原稿料はチケット代に消ゆ、プロレス愛好家ライターのしゃれこうべ村田です!
英語を勉強する皆さん!! 職場で「語学力マウント」取られていませんか?
打ち合わせだろが雑談だろうが、さりげなくしつこく英語力を自慢し、マウントをとってくる同僚・上司・部下、取引先担当者。
しかも、こいつらは帰国子女のような筋金入りのネイティブスピーカーではなく、DM●英会話をかじり始めて3ヶ月、みたいなビギナーが多い。令和に急増中のビジネスモンスターです。怖い怖い!
そこで今回は、ヤツらに対抗する英語フレーズを紹介していきます。 アメリカンプロレス・WWEのマイクパフォーマンスから「語学力マウント」を取ってくる相手を(気持ちで)ブッ飛ばすフレーズをバッチリ学んで、自慢野郎をスマックダウン!(=シバき倒す)してやりましょう。!
◆第3回の講師はクリス・ジェリコ!
第3回の講師は、ロック、スティーブ・オースチンという2大スーパースターを一夜で倒し、初代統一王者に輝いたこともある“世界の王(King of The World)”にして“美獣(Sexy Beast)”!
世界最高のレスラーに挙げる人も少なくない クリス・ジェリコ先生です。
第1回ではWWE(当時WWF)でデビューしロック様とマイク合戦に挑んだ動画を紹介しましたね。
WWEを退団した現在も、アメリカンプロレスで新たなビッグ団体に成長したAEW(All Elite Wrestling)などでバリバリに活躍。親日家でもあり、2020年1月の東京ドームでの棚橋弘至戦も記憶に新しいジェリコ先生から、魂の英会話レスリングを学びましょう。
▲若かりし頃は日本にて邪道、外道といった選手とともに“ライオン道”という凄まじいリングネームで活動したこともあります(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho interrupts The New Day: Raw, January 4, 2016”より © 2016 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。
【教材】Chris Jericho interrupts The New Day: Raw, January 4, 2016
■動画
今回のフレーズが登場するのは、2016年の新年1発目のRAW。毎年恒例のビッグマッチ・ロイヤルランブルを目前に控えた一戦です。
リングではビッグ・E、エグゼイビアー・ウッズ、コフィ・キングストンの3人からなるニュー・デイが「古臭い物は捨てて、ニュー・デイを受け入れようぜ!」と騒ぎ立て、観客から「最低野郎ども!」と罵りを受けます。
▲左からビッグ・E、エグゼイビアー、コフィ。楽しい人気者になることもあれば、ウザさが半端ない悪役にもなります。この当時はウザキャラ全開でした(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho interrupts The New Day: Raw, January 4, 2016”より © 2016 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。
「俺たちからのプレゼントがあるぜ!」とコフィが会場に設置された巨大モニターを指さすと、カウントダウンがスタート。
しかしカウントダウンの数字が「5」になると突然雰囲気が変わり、カウントダウン終了とともにジェリコ先生が登場!
お得意の口撃をニュー・デイに浴びせかけるのです。
▲ニュー・デイ風味満載な絵柄から一変してギラギラのライトが輝くカウントダウンに!(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho interrupts The New Day: Raw, January 4, 2016”より © 2016 WWE, Inc. All Rights Reserved.)
◆フレーズ1:Would you please, shut the hell up!(頼むからその口を閉じやがれ!)
▲フレーズは3:31ごろに登場(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho interrupts The New Day: Raw, January 4, 2016”より © 2016 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。
まず最初のフレーズ。
観客に対し「WWEを救いに来たぜ。トロンボーンを持ったグリーン・デイに5分も付き合わせて悪かったな」と呼びかけたジェリコは、ニュー・デイを「Rooty tooty booty(ルーティ・チューティ・ブーティ:“ケツ振り音楽隊”的な意味合い)」と罵ります。
(“Rooty tooty”はトランペットの音を真似る擬音語から転じて古い(古臭い)音楽を、そしてbootyはお尻を意味し、3人組に対して3単語の表現で罵倒してみせた、という解釈になります)
会場全体から鳴り響く「ケツ振り音楽隊」コール。
▲罵倒フレーズをくり返しささやき、観客を煽るジェリコ。観客による罵声コールもアメリカンプロレスの風物詩です(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho interrupts The New Day: Raw, January 4, 2016”より © 2016 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。
ビッグ・Eが「俺たちはそんなのじゃ……」と声を荒げたところに浴びせかけたのがこのフレーズ!
