ネオホームレス-自由と稼ぎの流儀-【No.9】”本質的に生きるなら、結婚は邪魔”

世の中には2種類の人間がいる……。
「持っているヤツ」と「持ってないヤツ」
それは金も、人脈も、情報も、そして経験も同じこと。
持っているヤツと持ってないヤツ、その違いはどこにあるのだろう?

答えは簡単。
全部を欲しいと思えるかどうか。
その本能に従い、行動し続けられるかどうか。

強欲?傲慢? 言いたいヤツには言わせておけ。

磨き続けた本能と直感に従い、自由な生を謳歌した先に人間の本質を探し続けるネオホームレス・SHO

今回のテーマは結婚

3Sミッションを掲げ、経験を重視するSHOだが「結婚」という経験についてどう考えているのだろうか。
そもそも家ないし、結婚とか子育てできる(するつもりある)のだろうか…?

プライベートな価値観に迫る第9回!!

ケムール読者諸氏、覚悟はできてるか?

本能を解き放て!!

ネオホームレス・SHO
本名、野口昌一路(のぐち・しょういちろう)。2010年、株式会社citrusを創業。これまでに27業種立ち上げ、10業種MA。モットーである3Sミッション「死ぬまでに知らないことを少なくする」を達成するため、家を持たず、365日ホテル暮らし。リュック1つで世界中を旅し続ける。車や現代アート、楽器など多数所有。今夏、著書『サバイブ力』を発売予定。

結婚は本質を捻じ曲げる

――おそらく世界でも指折りの稼ぎ頭&スターであるドジャースの大谷翔平選手の結婚が報道されたときにふと思ったんですが、そういえばSHOさんって結婚とか子育てとか考えたりしないんですか?

SHO したい・したくないっていう発想が全然ないね。
基本的に俺は、自分もパートナーも、お互いに尊敬しあって、よりよく生きられるかたちっていうのが1番いいと思ってる。結婚っていう型はその邪魔になるんだよ。

――ほう……邪魔ですか。(それはまあ、今は結婚したくないってことなのでは…?)

SHO 勘違いされたくないのは、結婚がダメ、したくないということではない。俺は型に囚われすぎると良くないんじゃないかと思うんだよね。型があるせいで、本来の自分が出せなくなるんじゃないかって。
俺はこれを「義務化虚像リスク」って呼んでいて、結婚すると義務が入り込んで、お互いに無理が生じる可能性がある。たとえば、「結婚したんだから正月はお互いの両親のところに挨拶行かないと」とか。行きたければ行けばいいけど、同棲してたときってそういう強制や義務ってあんまりないと思うんだよね。
それがなく結婚できて、本質を見つめていけるならいいんだけど、いざ結婚するとそれって結構難しいんだよ。

――それはなんとなく分かる気がしますね。僕の結婚した友人も、良いか悪いかはさておき、どこに行くにも夫婦一緒になったって言ってましたね。

SHO それがたぶん型なんだよね。一緒にいたいって思っているならいいんだけど、「一緒にいるべきだよね」っていう義務が入り込んだらそれはもう結婚っていう型のバイアス。だけど、本人たちもバイアスにかかっていることに気づいていないんじゃないかな。だから邪魔って言ったのは、そもそも結婚って型を作らないほうがいいんじゃないかなって思う。

――「結婚」という行い自体にすでに”お互いに譲り合い、生活を共にしていくこと”みたいな意味が込められているような感じさえしますもんね。

SHO あるね。結婚ってそういうもんじゃんってね。
型があるものってけっこうネガティブになる場合が多い。自分の本質や正直さよりも世論とかを重視しちゃってるんだよね。
別に結婚が良いか悪いかって話じゃなくて、型に入って”~すべき”が入ってきちゃうと、自分の行動に制限をかけることになる可能性が高い。本質的なジャッジができなかったり、お互いを尊重できなくなったりすることがよろしくないよねって話。
でもさ、実は日本ってこの”~すべき”っていう感覚がめちゃめちゃ強いんだよね。

――その感覚はなんとなく分かる気がします。国外にお友達多いと思いますが、海外ではそうでもないんですか?

