ネオホームレス-自由と稼ぎの流儀-【No.6】”飽きたら次にいかないと、成長なんてできない”

世の中には2種類の人間がいる……。
「持っているヤツ」と「持ってないヤツ」
それは金も、人脈も、情報も、そして経験も同じこと。
持っているヤツと持ってないヤツ、その違いはどこにあるのだろう?

答えは簡単。
全部を欲しいと思えるかどうか。
その本能に従い、行動し続けられるかどうか。

強欲?傲慢? 言いたいヤツには言わせておけ。

磨き続けた本能と直感に従い、自由な生を謳歌した先に人間の本質を探し続けるネオホームレス・SHO

これまで自身のライフスタイルや投資の経験などから、複雑化する現代をサバイブしていくための話をしてきたわけだが、読者からSHOへこんな質問が届いた。

社会人4年目、外資系のメーカーで営業職をしています。
仕事には慣れてきて年齢的にも部下ができたりはしましたが、いまいち成長している実感が湧きません。
将来的には自分で事業を起こしたいと思っており、今のままではいけないんじゃないかという不安が漠然とあります。
どんな意識で仕事に取り組めば、ステップアップを実感できるでしょうか?

(神奈川県・26歳男性)

4年目といえば、中堅というにはまだ遠く、かと言って新人として扱われることもなくなる微妙な時期だろう。
仕事に慣れもでてくることで刺激もなくなり、なんとなくでも仕事をこなせるようになる感じに心当たりがある読者も多いんじゃなかろうか。

「成長」――聞こえはいいが曖昧な概念を、SHOがスーパー丁寧に語ってくれた。

読み飛ばすな? 聞き逃すな?
今回はマジでいい話。

ケムール読者諸氏、覚悟はできてるか?

本能を解き放て!!

ネオホームレス・SHO
本名、野口昌一路(のぐち・しょういちろう)。2010年、株式会社citrusを創業。飲食業界に特化したコンサルティングサービスのほか、飲食店経営、不動産、デザイン、発送代行など多くの事業を手掛ける。2021年ごろより現在のホテル暮らしを開始し、リュック1つで世界中を旅し続ける。車や現代アートを多数所有。モットーは3Sミッション「死ぬまでに知らないことを少なくする」。
12月14日、福岡クリスマスマーケットにて毎年恒例のクリスマスライブを開催。
・20:20~20:40@天神中央公園
・21:30~21:50@博多駅前会場
ライブ詳細はこちらから!

コンフォートゾーンを広げるために

――自分自身の成長っていうのは抽象的で、実感を得るというのは難しいような気もします。

SHO コンフォートゾーンを広げていくのが必要だね。
コンフォートゾーンっていうのは居心地のいいゾーンのこと。その居心地の良さを広げれば広げるほど、居心地の良さが生きやすさにも繋がるし、できることが増えるから能力も開花していく。

編集部メモ
コンフォートゾーン:心理学やコーチングにおいて用いられる概念。不安レベルが低く、精神的に落ち着いていられる行動範囲を意味する。

SHO じゃあこのコンフォートゾーンはどうやったら広がるのかっていうと、まず自分が今立っている場所、取り組んでいることがコンフォートゾーンなのかどうかを意識する。コンフォートゾーンってよく聞く言葉だけど、自分で意識できてない人がけっこう多いわけさ。
だからまずは分析から入っていく。
分析したら次は、コンフォートゾーンの外側にある少しのストレスと少しの居心地の悪さを意識してほしい。
最近、居心地悪いことあった?

――そうですね…。僕は基本ライターなので、取材して記事を書いてっていうのが本分なんですが、たまたま人のあいだに入ってアポ含め取材条件を取りまとめないといけないことがあって、関係者が自分だけだともっと自由に動けますし、そもそも交渉事が不得手なので、あいだに入って話をまとめるっていうのはけっこうなストレスに感じましたね。

SHO なるほどね。でもそれができるようになるとアポイントのとりかたが上手くなったりとか、折衝の能力が上がったり、取材に活きることもあるかもしれないよね。
だから繰り返しトライして、コンフォートゾーンに入れられるようになれば、苦じゃなくなるし、仕事も舞い込んでくる。
そういう条件の折衝ってめんどくさいからビジネスになると思うよ。もしそのプロフェッショナルになれれば独立できるんじゃない?

