たいへんよくもえました【5月後半のSNS炎上ニュース】

炎上対策してますか?

早くも梅雨に突入? という雰囲気のジメジメした気候が続きますね。こんなときはせめて、ネット上の炎上でカラッと燃え上がった気分になりましょう! 迷惑だという声も聞こえてきそうですが気にしない。こんにちは炎上ウォッチャーのせこむです。

ところで。先日、YouTuberのヒカキン氏が「ヒカキン流、炎上回避法7箇条」なる動画をアップしました。有名YouTuberたちがのきなみ炎上騒ぎを起こす中、全く炎上の気配がないヒカキン氏の株が勝手に上がりつづけるという絶妙なポジションにいるヒカキン氏。動画の内容も「LINEやDMは全部流出していいと思ってやり取りする」「裏アカを作らない」「デジタルタトゥーを常に意識する」という、コンプライアンス研修にそのまま使えそう……というか「何なら全芸能人とビジネスマンは観たほうがいいんじゃないかなあ」というものなので、ご興味ある方はぜひ観てみてください。

さて今回の炎上ですが、なかなかに骨太な炎が上がっております。いつものように🔥の数は独断と偏見の炎上度合いバロメーターで、5つ🔥が満点です。

2022年5月前半〜後半の主な炎上

①「ゆっくり茶番劇」商標登録で批判殺到。登録者は使用料無料を表明するも批判止まらず 🔥🔥🔥🔥
参考▶Yahoo!ニュース(0テレ)「ゆっくり茶番劇」第三者が商標登録で……ネット騒然  代理申請の事務所は「後悔ある」、取得者は使用料10万円“撤回”

②AV強制被害法案が合意されるも反対派の意見が入り乱れてカオス状態に 🔥🔥🔥🔥
参考▶産経新聞:AV強制出演被害法案、6党が素案で合意 公表1年後まで無条件契約解除
参考▶Togetter:#AV新法に反対します の主張が「18歳、19歳がAV出演を強要されるのを防ぐ」という話だったはずが、いつの間にか「AVでの性交を禁止しよう」になっていた

③美術評論家・松下哲也氏、『シン・ウルトラマン』の感想を述べたところ批判意見が相次ぎアカウント削除 🔥🔥🔥
参考▶まとめダネ!:【炎上】シン・ウルトラマン感想 長澤まさみのセクハラ描写が一線を越える 評論家からも酷評(※ネタバレあり)
参考▶Togetter:【悲報】シン・ウルトラマンがセクハラ描写で批判殺到→フェミVSオタク議論にも波及の模様

④西野亮廣が計画した「プペルバレエ」、「無償で出演させるのか」などの批判相次ぐ 🔥🔥🔥
参考▶ライブドアニュース:西野亮廣が計画する「プペルバレエ」バレリーナ「無報酬」などに反感も

⑤「三角関数よりも金融教育を」衆議院議員の発言に批判、ネットはさながら大喜利状態に 🔥🔥🔥🔥
参考▶FLASH:「三角関数よりも金融教育を」藤巻健太衆議院議員の発言に「金融の理解に必要」と批判殺到

どうです、なかなか大物でしょう!?……っていうか、いいよこんなに固まらなくても。

今回の「たいへんよくもえました」

というわけで、今回はニュース等でも報じられる騒ぎになっている①ゆっくり茶番劇を取り上げたいと思います。みなさま、注目してますよね。
②AV強制被害法案は多分、Twitterをちょっと眺めているくらいの人はこの騒ぎがよくわからないのではないでしょうか? 簡単に説明すると「AV業界での強要問題をなくすべく新たな法が制定される」という事象に対し「なぜAVだけが新たな法が必要なのか、すでにある法律で対応できるし憲法に抵触する恐れがある」という理由で反対している人たちと、「AVという存在自体が違法である」と主張する人たち、この2つの反対派がもつれあっているという状況です。お察しの通り後者は「フェミニスト」と言われる人たちが中心で、従来の炎上でも見かけた顔がたくさん……というかアベンジャーズ状態ですね。ただ、今回は一部の人が賛成派に回ったこともあり若干一枚岩でないのが見えるのも興味深いところ。

