世の中には2種類の人間がいる……。
「持っているヤツ」と「持ってないヤツ」
それは金も、人脈も、情報も、そして経験も同じこと。
持っているヤツと持ってないヤツ、その違いはどこにあるのだろう?
答えは簡単。
全部を欲しいと思えるかどうか。
その本能に従い、行動し続けられるかどうか。
強欲?傲慢? 言いたいヤツには言わせておけ。
磨き続けた本能と直感に従い、自由な生を謳歌した先に人間の本質を探し続けるネオホームレス・SHO。
その生活は、365日ホテル暮らし。
私生活に迫ってみれば、1日の90%はオフだそう。
そんなSHOの最高にクールでエキサイティング…否、フリーダムでホリデイな連載。
第3回は「時間」について。
いやいや、ネオホームレスの生活とか聞いても、年収300万で週5勤務のオレたちには参考になんねえよ…と思った読者諸氏よ。
全くもってその通り!!
…と、話を聞く前には僕だって薄々そう思っていた。
だが紐解いていくと、緻密に考えを張り巡らせた丁寧で徹底的な時間への姿勢が明らかになった。
タイム・イズ・マネーは比喩じゃない。
これが本当の”丁寧な暮らし”ってヤツかもしれないぜ。
ケムール読者諸氏、覚悟はできてるか?
本能を解き放て!!
本名、野口昌一路(のぐち・しょういちろう)。2010年、株式会社citrusを創業。飲食業界に特化したコンサルティングサービスのほか、飲食店経営、不動産、デザイン、発送代行など多くの事業を手掛ける。2021年ごろより現在のホテル暮らしを開始し、リュック1つで世界中を旅し続ける。車や現代アートを多数所有。モットーは3Sミッション「死ぬまでに知らないことを少なくする」。
金の自由で拓ける”時間の自由”
SHO 前回、お金の話をしたじゃん?
お金をいかに自由に使えるかっていうマネーフリーは俺にとっては第1段階で、稼げばいいから1番カンタン。
その次の段階が時間をいかに自由に使えるかってタイムフリー。
みんな自由とは何ぞやって考えると思うんだけど、俺はマネーフリーとタイムフリーを達成してようやく人間がスタートすると思ってる。
意味わかる?
――いえ、全く。
SHO 何かっていうと、お金と時間が十分にあることで初めて、自分が本当にしたいこととか人生をどう幸せに生きていくかってことを真剣に考えることができるようになる。つまり自分の内面を深堀って実践していくスタート地点に立てるってこと。
――なるほど。お金と時間のしがらみから解放されて、ようやく人生の意味とか本質の追及が始まるってことですか。
SHO そうそう。前回話したようなお金が何で必要なのかって話になると、タイムフリーがマネーフリーの次の段階だから。お金はタイムフリーを達成するための手段なんだよ。
だって、ほとんどの時間はお金で買えるでしょ。
SHO まず稼ぐ時間は買えるよね。人に任せれば、やらなくてもいいことはやらなくて済むようになる。プロジェクト型のビジネスモデルで、各分野のプロに事業を任せているのがその例かな。
あとは、移動時間も買える。お金があれば、手段も経路も、より直線的に効率よく移動できるようになる。それだけ移動時間を短くできる。
それに、生活時間も買えるね。掃除とか、俺の場合はホテル暮らしだけど、家政婦とか家事代行を雇うみたいなものも同じお金の使い方をしてる。
この3つの時間がお金で買えるようになると、自由がめちゃめちゃ増えるんだよ。
――なんか資本主義の申し子みたいな話で悔しいですが、仰る通りですね。
SHO 時間の自由があるからマインドフリー、つまり自分の人生や内面を追及することができるようになる。
だからお金がタイムフリーの手段だったように、タイムフリーもマインドフリーの手段。目的を明確に把握することが、効率的に最終目標の達成につながっていく。
――SHOさんの最終目標って幸せとは何なのかという問いの答えですか?
SHO そう。幸せと本質。神の領域に辿り着くことかな(笑) つまり全ての決断が完璧で、全てを本質で理解できるようになるっていうのが、俺の最終ゴール。
ネオホームレスのとある一日
SHO 梅ちゃん(担当編集のこと)に言われたから用意したけど、俺のタイムスケジュールそんなに面白くなくねって思うんだけど大丈夫?