「頼むからその口を閉じやがれ!」
シンプルな「黙れ」というフレーズに敢えて丁寧な表現を加え、お願いしているのに有無を言わさぬ命令感、このカオスっぷり! 痺れますねぇ。
今や相手を黙らせるシンプルで強力なフレーズとして、ジェリコの名言として定着しています。
【ポイント】 煽りの”Would you please”+強調の”the hell”
言い回しのポイントは、最初の“Would you please”と、続く”the hell”のコントラストです。
「~してくれますか?」という表現の“Will (Can) you ~?”に使われる助動詞を過去形のWould (Could)に変えることで、「~していただけますか?」というより丁寧な表現に。
さらにジェリコ先生は”please”を加えます。ことさら丁寧な、ナイスミドルな執事を思わせるお願いの表現をあえて煽りの場面に持ってくるテクニックは見事ですね。
▲ジェリコ先生の手にかかれば、丁寧表現も煽りテクに早変わり。(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho interrupts The New Day: Raw, January 4, 2016”より © 2016 WWE, Inc. All Rights Reserved.)
そしてフレーズ後半の“the hell”。単語的には「地獄」を意味しますが、このフレーズのように乱暴な(マイナスイメージの強い)強調表現として使われることも。
例えば“Who are you?”ならば「あなたは誰(ですか)?」ぐらいのニュアンスですが、“Who the hell are you?”となると「いったい誰だテメーは?」ぐらいの勢いになるというわけ
冒頭の“Would you please”で丁寧な気配を一瞬覗かせ、直後に“the hell”を使った暴力的命令を発するというこのセンスが重要です。頭に叩き込んでください。
【例文】語学マウントをとってくるクソ上司を黙らせたい時に!
では実際に使っていきましょう。
「シャラップ」の音でおなじみの“Shut up!”に丁寧表現や強調表現を添えることで、それとなく「英語分かってる感」も出るこのフレーズは、無駄に話が長かったり、ウザい説教をかましてくるDM●英会話ビギナー上司を丁寧かつ暴虐的な勢いで黙らせるのにピッタリです。
例文はこちら。
丁寧な表現だから上司に使っても大丈夫! なはず🎵 「やかましいので黙っていただけますでしょうか?」と言い放つ気持ちでブチまけましょう。
こんな例文も良いですね。
いかがでしょうか?
応用編として、後半の“shut the hell up!”を“get the hell out!”に変えれば「出ていきやがれ!」になるなど、使いたい罵詈雑言に合わせてアレンジできます。
◆フレーズ2:You will never, ever be the same again!(二度と、永遠に、元には戻れない)
▲フレーズは4:47ごろに登場(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho interrupts The New Day: Raw, January 4, 2016”より © 2016 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。
さて、次のフレーズです。
こちらは革命的な出来事を起こしてやるぜ、という決意表明として使いたい言い回し。
ニュー・デイをひるませたジェリコ先生は、そのままロイヤルランブル戦へのエントリーを表明。「お前ら含めて全員リングから叩き落し、6度の世界王者にして初代統一王者、世界一のレスラーであるこの俺がロイヤルランブル優勝だ」と高々に宣言します。
「復活したY2J(=ジェリコの別名)問題が世界を熱狂させたら、WWEのトップから下っ端のサルまで……」
(二度と、永遠に、元には戻れない!)
