たいへんよくもえました【9月後半のSNS炎上ニュース】

燃やせ!台風に負けるな!!

台風が列島に吹き荒れることになった9月。みなさま無事にお過ごしでしょうか? みなさんこんにちは、炎上ウォッチャーのせこむです。
かなりの規模の台風に、ネット炎上も暴風雨に吹き消されるかな……とか思ってたんですが、そんなやわな炎じゃなかったですね。
いや吹き消されてもいいんですけどね、世間一般的には。

というわけで、2022年9月上旬〜中旬の炎上です。炎上度合いはいつもの通り、独断と偏見で★5つが満点です。

①太田光氏、統一教会問題に関するコメントで炎上が続く ★★★
参考▶日刊スポーツ

② 精肉店販売のレアステーキで死亡者発生、「脱法ユッケ」が再び話題に ★★
参考▶togetter

③『GANTZ』作者奥浩哉、新作仮面ライダーに苦言を呈すも逆に炎上 ★★★
参考▶スポニチアネックス

④ ベルメゾン、カタログに『第三帝国の建築』に関する本を載せてしまいお詫び騒動 ★★★
参考▶産経新聞

⑤ 雷魚を川に放流したYoutuber、批判が相次ぎ炎上するも思わぬ展開に ★★★
参考▶ライブドアニュース

今回の「たいへんよくもえました」

① サンジャポ炎上はいつものパターン……といいますか、太田氏の事務所側もSNS等の誹謗中傷に対し法的措置を発表するなど、なかなかガチの殴り合い状態。ただ、この統一教会問題に関してはいろいろと慎重になったほうがいいのでは……という意見を持つ身として太田氏の言わんとすることは理解できるし、そしてこの状態に及んでもスタンスを変えない、その「腹のくくり具合」は凄いなと感嘆します。
③GANTZパクリ疑惑は……そのうち「著作権」に関してもう一度ちゃんと炎上案件をおさらいしようかしら、うん。
④ベルメゾン回収騒ぎは正直「問題ないのでは?」と思うも、企業側が日和ったパターンですね。まあ気持ちはわからんでもない。

というわけで、今回取り上げるのは⑤雷魚。炎上から「生き物のおべんきょう」を致しましょう。

【雷魚=ライギョ】

中国揚子江中流域・朝鮮半島・ソ連国境周辺が原産地の肉食の淡水魚。日本にも北海道より南に生息している。
エラで空気呼吸ができ、生命力が強い。
中国や朝鮮半島ではメジャーな食用魚で、スープや炒め物などでよく食べられている。

 

経緯はこんな感じです。

9月3日
「365日釣り 【究極の釣り】Extreme Fishing」というチャンネルを持つYouTuber・リッキー氏が、自宅で飼育していた雷魚を近所の用水路に放流したという報告をTwitterに上げ、ショート動画もYouTubeに投稿(現在は削除済)。
その後Twitter民より、雷魚が「東北で釣って飼っていた」ものであるということ、雷魚が「外来種(外来生物)」であることから、「外来種を放流することの是非」「他県で釣った魚を別のところに放流するという行為の危険性」などを指摘する声があがりはじめる。



釣りや生物系クラスタを中心に指摘が増え、出火。しかしリッキー氏はそのまま動画を公開し続け、配信アプリ「ふわっち」で配信等も行うなど強気。指摘されても開き直るなどの態度から他の釣りクラスタの反感を買い、炎上

放流時の動画を元に、雷魚の放流場所を特定するクラスタが次々と出始める
9月8日
とあるYoutuberがこの件に関するツイートを投稿、事態は思わぬ方向に(ツイート内容は後述)
9/10前後
リッキー氏の放流動画が削除・Twitterは鍵垢に

9月21日
リッキー氏、謝罪動画をアップ

 

