高島雄哉×AI連載小説『失われた青を求めて』第44話【新訳】

小説家+SF考証・高島雄哉氏が、日本語最大規模の自然言語処理AI「AIのべりすと」の自動物語生成機能を使って綴る、文芸ミステリ。人間とAIのふたつの知の共作による人類初の小説実験。

【第44話】 見出された青(一)

 わからないことは多いけれど、少なくとも何がわかっていないのかはわかった。いついつまでも世界のことはわからないのだけれど──たとえば解けない方程式がそれでも正しいとわかったときのように──今はやるべきことが見えている。結局この物語は、わたしの小説とAIが問題らしい。
 しかしAIと現実にどんな関係があるのだろう。わたしは現実の世界で何を見つけられるのだろう。
 まずはAIの犯罪について調べてみる。
 わたしのメガネに搭載されたAI〈A-PRISM〉がすぐに検索結果を表示する。
 すぐにAI犯罪者やAI被害者などなど、さまざまな単語が出てきた。元ネタはニュース記事ばかり。あとはAIの暴走や、AIと人間の思考とのすれ違いを論じるエッセイだ。
 偽グレタ氏が言っていた〈AI環境汚染〉でググっても一千万件には届かない。
 そのほとんどはAIあるいは機械学習で環境問題を解決するとか、AIの消費電力が急増しているとか、いわゆる環境のことに限定されている記事だった。
 どうして?
 それどころではないのに。
 AIはわたしたちのすべてのレイヤーの「環境」に、とっくに浸透していて──汚染という言い方をしなくとも──大きな変化をもたらしているのに。
「なんてね。わたしだけが気づいているはずないし」
 ──イラストレーターやプログラマーはAIに仕事を取られるって戦々恐々ですけどね。〈AI環境汚染〉は先輩の発明というか造語でしょ。さすが小説家。
「わたしじゃなくて偽グレタ氏じゃなかった?」
 そのときわたしのメガネに着信があった。
 ストックホルム警察の刑事さんだ。
「こんにちは。なにかありました?」
『被害者のご家族と連絡がとれました』
「!……チーフの?」
 ここで後輩社長が会話に入ってくる。
 ──チーフの緊急連絡先、昨日見たら空白で。この刑事さんに連絡を頼んだんです。日本の警察と連携したんですか?
『ええ。日本の警察は優秀ですね。すぐにチーフさんのご両親を見つけてくれました。伝聞ですが、ひどく悲しんでおられたとのことです。チーフさんは高校卒業後、ご両親とは没交渉だったそうです』
 ──チーフ……全然そんなこと話してくれなかったです。
「わたしも初めて聞いた……」
 高校卒業からということは十年以上チーフはひとりで生きてきたということだ。
『ご両親はご遺体を引き取るため、明日の夜ストックホルムにいらっしゃいます。小説家さんにもお会いしたいというご意向ですが、どうしますか?』
「もちろん、ご両親のご希望にはなんでも応じます」
『わかりました。では警備の準備を始めます』
「警備?」
 ──なるほど。必要かも。
「なんで?」
『マリッジブルーが狙ってくる可能性があるからです』
「わたしを?」
『小説家さんもチーフさんのご両親も狙われるでしょう。ただ小説家さんは今すでに厳重に警備されていますから、誰かと会うようなタイミングは狙われやすいと考えます』
「……チーフは今どこに?」
『警察署の霊安室です』
「わたしのことはいいので、ご両親が絶対ケガしないように守ってください」
『……全員守ります。またのちほど』
 わたしはもう警察と聞いても全然安全だとは思えなかった。警察署のなかであっても、マリッジブルーから攻撃される可能性はあるだろう。
 まるで、見えない青いナイフがずっとわたしを狙っているみたいだ。
 真実にむかうわたしをうしろから。

〔第44話:全1,364字=高島執筆92字+AI執筆1,272字/第45話に続く〕

▶これまでの『失われた青を求めて』

高島雄哉(たかしま・ゆうや)

小説家+SF考証。1977年山口県宇部市生まれ。東京都杉並区在住。東京大学理学部物理学科卒、東京藝術大学美術学部芸術学科卒。2014年、ハードSF「ランドスケープと夏の定理」で創元SF短編賞受賞。同年、数学短編「わたしをかぞえる」で星新一賞入選。著書は『21.5世紀僕たちはどう生きるか』『青い砂漠のエチカ』他多数。2016年からSF考証として『ゼーガペインADP』『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』やVRゲーム『アルトデウスBC』『ディスクロニアCA』など多くの作品を担当。
Twitter:@7u7a_TAKASHIMA
使用ツール:
AIのべりすと

Twitter:@_bit192

次回をお楽しみに。毎週木曜日更新です。

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