野尻抱介の「ぱられる・シンギュラリティ」第2回”焼肉の連鎖とバズる人類”

SF小説家・野尻抱介が、原始的な遊びを通して人類のテクノロジー史を辿り直す本連載。
前回は火打ち石を使った火起こしと、焼き石による食材の加熱を紹介しました。
人工知能や仮想現実などなど、先進技術を怖がらず、翻弄されず、つかず離れず「ぱられる=横並び」に生きていく。プレ・シンギュラリティ人類のたしなみを実践します。

▶今までの【ぱられる・シンギュラリティ】

1章 弓錐で火おこし

 シンギュラリティを洞察するとき、文明の原点である「火」を知ることは不可欠だ。前回は火打ち石で火をおこしたが、これはライターのひとつ前ぐらいにあったものだから、原点と言えるほど古くない。火打ち石による火おこしには硬い石と硬い金属、「ほくち」が必要だ。それなりに交易網が発達し、鉄や黄鉄鉱、硫黄などの鉱物が流通したうえで成立するテクノロジーである。
 あなたが無人島や無人惑星に漂着して一から文明をおこそうとするなら、「弓錐(ゆみぎり)」あたりが現実的だろう。今回はこれを作り、使うところから始めよう。

 弓錐はバイオリンの弓のようなものを使って錐(スピンドル)を高速回転させる器具だ。用意するものはナイフと靴紐ぐらいで、あとは現地調達できる。しかし材料には吟味が必要なので、まずはお店でそろえたほうがいいだろう。
弓錐による火おこしは火打ち石よりずっと難しい。スピンドルがうまく回らない、煙が出ない、煙が出ても炎にならない、などの失敗ポイントがある。なにごとにも言えることだが、まずはイージーモードで小さな成功を重ねてコツをつかもう。本格的なサバイバル火起こしを試みるのはそのあとでいい。

 これが火おこし用の弓錐一式になる。左下からスピンドル、二枚重ねた板がファイヤーボード、その右のかまぼこ板みたいなのがハンドピース。上の長いのが弓。
 スピンドルは直径2cmぐらいのまっすぐな丸棒を使う。今回はホームセンターで売られている丸棒を使った。現地調達するなら、できるだけまっすぐな枝を選び、さらにナイフで削るなどして整える必要がある。


 スピンドルの下端は摩擦材を差し込むため、直径1cm、深さ3cmぐらいの穴を掘る。穴はドリルで開けたが、プリミティブにやるなら燃える炭のかけらを木口に置いて、根気よく焼きながら掘る方法がある。ナイフで削るなら、穴ではなく  ピンセットのような形に削って摩擦材をはさみ、上からたこ糸でぐるぐる巻きにしてもいいだろう。
 摩擦材は直径1cm、長さ5~10cmぐらいの棒で、アジサイやセイタカアワダチソウの茎、ウツギの枝などが適している。スピンドルをそのまま摩擦してもいいが、成功率は低くなる。スピンドルの要件と摩擦材の要件が両立しにくいからだ。
 摩擦材に適するのは密度が低めで断熱性の高いものがいいようだ。今回は川岸にいくらでも生えているセイタカアワダチソウを使った。なるべく太い茎を選び、10月頃に刈って一か月ほど乾燥させた。スピンドルの穴に差し込んでみて、きつかったらナイフで削る。ゆるければ木の葉などを巻いて隙間を埋める。

 スピンドルの上端はハンドピースで押さえる。スピンドル下端の摩擦材はファイヤーボードで受ける。このふたつは杉板が適している。ファイヤーボードとハンドピースはナイフの先でぐりぐりやって窪みをつけ、軸受けとする。スピンドルのハンドピース側は尖らせて摩擦を減らす。油を染みこませてもよい。
 弓は竹や木の枝などで簡単に作れる。今回は杉の枝を使った。これにパラコードなどの丈夫な紐を張る。テンションは使いながら調節しよう。
 このほか、着火材として麻紐をほぐした繊維、乾燥した落ち葉、小枝を用意した。
 スピンドルに弓の弦を一回巻き、ハンドピースとファイヤーボードではさむ。ファイヤーボードを足で踏んで押さえ、弓を前後に動かしてスピンドルを回転させる。


