こんにちは、テレビ&ネットウォッチが趣味の「せこむ」と申します。Twitterと5ch巡回が日々のルーティン、主に生息しているのはTogetterのコメント欄。
三度の飯よりネット上の揉め事とゴシップが大好き、そんなゲスい人間です。
いやしかし、怖いですよねネット炎上。このご時世、いつどこで火の手が上がるかわからない。SNSで何らかの発信をしている限り、自分も巻き込まれる可能性は必ずある。
火を付けにいくことはしませんが、観測するのは大好きな筆者。ケムール編集部と世間話がてら「いやー最近こんな炎上がありましてねうひゃうひゃ」といつものようにゲスく語っていたら、
「それ書きませんか」
とお声がけをいただくことに。正気ですか。
これを読めばあなたも炎上のトレンドが分かる! いや分かったところで何の特にもならないかもしれないけど!! もしかしたら、予防策を張るためのケーススタディくらいにはなるかもしれません。知らんけど。
2021年11月下旬〜12月上旬にかけての主な炎上
とりあえず、直近で気になった主な炎上案件を挙げてみましょう。炎上度合いを勝手に五つ星で評価してみました。
1.「温泉むすめ」騒動 ★★★★★
2.俳優・野村周平、対談番組での“オレ様”発言に視聴者猛反発 ★★
3.規格外タオルのアップサイクルプロジェクト「B子プロジェクト」に批判 ★★
4.絶版本の中身を勝手に空想するSFマガジン企画に批判→編集部が中止決定 ★★★
今回の「たいへんよくもえました」
記念すべき第一回に取り上げるべきはやはり「①温泉むすめ」か……と思いましたが、社会活動家・仁藤夢乃氏の11月15日に呟かれたツイートを発端にしたこの騒動、可燃性が高すぎて著名人含めこれに言及した人々に関しても場外乱闘が続出する、さながら戦国時代の様相。
そろそろ鎮火するかと思いきや、この炎上が影響し「温泉むすめ」プロジェクトが「スポーツ文化ツーリズムアワード2021」の表彰を辞退していたことが12月1日に判明、またもや議論が再燃したりとかなり面倒くさいことになっているので、さすがにこれは日和らせていただきます。火力が強すぎる。
え? そもそも「温泉むすめ」って何って? そういう人は「温泉むすめ 炎上」とかで検索かけてみてください。そこには茫漠たる焼け野原が広がっています。特にTogetter。
というわけで、言及するのは③「B子プロジェクト」にいたしましょう。
経緯を説明すると、繊維商社ヤギ(YAGI)という会社がエシカルサステナビリティに取り組むプロジェクト「ヤギシカル(YAGIthical)」というものを行っており、このポップアップイベントを行うに当たり、ヤギと他2社の3社合同で規格外品タオルを有効活用する「B子プロジェクト」というものを立ち上げ、アップサイクルタオルなどを展開する予定だったのです。
アップサイクルというのは「廃棄物や不要品に新しい価値を与えることで、もの自体の価値を高める」こと。欠点により商品として販売できなくなってしまった規格外品タオル、つまり「B品」のタオルを活用したアップサイクル商品を展開するにあたり、女性キャラクターを設定した「B子プロジェクト」をスタートしたと。
繊維商社ヤギ、規格外品タオルを有効活用する「B子プロジェクト」を始動。 https://t.co/oSOzjxc1TU pic.twitter.com/8JcVPIlvm5
— FASHIONSNAP.COM (@fashionsnap) December 1, 2021
この「大ざっぱ先生」「夢見がち勢」「もじもじっ子」「ぴえん担」などが揃う女性キャラクター、表現としては「はいはいよくある女性キャラクター類型分類ね」という感じなのですが、12月1日にキャンペーンのリリースが出るなりこれが「女性の『格付け』ではないか」と批判を浴び炎上。12月10日から予定されていたポップアップイベントも中止となったようです。
前述の「温泉むすめ」の余波もあり、この炎上は「フェミニストがまた噛み付いた」という見方もされているようですが、自分のような炎上ウォッチャーからすると、ちょっと違う。
そもそもの広告戦略の脇が甘すぎた、それだけかと。考えてください、プロジェクトの主旨としては「人の持っているダメな要素を多様性として受け入れよう」というメッセージとのことで一見素晴らしく聞こえますが、でも商品は「B品」なのです。本来のメッセージ通りに欠点を多様性として尊重するなら、「A品もB品も同じ価格」だったり「同様に売られるべき」であるべきではないでしょうか?
欠点があるから本来の形では“売れない”ものなのに「B品だって素晴らしい!」というメッセージを、しかも女性への応援ぽいニュアンスで言われてもなあ……という。そりゃ燃えます。フェミニズム云々以前の問題。
炎上前後のYAGI社の株価(12月8日取得) 引用:google
もともと、女性を類型分類するタイプの広告は炎上しがち。2018年にも「午後の紅茶」のキャンペーンで展開した「午後ティー女子」があっという間に燃え盛りました。広告担当者、なぜあれを教訓としなかった……と、遠い目をしてしまう案件でもあります。女性向け広告は「共感」を重視される傾向がありますが、これに「自虐」のニュアンスが含まれてしまうと「蔑視」との紙一重となる綱渡り。そもそも自虐は「自分」で発するから成立するものであり、他者に言われたくないわというシンプルな話かと。
それでも、このプロジェクトを着々と準備してきた人たちやイラストレーターさんの気持ちを考えると心が痛い。今後こんな不幸な案件が産まれないよう、切に願う今日このごろです。
「たいへんよくもえました」は、月二回更新です。次回もお楽しみに。
文:せこむ