たいへんな世の中だけれど
皆さんこんにちは。炎上ウォッチャーのせこむです。
……つい4日ほど前までは「今回は炎上が豊富だな―あはは、でも意外と選挙絡みの炎上少なかったな―」なんてのんびり考えていました。まさかこんな、元首相が殺害されるなんていう未曾有の大事件が起こるとは。
言語化というのは、心理的に大きな作用をするものです。社会的に不安な出来事、怒りを覚える出来事があると関連ツイートが増え、そして「炎上」が起こる。ある意味、「炎上」は「不安解消行動のオマケ」のようなものです。むしろ滓というか、排泄物とでもいうべきか。今回もすでに、あの事件に関するさまざまな人の発言で、山ほどの「炎上」が観測されてます。
が、まだまだ状況が不安定すぎてそれらを総括するには早いのでは……と思うのです。というわけで今回の炎上は、例の事件絡みのものは排除してお伝えすることにしましょう。
以上、ご了承くださいませ。
では気を取り直して、今回の炎上です。いつものように🔥の数は独断と偏見の炎上度合いバロメーターで、5つ🔥が満点です。
① 尼崎市、個人情報が入ったUSBメモリーを紛失という報を受け謝罪会見 🔥🔥🔥🔥
参考▶読売テレビ(参考リンク切れ)② たかまつなな氏、シルバー民主主義を打開するための「余命投票制度」を提唱し炎上 🔥🔥🔥
参考▶TheHEADLINE③ フジロック、広告が「ダサい」と賛否両論 🔥🔥🔥
参考▶J-CASTニュース(参考リンク切れ)④ 会社の余興で「症状」……パワハラで自死した会社員の遺族が提訴 🔥🔥🔥
参考▶弁護士ドットコム(参考リンク切れ)⑤ 就活情報サイトの「底辺の仕事」「Fラン」ランキングが大炎上 🔥🔥🔥
参考▶ライブドアニュース⑥ 元舞妓が京都花街の闇を暴露し大騒ぎに🔥🔥🔥
参考▶Buisiness Journal
お 腹 い っ ぱ い だ よ !
今回の「たいへんよく燃えました」
それぞれの炎上については参考リンクをご参照のこと。
今回は、シンプルに①尼崎USB紛失を取り上げたいと思います。テーマは「IT不祥事、燃えるor燃えない?」です。
筆者・せこむには尼崎市在住の知人が複数いたため、第一報が流れた瞬間TwitterやFacebookで「はぁあああああ!?」という阿鼻叫喚が流れたこの尼崎市の事件。簡単に経緯をご紹介しましょう。
6月21日 尼崎市から業務を委託された業者の男性が尼崎市役所からデータを持ち出してコールセンターでデータの移管作業を行う。移管作業終了後、USBメモリーを持ったまま同僚らと3時間ほど飲酒。
6月22日午前2時~3時頃 その男性が路上で寝てしまい、USBメモリーの入ったカバンごと紛失。警察に遺失物届けを提出。
6月23日 尼崎市が緊急会見。「データを持ち出す手段について事前に市に許可を得ていなかった」「データ移行時に市の職員の立ち会いがなかった」などの事実が発覚。また紛失したUSBにはパスワードがかかっていてデータは暗号化されていたというものの、市の担当者が会見でパスワードの桁数を口走ってしまったため、パスワードの推測がネット上で飛び交う状況に。
6月25日 紛失されたとされるUSBが見つかる。データが流出したかどうかは不明
IT関係、特に個人情報を扱う仕事をしている人たちからの「何をどこからどう突っ込んでいいかわからないよ!」という呆れ返った声が悲鳴のように飛び交った今回の事件。
「USBメモリって!」という声も多く見られましたが、これはどうやらデータセンター自体がセキュリティ上の理由でインターネットに繋がっていなかったことが理由の模様。確かにネットにつながっていなければハッキングもされようがないですからね……まさかデータを持った人がそのまま酒飲んで酔っ払って失くす、なんてことが起こるとは予想してなかったでしょうけども!!!
そして上にも記載しましたが、記者会見でのさらなるやらかしがネット上に新たな悲鳴を生むこととなります。
……ばかなの? ねえばかなの?? とあの煽りアスキーアートで問い詰めたくなるような尼崎市のやらかしっぷり。また、そもそも尼崎市から委託されたのは「BIPROGY」という会社で、今回やらかしたのはそこから委託された協力会社「アイフロント」ということがわかり「孫請じゃないか」と行政関係の闇も若干垣間見え、それでいてこの「BIPROGY」がつい先日社名が変わったばかりで、以前の社名は「日本ユニシス」だったことも判明、割と名前の知られた企業だったためにIT関連の人たちがそちらにざわつくという現象も。
参考▶まいどなニュース
教訓:記者会見で地力が出る
さてここで。最近起きたIT(というかインフラ)関係の大きなトラブル例をもう1件挙げてみたいと思います。そう、7月2日未明に発生した「au網での通信障害」です。これを読んでいる方にも、実害を被った方はかなりいらっしゃるのではないでしょうか?
参考▶ITmedia
この記者会見、最初に行われたのはまだ復旧がどこまで見込めるかわからない状況だった7月3日の午前11時。高橋誠社長と技術統括本部長の吉村和幸専務という2人が出席したこの記者会見が、思わぬ反響を呼びます。
通常、この手の技術トラブルに関する記者会見では、トップが詳細を把握しておらず火に油を注ぐのが日常茶飯事。ある意味尼崎のパスワード漏洩もいい例ですし、二段階認証を採用していなかったためパスワードの不正流出を招いたモバイル決済サービス2019年の「7pay」事件の際、社長が「二段階認証…?」と記者会見で発してしまったためさらなる炎上を生んだことも記憶に新しいです。
参考▶ Togetter
しかし今回は、社長自らが技術的な面も見事に把握して打ち返すという光景が見られたことで、ネット上では社長の名前と経歴を調べ、称える人が続出。むしろ「トラブル対応の渦中で記者会見なんかに時間を取らせるな」という「企業擁護」の風潮まででてきたのが非常に興味深い現象でした。
この件でわかったことは、「技術などが関連するトラブルは、記者会見に対応する人間がきちんと内情を把握していないとより炎上を招く」ということです。謝罪して燃え盛る炎を鎮めるために行う記者会見がさらに燃料を投下してしまっては本末転倒、しかし意外とこのケースが多い。なぜ皆さん、この教訓が抜け落ちるのでしょうか……いやまあそんな事考える余裕がないのかもしれませんが……。
というわけで。今後、この手のIT関係が絡む炎上が起こる企業に置かれましては、少なくとも「記者会見に出る人物の人選」と「少なくともトップはいろいろ把握しておこうね」というのを教訓にしていただきたいです。
……せめて「パスワードの桁数は口走っちゃダメ」くらい分かる人にしようね!! と切に思うせこむでした。
- マネー
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