 スピンドルが安定して回転するようになったら、いちど止めて、ファイヤーボードの窪みに切り欠きを作る。


 この切り欠きは重要で、炭の粉を窪みの外に移動させ、新鮮な空気にさらす役割を担う。切り欠きは窪みの中央に達するようにする。切り欠きが狭すぎると効果が弱い。大きすぎるとスピンドルが逸脱する。写真を参考にほどよい大きさをつかもう。
 スピンドルを回転させ、煙が出て、炭の粉が切り欠きに溜まったら、弓とスピンドルを脇に置き、息を吹きかけたりうちわで扇いだりして酸素を供給する。この送風は強すぎると火種を吹き飛ばしたり、温度を下げて消火してしまう。弱すぎると酸素不足で消えてしまう。息を吹きかけるなら「ふーっ」ではなく「ほー…」ぐらいの穏やかさだ。
 可燃物と酸素が結合すると熱を放つ。何兆もの原子・分子が結合して熱を放つと、赤く光る熾火になる。熾火が見えたら着火材(今回は麻紐をほぐした繊維)の上に落とし、さらに風を送る。濃い白煙が出始めたらゴールは近い。この白煙は引火性のガスで、空気中の遊離酸素と簡単に結合する。すると一気に燃え上がって炎になる。あとはいつもどおりの焚き火だ。小枝から始めて徐々に太い薪をくべ、燃焼を持続させよう。

2章 火縄式グライダー時限落下装置

 かくしてプリミティブな方法で火をおこしたわけだが、そのたびに摩擦材やファイヤーボードを消耗するし、体力もそれなりに使う。コストのかかるものだから、いちどおこした火は維持したいものだ。
 焚き火をして火の利用が終わったとき、完全に消火せず、砂をかけるなどして燃焼を維持することがある。空気の流入を絞って炭火の状態で燃焼を維持する方法だ。炭火の場合、気化したガスではなく固体表面の炭素が酸素と結びついて燃焼するので反応がゆっくりしている。つまり燃料を無駄にしない。
 火を維持する装置として、火縄というものがある。火縄銃の火縄だ。近代的な銃弾は雷管に撃針を刺すだけで発火するが、それ以前は火打ち石や火縄で着火していた。
 昔の船乗りや漁師は上甲板に長い火縄をぶらさげておき、煙草を吸いたくなったら火縄を煙管に押し当てて着火したという。火縄はゆっくり燃えることに加えて、強風下でも火が消えにくいことが特長だ。
 火縄のゆっくりした燃焼はタイマーとしても使える。私は模型グライダーに火縄式タイマーをとりつけて使っている。この写真で機首についている白い紐が火縄だ。


 このタイプの機体を「フリーフライト・ハンドランチ・グライダー(FF HLG)」と呼ぶ。ラジコンではなく、投げたら風まかせに飛んでいくので、広い場所が必要になる。ハンドランチとは手投げで発航させるグライダーのことで、カタパルトや曳航索を使うものと区別する。
 FF HLGは一見子供のおもちゃのように見えるが、競技用のものは大人が本気を出して取り組むもので、たいへん奥深い。その飛行は見事で、サイレント・マジックと形容される。
 FF HLGはしばしばサーマル(熱上昇気流)に乗って見えないところまで飛んでいく。FF界の言葉で「上空視界没」というやつだ。誰かがひろって機体に書いた電話番号にかけてくれない限り、回収できないことが多い。次の動画はFF HLGを投げて視界没になるまでを撮影したものだ。旋回上昇する機体と青空が美しく撮れているが、途中から機体を追うほうに気をとられて撮影がおろそかになっていることをお断りしておく。

