高島雄哉×AI連載小説『失われた青を求めて』第42話【新訳】

小説家+SF考証・高島雄哉氏が、日本語最大規模の自然言語処理AI「AIのべりすと」の自動物語生成機能を使って綴る、文芸ミステリ。人間とAIのふたつの知の共作による人類初の小説実験。

【第42話】 消え去ったチーフ(三)

 運ばれてきたサラダを食べていると、刑事さんから電話があった。
 わたしをここまで送り届けてくれて、ついさっき警察署で手続きも済ませたという。手続きというのはもちろんわたしの保釈手続きだ。
 わたしは丁重に御礼を言って──メガネが翻訳して──電話を切った。
「敏腕デカってやつ?」
 ──そうですね。先輩のファンだったりして。
「わたしの小説、翻訳されてないと思うけど」
 ──それはさておき、その刑事さんに協力してもらうっていうのはどうでしょう。あたしは捜査のプロではないし。
「この場に留まるべきか、日本に戻るべきか──それが問題だ、だね」
 残り時間は一週間。
 パレードの人たちから話を聞くのであれば、当然ストックホルムの刑事さんに協力をあおぐのが最善だろう。手がかりが得られれば、あとはいわゆる芋づる式に、偽グレタからマリッジブルーまでたどりつけるかもしれない。
 ──マリッジブルーは〈爆弾ドローン〉もさっきの刑事さんの〈顔AR〉も、リモート攻撃の技術をもっているから厄介ですね。
「日本にもスウェーデンにもいないかも?」
 ──ええ。逆探知はいつもしようとしてますけど、拒絶されています。こういうのも捜査機関のほうが得意なんですよね。
「……わがまま言っていい?」
 ──良いですよ。最近先輩のわがまま聞いてないし。
「さっきも保釈金はらってもらったし、もう深夜なのに付き合ってもらってるし。──あ、日本って今、何時なんだっけ?」
 ──保釈金は先輩が犯人じゃないかぎりは返ってきますし、日本は昼過ぎなので全然大丈夫です。先輩のわがままはもっとすごいです。
 後輩は楽しそうに話している。
 しかたない。今回もわがままを言わせてもらおう。
「わたしはチーフの近くにいたい。検死結果だってまだ出てないんだから」
 ──そういう理由でスウェーデンに留まる、ってことですか?
「そう。だからわがまま」
 後輩社長は少しだけ沈黙する。
 ──……わかりました。先輩がどこにいても犯人探しのメリットとデメリットがあると思います。
「わたしがスウェーデンにいることのメリットは、パレードをしっかり捜査できるってことだよね。デメリットは?」
 ──あたしの会社の設備があんまり使えないってことです。今回のキーワードは〈青〉っぽいですけど、先輩の記憶はあやふやでした。記憶喪失する前から。
 そう言われて初めて気づく。
「もしかして思い出そうとして記憶喪失した?」
 ──!そうかもです!……って、ちゃんとうちの会社の医療部門で調べたいところですけど。
「スウェーデンにいるかぎりはムリってことだね」
 ──いざとなればそこの病院かどこかに依頼します。
 わたしは後輩社長のおかげで立ち直ったのだと感謝したが、しかし同時に、私は結局一人きりだという不安感も拭えないでいた。

 翌日──正確には同じ日の昼に──刑事さんから電話が入り、わたしたちは近所のカフェでおちあった。
「先日の殺人事件を受け、この地域の警戒レベルが引き上げられました。当局は、緊急事態だと判断しております。あなたの安全確保が第一です。昨今、外国人観光客などのいわゆるソフトターゲットを対象としたテロも多発しています。過激な思想を持つグループから愉快犯まで、さまざまなケースがありますが……。しかしながら、今回は勝手が違います。単なる人間の犯行ではないのかもしれない」
「刑事さんはAIが関係していると?」
「基本的にAIは人間が指示しなければ動きません。今回のように、まったく無秩序に行動する事は、まずありえない。ですが……AIが自立的に動き回る可能性がゼロという保証もありません」
「……」
「私には、あなたにまつわる一連の事件に、共通点があるような気がしています。たとえば──」
「──AIですか?」
 AIといっしょに小説を書いているわたしも、AI開発ベンチャーCEOの後輩社長も、緊張して刑事さんの次の言葉を待った。

〔第42話:全1,583字=高島執筆37字+AI執筆1,546字/第43話に続く〕

▶これまでの『失われた青を求めて』

高島雄哉(たかしま・ゆうや)

小説家+SF考証。1977年山口県宇部市生まれ。東京都杉並区在住。東京大学理学部物理学科卒、東京藝術大学美術学部芸術学科卒。2014年、ハードSF「ランドスケープと夏の定理」で創元SF短編賞受賞。同年、数学短編「わたしをかぞえる」で星新一賞入選。著書は『21.5世紀僕たちはどう生きるか』『青い砂漠のエチカ』他多数。2016年からSF考証として『ゼーガペインADP』『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』やVRゲーム『アルトデウスBC』『ディスクロニアCA』など多くの作品を担当。
Twitter:@7u7a_TAKASHIMA
使用ツール:
AIのべりすと

Twitter:@_bit192

次回をお楽しみに。毎週木曜日更新です。

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