ケムールポーカートーナメントの裏側【フィナーレ:SIDE▶木原直哉】

ケムール主催のポーカー大会「ケムール・ポーカー・トーナメント(KPT)」!!

・出場者は招待された実力派のポーカープロ
・当日の試合はYouTubeライブでリアルタイム配信
・優勝者には、WSOP出場のための資金1万ドル(+渡航費&滞在費2,000ドル)を進呈
・KPTの優勝者がWSOPに出場し、賞金を獲得した際は、獲得賞金の10%でケムール読者還元企画を実行予定!

フィナーレ=SIDE▶木原直哉

3月8日に行われた、あの熱闘から約半年ーー。
お待たせしました!!




KPTの監修者の木原直哉さんにWSOP(ワールド・シリーズ・オブ・ポーカー)の戦いをインタビューしました。

KPTでは超ハードなストラクチャーを構築し、参戦者を燃えさせた木原さん。
WSOP2022では、PPC3位入賞という、日本人初の快挙を成し遂げました。

そのプレーヤーとしての思いやアツいハンドレビューを存分に伺いましょう。

ケムールからWSOPのお土産もあるよ!!
9/4から毎週ケムールでプレゼント開始します!

木原直哉は、なぜ世界で勝てたのか?

編集部S(以下S)木原さん、WSOP2022への参加お疲れさまでした!

木原直哉プロ(以下木原プロ):お疲れさまでした!

S:本日のインタビューでは木原さんが今回のWSOPにて日本人初入賞となったPokerPlayersChampionship(3位)を中心に、WSOPそしてKPTの振り返りをさせて頂こうと思います、よろしくお願いします。

出典:wsop.com

S:今回木原さんはミックスゲームを中心としてトーナメントに参加され、6つのトーナメントでインマネという素晴らしい結果でしたね。

木原プロ:私自身ミックスゲームを得意としているため、自然と参加する試合もその方向になりましたね。

S:そんな中でもひと際話題となったのがPPC※での日本人初の入賞でしたが、そもそもPPCとはどのような試合なのでしょうか?

PPC(PokerPlayersChampionship:ポーカープレイヤーズチャンピオンシップ)
WSOPにて開催される$50,000バイインのイベント。
2006年に50k HORSEとしてスタートし、2008年にPPCと改称。ミックスゲームのイベントとしては最高のバイイン額かつ最高峰のプレイヤーが集う試合。
WSOP の試合の中でも最も権威のあるイベントの 1 つ。

木原プロ:そうですね、一般的にWSOPにおいて最も特別なイベントはメインイベントになるかと思いますが、PPCもそれに勝るとも劣らない特別なトーナメントです。

前提として、メインイベントというのはその規模の影響もありFTに残るだけでも大変で、運の要素も大きいです。
それに対してPPCは100人前後で5日間を戦う形式のためスキル差が出やすい環境であり、ミックスゲーム系プレイヤーにとっては最高峰、トップオブトップのトーナメントと言えるでしょう。

S:なるほど…しかし、参加費が5万ドルともなると参加できる人は限られると思うのですが、一体どのような人が参加されるのでしょうか?

木原プロ:基本的にはビジネスで大きく成功している人、ポーカーで常勝している、または直近のトーナメントで大きい勝ちを手にした人などが出るトーナメントで、参加へのハードルはとても高いと言えます。

多くのポーカープロは自分自身のお金ではなく、他者から参加費を出資してもらう、いわゆるステーキング※という方法で参加しています。

ステーキング
1 人または複数の人物がポーカープレイヤーのプレイ資金を出すこと。
ステーキングされたプレーヤー(ホース)が入賞した場合、その賞金が出資者(バッカー)に割合で還元される。

ステーキングされるということそのものが、プロとして評価されているということになるわけですね。

私の場合も参加費をひゃっほうさん(@cc_hyahhoo)に出資して頂き、PPCに参加しました。

ひゃっほう氏はKPTにも出場した

S:高額トーナメントに参加する手法としては一般的な手段なのですね。
ちなみに賞金を得た際の配分はどのようになっているのでしょうか?

木原プロ:詳しくは言えませんが、基本的に獲得賞金の大部分は出資者の取り分となります。

S:優勝者のジャングルマン(ダニエル・ケイツ)さんは本トーナメントを2連覇した凄腕のプレイヤーですが、一体どのようなプレイヤーなのでしょうか?