 機体の喪失を防ぐため、競技用のFF HLGはデサマライザー(飛行中断装置)を備えている。時間がきたら故意に機体のバランスを崩し、安全に落下させる装置だ。
 競技では滞空時間を競うのだが、上限を決めて何ラウンドも飛ばす。「1分Max7ラウンド」なら1分以上滞空すれば60秒と記録する。それを7ラウンド繰り返して合計タイムで勝敗を決める。滞空時間が1分経過したらデサマライザーを作動させて飛行を中断できるので、機体をなくさずにすむ。
 デサマライザーのタイマーには電子式、ぜんまい、ロータリーダンパー、そして火縄がある。火縄は最も古くて素朴なものだ。私はロータリーダンパーを使うことが多いが、温故知新のたしなみとして火縄式を作ってみた。


 火縄はアルミニウムの筒に差し込んで輪ゴムでとめる。この筒は火縄落下防止装置といい、飛行中に火縄が落ちて火事の原因にならないよう、取り付けがルール化されている。
 火縄が燃え進むと輪ゴムが焼き切れ、反対側にとめてあったオモリが外れ、尾翼側にぶらさがる。

 次の動画はややわかりにくいが、飛行中にデサマライザーが作動してグライダーがバランスを崩し、きりもみ状に落下する様子をとらえている。サーマルにつかまったグライダーは、こうして喪失をまぬがれる。

 さて、火縄の作り方だが、別にむずかしくない。硝酸カリウムの水溶液をつくり、紐に染みこませるだけだ。硝酸カリウムは肥料として市販されているものをネット通販で購入した。
ベイルート港の大爆発を引き起こしたのは倉庫に積み上げられた硝酸アンモニウムで、硝酸カリウムはそれよりずっとおとなしい物質だ。肥料のほか食肉の発色剤にも使われる。硝酸は糞尿の堆積に析出するので、昔は便所や肥だめの周辺から採取した。
 これを水に溶かし、麻や木綿の紐に染みこませると火縄になる。硝酸は酸化物で、熱すると酸素が分離する。うちわで風を送るのと同じことを燃料自身がやってくれるわけだ。
硝酸は化学燃料ロケットの酸化剤に使われることもある。ロケットが真空中でも燃焼が維持できるのは酸素を自分で抱えていくからだ。
 ラリー・ニーヴンのSF、ノウンスペース・シリーズにロケット樹というものがでてくる。木の幹が固体燃料ロケットになっていて、宇宙空間まで飛び出して繁殖する植物だ。ぶっとんだアイデアだが、肥料や食品添加物になることからわかるとおり、硝酸は生物にフレンドリーなので、それをたくわえる植物には一定のリアリティがある。
 植物が火を利用するなんて荒唐無稽な、と思うかもしれないが、オーストラリアにはバンクシアという山火事を利用する植物が実在する。バンクシアの種子は硬い殻に包まれていて、山火事の熱がないと開かない。山火事の後は焼き畑状態で競合する植物がいないので、一気に成長できるという繁殖戦略だ。進化はこんな込み入ったシステムを発明するので、ロケット樹ぐらいなら作れそうだ。

 硝酸カリウム溶液だが、溶解度は水温で大きく変化する。水温が高いほどたくさん溶かせる。はじめてのときは80℃のお湯で湯煎して、飽和するまで硝酸カリウムを溶かした。それから冷ますと、溶液中に抱えきれなくなった硝酸が析出して水中にもやもやした結晶が現れた。理科の実験でおなじことをした人もいるだろう。


 溶液に直径3mmくらいの紐を浸して一晩おき、乾燥させる。このとき物干し竿にぶらさげるような干しかただと硝酸の濃度にムラができるので、ビニールシートを敷いた上にひらたく置くのがコツだ。

 最初に作った火縄は、硝酸が濃すぎたので、一気に燃えてしまった。

 その後、硝酸溶液の濃度を調節して、ちょうどいい燃焼速度が得られるようになった。これを適切な長さに切っておく。
 火縄デサマライザーを使うときはピンセット、ライター、携帯灰皿を携えていく。ちょっと喫煙具のような感じだ。