――読者の生活の参考になるかは置いておいて、気になる部分だとは思います。ネオホームレスはどんな生活しとるんじゃと。
SHO まあ普通とはかなりかけ離れてるとは言えるか。一応、これは何も予定がない東京とかの日本の都市部にいるときのスケジュールだね。
――オンとオフで2パターンくらいあると助かるんですが…。
SHO ていうか、オフしかないんだよね。オフのなかに、たまに歩きながらの打ち合わせとかがあるだけで。
オフが90%で残り10%の空いた時間にさくっと打ち合わせを入れていく感じ。
――(めちゃくちゃうらやましいな…)じゃあ、まあとにかく、ネオホームレスの生活を公開しましょう!
SHO 11時くらいに起きたら、まず、朝ごはんは基本的に食べずに、プロテイン飲んで有酸素運動専門のジムで毎朝1時間運動する。ボディメイクを本気でやった経験から、俺には何も食べずに朝イチで運動するのが(身体づくりに)1番合ってるんだよね。
――健康維持の方法も自分の経験から導き出してるんだ…。
SHO そのあとは整体とかに行く。なんでかっていうと、健康目的でもあるけど、ランチの混んでる時間帯を避けたいから。
あとで詳しく話すけど、待ち時間をなるべく排除するように考えながら動いていくっていうのが、俺が大事にしていることの1つだね。
それに、なるべく遅い時間に食べたいんだよね。あんまり早くランチを摂ると、後でお腹が減っておやつが欲しくなっちゃうから(笑)
――間食しないんですね。ボディメイク的な意味で控えてるってことですか?
SHO そう。スタイル維持と健康のため。
ランチは好きなものを食べるっていうのと健康管理の2つの目的があって、けっこう同じところをローテーションすることが多い。
夜は経験のために使いたいから、誰かが選んでくれたお店に行くから好きなもの食べられなかったり、コース料理になることもあるから身体への負担がけっこう大きいのよ。
だからランチは脂質控えめで、玄米とか食べられるのが重要。
――意外ですね。そうしたら、ランチは基本1人で?
SHO ランチは1人がいい。たぶん俺が唯一1人でいるところだと思う。
――1人で心身を整える時間って感じなんですかね。
SHO そうだね。ランチだけは経験とかを度外視した時間で、息抜きと身体のメンテの時間かな。でもそれはそのあとの活動、未来に対する投資をしていくための助走の時間でもある。
――ランチをしたら、次はどこへ?
SHO ランチしたら次は午後1部。オフィスに向かう。
俺は移動時間も基本は打ち合わせしてるね。事前にこの時間から打ち合わせっていうアポを取るような動きは自由がなくなるからしない。
俺が打ち合わせしておきたいなって思ったことがあれば、担当者にアポなしで電話していく。もちろんアポ取ってないから、出なかったら出なかったでOK。
――たまに掛かってくる電話はそういう流れでの電話だったんですね(笑)
SHO そうそう。文章だらだら打つよりも早いからね(笑)
事務所はマッサージ屋…?
SHO オフィスに着いたら、午後第1部。ここでは”緊急じゃないけど重要なこと”について考えていく。具体的には、自分の内面を掘り下げたり、何年か先のビジネスの見通しを考えたりする。
終わったら次の目的地に移動するけど、もちろんそのあいだも打ち合わせ。
俺は机に向かって集中したりするのが超苦手だから、基本的に打ち合わせも歩きながらするほうが合ってるんだよね。俺がタクシーとかを使わずによく歩く理由の1つが、そうやって有意義に時間を使えるから。
――起きるのが11時だったのでだいぶスロースタートな印象でしたけど、何も予定ない日の割りに、ここまででも既にだいぶ密度が濃いですね。
毎日、試行錯誤をして物事の価値を追及してるって密度もですけど、繰り返したり、効率化したり。移動時間すら、ただの移動になってない。
SHO 俺は1つのことだけをやってる時間ってあんまりないかな。
――さらっと言いますけど、マルチタスクをこなしていけるのって結構な特殊能力だと思います。
SHO 俺は1日のほとんどをそうやってるけど、みんなも1日のうちの1時間とか30分とかならできると思うし、やってみたらいいんじゃないかな。
もちろん、やってみて合わないと思うなら無理に続ける必要も全然ないし。それも経験だよね。
――ちなみに午後2部はマッサージってあるんですが、これは…?