SHO ”~すべき”っていうのはほとんどないね。
たとえば結婚で言えば、フランスにはPACSっていうパートナー制度があって、だいたい半分くらいが事実婚としてこの制度を使ってる。

編集部メモ

■PACS(パックス/Pacte Civil de Solidarité)
1999年に制定された民事連帯契約制度。PACSは「同性または異性の成人2名による、共同生活を結ぶために締結される契約」(フランス民法第515-1条)と定義されている。
2018年のデータでは、結婚が全体の53パーセント(23万4735組)、パックスが47パーセント(20万8871組)。

年齢、学歴……社会にはびこる様々な「型」

SHO ところでさ、「トランスエイジ」って言葉聞いたことある?

――トランスエイジ……ちょっと勉強不足で聞いたことはないですけど、実年齢40歳だけど気持ちは20代みたいなことですか?

SHO さすがだね。その通り。
俺、今Abemaで番組に出てて、そこで「トランスエイジ」って言葉を作ったジャッキーさんと喋る機会があるんだけど、それもやっぱり型なんだよね。
「30歳なのに就職してないの?」とか「40歳なのにこんなこともできないの」とか。それはその人個人のことであって、20代だろうと40代だろうと年齢とは関係ないじゃん。だから結婚と一緒で年齢っていう型にはまってるんだよね。
でも実際に考えてみると、実年齢と自認年齢が一致している人なんてほとんどいないんじゃないかな。

出典:ABEMA Prime #アベプラ【公式】

――たしかに、僕は30歳ですけど、20歳のときに思い描いていたほど大人じゃないよなみたいなことは思いますね。年は確かに30歳だけど、中身が伴っていない感覚というか…。

SHO ほらね。でもそういう感覚的なものだけだとボヤっとしてるから、俺は年齢を「精神年齢」「価値観年齢」「見た目年齢」の3つに分けて自認年齢を割り出す計算式を作ってみたんだよね。
俺だったら、精神年齢は厨だから14歳。価値観年齢は老後のことを心配しながら生きているからもうすぐ老後を迎えるような年代、50歳とか。見た目は35歳くらいって最近言われたからそれでいくと、全部足して99歳。最後にこの合計を3で割ると、自認年齢が出る。

――33歳ですね。

SHO 33歳っていう数字はけっこう納得感あるんだよね。
みんながこうやって計算して実年齢と一緒に自認年齢も言うようになったら、世の中がもっと面白くなるんじゃないかな。
年齢っていう型から離れて、本人が望んでいることを理解できたり、より本質で接することのできる関係が築けるんじゃないかな。
日本人ってそういう型にはめがちなんだけど、そうすると本質が見えなくなって生きづらくなる。

――なるほど。これだけ世の中が多様性を謳っている一方で、そういう型による息苦しさも色んな場所に存在してますよね。学歴とかも似た種類のようなものである気がしました。
東大生だった知り合いはどこ行っても”できる人”にされちゃうから、今すぐ辞めてえって嘆いてましたね。

SHO それもまさに型だね。東大生だから頭いいっていう。だから東大生ってあんまり自分の大学名を言いたがらないんだよ。

海外では年齢を聞かれない

――さっきフランスの事実婚の話がありましたが、年齢についても海外では違う見方なんでしょうかね?

SHO そうだね。日本だと履歴書に年齢書くし、仕事でも男同士の場合は特に、「おいくつなんですか?」って気軽に聞くじゃん? でも海外だと年齢なんてまず聞かれないし、履歴書にすら年齢を書かないことが多い。
俺自身も世界中のあちこち旅しているけど、ヨーロッパとかインドで年齢聞かれたことないからね。
年齢を聞かずに社会が成り立ってるってことは、結局なくても大丈夫なものなんだよ。

――たしかに、よくよく考えると僕も同僚の年齢とか知らないままで普通に仕事できてますし、知ったところであんまり意味がないような気がしますね。

SHO けっきょく仕事する上で必要なのはできるかどうか。「30歳だからこれくらいできるよね」みたいなのは全然合理的じゃないバイアスで、年齢とか関係なく実際にできることだけで判断すべきだよね。

言語化は社会貢献

――結婚やら年齢やら学歴やら、世の中にありふれている「型」からはどうやったら抜け出せるんでしょう? というか、SHOさんは一体どうやって抜け出したんです?