 火の話と無関係ではないので、サーマルについて述べておこう。
 サーマルは地面が太陽輻射で熱せられたとき、温度のむらから発生する。乾いた土の地面は草地より早く温度が上がるので、その上の空気は膨張して透明な熱気球のように浮き上がる。私のフィールドでは10時から11時頃によく発生する。午後になると地面が均一に熱せられるせいか、サーマルは少なくなる。(第1回でふれた「宇宙の熱的死」を思いだしてほしい。利用できる熱エネルギーは温度そのものではなく、温度の差から生じる)
 実機でも模型でも、グライダーはサーマルや斜面上昇気流を利用して長時間・長距離を飛ぶ。実機は日本国内でも数百キロメートル飛ぶことがある。
 FF HLGの上空視界没は対策しなければ日常的に発生するが、知らない人が見るとびっくりする。目の前の空間にこんな上昇気流があることなど普通の人は知らないし、気づけないからだ。
 風で紙くずやレジ袋が飛んでいくところならよく見かけるだろう。それはおおむね横方向の動きだ。
 サーマルは上下の動きで、風のないときほど顕著になる。つむじ風のような旋回流になることもある。
 サーマルを可視化するには空気といっしょに動く軽量のマーカーを使う。焚き火の煙はサーマルがなくても上昇するので使えない。発煙筒は人騒がせなので使えない。FF競技ではしゃぼん玉、ほぐしたガマの穂、農業用のマイラーテープを使ったストリーマーなどを使う。敏感な電子温度計で気温の変化を観察する人もいる。
 グライダーは旋回しながらゆっくり降下するので、これ自体がマーカーになる。フリーフライト機の醍醐味とは、空に探針を刺して見えない流れをさぐり、乗りこなすことにある。
 サーマルに限らず、人間の五感で知覚できないものは身の回りにたくさんある。赤外線や紫外線、放射線、電磁波、超音波、ニュートリノ、重力波などだ。これらを検出し可視化することで、人間はこの宇宙を理解しようとしてきた。シンギュラリティ後の人類――もしくはそれに代わる知的存在――は、こうしたものを五感の延長として直接知覚するようになるかもしれない。

3章 因果はめぐる連鎖の炎

 弓錐で火をおこし、火縄つきグライダーを飛ばしていたら日が暮れた。七輪にとっておいた火で肉を焼いて一杯やろうではないか。
 七輪の煙をあびながら、ぼんやり考える。焼いた肉はなぜうまいのだろう?
 肉を加熱調理することで人類は病気を逃れ、よく発育し、勢力を拡大した。焼いた肉を好み、積極的に食べた者は生存に有利に働いた。その結果、焼いた肉を美味だと感じる人間が選択され、多数派となった。たぶんそういうことだろう。ユヴァル・ノア・ハラリが言いそうなことを言ってみた。


 シマチョウなどのホルモンを焼くと脂が落ちて燃料になり、さらに燃え上がる。すでに見てきたとおり、燃焼は連鎖反応の典型だ。
 燃焼は可燃物、熱、酸素の三要素がそろうと始まる。燃焼によって熱が放出されると周囲の可燃物が熱せられて反応を高める。熱は周囲の空気を対流させて酸素の供給量を増やす。こうして火は自分自身を雪だるま式に拡大していく。この循環を正のフィードバックという。正のフィードバックは現象がエスカレートする方向に働くので不安定な系になることが多い。
 フィードバック(feedback)とは文字通り「後ろ向きの供給」という意味で、結果の一部が原因に還流することだ。
 マイクでひろった声を近くのスピーカーから流すと、ハウリングが起きる。マイクに入った音が原因で、スピーカーから出た音が結果だ。原因と結果を結ぶのは電子回路で、途中にアンプによる増幅が介在している。ハウリングを止めるために、マイクをスピーカーから遠ざければ原因が小さくなる。アンプのボリュームを絞れば結果が小さくなる。
 このように身の回りのさまざまな現象を「原因」と「結果」に分けて、両者を結ぶ情報や物質、エネルギーの流れを見極めていくと、理解が進んで面白い。