③『シン・ウルトラマン』は、主に同作の長澤まさみさんの描写に関しての話だった模様。模様というのも、既に松下氏がアカウントを消していて詳細が追いづらいのですが、とりあえず「該当描写に関しては批判している人は庵野作品or特撮ファンでも多い」「Twitterでレスバトルを仕掛ける側も、Twitterが議論するのに向かないツールだって言うことを自覚してやろうよ」ですかね。現代美術界の現状を知らせてくれる松下氏のツイートは楽しみだっただけにちょっと残念。

④プペルバレエ。はい、また「プペル案件」です。これが「プペル」じゃなかったらここまで大騒動にはならなかったんだろうなと。そろそろ自分たちの可燃性の高さを自覚してもいいのではという気もします。

⑤三角関数は、久々の政治系炎上。Twitter上では「何に三角関数が役立つか」という話で大喜利状態にもなっていたのですが、「別に三角関数が何に役立つとかそういうのは些末な話で、要は金融知識をカリキュラムに入れろという話でしょ?」とTwitterでも擁護派が増えてきたところ、当の藤巻氏が5/20に追加で投下したツイートがまた非常に雑な例えでして。

「それは三角関数ではなく三角比だ」「政治家は人を騙すという例えにしか読めない」とせっかくの擁護を吹き飛ばす始末。やっぱり迂闊なだけでした、という話です。

「商標登録ビジネス」の可燃性

というわけで前置きが長くなりました、①ゆっくり茶番劇騒動を解説していきましょう。
この件、非常に説明が長くなるので、最初に端的に言ってしまいます。こういうことです。

「流行ったネットミームを商標登録したらネット民から袋叩きにされた」

はい、往年のネットユーザーなら既視感がありますね。「のまネコ」騒動とか。

出典:ガジェット通信

リンク(Wikipedia)▶のまネコ問題

ネット上でいわば「フリー素材」的に扱われているものを企業が勝手に商標登録する。ビジネス的なやり方としては間違っていないかもしれませんが、心象的な反感は買いまくるこの手法。
結局”のまネコ”騒動のときも当事者のエイベックスが商標登録を取り下げ、みんな「この手のものは勝手に商標登録したらデメリットのほうが大きい」という教訓を得たはずなんですが……思えばこの”のまネコ”騒動ももう2005年の話。リアルタイムの教訓を得てなかった人がやらかしたのかなあ、という気が少ししています。

話の経緯としては、ニコ動やYou Tubeには顔だけのキャラクター2人が合成音声の掛け合いでいろいろなものを解説する「ゆっくり」動画というジャンルがあります。この「ゆっくり」動画の中でも「ゆっくり茶番劇」というタイトルが付いているカテゴリがあり、「ゆっくり」という動画のフォーマットで様々な人が「ゆっくり茶番劇」動画をアップしています。

引用:https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/254.htmlより

ところがその「ゆっくり茶番劇」を「柚葉」という人物が商標登録し、商標権を取得したと突然公表したことが発端に。

つまり、今後「ゆっくり茶番劇」を使用する場合にはこの柚葉氏に許可申請を行い、使用料を払う必要があるということになってしまった。しかも柚葉氏は「使用料として10万円」を主張しました。
いやもう、反発されないわけがない。

これ、”のまネコ”騒動と少し違っていてややこしい点があるとすれば

・「ゆっくり」動画に使われているキャラクター、「魔理沙」と「霊夢」はそもそも「東方Project」というシューティングゲームに出てきたキャラクターの二次創作である

・「東方Project」は、ガイドラインを守ることで権利者により二次創作が許されている

この2点でしょうか。
つまり、のまネコのように作成者不明のネットミームだったものや、似たようなキャラクターorまだ未登録の人気商品名やキャラクターとかではなく、「権利者が二次創作を許可しているものの派生」という点で、法的にも非常に判断が難しい部分になるようです。
ちなみに後者だといわゆる「商標登録ビジネス」ですね。海外では当たり前のようですが、日本ではまだまだ脇が甘くやられてしまうことが多い。近年だと人気ティラミス店が商標も含めパクられてしまった「ティラミスヒーロー」騒動を思い出します。

参考▶価格.comマガジン:話題の「瓶入りティラミス」今さらながら味とデザインを比べてみた!

