ハートを鍛える会話のレスリング! WWEで学ぶ英会話 その2 「はぁ?」「そういうこった ストーンコールドかく語りきよ」

武士は食わねど観戦三昧、プロレス大好きライターのしゃれこうべ村田です!

アメリカンプロレス・WWEの様々な場面から使える(可能性を秘めた)英語のフレーズをご紹介するコラム、第2回であります!

今回もハードなバンプ(受け身)でハートを鍛えてハートフルな英会話を目指しましょう! 心を込めたHeartfulなのか苦痛を呼ぶHurtfulなのかって感じですが、さておき!

第1回ではハリウッドでも大活躍なロック様のフレーズを紹介しましたが、今回はロック様に並ぶ伝説的スターであり、彼の天敵とも言える選手のフレーズを扱っていきます!

その選手とは……、ストーン・コールド・スティーブ・オースチン!

◆ストーン・コールド・スティーブ・オースチン

“テキサスのガラガラ蛇(Texas Rattlesnake)”、“最凶のタフ野郎(Toughest Son Of a Bitch)”などの異名を持つオースチン。

現役時代はWWEの会長であるビンス・マクマホンをボコったり、ビンスの高級車にセメントを流し込んで破壊したりと、横暴な上層部に(物理的に)歯向かう反体制派として大暴れ!

労働階級の鬱憤を晴らしまくる活躍で超絶な人気を誇った選手であり、アメリカンプロレスの破天荒さを象徴する選手のひとりと言えるでしょう!
▲左がオースチン。泣く子も黙るタフガイです(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“”Stone Cold” Steve Austin’s greatest “What?!”-filled interview: Royal Rumble 2002”より © 2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

今回取り上げるのは、2002年に行われたロイヤルランブルという大会での舞台裏の一幕。
この大会では、総勢30名の選手が参戦し、トップロープ越しにリングの外に落とされたら負けというルールで戦うロイヤルランブル戦が開催されます。

ランブル戦の優勝者はWWE最大の晴れ舞台・レッスルマニアでメイン戦に出場できるとあって、WWEのなかでも注目度の高い一戦です。

そんなランブル戦を前に、会長・ビンスの娘であるステファニー・マクマホンが夫のHHH(トリプルエイチ。略さずに言うとハンター・ハースト・ヘルムスリー)がいかにランブル戦を制するかを豪語していると、背後からオースチンが登場します。
▲こちらがステファニー・マクマホン。マクマホン一家はビンスを筆頭に憎まれ役、シバかれ役(まれに善人)としてWWEに欠かせない人物です(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“”Stone Cold” Steve Austin’s greatest “What?!”-filled interview: Royal Rumble 2002”より © 2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

「オースチンもアイツの妻のデブラも泣きを見るわよ!」とベラベラ喋っていると、背後の扉が開いてオースチンが姿を現します。
実況席のジェリー・“ザ・キング”・ローラーが「志村、後ろ後ろ!」とばかりに声を上げるのですが、気づかず喋り続けたステファニーは……?

【今回の使用動画】”Stone Cold” Steve Austin’s greatest “What?!”-filled interview: Royal Rumble 2002

◆フレーズ1:What?!(はぁ?)

フレーズというかもはや単語やんけ、というツッコミもあるでしょうが、オースチンと言えばこの言葉! 実用性(?)もバッチリなのです!
▲動画のほとんどで飛び出している言葉ですが、最初に出るのは0:50ごろ(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“”Stone Cold” Steve Austin’s greatest “What?!”-filled interview: Royal Rumble 2002”より © 2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

「デブラはタフなつもりでしょうけど、私だってHHHに色々教わってるのよ。それに……」

と自信満々に語るステファニー。そこに背後からオースチンがひと言!

“What?!”

「はぁ?」

▲オースチンの声にステファニーもこの表情(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“”Stone Cold” Steve Austin’s greatest “What?!”-filled interview: Royal Rumble 2002”より © 2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

恐る恐る振り返るステファニーに、弁解する暇も与えず再びの“What?!”を浴びせかけます。

そのまま「HHHがどうするって?」、「ロープ越しにブン投げる?」、「29人の相手を?」とまくしたてるオースチン、観客もそれに合わせて“What?!”の大合唱!

一瞬でメンタルを削り取られたステファニーは思わず叫んで撤退!

このように、相手の発言に異を唱えつつ威圧するには持ってこいの言葉です。

英文ポイント 聞き返しの“What”
フレーズというか英単語なので英文ポイントも何も、という話ですが、「はぁ?」的な“What?!”は学校だとあまり習わない使い方、のような気がしますね!

日常的な会話でカジュアル聞き返したりする場合には使えますが、フォーマルな場合は“I beg your pardon?”やそれを略した“Pardon?”を使うのがオススメです。

しかしここはハートを鍛える会話のレスリング!

