安易にバズらせようとすると危険?エイプリルフール炎上まとめ2024年度版【4月のSNS炎上ニュース】〜たいへんよくもえました

みなさんこんにちは、炎上ウォッチャーのせこむです。

あちこちでは桜も満開となり、ようやく春らしい陽気となりました。

フレッシュな気分で生活をスタートしている方も多いのではないでしょうか。

新入生や新入社員、新たな生活となっている人もいるかもしれませんね。ああ、なんと心あらわれる季節でしょう。

そんな4月ですが、炎上界隈的には非常にホットな季節でもあります。そう4月1日、エイプリルフールの存在です。

毎年、規模の大小にしろ炎上が必ず起こるエイプリルフール。

むしろエイプリルフールネタのニュースよりも「どんなネタが炎上したか」の方が印象に残っている人も多いのではにないでしょうか?

当然、2024年のエイプリルフールも当然のように炎上が発生。

特に大きかったものは、過去にも炎上が発生した「同性婚ネタ」でした。

このネタを中心に今年のエイプリルフールを総括してみましょう。

これまでの経緯

まずは経緯。今回、同性婚ネタで燃えたのは「人気Vtuber」です。

・2024年4月1日、ホロライブのVTuberであるラプラス・ダークネスさんと風間いろはが4月1日に「結婚しました」とポスト。

引用:風真いろは🍃ホロライブ
引用:ラプラス・ダークネス🛸💜

・ほとんどのファンは「おめでとう!」とネタと判断して反応するも、「#エイプリルフール」などのハッシュタグが入っていなかったことや、これは「​クィアベイティング(LGBTQ+ コミュニティを悪用する行為)ではないか?」と批判が殺到する結果に。

これまでの経緯

今回の件は、賛否さまざまな意見が飛び交う「議論型の炎上」の様相を見せています。

主な意見はというと

①これはネタの限度を超えている、前述の「クィアベイティング」では?と批判する意見

②「そもそもVtuberというある意味〝架空の存在〟のネタに考えすぎでは。なんでネタに過剰反応しているのかがわからない」という批判と擁護意見

③「エイプリルフールの結婚ネタは異性愛の人でもよくやっていること。結婚ネタ自体を批判するほうが同性愛への差別では?」という批判者への批判意見

この3つに概ね分かれている模様。また、①の特徴としてはLGHBTQの当事者からも意見が出ていたのが非常に印象的でした。

今回なぜ炎上したか

では、なぜ今回この「同性婚ネタ」が燃えたのでしょうか?

いわゆる「ポリコレ」的な観点が近年浸透してきていることも当然あるとは思いますが、「これまでのエイプリルフール炎上を教訓にしていないの?」と見てしまう点も1つのポイントだったのではないでしょうか。

というのも、エイプリルフールに同性婚ネタを出すと近年は「必ず炎上している」のです。

・2022年→乃木坂46のメンバーが「式を挙げました」と写真付きでツイートし炎上
参考:乃木坂46に衆議院議員も…… 議論を呼んでしまったエイプリルフール「ネタ」投稿

こちらは2022年の「たいへんよくもえました」でも記事にさせていただきました。

たいへんよくもえました【2022年4月前半のSNS炎上ニュース】

・2023年→人気女性声優2人が交際発表、やはり「クィアベイティングでは?」と炎上
参考:声優の高野麻里佳、高木友梨香の“交際報告”LGBTをエープリルフールネタにしSNS批判殺到

このように、2年にもわたり「エイプリルフールに同性婚ネタをやると炎上する」という事態が起きているのです。

むしろ「エイプリルフールにやってはいけないネタ」という言う共通認識が世間にも広まっているような状況ではあるのですが、なぜか今年も起こってしまったという2024年。

せっかくほとぼりが冷めたであろう過去の炎上まで引っ張り出されてデジタルタトゥー状態になっているのが非常に不憫といえば不憫であります。

そもそも、エイプリルフールにかかわらず同性婚を「ネタにする」ようなポストや、「クィアベイティング」と思われる行為はこれまでもすべて燃えているのです。

たとえば「クィアベイティング」という言葉が多々出てきたことで印象深いのは、『少女革命ウテナ』『輪るピングドラム』等で知られているアニメ監督・幾原邦彦氏が「同性愛のカミングアウト」をにおわせて発表した改名騒動。

参考:【追記あり】「ウテナ」「ピンドラ」の幾原監督が突然の改名発表

また、つい最近では最新作のガンダム『水星の魔女』最終回でもメインキャラの女性2人が結婚を匂わせる演出があり、一度公式から「同性婚をした」という発表がありその後公式が撤回、「一度発表しておきながらそれを撤回したのはいかがなものか」とファンの間で騒動となりました。

参考:『ガンダム 水星の魔女』日本公式上層部が同性婚エンドを削除した事件、海外でも「クィアベイディング」として大荒れ! 「国内保守政党からバンナムへの政治的圧力か」

毎年相次ぐ同性婚ネタとそれに伴う炎上に、今年は「#同性婚をエイプリルフールのネタに使うことに反対します」というハッシュタグすら生まれるような状態。

それなのにネタとして投下、しかもあっという間に炎上の様相を見せたものの、公式からは謝罪や撤回等の姿勢が一切見られなかったことからその炎上が加速していくという状態になっていました。

そのため、過去の炎上を知っている人たちからはそういったホロライブ運営の認識事態を批判する声も少なくありませんでした。

ただし、「女性Vtuberという性質上異性との交際や結婚はご法度、だったら結婚ネタをするとしたら同性婚しかないじゃないか、ネタとして楽しめ」という意見が多々出ており、これはこれでなかなか難しい問題です。

でもこれ、乃木坂の炎上で既に答えは出ているような気もします…。

同性婚でなくても、「結婚ネタ」は燃えるもの!

