みなさんこんにちは、炎上ウォッチャーのせこむです。
飲食店の炎上が止まりません。スシローの例の動画を発端とした「客による不適切動画」による炎上。
今回は特別版として、「スシロー炎上」とその余波・周辺を探っていくことにします。
今回の「たいへんよくもえました」
まずは時系列。もうみんな忘れているかもしれませんが、「なぜスシローのあの動画が大炎上につながったか」には、いくつかの布石があるのです。
1月7日 回転寿司のチェーン店・はま寿司で他人の注文を横取りして食べる男性客のTikTok動画が拡散。炎上となる。炎上後、動画配信者は謝罪&「自分の注文品だった」と釈明
1月13日 同じくはま寿司で他の客の寿司にワサビを大量に盛る動画がSNSで拡散→特定されアカウント主は謝罪
1月14日 またもやはま寿司で「他人の注文品から一カンだけ盗む動画」が拡散
1月25日 くら寿司で一度取った皿を戻す客の動画が拡散(ただし4年前のもの)
1月25日の過去動画はオマケ感がありますが、この1月7日〜14日の動画がもともとかなり拡散されていたため、主にTwitter上で物議を醸します。
なぜか回転寿司で立て続けに起こったということもあり、単発なら「嫌だなーやめろよ」「バカだなー」で終わっていたものが、いつしかSNSユーザーの中に「回転寿司の悪ふざけを許せない」という風潮が高まっていた。
もともとTwitterではサイゼリヤや吉野家、スシローなど「お得な庶民の味方の飲食店」を貶めると炎上が起こりやすいという土壌があります。
そこに起こってしまったのが例の「醤油差しペロペロ」動画の拡散。
あっという間に拡散が広がり、その行為を責める声が大多数を占める大炎上に。
炎上系ニュースの有名アカウントによる拡散が追い風となったのも確かでしょう。
この動画の拡散によってスシローの株価は急降下、失った時価総額はなんと約168億とも言われ、少年と家族に課せられる賠償額を想像してニュースを見た人たちが震えたものです。
また、「動画拡散後、各店舗が通常業務外の清掃などを行う羽目になった&万が一に備え、こういったいたずらをできないような新たな什器を設置するなどという話も出てきています。
株価暴落だけでなく店での対処費用、そして客が減ったことによる減収……スシロー側としてはなんとも痛い被害。
単なるSNS上の「炎上」にとどまらず、スシローといういち企業を真っ赤に燃やした文字通りのこの「炎上」事件、正直、企業としてはたまったものではなかったはず。
ご愁傷様ですとしか言いようがない。
今回の炎上騒ぎ、スシローがすぐに法的対応を表明したのは飲食店経営の危機管理としては当然です。
ただ当のスシロー、つい半年ちょっと前には「釣り広告」問題で「叩かれる側」だったのを皆さん忘れていませんか?という気分ではありますが。
参考:スシロー、悪質な釣り広告で信用失墜やらかさないために知っておくべき景品表示法
これはスシローだけの問題にとどまらず、飲食店業界全体の「危機」という警鐘も早い段階から出ました。
だからこそのす早い声明だったと思いますが、このスシローの対処も虚しく、なぜか飲食店での悪ふざけ炎上が相次ぎます。
このスシローの動画の直後には、うどんチェーン店の資さんうどんにて無料提供の天かすを共用スプーンで食べている動画が拡散。
こちらも炎上し、資さんうどんが声明を出しています。
これら一連の出来事、「なぜ起こったか」を分析する記事や、それらに関する余波がとても多い。
というわけで「スシロー炎上で何が起こったのか」を総括してみましょう。
「迷惑系動画」のトレンドの変化の分析
「バイトテロ」という言葉を覚えているでしょうか?