SHO 午後第2部は“緊急かつ重要なこと”をやる時間。
具体的には雑務かな。色んなものの予約とか、SNSの運用とか、誰かに頼むよりも自分で動いたほうがいいものをここで一気に片づけていく。
足つぼマッサージ受けながら雑務系をこなしていくのがマジではかどるんだよね。
だから、マッサージはケアでもあるけど、ほぼ事務所に行くみたいなもん。
――すごい贅沢な事務所(笑)
SHO 贅沢に感じるかもしれないけど、自分が集中できないところで3~4時間かけて仕事するのと、お金は掛かるけど1時間集中できるところで一気にやるの、どっちが高くてどっちが安いんですかって話。
単なるお金じゃなくて、その先にある価値で物事を判断すべきなんだよ。
もしかすると、俺が1番安くお得に生きているかもしれないとすら思うね。
重要なのはストレスフリー
SHO そのあと19時くらいからは会食。まあ、会食ってほどじゃなくても誰かとご飯。もう何年も夜は1人で食べたことないね。
ここで重視するのは経験。だから行ったことのない店、面白いお店ってことを基準にしている。
――また行きたくなるって思うお店ってないんですか?
SHO ほとんどないね。あるとすれば居心地がいい店かな。味よりも肩肘張らずにくつろげて、店員さんとフレンドリーに過ごせるようなお店。高級なお店であればあるほど、また行きたいとはならない。
――ポイントは味じゃないんですね。
SHO 重視してるのは「空間」「接客」「誰と行くか」。
味で得られるものは感動と経験だから1回で十分。むしろ2回目以降はどんどん感動が目減りしていくからもったいない。空間とか接客のよさはリラックスが繋がってる居心地のよさ、楽しさは何回あってもいいから自然とまた行きたいと思える。
あと、夜の食事は内省の時間でもある。俺は誰かに言われたことで影響を受けることはほぼないんだけど、仲間や誰かに話すことで自分のなかにある考えがまとまっていくっていうのはあるから、夜の会食を通して内省・内観をしていく。
――話すことで考えがまとまるっていうのは大いに共感できます。盛り上がって朝までいく感じですか?
SHO 俺、仲いい人との少人数の場合以外は二次会は断る。大人数で行けば行くほど多数派の意見や空気に流されやすくなって、本質を見失うから。
だからこの日だと23時解散でホテル戻って、1時くらいには寝てる。
――思いのほか健全。これまでの話からSHOさんの生活を想像すると、もっと尖ってる感じなのかと思ってました。
ランチの選び方とかマッサージとか、かなりストイックに健康とかケアに時間を使ってるんですね。
SHO 意識はしてないけど、自然とそうなってる部分はあるかもしれないね。
もちろんケアを大事にはしてるけど、居心地がいいところで仕事をしようと思ったら自然とそうなってた感じだね。
――1時に寝て、11時起床ってことはだいたい10時間睡眠なわけですが、それもまた意外でした。
SHO 俺はめっちゃ寝る。睡眠時間は大事にしたほうがいいと思う。
ナポレオンを始めとして偉人とか成功者の人はショートスリーパーだったって言うけど、それは彼らがやることが多くて働かないといけないから、必然的に睡眠時間を短くせざるを得なかったっていう側面もあると思う。
俺だってサラリーマン時代は2、3時間睡眠で週3徹夜とかで働いてた。そういう状況じゃなければ寝たほうがいい。
睡眠時間の長さと仕事できるできないは別の話でさ、これは日本社会が「働け働け」ってやってきた洗脳でもあると思う。
でも時代には合わないよね。オーストラリアにプロサーファーの知り合いがいるんだけど、農家を週3くらいで手伝うだけで年収600万あるみたいだし。
海外と比べて、日本の生産性ってめちゃくちゃ悪いと思うよ。
――少し前ですが、日本から海外への出稼ぎ労働が話題になってましたね。
SHO 働く時間が短ければいい、長ければいいって話じゃなくて、「長い=頑張っている」みたいな固定観念とか常識とかを外して、本質的に考えてみてくださいねってことを言いたい。
――時間内にきっちり仕事をこなすことも、頑張りや優秀さの指標ってことですよね。全くその通りだと思います。
SHO だって、パフォーマンスが高い状態・気持ちいい状態で集中的に成果を出すほうがいいじゃん。
だから10時間寝る。毎朝「(体調が)ばっちりだ!」って目覚めるから風邪とか全く引かないしね(笑)
失くしモノは探さない
――SHOさんは世界中あちこち移動してるので、移動時間もめちゃくちゃ多いと思うんですが、そのへんってどう対処してるんですか?