また、同性婚でなくてもエイプリルフールの「結婚ネタ」事態も何度も燃えていて、近年は正面切って「結婚しました」ネタをエイプリルフールに行うタレント・俳優はほぼ見られなくなりました。

過去には城田優さんがネタにしてやはり炎上したり…
参考:城田優、結婚報告のわずか15時間後に謝罪。「すいませんでした。もう変な嘘つきません」

昨年は人気YouTuber・レペゼン地球のDJ社長がやはり大掛かりな結婚ネタをアップしましたが、むしろこれは「ネタのようで実は本当にプロポーズしていた」ことが後日判明。

ネタが本当への布石になっていたというちょっと珍しいケースでもあります。
参考:結婚発表のDJ社長&ありしゃん、エイプルフールのネタと明かすも「プロポーズしたのは本当」

エイプリルフールで避けたほうがいいネタは?

今年の3月31日、エイプリルフールを前に「嘘で避けるべき項目」という記事をmodelpressが配信しました。

・病気や怪我に関するジョーク
・妊娠や流産に関するジョーク
・セクシャリティ等のカミングアウト
・死亡に関するジョーク
・嘘の愛の告白や、結婚に関するジョーク(特に性的指向を偽るもの)
・破局・離婚に関するジョーク
・失業に関するジョーク
・マイノリティ・社会的弱者を蔑むジョーク

もう、読むと「ごもっとも」な8か条。最初にお話した同性婚、結婚ネタは思いっきりこの8か条に当てはまりますね。

エイプリルフールに限らず、常にこのネタについては気をつけるべき、というものと肝に銘じておいていいでしょう。

そもそも「エイプリルフール」ってなんでこうなったんだっけ?

そもそも、エイプリルフールという物自体がなければこの毎年の炎上もなかったわけです。

じゃあエイプリルフールって何だっけ?というのを一度おさらい。

毎年の4月1日、悪戯や嘘をついても良いという風習である「エイプリルフール」。

実はこの由来には諸説あり、16世紀のフランスで新年の日付が変わったことに対する反発だという説、イギリスの王政復古を祝う日「オークアップルデー」由来だという説、インドやペルシャ由来という説も。

日本には大正時代に伝わってきたようです。意外と日本での歴史も古いですね。

4月1日には、世界中で新聞が嘘の内容のニュース記事を掲載したり、報道番組でジョークニュースを報道したりといったことが広く行われてきました。

日本人は国民性というか生真面目な性格?なせいか海外のように一面でウソの新聞記事が公開されるということはあまりなかったのですが、インターネットの普及がこの状況を変えることに。

「報道機関である責任」を負う新聞と違い、インターネット上のメディアや企業などが運営しているサイトはそういった「真実を伝える重い責任」は負ってはいない。そしてうまく話題になれば、企業や商品の名前も売れる。

その効果に目をつけ、「4月1日は各企業がインターネット上で大掛かりなウソをWEBサイトを利用してつく日」となっていったのです。

今でこそ「バズる」という言葉が一般的ですが、このムーブメントはそんな言葉が生まれるもっと前、WEBサイトが一般的になっていった2000年代初頭から一般的になっていった感があります。

なお、1997年にIT系サイトのimpress watchが作ったエイプリルフール用トップページがまだ残っていました。この当時は「IT系技術者の悪ふざけ」感も強く、2000年代までは大掛かりなネタサイトを行うものはITサービス系の会社が多かったのも特徴です。いわゆる「ITバブル」の時代だったことも影響しているでしょう。

2000年代は「eiga.com」のように「トップページがまるごと映画のパロディネタを並べたエイプリルフール仕様になった」サイトや、エイプリルフール用の特設サイトを作るほど力を入れた企業も。

この頃の特徴は、まだネット上のエイプリルフールネタの主戦場は「WEB」だということです。

いつものサイトと違いトップがおかしなことになっている、というのが割と一般的でした。

参考:『エイプリルフールアワード2009』

黎明期はWEBページの掲示板や「2ちゃんねる」を中心に広まっていた「エイプリルフールネタページ」ですが、2005年頃からはmixiやGREEというSNSを中心に広がるようになりました。

ただ、2010年代に入るとTwitter(現X)の一般化が様相を一変させます。

拡散されるスピードが早くなった反面、ネタを投下する方は「炎上リスク」も負うことに。

また、不況により「そこまでエイプリルフールネタに心血を注ぐ余力もない」という企業が多くなったのか、一時期に比べるとエイプリルフールの企業投稿ネタは大掛かりなものは少なくなってきたような気がします。

企業側のネタを行う「場」も、WEBサイトからSNS、特にTwitterが主戦場となりました。

大掛かりなサイトごと構築というネタは少なくなり、「ネタとして作った商品画像をSNSで投下」という状況になっていったのがちょっと寂しいというか、世知辛さを感じてしまいます。

今年のエイプリルフールはどうだった?

