『タバコで語ることなんか、ないよ。』スピードワゴン小沢一敬の【愛煙道】直撃取材#たばこのことば

タバコを愛する方々がけむりを通して見えたもの・考えたことを語る最強愛煙家連載です。今回の愛煙家は、お笑い芸人の小沢一敬さん(スピードワゴン)です。

鳥居みゆき・金属バット・チャンス大城・そしてつぶやきシロー。ケムールでは「芸人」のタバコにまつわるエピソードを取材する機会に恵まれてきた。
十人十色の愛煙道があるなかで……今回のインタビューはスピードワゴン・小沢一敬さん。
芸人のなかでも指折りの広い交友関係を持ち、読書・音楽・映画・野球など趣味も多彩。
そして、いままで登場した方々のなかでぶっちぎりと言えるヘビースモーカー。一日2箱以上を喫うという小沢さんが到達したタバコ観とは。

 

ーー 超がつくほどの愛煙家だと伺っています。

スピードワゴン・小沢一敬 一日2箱は喫いますね。麻雀やネタを書いているときだと4箱くらい喫っちゃうときもあるかな。一晩で。

ーー 4箱!? 80本?

小沢 そうねえ。徹マンやる夜は4箱くらい。あとはネタ書いてるときもかな。ずっとタバコくわえてる。

ーー 喫えない場所でネタを書くことはないですか。

小沢 まずないかな。IQOSも喫うんだけど、なんとか加熱式タバコでも吸える場所で書いたりするし。打ち合わせも割と喫える場所でやりたいほうで。いつもポッケに予備で封を切っていないマルボロをひと箱入れて、マネージャーに予備のタバコとライターを持っててもらうんだよね。
チェーンスモーカーだから、何口か喫ってすぐ火を消しちゃうんですけどね。この記事の撮影で、久しぶりにこんなに根元まで喫ったよ(笑)。

ーー 特に喫いたくなる瞬間は。

小沢 基本いつも喫ってるんだけど(笑)。とりあえず朝。あとはやっぱり麻雀とかネタ書く時間とか。それからご飯のあとかなあ。

ーー 逆に喫いたくない瞬間は?

小沢 あるよ。俺、ご飯の途中には絶対喫えないの。タバコ喫ったら、ご飯は終わり。タバコは「句読点」みたいだってよく言うじゃない? 区切りっていうか。俺の場合はご飯の時間の「句点(。)」になるけど「読点(、)」にならない。読点のひともいっぱいいると思うけどね。そのあとタバコ喫いながらお酒飲むんだけど(笑)。

ーー どうしても喫えない時間もありますよね。

小沢 一番困るのは「旅行」なんですよ。飛行機のなかで喫えないでしょ。だから機内では寝るようにしてます。新幹線は2時間くらいだからまだ大丈夫。そのくらいの我慢だったら収録でもよくあることだし。

ーー テレビ局や劇場にも喫煙所は必ずあるものでしょうか。

小沢 うん、けっこういろんな喫煙所がありますね。楽屋から一歩出れば外で喫える劇場もある。灰皿を置いてくれている楽屋もたまーにあるかな。「ルミネ・ザ・よしもと」は電話ボックスみたいな小さい喫煙ブースで、めっちゃくちゃ行列するよ(笑)。

ーー 一般人にはなかなか知られていない芸能界の愛煙家事情で、面白いです。ちなみにいちばん混む喫煙所は?

小沢 NHK(笑)! 人が多いから、まあ回らない。コロナ以降は中にいてもまったくしゃべれないし、後ろもつかえてるからパッと喫って出るだけ。ほんとにニコチンの補給みたいな感じ。まあ、ちょっとさみしいけど思い通りにいかないのが世の中だから。嘆くより楽しんだほうがいいじゃん。

 

こだわりなんかないよ。

ーー いままでいろいろな愛煙家にインタビューしてきましたが、ヘビースモーカーという意味ではぶっちぎりのトップです。これはすごいこだわりがあるのでは。

小沢 そう思うかもしれないけど……特にこだわりないんですよ(笑)。

ーー いや、そんなことないでしょう? 銘柄は赤マル(マルボロ・ミディアム)ですか。

小沢 そう、赤マルですね。たしか喫いはじめたころはラッキーストライクだった。なんで赤マルになったんだっけ……。マルボロはどこでも売ってるからじゃないかな。
でもね、赤マルじゃないとダメってこともないのよ。ずっと喫ってて、変わってないだけというか。他の銘柄も一通り喫ってきたし、Youtubeで利きタバコの企画やったらだいたい当たった(笑)。