SHO 無駄な時間をいかに排除するかっていうのはポイントだね。
無駄な時間っていうのは大きく3つ。移動時間と待ち時間と探す時間。
――通勤しなきゃいけない身としては気になる部分ですね。
SHO 俺の場合、移動時間を排除するためのホテル暮らしでもある。家がないことで現在地から目的地をダイレクトに結んだ一直線の行動ができるようになるから。
たとえば、東京に住んでいて沖縄から北海道に行こうと思ったとするじゃん。普通は1回東京の家に帰ろうと思うよね?
――そうですね。コートとか必要ですし。
SHO まずそんなものなくていい。家に戻らないといけないっていうのが固定観念。必要なら現地で買えばいいじゃん。
固定観念もそうだし、物質的なものもそうだけど、捨てるっていうことが自由への第1歩なんだよ。俺は家がリュックだけだから。
――(いきなりあんま参考にならねえ…そう簡単に家は失くせないって…)
SHO あとは待ち時間もめっちゃもったいないよね。
だから俺は待たなくていいような準備をしておく。
――つまり、予約的な話ですか?
SHO そう。たとえば新幹線って何で取ってる?
――窓口とか、スマホとかですかね。
SHO スマホってことはエクスプレス予約だよね。のぞみの7号車ってエクスプレス予約でしか取れないの知ってる?
――え、そうなんですか。
SHO 窓口じゃ取れない。だからこの前の台風のときは窓口では長蛇の列ができてるのに、7号車だけはけっこう空いたりしてた。
「のぞみ」の7号車は一部期間を除き、ビジネスパーソン向けの「S Work車両」として設定されている。
エクスプレス予約・スマート予約からのみ利用可能だ。
――知らなかったです。でも、どうしても待ち時間が生まれることってありますよね?
SHO だから待たないための準備と同じように待ち時間を有意義に過ごすための準備も重要になってくる。
たとえば空港ってラウンジがいくつもあって、ドリンクが飲み放題でそれぞれの国の食べ物が楽しめたりもする。ネット環境も整ってるから快適に過ごすことができる。
航空会社のラウンジは年間50回とかたくさん乗る上級会員だけが使えるものだったりするからハードルは高いけど、クレジットカードのゴールド会員だったらなんとかなる人もけっこういるはず。
――特典とか一切気にしたことなかったですけど、けっこう僕みたいな人は多そうだな。
SHO あとは現代人が抱えるストレスで顕著なのは、ネットが繋がらないこと。
俺はNetflixもHuluもDisney+も動画サブスクは全部入ってるけど、事前にめちゃくちゃダウンロードしておく。
ちなみに今は「わたしの幸せな結婚」にめちゃくちゃハマってる(笑)
――意外だ(笑) アニメとか観るんですね。
「わたしの幸せ結婚」
2019年より刊行されている顎木あくみ著、月岡月穂イラストによる小説『わたしの幸せな結婚』は、シリーズ累計発行部数700万部を突破(2023年3月現在/コミック・電子を含む)。高坂りとによるコミカライズも、1位を獲得した「全国書店員が選んだおすすめコミック2021」を始め、数多のランキングを席巻している。また今年3月には、今をときめく俳優陣により実写映画化され、さらに熱い視線が注がれることとなった。(公式サイトより引用)
アニメは絶賛放送中! Netflixなどで観ることができる。
――たしかにダウンロードしておけば、手持無沙汰にならずにすみますね。
SHO ダウンロードがおすすめ、みたいな小さい話がしたいわけじゃなくて、どういうときに待ち時間が生まれるかを予測して、今あるものと今できることでどうやったらストレスフリーかつ有意義に過ごせるかってことを考えて準備するのが大事なんだよ。
――かなり入念に先読みして備えてるんですね。(これは実践できそう!!)
SHO 俺は未来のためなら今を死ぬほど努力できる。
けっきょく全部投資なんだよね。俺が今やってることっていうのは。
――最後の探す時間っていうのは…?