ジェリコらしさを出すポイントは、やはりeverを「エェ~~ヴァー!」と喉を激しく振るわせて発音することですね。
主語が省略されていますが、“You will never…”とYouを主語にしておけば基本問題ありません。そしてneverから一拍置いて、喉を使い切るぐらいの勢いでeverを強烈にキメてやりましょう。
【ポイント】 ”never the same”=二度とない+”ever”=永遠にの合わせ技””
このフレーズで強調されているneverとever、似ている単語ながら使い方は異なります。
neverは「絶対に~ない」という強い否定を示す言葉で、「~するな」の命令文“Don’t ~”のDon’tをNeverにすれば「絶対にするなよ!」という強い禁止の表現です。
一方でeverは「永遠に」という意味合いのforeverに入っているように、非常に広い時間の幅を意味し、今回のフレーズのようにeverだけでも「永遠に」という使い方も。“Have you ever watched WWE?”(これまでにWWEを見たことある?)のように、未来方向だけでなく過去方向の時間を示すこともできます。
▲否定の命令文にeverを入れることで「もう~するな」と表現するのは一般的ですが、everを異様なまでに強調するのがジェリコ節(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“Chris Jericho interrupts The New Day: Raw, January 4, 2016”より © 2016 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。
そして、“the same”は「同じ」という意味合いで、“never be the same”で「絶対に同じにならない」→「元には戻れない」という訳になります。基本的に“the same”で使うので、sameだけでなくtheもセットで覚えておきましょう。
【例文1】気になる異性と距離を縮めたい時に!
では実際に使っていきます。「お前はもう二度と同じじゃいられないぜ!」と大きな変化を予告するものなので、超オススメの表現や、何かデカいことを仕掛ける時にぴったりです。
例えば、あなたがプロレスファン歴10年の、どこにでもいるOLだとします。最近、職場で気になっている男の子は、目元が武藤敬司にどこか似ている、同期の彼。
彼は最近、プロレスに興味を持ちはじめてYouTubeで試合動画を見ているらしい…… チャンス到来です。プロレスのちょっとした雑談を入り口にして、ジェリコ先生のお言葉をぶち込んでやりましょう。
「クリス・ジェリコくらい俺だって知ってるよ〜!」
「そうよね(笑)。……そういえばWWE時代のジェリコvs.ケニー・オメガ戦って見てる? もしよかったら解説するよ♡ 私の家にVTR全部あるから!」
ジェリコ先生の名言で、グッと距離が縮まりましたね! 一気にプロレス沼に引きずり込んで、仲良く東京ドームでのデートを目指しましょう。
【例文2】人材獲得の切り札に
コロナで状況が激変したとはいえ、労働人口減でまだまだ売り手市場の日本社会。優秀な新卒社員の獲得に頭を悩ませている採用担当の方も多いのではないでしょうか。
ジェリコ先生のお言葉は、人材採用にも効果大なのです。
就職面接は就活生の人生の大きな分岐点。だからこそ絶対的な変化を約束するこのフレーズを面接官が言い放ったとしたら、あらゆる求職者に絶大なインパクトを残せるでしょう。
松下幸之助氏の金言にもあるように、「企業は人なり」です。人間の心を掴んで話さないジェリコ先生の一言で、ぜひ優秀人材を獲得してください。
もちろん、入社後は大切に育ててあげてくださいね。うざい説教をしてしまって、
「頼むからその口を閉じやがれ!」
なんて言い返されないように。
◆WWE英語を使いこなせば二度と、永遠に、元には戻れない!
ということで、第3回はY2Jことクリス・ジェリコのフレーズでした!
ジェリコも煽りセンスが高く、他にも使えるフレーズを生み出している選手なので、再度登場することもある、かもしれません。
コメント・リクエストはいつでも受け付けております。
2021年8月の時点ではAEWで大暴れのジェリコですが、WWEネットワークやWWEのYouTube公式チャンネルではかつての活躍っぷり煽りっぷりを十二分に見ることができます! 興味を持ったらぜひチェックを!!
もちろんAEWにもYouTube公式チャンネルがあり、こちらでも現在の活躍を見ることができます。FITE TVのAEW Plusに登録すれば、YouTubeに上がっていない番組も含め視聴可能!
本コラムではタイトルにある通りWWEを扱っていきますが、興味を持った人はAEWもお試しを!
では今回はここまで! 次回も頼むから……、読みやがれ!!