「吉田悠軌の怪談一服」の読者投稿企画。
読者の方々から寄せられた「たばこ」にまつわる実話怪談をお届けします。
今回は【ナッツマン】さんからの投稿です。ありがとうございました。
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ケムールご担当者様、吉田悠軌様
初めまして
ナッツマンと申します
『吉田悠軌の怪談一服』いつも楽しく拝見させて頂いております。
「怪談一服の集い」に投稿をさせて頂きます。
こちらのDMでよろしいでしょうか?
つたない文章ではありますが読んで頂ければと思います。
◎
West(ウエスト)
今年(2024年)の正月に、実家に帰省をすることにした。
父親と久しぶりに会い、お互いの近況報告をし、数時間もするとこれといって会話することもなくなり、互いにテレビを観ながら時間だけがだらだらと過ぎていく。
毎回帰省するとよくあることである。
また実家は福島県の片田舎ということもあり、回りは山、川と田んぼしかなく、家にいてもこれといって暇を潰すこともない。
私は痺れを切らし、地元に住んでいる友人【F】に連絡することにした。
久しぶりの友人と会い、お互いの地元話に華を咲かせながら【F】の運転でドライブをしていると、急に電話の着信音が鳴った……。
(♪♪♪♪)
父親からである。
電話に出ると、
『お前いつ家に帰ってくるんだぁ??』
(あぁ~ あと小一時間くらいで家に帰る予定だけど、なんかある?)
『あのよ 帰りにタバコ買って欲しいんだわ』
(いいけど……銘柄は??)
『あれだ、あれ【West】買ってきてくれねぇか?白の1mgのやつ』
(全然良いよ~おっけわかったーはい、はいはい)
と言い電話を切る。
私は現在禁煙しているものの、去年まで愛煙家だったのでタバコの銘柄は理解している。
【F】に
(ごめん、今親父から連絡あって、タバコ買って来てほしいみたいだから帰りコンビニ寄ってもらっていい?)
「あぁ、全然良いよ」
ちょうど帰りの道中にあったローソンに寄ることになった。
【F】とローソンに入ると、私はレジ後ろにあるタバコ陳列棚を遠目に指でなぞるように銘柄を確認した。
しかし……そこには【West】はなかった。
(あれ、ないな?……まぁコンビニよって取り扱いないところもあるしなぁ)
【F】に
(ここにないから違うコンビニ行ってもらっていい?)
「あれ、ないの?わかった……じゃセブン行こうか」
次はセブンイレブンへ向かうことにした。
到着すると、
(ちょっとみてくるよ)
と私だけ降りて入店し、確認しに行くことにした。
またタバコ陳列棚を目でなぞるように確認したのだが、そこにも【West】はないのだった。
(本当にごめん……さ、最後にもう一店舗だけ寄ってもらっていい??)
地元近くの別店舗のローソンに寄り、二人でコンビニに入店した。
先程と同様にレジ後ろのタバコ陳列棚を二人で指でなぞりながら確認したのだか……そこにもなかった。
見落としてるのかと思い、店員がレジに二人いたので声をかけて、
(すいません、タバコで【West】って銘柄は置いてありますか?)
『あぁ、【West】ですか??……そういえばこの辺にあったような……確かこの辺あったよね?』
もう1人の店員も、
『うん、この辺に置いといたと思うんだけどねぇ……』
と店員同士で確認しているのだが……
『大変申し訳ありません。今確認したのですが、在庫の方ございませんでした』
と言われ……やはりどこにもなかった。
(えぇ……なんでないんだ?)
さすがに不思議に思い、【F】とGoogleで検索してみるとまさかの【West】は2022年12月30日に販売が終了しているのである。
2年も経過しているのにも関わらず私達も店員も、まだこの銘柄が販売していると思い込んでいたのだ。
◎
そんな、実家に帰省した日から3ヶ月後。
私が関東で勤めている職場で3泊4日で山梨県甲府市に出張に行くことになった。
宿泊先のホテルから観光名所まで比較的近かった為、散歩をすることにした。Googlemapでルートを確認しながらアーケード街をすり抜けて町並みの景観をみながら歩いていると、ふとタバコの自販機が目に入った。
それはtaspo(成人識別たばこ自動販売機のためのICカード)を必要とせず、免許証で購入できる自販機だった。
(へぇ~taspo不要で免許証で買えるんだ)
そう思いながら何気なしに銘柄を見ながら自販機を眺めていると……
そこにあったのだ。
……【West】が……
(うぁ……【West】なんで置いてるの!?)
あたかも父親が売っているところを知っていて「ここで買ってこい」と言わんとばかりに。
私は父親のお土産として紙幣を投入し、2箱だけ【West】を購入する事にした。
その後、ゴールデンウィーク中に改めて帰省した際、父親にお土産として渡し……
(希少だから味わって吸ってくれよ)
と私は言い
『おぉ……ありがとう』
と言いながら父親は嬉しそうに【West】のボックスから1本だけ取りだし、火を点けて吸いはじめた。
茶の間の天井を紫煙が包み込んで行った……
◎
これは偶然だったのか、はたまた父親の【West】を吸いたいという強い執念のような言霊により私自身が誘導されてしまったのか……はたまた買ってくることを予言していたのかと、不思議な体験となります。
長文乱文申し訳ありません。
投稿者:ナッツマン さん Twitter(X):Akgw7k0
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