SHO 何かを探す時間って思ってるよりも無駄に取られる時間だし、ストレスが掛かる時間なんだよね。
財布とかスマホだったら探す時間もかかるし、取りに行くのにも時間がかかって、生まれるコストが大きすぎるんだよ。
俺も10回以上は携帯失くしてるんだけどさ、もう探さない。どこにあるかが明確なら取りに行くけど、どこで失くしたか分かんないんだったら新しいのを買いに行っちゃう。どうせ見つかることも多いし。
――10回失くすのも相当だけど、そのたびに買い換えてるんですか…。
SHO 常に最新機種を使ってるから、失くしてもあとで見つかったときに売ったら、買った値段にかなり近い金額で売ることができる。
でも、みんな探そうとしちゃうからもったいない。本質的な考え方をすると、見えてくるものが変わってくるはず。
出てきて売ったときの差額と、探すストレス・ないストレス・動けない時間・不便さを考慮したときに、どっちの価値が高いかって判断ができるようになる。
――一見すると乱暴だけど、分かる気がします。
実際、僕も最近イヤホンを失くしたんですが、色々予定が詰まってたこともあってすぐ探すのやめて諦めました。
SHO いいじゃんいいじゃん。そういうこと。
もしそうなったときに俺のこの話を思い出してもらえたら、次からはもっと気持ちよく諦められるよ。出てくるときは出てくるし。
タイムフリーを手に入れるために
――読者の99%はネオホームレス的な生活なんてできないわけですが、こうやって話を伺っていくと所々に参考になるピースが散りばめられているような気がします。
SHO 読者の参考になるような部分だと、効率的な時間運用のために俺がやってよかったと思う「4つの持たない」があるよ。
まず「家を持たない」。これはもう話した通り、移動時間と掃除とかの雑務に掛かる時間をカットするため。
次に「荷物を持たない」。不必要な荷物がなければ移動のフットワークも軽くなるし、そもそも失くしモノをするリスクが減るから探す時間をカットできる。
あとは「日常作業を持たない」。俺は脱毛やICLをやっていて、日常で生じる雑事をよりシンプルにすることで、それに費やされる時間を短くできるし、考えもよりシンプルに本質的になってくると思う。
それと「情報を持たない」。これは情報を得るための窓口を不必要に持たないってこと。凡庸な情報に踊らされることも無駄な時間だから。なので価値のある一流の情報を持っている人たちを探して、そういう人たちとの人脈を築いていくことが大事だね。
――まさに捨てることが重要なんですね。
SHO 捨てることって、つまりこだわらないことだから。
今にこだわらないほうがいいっていうのが俺の考え方。自分が立ってる現在にこだわることで発想の自由が減るし、変化や進化がしづらくなる。
未来にこだわるからこそ、今にはこだわらない。
SHO お金より時間を重視すべきなんだよ。
よりよい時間を過ごすためにお金が必要だという意識をすると、いいお金の使い方ができるんじゃないかなって思う。
イヤなこと、苦手なことをお金で解消するっていうのもストレスフリーでいるためには大事。
——それを真正面から言える人ってあんまりいないですよ。「苦手なことからも逃げずに頑張れ」「人がやりたくないことも率先してやりましょう」って言われてきた人は多いと思います。
SHO そういう美徳も固定観念だよ。もちろん苦手なこと、イヤなことをやることでストレスフリーで幸せになれるなら、やったほうがいいと思う。
でも俺はそうじゃなかった。
まずは、自分の人生や幸せにとって一体何が最適なのかを考えて見極めていくことが必要だよね。
ここまで3回に渡り、ネオホームレス・SHOの金や時間、人生に関する哲学を語ってもらった。
全て読んだ読者なら、YoutubeやInstagramなどで見えてくる派手でやんちゃな経営者という顔とはまた違う、研ぎ澄まされた思考があることに気づいただろう。
話を聞いて感じたのは、一貫していること。
各回、全く違う独立したテーマを持ったインタビューながら語られる内容は必ずどこかで有機的に繋がっている。
もちろん全ての話が参考になるわけではない(生活が庶民とはかけ離れすぎている!)。
だが、僕らが見落としている本質に気づかせてくれるようなタイミングがきっとあったはずだ。
ネオホームレス・SHOの本質の探求はこれからも続く。
次回の衝撃も、心して待て!!
◆ネオホームレス・SHO/野口昌一路(のぐち・しょういちろう)
Instagram:@uribodayo
Youtube:https://www.youtube.com/@user-tu8hp6xp5n/featured
Twitter(X):@korekore_koume
ケムール編集部員。前は古着屋。潰れたソフトケースのなかにあるしわしわの煙草がすき。担当連載は「鳥居服装学院」「Talk at Fillers」「ネオホームレス-自由と稼ぎの流儀-」。
株式会社アクロスソリューションズ所属。
HP:https://www.acrossjapan.co.jp/