼べる言葉です!

“If…”は「もし~」という仮定の文を作る言葉で、このフレーズも直訳すれば「もしロック様が料理しているものの匂いがしたならば」という、一見チンプンカンプンなものになります。

「匂いでロック様の料理しているものが分かるなら」→「ロック様に何をされるか分かる」→「ボコられるのを覚悟しておけよ」→「妙技を堪能するがいい」という意味合いなのではないか、と個人的には考えております!

最後の“what The Rock is cooking!”はフレーズ2でも使われている関節疑問文ですね!

ぶっちゃけロック様以外が使うとお前何言ってんだ状態になりますが、相手を散々煽り倒した後に言い放てば気持ちよくなれる! かもしれない!

◆WWE流 英会話術を堪能するがいい!

ということで、今回はロック様のマイクから2+1のフレーズを紹介しました! ロック様が名言量産機すぎてまだまだ触れておきたいフレーズはありますが、それはまたの機会に!

WWEはJ SPORTSで日本語字幕付きの放送や字幕なしのライブ放送が見られるほか、WWEネットワークという動画視聴サービスでも視聴できます。

【WWEネットワークはこちら(リンク先は英語サイト)】

フレーズ3で紹介した「ロック様の妙技を堪能するがいい!」という革命的な翻訳は、J SPORTSで放送されている字幕版で字幕を作成しているルミエール社の手によるもの。こちらの放送ではその他にも秀逸な訳が登場し、英語を楽しむのにも最適です。

一方のWWEネットワークでは日本語字幕は出せないものの、英語字幕であれば表示することができるため、英語の勉強、とくにリスニングの練習にはけっこう便利だったりします。

WWEを見ながらスーパースターのマイクを真似ていれば、いつの間にか英語力がメキメキアップ、心もバキバキに強くなるかも!?

勉強、と身構えてしまうと面倒ですが、英語コンテンツを楽しんでいれば、勉強自体も楽しく思えることでしょう!

次回もWWE流会話術で英語をエンジョイ! WWEを、そして英語を楽しみつつ例文で心のバンプ(受け身)を取り続ければ、アナタのハートもいつしかボディロッキン!

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