SHO まずは自分の本質を理解するのが大事だよね。そのためには違和感を大切にしていくのがいい。
たとえば、日常のなかでモヤっとしたことがあったら、何でモヤっとしたのかを考えていく。違和感を見つけて、違和感を掘っていくのが、自分に忠実に生きていくために重要なんだよね。

――違和感の重要性はこの連載でもたびたび言及されてますよね。

SHO 「はぁ」?とか「え」?とかいうワードが頭に浮かんだらチャンスなんだよ。ウザいから忘れよだと再現性がないから、また同じことになる。でもここで何でそう思ったのかを掘っておけば、対処できる方法が分かったり、そもそもそういう状況に陥らないように回避する方法を見つけられたりするじゃん。
たとえば、俺の周りにも結婚した途端に「結婚したからすぐに家に帰らないといけないんだよね」って言う友達とかよくいるんだけど、俺はそれに対して「え?」って思うわけだよ。同棲してたときは大丈夫だったのにって。
その違和感を掘っていくと、同棲なのか結婚なのかっていう「型」に囚われるんじゃなくて、お互いを尊重しあえて居心地よく生きられる関係っていうのがベストな選択だって考えていることに気づく。結果的に、小さな違和感からバイアスは本質を捻じ曲げるものなんじゃないかっていう結論に到達するんだよね。

――「あ、自分が大事にしていたものはこれだったんだ」という気づきは、言語化で認知を広げていくみたいなこととも似てる気がしました。

SHO もちろん繋がってるよ。俺がこうしてやってる言語化したことの発信は、読者の気づきになる。
俺は、これって社会貢献の1つの在り方なんじゃないかなって思うんだよね。

――(社会貢献…随分と大きくきたな)

SHO 何かって言うとさ、言語化しないと認知できないって俺はずっと言ってるんだけど、実はみんな、もやもやしていることや悩みって多かれ少なかれ抱えてるじゃん? たとえばトランスエイジって言葉を知って、「私って実年齢と自認年齢が違ってたから苦しかったんだ」って認知できれば、納得や対処ができるようになる。
トランスジェンダーとかも同じだよね。私(俺)って変なんだって思っていたものが、トランスジェンダーって言葉があることで対処できたり、連帯できたりする。
俺は自分の違和感を掘り下げていって「トランスプラネット」って言葉を作ったんだよね。

――(プラネット……スケールでかすぎる)

SHO トランスは超越するっていう意味。それはつまり、自分が感じていることと実際のギャップを言葉にできるってこと。
俺がギャップをどこに感じているか掘り下げたところ、地球で生きているってことに違和感を感じてた。この惑星じゃないんじゃないかって思う時があって、地球に留学しているような感覚があるんだよね。「トランスプラネット」なんだって言葉を作り、考えてみたら楽しくなった。同じような感覚の人がきっと何人かいると思うんだよね。
もちろん違和感を掘り下げて言語化することで、俺自身が救われるし、それが他にも同じような悩みを抱えている人の気づきになれれば、俺は嬉しいし、それは社会貢献になると思う。

――まさに利己的利他ですね。仰ることには一理あって、うつ病になって1番辛かったのは診断される前だった、診断されたことで少し気持ちが軽くなったという話は聞いたことがあります。自分が一体何に苦しんでいて、何に悩まされているのかが分かるだけでも、開ける景色があるんですよね。

SHO 寄付とか色んなかたちでの社会貢献があると思うけど、言葉を使って自分の悩みを言語化していくっていうこともその1つなんだよ。それに、寄付よりも言葉のほうが拡散性が高いから、助けられる人が多いんだよ。
だからモノより言語化。世界中に繋がる言語化で、社会をもっとよくできるはずだと俺は思ってるよ。


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◆ネオホームレス・SHO/野口昌一路(のぐち・しょういちろう)

Instagram:@uribodayo
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ライター:小梅之々(こうめこれこれ)
Twitter(X):@korekore_koume
ケムール編集部員。前は古着屋。潰れたソフトケースのなかにあるしわしわの煙草がすき。担当連載は「鳥居服装学院」「煙たい物語」「ネオホームレス-自由と稼ぎの流儀-」
株式会社STSデジタル所属。
HP:https://sts-d.com//

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