 連鎖反応とは、コンピューター・プログラムでいうループ構文を物理的に作ったようなものだ。単純な無限ループもあれば、終了条件を備えたものもある。火の場合、燃焼条件が成立しなくなるとループを抜ける。C言語風に書くとこんな感じだ。(もっと短く書けるし、ループ文などやめてイテレータを使えという意見もあるだろう)

while(燃焼条件==true) {
  燃焼条件=燃焼(&温度、&燃料、&酸素);
}

 七輪も連鎖反応をつくり出す物理装置だ。円筒の底に空気取り入れ口がある。送風ファンなどついてないが、火が燃えるとサーマルが発生して筒内の空気が上に動き、底から空気を吸い込む。それが正のフィードバックになって燃焼が進む。チムニー効果というやつだ。
 空気の入り口にはスライド式の扉があって、これを開閉することで燃焼を調節できる。扉の開閉は自動的ではないが、人間が制御ループに組み込まれていると考えればいいだろう。この場合、人間は負のフィードバックをおこなって燃焼を安定させる働きを担う。七輪の火や焚き火を細く長く維持するには負のフィードバックが必要で、普通は人間が定期的に制御する。
 おさらいすると、本稿で火を長く維持するのに使ったアイテムは、炭、火縄、人間、となる。
 私はときどき、人間とはこの宇宙を制御するための部品であり、機械を製作し、整備するために存在しているサブシステムなのだと感じることがある。もちろん人間にそのような出自はなく、成り行きまかせに進化してきただけだ。しかし手入れする人がいなくなるとたちまち朽ち始める機械や建物を見ると、ついそう思ってしまう。もしかするとシンギュラリティ後は、人間が作ったのではない機械が文明の主役になり、人間はそのメンテナンスを担うことで共生する世界になるかもしれない。

 火の連鎖反応は危険だが、エキサイティングだ。ライターの小さな火が大火事になるように、小さな原因から大きな結果を作れる。子供が火遊びに夢中になるのは、そのパワードスーツのような働きを目の当たりにするからだろう。
 火の連鎖反応は古代人に加熱調理のほか、鉄器や陶器をもたらした。蒸気機関が現れると熱から動力への転換が実現し、産業革命を引き起こした。今日の多くの化学製品、ガソリンエンジンや原子炉、通常爆弾、核爆弾も連鎖反応を利用している。
 インターネットが普及してからは情報の連鎖反応が我々の日常になった。Twitterでバズるのはリツイートが連鎖するからだ。新型コロナウイルスのパンデミックはどうだろう? ウイルス感染で動く物質はごく微量なので、これも情報の連鎖反応とみなせるだろうか。
 人類版図もウイルスのように拡大していく。すでに地球全土に満ちており、宇宙へと拡大しつつある。
我々がシンギュラリティを迎えて、生命活動のデジタル情報化(第1回参照)が実現すれば、この連鎖は劇的に拡大するだろう。
 デジタル情報化した人類はリツイートで増えて拡散する。
 ひとたび人類がバズり始めたら、到達可能な宇宙全体に拡がらない理由はない。デジタル情報化人類は無限にコピーでき、無限の命を持ち、光速度で移動できるのだから。地域社会にとどまってのどかに暮らす人が多数派だとしても、未知の地平をめざす冒険者は必ずいるだろう。
 そしてこの可能性は、あるイタリア人物理学者による重大な問題提起に結びつくのだが――これは回を改めて語ろう。


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野尻抱介の「ぱられる・シンギュラリティ」第一回野尻抱介

SF作家、Maker、ニコニコ技術部員。1961年生まれ。三重県津市在住。計測制御・CADのプログラマー、ゲームデザイナーをへて専業作家になったが、現在は狩猟を通して自給自足を模索する兼業作家。『ふわふわの泉』『太陽の簒奪者』『沈黙のフライバイ』『南極点のピアピア動画』ほかで星雲賞7回受賞。宇宙作家クラブ会員。第一種銃猟免許、わな猟免許所持、第三級アマチュア無線技師。JQ2OYC。Twitter ID @nojiri_h

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