鎮火するのか?

ちなみに法的な部分に関しては、この栗原潔氏の記事がすごくわかりやすいです。

参考▶「ゆっくり茶番劇」事件の炎上要素抜き解説

今回興味深いのは、柚葉氏の商標登録申請を受け入れた事務所が「謝罪」表明していることでしょうか。

出典:海特許事務所「ゆっくり茶番劇」について

登録に至った経緯を説明しているのですが、最初が「皆様に愛されている商標であることを存じておらず、ご迷惑をおかけ致したこと申し分けございませんでした。」という謝罪から入るなかなかこれまでにないパターンです。というか特許事務所が声明出すって相当ですよね。これ、いわゆる「炎上避け」かと思います。
如何せん、この事務所声明の後半にも書いてありますが「商標登録取得のプロセス」自体には何も問題はない。これがこの問題のややこしさでもあり、ときにネットユーザーを過激な行動に走らせる原因なのでしょう。

この海特許事務所にも、爆破予告などが届いているようです。また、柚葉氏の自宅などが特定されたという話も。これらに関しては然るべき処置をとってほしいと思いますが、正直”のまネコ”騒動をリアルタイムで知ってる人間としては「まあそうなるよな……」という気が満々です。
この苛烈な反応を見て柚葉氏が「使用料を無料にします」と発表しましたが、商標を手放すとは明言していないためそれがまた火に油を注ぐ結果になっているようにも思います。

これを受け、5月23日「ゆっくり」動画のメインプラットフォームの1つ、「ニコニコ動画」を運営するドワンゴは公式に見解を発表し、記者会見を行う事態にまで発展しています。

 

 

画像出典:「ゆっくり茶番劇」商標登録に関するドワンゴのアクション より

記者会見中はドワンゴの対応を応援するコメントが奔流のように投稿された

 

教訓:ネットミームには手を出すな!ネット民も早まるな!

ドワンゴ法務の本気度がちょっと震えるレベルですね…まさに「ゆっくり」はネット民の財産だったということでしょうか。
商標登録の無効申請ができるのではという話も飛び交っており、もしかしたらそうなるのかもしれません。そもそも柚葉氏が表明している「ゆっくり茶番劇」の定義が非常に雑なものであること、文字商標であるので「東方Projectのキャラクターを使用していなくても成立する」と言ってますが果たしてそれらが認められるのか、という問題も。
ただ、ドワンゴのような法務部を従えたデカい会社を相手にして大丈夫なのかしら……と他人事ながら心配になってしまいます。

今回の教訓としては「ビジネスとしては妥当なものでも、ネット民の反感を買うとデメリットのほうが大きいぞ気をつけろ!」ですかね。商売って、心象とかイメージって大事じゃないですか……という基本中の基本の話。
柚葉氏がこの商標登録でのビジネスをいくら見込んでたのかは知りませんが、使用料も貰えないわ個人特定されるわそれをネット上にばらまかれるわ……ってデメリットのほうが遥かに大きい気もします。いや、爆破予告とか自宅凸とかは犯罪ですからね!? ダメ、ゼッタイ!!!
しかし、ブルーオーシャンにはブルーオーシャンの理由があるものです。
「いいもの見つけた!」的に迂闊に「金儲け」をしようとするなら、大やけどするよ? と実感したのでした。

出典:ZUN氏のTwitterより

東方Projectの作者であるZUN氏もTwitterでツイートで見解を表明。
ひろゆき氏や数多のネット界の有名人が続々と商標登録に反発の意思を表明し、柚葉氏四面楚歌状態かと思われますが――これからどんな炎上を見せるのでしょうか。

文・せこむ

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