ーー お見事でした。この企画には鳥居さんがゲストで出ていましたね。鳥居さんはケムールで連載もしてくれている相当な愛煙家です。

小沢 あら、すごい。

ーー ライターはZIPPOですね。熱狂的なファンが多いアイテムです。

小沢 うん。ライターだって何でもいいんだけど、まあZIPPOがいいかな。「ZIPPOはオイルのにおいがいい」ってよく聞くし、それもわかるけど「100円ライターやマッチはダメ」ってわけでもない。もう慣れすぎて良さとか気づかなくなってるのね。

ーー 最初にZIPPOを買ったのは。

小沢 買ってないと思う(笑)。誰かがくれたんだっけ…? それか、パチンコの景品でもらったんじゃないかな。

 

「タバコの名シーン」ってなに?

ーー じゃあ「映画」はどうですか。相当な映画フリークとして知られていますが、タバコのカッコよさは映画のシーンでよく表現されます。

小沢 映画ですか……。『ダイ・ハード』はタバコが出るよね。……他になんかあったっけ。『探偵物語』みたいなヘンなライターのシーンはちょっと覚えてますけど。

ーー 例えば『仁義なき戦い』シリーズはタバコがめちゃくちゃ出ますよ。お好きでしょう。

【編集部注】ケムールには映画のタバコシーンだけを紹介する連載があります▼

『仁義なき戦い』公開50周年! 東映”実録やくざ映画”に漢のタバコを学べ!心のコスプレ喫煙奮闘篇【シガレット・バーン/映画的喫煙術】

小沢 うん、『仁義なき戦い』は全作品、10回以上は観てる。でも……そんな印象に残るシーンあったっけ?

ーー (マジか? こんなヘビースモーカーで超・映画好きなのに……)

小沢 たぶん、あえて「タバコ」というふうに見ていないのかな。そもそも「名場面」っていうのはタバコが特別なものだと思ってるからでしょ。俺、そう感じないんですよ。映画見て「このシーン、空気が写ってるね」って言わないでしょ?

ーー はい……え?

小沢 「このシーン、服が写ってて、いいシーンだね」って言わないじゃない。俺にとってはそんな感じで、別にタバコが映ってても普通なんですよ。

ーー でも、登場人物の心情をあらわすアイテムだとか、画になるとか。

小沢 言うよね。「タバコは映画に合う」って。それもわかるんだけど、俺、電子タバコ吸ってる友達とこんな話をしたことがあるんですよ。俺が「映画の登場人物が電子タバコなんて吸う?」って言ったの。そしたら「その時代にあれば吸うよ」って。言われてみるとたしかにそうなんだよね。
こういう場所でタバコ喫うとうまいよね、って話もあるでしょ。景色のいい、たとえば海が見える場所とか。でも海沿いって空気が湿って火が点きにくいし。冬の空気の中のほうが美味いっていう人もいるけど、俺は寒いの嫌いだから、あえて言えば家の中が一番いいよ(笑)。

ーー なんというか、新鮮です。ヘビースモーカーだとこういう感覚になるんだ……。

小沢 俺の場合はね。朝起きて、ご飯食べて、服着たりする日常の行為のひとつだから、タバコって。

 

「ひとり」は好きだけど、「孤独」は耐えられない。

ーー タバコがつなぐ人間関係についてはどうでしょう。愛煙家仲間はいますか。

小沢 人と一緒にいるときに喫うのも好きだよ。でも別に「一緒にタバコ喫いにいこうか?」ともならないよね。収録の合間に喫煙所に行くじゃない? でもそこではパって喫って出るから、なにか話すこともないからさ。あと正直、その時間は俺、タバコ喫いながら本読んでいたい(笑)。

ーー 小沢さんは芸人の中でもきっての広い交友関係を持っている方として知られているのに、ちょっと意外です。

小沢 そうかな? 確かに友達はすごく多いけど、ずっと人といたいわけじゃないのよ。「ひとり」って全然苦にならない。

ーー 昔からそうですか。

小沢 うん。俺、15歳から働いてていろんな仕事させてもらったけど、そのなかに工場の仕事があったんだよね。朝から晩までほとんど誰とも話さずにジーっと鉄板を溶接していくんだけど、すごい好きだったの。ずっとやっていられる。でも仕事のあとにみんなで飲みに行くのももちろん好きっていう。音楽もマンガも映画も野球も、ずっと好きで、ひとりで楽しんでいられるし。タバコもそれと同じくらい付き合いが長いものですね。タバコはひとりになる道具って感じもする。
なんだろう、よく言うんだけど「ひとり」は好きだけど、「孤独」は耐えられないっていうか。

ーー「ひとり」と「孤独」ですか。

小沢 俺は山の中にひとりでいても大丈夫なの。でも人がいっぱいいる街の中でひとりぼっちでいるのはわけわかんない。それが「孤独」ってことなんだよね。
……ていうか「タバコ喫ってるからその人と仲良くなる」ことってある?