――できますかねぇ(笑)

SHO やりたいかやりたくないかは別として、独立したいとか起業したいっていう人はやったらいいよ。俺は儲かると思うし、何なら俺が発注するよ(笑)
アポイント取って条件まとめてくれるっていうのは、潜在的じゃなく顕著化されているニーズだから金額も高くなりやすいし、仕事もなくなりづらい。それに、潜在的なものって説明して掘り起こしていく作業が必要だけど、顕在化しているニーズはずばっと直接いけるから営業もかけやすい。

――もうすでに困っているところ、悩んでいることろにダイレクトでアプローチできるわけですもんね。

SHO そういうこと。
コンフォートゾーンとストレスってみんなあまり考えたりしないから、こうやって少し掘り下げるだけでも即座に新規ビジネスの話に繋がってく。
独立したいなとか成長したいなって思ってないような人でも、自分の居心地の悪さについて掘り下げて、コンフォートゾーンを広げてみることで視野が広がって、自分のできること・やりたいことが見つけられる可能性があるんじゃないかなとも思うね。

仕事の成功だけでは幸せにはなれない

SHO でも成長やコンフォートゾーンの話を仕事に限っているだけだと、その時点で少し違うと思ってる。
昔は確かに仕事がすべてだっていう時代があったかもしれないけど、そもそもお金を稼ぐことの意味が今と昔で違う。たとえば影響主義って俺が呼んでいる今の時代は人生において影響力を持つことがすごく大事になってきてる。
だから仕事が大事だっていう意識は全然いいんだけど、それをただ人生の目的にしていても幸せになれる時代じゃない。仕事は何のためにやっているのか、仕事は人生をよりよくするためのツールの1つなんだっていう考え方になってほしい。

――仕事で成功したいんすみたいなマインドは時代に合わなくなりつつある感じなんですね。

SHO それだと幸せになりづらいんじゃないかなとは思うね。
なんで仕事で成功させたいのか、その先に何があるんだろう、人生で何を手に入れたいんだろうっていうことを考えた結果として、そのためには仕事やお金が必要だよねっていう答えに行き着くのであれば今の時代にもフィットしてるんじゃないかな。

――よりよい人生に何が必要かっていう、より大きな部分での目的が抜けているとダメってことですね。
これは燃え尽き症候群みたいな話にも繋がる気がします。

SHO それってただ仕事に追われてるだけになってるってことだから、その意識をまず変えていったほうがいい。

――まずはどうして仕事で成長したいのかを見直すところから、ということですね。

”飽きた”=”極めた”?

SHO それを踏まえた上でコンフォートゾーンの話に戻ると、コンフォートゾーンを広げる鍵は色んなところで言われている通り居心地の悪さとストレス。だけど俺はそれをさらに分類して考えるようにしている。居心地悪さは、3つに分類すると分かりやすくなるよ。
まず1つ目は「モノ」
モノで居心地の悪さを広げる。

――モノっていうのは物質ですか?

SHO そう。具体的には買い物とか。居心地の悪い買い物ってイメージするといいかもしれない。ちょっと高いけど無理して買ってみるとか、普段の自分なら買わない服を買ってみるとか。
そうすることで自分の知らない経験が増えて、コンフォートゾーンが広がっていく。
逆にモノを持たないっていうのもコンフォートゾーンの広げ方の1つ。
俺は最近「極める」ってことを定義したんだけど、どうしたらその物事を極めたことになると思う?

――そうですね。知識と経験が他の追随を許さない水準に到達したら極めたと言えるんじゃないでしょうかね。

SHO それは客観的な見方だね。でも俺は「極める」っていうのはもう少しラフで主観的なものでもいいと思ってて、主観的な「極める」を”飽きる”って定義した。

――飽きるですか…?