出典:pokernews.com

木原プロ:スタンダードなプレイヤー、綺麗なプレイをするなあという印象です。
基本的にハイステークスキャッシュゲームの実力者はポーカーが綺麗ですね。
基本に忠実で、ブラフに回す場面や頻度も含めてスタンダードです。
あまり利益的にならない突拍子もないことはしないということです。

S:そういう意味では木原さんもスタンダードなプレイヤーという事でしょうか?

木原プロ:私もそうですね。スタンダードなプレイでないと付け込まれてしまうというのが大きいです。

ただ中にはそうでないプレイヤーもいて、今年のPPC2位のユーリ・マルティンス・ジビレフスキ選手などは、少しスタンダードから外したプレイを選択することがありますが、他者につけ込まれづらいタイミングで行うトッププロです。

【PPC3位】あのときプレイヤーの頭の中で起きていたこと

S:激闘だったPPCですが、何か印象に残ったハンドなどはありますか?

木原プロ:うーん…印象に残ったというハンドはそれほどないんですよねw
ミックスゲームは派手なブラフやブラフキャッチは基本的にないものなので。

一番大きくとったポットだと、4位のベニー・グレイザーを飛ばした際のハンドになりますかね。

2-7SD(デュースセブン・シングルドロー)
一般的に馴染みの深いテキサスホールデムとは異なるルールで、5枚の手札から1回交換をすることでき、できる限り弱い手札を作った方が勝利となるルール。
Dealing Hands:
Hero(木原プロ):87652
Raise 3bb
Villain(ベニー):■■■■■
All-in 20bb
Hero(木原プロ):87652
Call 20bbDraw:
Hero(木原プロ):87652
Pat
Villain(ベニー):■■■■■
PatShow:
Hero(木原プロ):87652
Villain(ベニー):98764
Hero win

S:木原さんがベスト3入りを確定させたハンドですね!

このハンドの際、相手のベニー選手は1分ほど考えたのちパット(交換無し)としてきましたが、どのような思考があったのか解説をお願いできますでしょうか?

Naoya Kihara

出典:wsop.com

木原プロ:相手の98764というハンドはとても強いハンドです。相手(ベニー)目線ではオールインをコールした人間がパットで来ているので、自身のハンド98764が負けている可能性がある事はもちろん理解しています。

もし現状自分が負けていると分かっていたら、1枚チェンジしてハンドが強くなることに賭けなければなりません。
しかし、もし相手がTローのようなハンドだったとしたら、パットしていたら勝ちなのに、チェンジした場合かなりの確率でハンドが悪化し、負けてしまいます。

割合的に相手のハンドに20%以上でTローが入っていればパットすべきです。
彼とは何度も対戦したこともあり、タイトルをかけたヘッズアップをした経験もあります。彼がもっと弱いハンドでオールインしてくることも私は分かってますし、それは彼も承知の上なので、私が強めのTを持っていたらコールしてパットしてくることも彼は分かっているのです。なので、あのハンドではパットする以外に選択肢はなかったと思います。

日本のポーカーシーン・ミックスゲームはどうなる?

S:PPCについてのお話を伺っていく中でミックスゲームに興味が出てきました!しかし、現在日本でミックスゲームに触れる機会は多くないのですが、世界的にはどうなのでしょうか?

木原プロ:現時点では世界的にもNLHEが主流となっていますが、今後どんどんミックスゲームも広がっていくと思いますね。

現時点では教材なども少ないですが、今後広まっていくにつれてそういったものも増えていくと思います。


KPT出場時の木原プロ

S:木原さん自身はミックスゲームについて勉強を行う時にはどのような手法をとっているのでしょうか?

木原プロ:NLHEのように書籍等が沢山あるわけでは無いため、実際にプレイして覚え、うまい人のプレイが公開されている場合は率先して見て勉強することが多いです。

僕はキャッシュゲームもミックスゲームをプレイすることが多いので、そういった場所で得る学びも多いです。

S:確かに木原さんはキャッシュゲームもミックスゲームを中心としているイメージがあります!なぜ活動の中心にミックスゲームを置かれているのでしょうか?

木原プロ:他のプレイヤーとのスキル差などはありますけども、多くは単純にゲームが変わるのが面白いからですよw

ポーカープロはそれこそ日に10数時間を何十日も打ち続けるので、NLHEだけ打ち続けるとかはどうしても飽きが来たりするんですが、ミックスゲームだとそういうことが無いんですね。

S:そう聞くとやっぱりポーカープロというのは大変な職業だなと思いますね…

そういえば日本でもJOPT※の一部でミックスゲーム(MIX 2-7 TripleDraw&Badugi Championship)のトーナメントが行われたり、各アミューズメントポーカーにてNLHE以外のゲームが行われるなど、ミックスゲームがプレイできるスポットが増えているように感じます。これについて木原さんはどう思われますか?