主に飲食店やコンビニなど小売店のアルバイトスタッフが勤務先の商品や備品で悪ふざけをおこなう様子をスマホで撮影、Twitterなどに投稿することで炎上していた現象です。
「バカッター」なる言葉を広める発端ともなったこのバイトテロ、2013年頃に頻発。その炎上度合いと「損害賠償請求を起こされる」「舞台になった店が閉店する」などの悲惨な顛末が相次ぎ、教訓が広まったのかその後はなりを潜めていました。
しかしここから10年たち、「バイトテロを知らない世代」が今回の騒ぎを起こしているのでは?という分析が出ています。
参考:繰り返される「飲食店テロ」バカッター時代から一周か…“ペロペロ高校生”母の憔悴謝罪を聞け
また、若者のSNSの主流がTwitterではなく、動画サービス・TikTokやInstagramに移っているというのも「炎上しやすくなっている」原因ではという声も。
「動画をシェアする」という文化と、そこで手っ取り早く目立つために悪ふざけ動画という安直な手を使ってしまう若者の存在、これがまあ相性が良い(悪い意味で)。
これらの動画が炎上するのはたいていTwitterに転載、いや放流されてからなのですが、TikTokやInstagramはコメントをつけての転載、拡散などはしにくいため「炎上しづらい」システムとなっているのも理由でしょう。
それゆえ、気がついたらTwitterが大火災になっているけど元の動画ユーザーはその炎上に気づかず、鎮火が遅れるという傾向にあります。
参考:“バカッター”からInstagram、TikTokに…変わる迷惑動画のトレンドに“罪悪感の欠如”
「そんなことをやってしまう人たち」の社会背景
今回のスシローの毅然とした対処で「悪ふざけ動画」のリスキーさが広く伝わったはずですが、それでも便乗したかのような動画がしばらく相次いだのが印象的でした。
中には過去の動画が再燃したものもありましたが、ティックトッカーやYoutuberたちには意図的に便乗したかのような様子も見られます。
こちらは文字通り、知名度を上げるための「炎上商法」ですね。
しかしそもそも「なぜこんな悪ふざけをするのか」という疑問に関して、いろいろな分析がSNSに飛び交います。
個人的にはこのつぶやきの「田舎のヤンキーのチキンレース」説に同意です。
ただ、SNSに動画を放流するリスクとデジタルタトゥーに関してはそこまで想像力が及んでいないだけだと思いますが。
昔のように暴走族を適当な年齢で卒業して就職して家族を持ち「昔は俺も悪かったんだけどさぁ……」というモデルケースが、ネットを使ったチキンレースでは成立しません。
デジタルタトゥーはずっと残るのです。
参考:Q.回転寿司の醤油舐めは何が面白いの?A.身の回りのあらゆる物事にチキンレース性を見出し実行、自慢することで仲間内で“伝説”を作りたがる人種がいる
逆張り有名人が続出
最近、炎上系に限らず何かニュースが怒ると必ず登場する「逆張り発言をする有名人」。
流石にこの件は出ないかな……と思ったらやっぱり出たので、むしろここまで来るとすがすがしいなと思いました。
元フジテレビアナウンサー長谷川豊氏にひろゆき氏……いつものメンツ感があります。
ただ正直、言ってることの中は正論といえる部分もあるんですが、元の炎上の火力が高すぎるがゆえに「逆張り」の印象になってしまうのがもったいないところです。
スシロー動画炎上に「めんどくさい世の中だな」元フジアナ、ネット叩きに猛反発「匿名でピーピー…ウザいだけ」
ひろゆき氏、スシロー迷惑行為炎上に「この裏では普通に殺人事件。それより『悪いやつだ』って言ってるのって、日本人のモラルってすげえなって思う」
というわけで、もう少し余波が続くであろうこのスシロー事件。
注目度が高まっていることもあり、「スシローを救おう!」と店舗に行って高感度を上げる著名人も続々と出ているので客足は戻るとは思いますが、「悪ふざけ動画を撮る人たち」の意識やブームについてはどう変わっていくのかは正直ちょっと見えないところ。
このまま日本の飲食業界が「客への信頼」が一切成立しないヘルタウン化するのも悲しいので、ぜひそこはモラルを保ち続けてほしいのですが……。
「やらかした人」への気持ちは正直、このツイートに同意です。
前述したようにデジタルタトゥーゆえ「やらかし」がリカバリできない世の中ではありますが、その息苦しさもいい方向に進まない気がするのですよね。
というわけで何卒、「その場のノリ」で道を踏み外す若者が増えないで欲しいなと祈る今日このごろでした。