ーー え? あるんじゃないでしょうか。ケムールで愛煙家取材をしていると喫煙所で仲良くなった話をよく聞きますよ。

小沢 ああ、たしかにね。でも、俺そういう風に人を見たことないかもしれませんね。

ーー 趣味や仕事が同じ人同士が仲良くなるようなものだと思いますが。

小沢 あ、「趣味」に興味ないのかな、きっと。たとえばバイクが好きな友達はいるけど、だからって別にバイクに興味ないし。「その人」が好きなんだし、「その人が好きなもの」って別に関係なくない?

ーー そう言われると……そうかもしれません。

小沢 肩書も別に関係ないよね。たとえば、中学で友達が増えていく時期とかあるじゃない。そのとき「2組の保健委員やってる●●です」とか言う? 会ったときのフィーリングとその人の名前だけで十分なのに、って思うよ。

ーー 小沢さんの交友関係の広さの秘密がちょっとわかってきた気がします。人に対して、ぜんぜん垣根がない。

小沢 たぶんね。だから誰が何のタバコ喫ってるかも気にしたことないし(笑)。

 

喫わない女性とはキスしない。

ーー じゃあ恋の話でいえば、タバコを喫ってる女性にも、特に偏見もなく。

小沢 もちろん偏見なんかないけど……関係あるといえばあるかも。タバコを喫ってる女性といるときは、絶対俺も喫うよね。

ーー なぜ?

小沢 キスするとき、同じ味にしとくために。それがマナーかなって。タバコ喫わない女性とはキスしないようにしてる。

ーー そ……そんなマナーが。

小沢 だって、タバコって匂いするじゃん(笑)。俺はマナー悪いと思うよ。たまにタバコが喫えるロケバスがあるんだけど、社内にタバコ喫わない人がひとりでもいるなら、俺もやめといたほうがいいんだろうな……と思いながら喫ってるもん。

ーー ちょっと遠慮しすぎじゃないでしょうか?

小沢 うん、考えすぎなんだけど。「喫っていい?」って周りに聞いたとしても、後輩や若い子は断れないよね。分煙している場所でも、やっぱり気になるよ。

ーー 禁煙を考えることはありますか。

小沢 一回もない。禁煙をすすめられることもあるけど、あんまり気にしない。これは勝手なイメージだけど、タバコやめたらストレスになると思うの。俺、そのストレスで病気になるんじゃないかと思うんだ。
人にタバコをすすめるつもりもないし、誰が喫ってても、喫ってなくてもいい。禁煙できた人には「健康になれて良かったね」って言うよ。だから俺にも「禁煙しなよ」って言わないでほしいかなあ。

ーー 喫煙者はどんどん肩身が狭くなっています。世間の愛煙家にメッセージはありますか。

小沢 よく思い出すのは立川談志師匠の言葉で「煙草をやめるなんてのは、意志の弱い奴がすることです」って。「意志が弱くて禁煙が続かない」っていう世間の常識に対する洒落っていうか言葉遊びなんだけど。そんなノリでもいいんじゃない?

ーー タバコの話を伺ってきて、人の趣味嗜好より「その人」を大切にする(=そこしか興味ないとも言う)小沢さんらしさがよくわかりました。じつは「#たばこのことば」に出てほしい愛煙家の著名人を聞いてみたいと思ったんですが……小沢さんなら「特にないよ」ですよね(笑)。

小沢 うん、特にないね(笑)。
ああ、でも、そうだな……。チバユウスケさんの話は聞きたかったな。

小沢一敬(おざわ・かずひろ)

お笑い芸人。1973年、愛知県生まれ。1998年、井戸田潤ともにお笑いコンビ「スピードワゴン」を結成。M-1グランプリ2002、2003ファイナリスト。
▶X:https://twitter.com/ozwspw
▶Youtube:https://t.co/BGJ15ZwxHn


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「タバコ喫ってるからその人と仲良くなる」ことってある? ーー 小沢一敬(スピードワゴン)

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