JOPT(Japan Open Poker Tour:ジャパンオープンポーカーツアー)
2011年から毎年行われている日本国内最大規模のポーカーイベント。
本選で優秀な成績をおさめたプレイヤーは日本代表として海外トーナメントの出場権が与えられる。

木原プロ:これからもっともっと増えていくと思いますよ!

ミックスゲームの良いところは、「ゲーム種類が多いので、誰しもが下手なプレイをいっぱいする」所です。

NLHEでは、既に一般的な層にまでツールを利用したプレイの最適化を目指す人々が多数います。
そういうツールを使っていない初中級プレイヤーからすると、そういった層を相手にした時、相手は答え(最適解)を知っているのではないか?と思う人が多いのです。
実際はそういう類のものではないのですが。

S:搾取されているように感じてしまう、と。

Naoya Kihara

出典:wsop.com

木原プロ:答えを知っている相手と打ちたいと思う人はあまりいないはずですから、自然とそういった層がプレイしたいと思う気持ちが減っていくんですね。

それに対してミックスゲームには現状ツールというものが存在せず、そのゲーム種類の多さから強いプロですら頻繁に下手なプレイやミスをします。
なのである程度ミックスゲームへ慣れることが出来れば、NLHより強いプレイヤーと弱いプレイヤーの差を埋めやすいという事ですね。

今後ミックスゲームの人口は絶対に増えます!

僕としてもどんどんミックスゲームの面白さを伝えていきたいので、解説noteや動画などを出しています(▶木原プロのnote)

これからミックスゲームに触れようという方々の学びの一助となれたら嬉しいですね。

ミックスゲームをはじめるなら「●●」から

S:最後に、これからミックスゲームを始めてみようというプレイヤーに対して何かアドバイスなどあればお願いします。

木原プロ:そうですね、NLHE(ノーリミットホールデム)、PLO(ポットリミットオマハ)などを中心にプレイしてきたプレイヤーがプレイ、いざミックスゲームをと言っても何から触れれば良いか分からず困惑してしまうプレイヤーも多いと思います。

そんな方々にお勧めしたいゲームが「スタッドハイロー」「オマハハイロー」の2種類です。

S:ハイローと言うと、1つのポットを「ハイ(通常通り強いハンドを作る)」と「ロー(最弱の役を作る)」の2種類のハンドで取り合うゲームですよね。

素人目に見てしまうと複数の勝利条件があると複雑に思ってしまうのですが、どうしてその2つがおすすめなのでしょうか?

木原プロ:一言で言えば「勉強効率が良い」。この一言に尽きると思います。

特に「スタッドハイロー」は弱い人からエッジ(スキル差からくる期待値)を稼ぎやすく、また強い人にはエッジを取られづらいという特徴があります。

先ほど複数の勝利条件(ハイとロー)があるから複雑であると仰っていましたがそれは誤りで、ハイとローがあるからこそ取るべき手段が限定されるため、強い人からエッジを取られづらく、一方でセオリーを学んでいない人からエッジを取れるのです。

S: NLHEのように数多のプレイヤーによってプレイされ、セオリーが浸透しているようなゲームではないからこそ勉強する価値があるという事ですね。

木原プロ:そういう事ですね。

「スタッドハイロー」が終わったら次は「オマハハイロー」へ、ハイローに慣れたら次は「2-7TD(デュース-セブン トリプルドロー)」に行くのが良いと思います。

「2-7TD」はゲームとしてはとても難しいのですが、ミックスゲームの中にはドローゲームが多数存在する為、ドローポーカーにそのものに慣れることが必要ですね。

S:ありがとうございます!スタッドハイロー、勉強してみようと思います!

改めまして、木原プロPPC入賞おめでとうございました!
そして、監修者としてKPTを盛り上げていただき、ありがとうございました~!

Naoya Kihara

出典:wsop.com

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KPT優勝者の青山輝久(テル)さんから読者の皆様に向けて、WSOPグッズのおみやげがあります!

こちら!

・ナップサック×1
・マグカップ×3
・キャップ×2
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いずれも現地で直接選んできたグッズ。
テルさんは残念ながらインマネとはならなかったがーー、コイツを当ててポーカーをますます楽しんでください!

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最後までお楽しみください!!

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