SHO もちろんさわりだけやって「やーめた!」っていうのは違うんだけどさ。自分のなかである程度やり切ったと思える状態が極めた状態で、そうなると飽きたなっていう感覚がくる。飽きるっていうのはマイナスなイメージがあるけど、実は悪いことじゃない。次のステージに進むための兆しでもあるんだよね。やり切って飽きたら次にいく。そうじゃないと成長なんてできない。
俺も昔はブランドものの洋服とかめちゃめちゃ着てたけど、今は極力シンプルで動きやすい洋服がよくなって自分でブランドを作った。それはある程度やり切って飽きたってこと。

SHO モノを極めると次は何がくると思う?

――「モノ」ときたら、「コト」でしょうか。

SHO 完璧! 正解!
「コト」っていうのはつまり経験だよね。これがよく言ってる「3Sミッション」。
海外とか行ったことある?

――あります。大学生のころ、いわゆるバックパッカーでした。

SHO ストレスって感じた?

――そうですね。英語が堪能なわけではないので、言葉はまず大きなストレスでしたね。
SHOさんはモノの段階を終えて、コトの段階に入ったってことなんですね。

SHO そうそう。
こないだ経営者仲間とナイジェリアにあるマココっていう水上スラムに行ったんだけど、みんなは人生で唯一の経験だってすごく感動してる人が多かったんだよね。
でも俺は全然感動しなかったのね。マココは初めてでも、今までにアフリカは10か国以上行ってて似たような経験があったから。
コンフォートゾーンを広げるのが目的だから、どっちが上とかはない。でも俺は、毎日違うホテル暮らしをして世界中行きまくってるから、だんだんコト編に飽きてきてるんだよね。
これが単に飽きてきたってことじゃなくて、コト編を極めてきた兆しなんじゃないかって考えたら分かりやすくなった。

――コトも終わりかけてるんですね。3つ目は?

SHO 何だと思う?

――語呂で行くなら「ヒト」でしょうか。

SHO 今日冴えてるね! だんだんシンクロしてきたんじゃない?(笑)

SHOは皇族の方にだって話しかける

SHO 居心地の悪い人と会ったり、コミュニティに参加したりする。それってどういう人かっていうと、基本的には自分よりちょっとレベルの高い人だね。
仕事なら上司とかお付き合い先とか。あとは単にこっちが会いたいと思っている人とか。
ヒト編を極めていくと、だんだん最初は緊張して会ってた人たちとの居心地がよくなっていく。それがコンフォートゾーンが広がっている証拠で、そうなっていくと会える人の幅がどんどん広がっていく。

SHO だから俺は皇族の方主催の大使館のパーティーとか、森美術館のパーティーとかに行ったりしてるわけさ。
大物芸能人とかもたくさん来てるし、皇族の方もいたから俺もさすがにちょっと緊張する。でも何百人といたなかで、皇族の方に話しかけに行ったのは俺だけだったと思うよ。

――話しかけにいったんですか⁉

SHO うん。会える機会なんてまずないからね。
細かく自分の立ち位置を分析して意識できてれば、何をどうすべきか、どんな緊張感が自分に必要かが見えてくるから、コンフォートゾーンから抜け出した行動をしやすくなるんだよね。
そうじゃないとやれない理由考えちゃうじゃん。SP怖いとか(笑)

――ちなみにどんな話を?

SHO 急に話しかけても絶対にSPに止められるから、事前にその方が興味を持っていることとか、最近のニュースを調べたんだよね。
そうしたら最近海外で慈善活動をされていて、俺もちょうどマココの学校に寄付をしてきたばかりだったから、活動に非常に共感していたので一度お話してみたかったですって話しかけにいった。
あと手話も堪能な方だったから、”ありがとう”とか”こんにちは”とか簡単なものを実際にやってみるとか。

――オレンジデイズで見た気がするやつだ。

SHO どうしたら話しかけられるかっていうのはそれぞれ自分で考えていく必要があるけど、今回俺がやったみたいに、その人がやっていることや興味を持っていることを調べて、自分の経験を踏まえて話しかけるとかは1つのヒントになるかなと思う。

――相手に歩み寄っていくのはコミュニケーションの基本なんでしょうね。
ヒト編を極めたあとはどうなるんでしょう?