釣り人のモラルと生態系

とりあえず、ここで1つ整理しておきましょう。最近、テレビ番組「鉄腕DASH」の名物企画「グリル厄介」でもよく名前が出てくる「外来種」「特定外来種」

外来種……外来生物は、国外から入ってきた生物のこと。ちなみに国外だけでなく、国内においてもともといなかった地域に入ってきた生物も「外来生物」となる。

特定外来生物……外来生物の中でも「地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かすおそれのあるもの」を侵略的外来生物といい、この中で生態系や人の生命・身体、農林水産業等に被害を与えるものとして、国が法律で指定した生物。こちらは駆除対象とされ、放流等には罰則がある。

今回のキーポイントとしては、雷魚は「外来種」ではありますが、「特定外来種」ではないという点です。それゆえ、雷魚の再放流は「法律違反」ではない。Twitterや動画、配信のコメント欄も「外来種を放流すること」を責めるものが多かったのですが、実はこれだと開き直られても仕方ない。
ちなみに皆さんご存知のアメリカザリガニ、これは特定外来生物に最近指定されたので、釣ったあと川や池に戻すと法律違反です。捕まえてもうかつにTwitter等に上げない方が吉ですよ。

ですが。
例え同じ種であっても「もともとその地域にいた生物と他地域の生物を勝手に混じらせることの是非」という問題が残ります。これは遺伝子の交雑が起こり、生態系を破壊する危険性があるから。そう考えるとリッキー氏の行為は批判されて然るべきもの、と言えるでしょう。

ちなみに、リッキー氏自身は、なんでこんな行為を行ったのか?
最初の動画から見るに、おそらく目的は「東北で釣った雷魚が引く力が強かった『釣っていて面白い』個体だったため、近所の川に放流して交雑して強い個体を増やしたい」だったと思われます。
ええ、生物の生態から考えると完全にアウトです。
しかしながら、実はこういった発想を行う釣りクラスタは少なくないという現実があります。

ブラックバスの問題が顕著なのですが、外来種で「釣りを楽しむ人たち」と、自然保護を行う人達の相性というのが……まあ悪い。長年に渡り血で血を洗う戦いというのが(法律面含め)行われてきたようなのですが、そのため今回は往年の釣り好きたちから「これ以上俺たちの評判を悪くするな」とフルボッコにされたという背景があるようです。そりゃすぐ場所も特定されますわ。

実は今回の炎上、この「場所を特定した」とツイートした人の中に思わぬ人物がいたことから、予想外の展開を見せ始めます。

経緯に書いた「とあるYoutuber」とは、この方です。

このホモサピ氏捕食系YouTuberとして界隈では有名な方。
「捕食系」というのは、海や川、山など屋外で採れたものを調理して食べる……といえば聞こえはいいのですが、ときにそのフィールドはドブや下水などにも及び、食べるものも世間一般の魚だけとは限らない非常にダイナミックなジャンルです。筆者・せこむも結構好きだったりします。

教訓:おもわぬ鎮火方法もある

参考:虫・草・魚、何でも食べるYoutuber「ホモサピ」って何者!?

放流された外来種をどうするかという解決法がまさかの「顎」という展開に、Twitter上では投稿者を叩く炎上の空気が一転「顎で解決は草」と大盛りあがりを見せることに。いやこの展開はある意味炎上よりもアツかった。実際に捕まえたのかどうかはまだ動画が上がっていないため不明ですが、これはぜひ続報を期待したいところです。

参考▶togetter:あるYouTuberが外来魚の雷魚を放流してしまう→そこに”いきもの捕食系YouTuber”が現れて「顎」で解決する展開に

実はYouTuber界では結構大きなジャンルでもある「釣り」ジャンル。次から次に新規参入者が現れるために炎上商法を狙ったYouTuberの1人かと思いきや、意外と天然さゆえの行為だったことはちょっと肩透かしでしたが(にしても頭が悪い行動だったことは否めない)、今後この手の炎上がまた起きないとも限りません。今回は予想外の展開で炎上が鎮火の方向に向かいましたが、生態系を守るためにもこういった輩が今後なるべく出てこないことを祈るばかりです。

文・せこむ

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