では。そんな歴史もふまえて振り返る2024年のエイプリルフール。

全体の雑感ではありますが、過去の教訓からなのか?割と大きな炎上は前述のホロライブくらいだった印象です。

ただ、やっぱり燃えるところは多少は燃えた。そういった感じでしょうか。

やっぱり炎上した人たち

チャンネル登録者数160万人超の生き物系YouTuber「おーちゃん」がX上で投下した「捕獲したトコジラミが脱走」というエイプリルフールネタ。トコジラミ被害が洒落になっていない昨今では本気にして拡散した人が多かった模様。

参考:「トコジラミが脱走した」…生き物系YouTuberのエイプリルフールネタに波紋 「言ってはいけないウソ」指摘も

ケンタッキー・フライド・チキンが投稿した「チキン詰め放題」サービス開始というネタ画像。

よく見ればネタとわかるのですが、ケンタッキーはこれまでも「食べ放題サービス」等を提供しているため「本当にありそう」と思わせてしまい、その紛らわしさから反感を買い炎上するという割と珍しいケースとなっていました。

参考:ケンタッキー、エイプリルフールの投稿が絶妙に分かりにくい嘘だったため、炎上する

割と平和に受け止められたところ

桜の名所で有名な奈良県の吉野山の観光情報を伝えるアカウントが「吉野山に宇宙人が現れた」とポスト。「このくらいウソと分かったほうがいい」「こういうのでいいんだよこういうので」という反応が多々見られた、今年のほっこりエイプリルフールネタの代表格です。

「ドレスコードを創業当時のものにする」というポストで社員が着物姿で出勤している写真をポストしたのはIHI。

ちなみに創業は1853年だそうです。一連の写真がよくできていて面白いですよ。

「むしろ欲しい」実現して、となったケース

ときに、商品系のネタは「むしろ欲しい」となることが多いのもエイプリルフールの特徴。

今年もその手のネタが話題となりました。まずはマクドナルドの「幕の内弁当」ならぬ「マックの内弁当」。実現したらカロリーが気になるところです。

参考:“4月1日”企業の仰天発表続々 幕の内ならぬ「マックの内弁当」

「ゆうパック」の「パック」。これなんかは実際にノベルティとして実現しちゃいそうな気も若干あるような。

参考:装着10秒、速達で肌に潤いをお届け。日本郵政が乾燥肌対策の新定番フェイスマスク“ゆうぱっく”を発売【エイプリルフール】

人気アイス「サクレ」にレモンを丸ごと入れちゃいましたという「丸ごとレモンサクレ」。YouTuberあたりが実現しそうな感じがしますね。

参考:​​まるごとレモン入りのサクレが4月1日限定で発売!?【エイプリルフール】

エイプリルフールをむしろビジネスチャンスに?

近年の傾向でもう1つあるのが、「過去のエイプリルフールネタを実際に商品化 or 実現化するパターン」。

場合によっては1年がかりでビジネスとして〝仕込む〟、なんとも壮大な話にもなってきています。

たとえば2023年のエイプリルフールネタで投下した、激辛パウダーのハッピーターン「つらターン」。

反響が大きかったことからまさかの本当の商品発売が2024年4月1日に発表されました。

ただ発表日が発表日だっただけに、これすらウソでは?と疑ってしまう非常にややこしいことになっています。

参考:【今年は嘘じゃありません】エイプリルフールネタを本気で実現ハッピーターンならぬ「つらターン」4月1日 (月)より順次限定発売

バーガーキング「フェイクバーガー」は4年ぶりの発売。

これは肉のパティ無しでポテトが詰まったハンバーガーで、「ウソのネタのようだけど実在する」という商品。

こういった方向もあるのか、と思わせてくれます。
参考:【ウソだろ】バーガーキングの「フェイクバーガー」がフェイクのくせに激ウマ! ダマされたと思って1回食ってみろ!!

まとめ

そんなわけで、今年もいろいろあったエイプリルフール。

前述した「避けたほうがいいネタ」を守るのは炎上避けに必須ですが、今年の様子を見ているとケンタッキー等はこれにあてはまらないので「紛らわしい」「期待感を裏切る」ものもご法度かも、と思っておいたほうがいいでしょうね。

ときにSNSが大喜利のように使われていたり、簡単に「ネタのバズリ」も起こる昨今ですが、本来ユーモアとはとても難しいものなのです。

そろそろエイプリルフールネタも下火になっている印象もありますが、もし挑戦するなら「ユーモアのセンス」がよりきびしく問われる時代に突入しているのを自覚するべきでしょう。

さて、来年のエイプリルフールはどうなるのか。炎上ウォッチャーとしてはワクワクしながら1年を待ちたいと思います。

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