SHO この「モノ・コト・ヒト」の3つの要素にはさらに何重にもレベルがあって無限にループしてるから、次のレベルのモノ編に入っていくことになるね。

成長はマストじゃない?

――無限ループなんですか…なんだか途方もない道のりですね。

SHO でもこれって、俺が人間の成長の仕方を言語化したってだけで、モノに飽きて、色んな体験をして、それも飽きて自然と意識が人に向いていってっていうのは、みんな意識してないだけでやってる。
ただ言語化して意識すると、より生きやすいしやりやすいし、成長スピードがすげえ上がった。

SHO でもさっきも言ったように、3つの要素と段階に分かれているけどどっちが上だからどっちがいいとかって話じゃない。
仮に今自分がどの段階にいたとしても、主観的に見れば第1段階でも第5段階でも当人にとっての難しさは一緒だから。

――ほう??

SHO たとえば月収100万の商社マンの居心地悪い買い物が120万の時計だったとして、月10万円のバイト代を稼ぐ大学生が120万で同じものを買ったら破産だから、居心地悪い買い物が12万円のジャケットとかになる。客観的に外から見たら商社マンのほうが遥かにすごい買い物をしているように見えるんだけど、当人にとっての難しさとか居心地の悪さやストレスは同じ。

――なるほどなるほど、理解しました。
ちなみに分けられている3段階、実際には「モノ・コト・ヒト」がけっこう同時で走っていきますよね?

SHO すごくいい質問です。実は同時に走ってることはかなり多い。
俺はとにかく色んなところに行きまくってたんだけど、今はそういう旅に飽きていて、行った先々で現地について詳しい人と一緒に行動するようにしてるんだけど、これって「コト」と「ヒト」が重なり合ってる部分でもあるじゃん?
でもこれは俺が意識的にそうしているわけじゃなくて、自然とこういうかたちになっていった。だから同時に走っているような気がしても、自然と「モノ・コト・ヒト」の順番になってくんだと思う。
それに同時に走らせている意識でやると集中できなくってスピードが遅くなる。天才ならそれでいいかもしれないけど、人間の処理能力ってそんなに高くないから、まず集中するのはここだっていう風にやらないと、今やろうとしていることがブレるんだよね。
だから1番重要視するもの、つまり自分が今どの段階にいるのかはちゃんと分析して決めた上でやっていったほうがいい。

SHO それに上がってくのが必ずしも大事なわけじゃない。立ち止まって現在地にとどまるっていう決断をしたっていいと思ってる。でも現在地が一番の幸せと思いこんじゃってるとしたらもったいないなって思うから、俺が話していることがそういう世界や見方もあるんだって気づくきっかけになったら嬉しいね。
ただ今回質問をくれた読者は成長したいって話だし、俺自身も人間に生まれたからにはなるべく成長して色んな経験を積んだほうが楽しいんじゃないかなって思ってる。

――上まで行ってれば戻れるわけですもんね。

SHO そう。「未在未準思考」って言って、俺は未来に生きて未来の準備をするという投資的な考え方で生きていて、将来どういう選択肢になるか分からないから、まずは選択肢を広げて選べる幅を広げておきたいなって思っている。
俺はけっこう生きやすくなるためのテクニックとか本質について話しているけど、自分が言ってることを教養したいわけじゃないし、それが誰にとっても正解だとは思ってないから、俺が話していることを頭の片隅に置きつつ、いいなと思った何パーセントかに共感して実践してもらえたらいい。成長しまくれ!みたいなことが言いたいわけじゃないし、俺はそういうタイプでもないから(笑)


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◆ネオホームレス・SHO/野口昌一路(のぐち・しょういちろう)

Instagram:@uribodayo
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ライター:小梅之々(こうめこれこれ)
Twitter(X):@korekore_koume
ケムール編集部員。前は古着屋。潰れたソフトケースのなかにあるしわしわの煙草がすき。担当連載は「鳥居服装学院」「Talk at Fillers」「ネオホームレス-自由と稼ぎの流儀-」
株式会社STSデジタル所属。
HP:https://sts-d.com//

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