会社でも取引先でも、相手が理不尽なことを言ってきたら攻めの姿勢を見せてやりましょう! 相手のひと言ひと言に被せるように、リズミカルに重ねていくとより効果的!
※とは言え時と場合と相手を選んで使いましょう

使用例:親しい友人との会話に

NG例:強気の交渉に

お仕事の相談をしていると、相手がなかなか話を聞いてくれなくて困ることもあるはず。そんなときは畳みかける“What?!”でメンタルを打ちのめしてあげましょう!
こんな交渉をしていたら破談待ったなしですが、逆にその心意気を買って商談に乗ってくれるかも! 目指せ、最凶の営業マン!

◆フレーズ2:And that’s the bottom line, ‘cause Stone Cold said so.(そういうこった ストーンコールドかく語りきよ)

発言の締めくくりに使えるのが、こちらのフレーズ!
▲動画では1:55~2:00ごろに登場(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“”Stone Cold” Steve Austin’s greatest “What?!”-filled interview: Royal Rumble 2002”より © 2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

ステファニーが“What?!”の嵐に発狂して退散したのち、インタビュアーのマイケル・コールにロイヤルランブル戦の優勝者は誰かと聞かせたオースチン。

自分から質問をさせておいてまたも“What?!”で遮りつつ、観客の“What?!”コールとともに「29人のゴミどもを! ロープ越しにブン投げる! HHHも含めてな!」と優勝宣言をまくしたてます。
▲右手にいるのがマイケル・コール。当時は若手でしたが現在も多くの試合を実況するベテランです(画像はWWE公式YouTubeチャンネルの“”Stone Cold” Steve Austin’s greatest “What?!”-filled interview: Royal Rumble 2002”より © 2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.)。

「ストーン・コールドがランブル戦を制してレッスルマニア行きよ!」と言葉を重ねながらオースチンはヒートアップ。

そして最後に得意のフレーズがさく裂!

“And that’s the bottom line, (What?!) ‘cause Stone Cold said so.”

「そういうこった (はぁ?) ストーンコールドかく語りきよ」

この勢いある締め! “line”と“Stone Cold”の部分の音をやや長めに溜め、他の部分を気持ち速めに言うことでメリハリの効いたリズムが生まれますね!

「俺が言ったんだからそうなんだよ」というある種のジャイアニズムを勢いよく叩きつければ、筋が通っていようがいまいが、相手は思わず納得してしまう、はず!

なお、今回の動画ではあいだに“What?!”が入っていますが、フレーズとしては“What?!”なしが定番です。

英文ポイント “bottom line”と“’cause”

このフレーズで注目したいのは“bottom line”!

直訳すると「底にある線(言葉)」ということですが、最後に出てくる言葉、ということから「結論」や「要点」という意味合いで使われています。

“What’s the bottom line?”という風に使えば、「結論は?(結局何が言いたいの?)」という表現もできます。

また、後半につなぐ部分で入っている“’cause”は「なぜなら~だから」という意味“because”の省略系です。発音的には「コズ」ぐらいのイメージですね!
ちょいと横道に逸れましたが、オースチンのこのフレーズ、やはり使うなら何かを言った後! 自分の言葉に相手が動揺しているところに、トドメの一撃として言い放ってやりましょう!
※時と場合と相手を選んで使いましょう

使用例:辞表を叩きつけるときに

※ストーン・コールドの部分を自分の名前にするのもアリ!

NG例:強引な勧誘に

辞表を叩きつけるのに使えるなら、立場を変えて無理矢理引き入れるのにも使えますね! 弱気な相手はこれでゲット!(できるかどうかは不明)

◆会話のレスリングかく語りきよ!

ということで、今回はストーン・コールドことスティーブ・オースチンのフレーズをご紹介しました!

ところで、もはや名前の一部として定着しているストーン・コールド(石のように冷たい)というフレーズですが、こちらは当時のオースチンの妻・ジーニーが発した言葉から生まれたのだとか。

WWE(当時WWF)に“リングマスター”として登場したオースチンでしたが、自分に合っていないからと冷血なキャラクターへの路線変更を提案。

しかし会社が提案するニックネームは“氷の短剣(Ice Dagger)”などの冴えないもので、オースチンのイライラは募るばかり。

と、そこに紅茶を入れたジーニーが「紅茶が冷たく(ストーン・コールド)なっちゃうわよ」と言ったのがきっかけなんだそうな!

現在はリングを退いているオースチンですが、WWEネットワークで“ブロークン・スカル・セッション”というトークショーのホストを務め、様々なゲストとともに興味深い話を聞かせてくれています。

WWEの選手はもちろん、現在はWWEを退団して別の舞台で活躍している人がゲストに登場することもあり、舞台裏トークなども楽しめる番組なので要チェックです!
【WWEネットワークはこちら(リンク先は英語サイト)】
それでは今回はここまで! 次回もハートを鍛える会話のレスリングのリングでお会いしましょう!

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