第20回 油絵作家・柳澤さんの怪獣愛が生命(いのち)を産む!

普段は油絵でリアルな質感を表現している柳澤 樹(やなぎさわ いつき)さんに、怪獣フィギュア好きにはたまらない怪獣ライターケースを制作していただきました。
つい質感の違いを触って確かめたくなっちゃうかも…?

面白質感のkawaiiケースができるまで

ライター「クレーターネオ」ぴったりサイズのABS製デコ用ライターケースが、ザラザラ&ツルツルの怪獣ケースになるまでの工程とは…

樹脂粘土と砂の異素材タッグがケースを埋め尽くす

泥遊びをする無邪気な子どものように手を真っ黒にしながら、樹脂粘土と黒い「アクリルガッシュ」絵の具を混ぜてケースに貼り付ける柳澤さん。

手で形を作っていくのは未知のものと遭遇するような冒険に近い感覚なのだそう。

さらに目玉、鱗、ツノ、爪、しっぽといった、怪獣を連想させるパーツを順に組み合わせていくとケース表面が立体的に!
目玉のパーツは表面をつるっとさせたり、ツノのパーツは筋を入れて硬さを表現するなど、細部まで質感へのこだわりが感じられて素敵!!

ここで下地剤の「ジェッソ」と「ネオマチエール」という細かい砂を混ぜ、粘土の下地が見えている部分に塗り重ねたらザラザラ&ツルツルの怪獣ケースはもうすぐそこに!

塗った直後はデコボコしていた表面もペインティングナイフや手で表面を丁寧にならしていくと舗装された歩道のように真っ平らに!全体の形が仕上がったら乾燥させます。

色を塗ることで魂の宿った生物に…

着色はツノ、鱗、目玉、と上部パーツから下へと順々に塗っていきます。

原色を塗ってはまた別の原色を塗り重ね、何度も塗り重ねることで絶妙なグラデーションに…しっぽのパーツは色の層が5、6層にもなりました。

パーツによって色味の違いを出しているのも印象的。
ツノの部分はパール系の光沢がある白でキラキラ、目玉のパーツ付近は発光しているように見せるため胴体や砂の下地の部分を光に影響を受けた配色にしたそうです。

仕上げにつや出しニスとつや消しニスを使い、ツヤツヤとマットに塗り分けながら二度、三度と念入りに塗り上げると…

形作りに約10時間、色塗りに約10時間、ニス塗りに約15分で、合計20時間強の大作が完成!!

見たこともないけれど、想像できる質感を表現したい

──物作りをする上で、大切にしていることはありますか?

つねに遊ぶように創作することと、ものに触れたり質感をひたすら追求したりしながら感覚で楽しむことを大切にしています。

受験や学校の課題では理由づけが大事なので、難しいことを考えなければならない時もありますが、結果創作していて楽しいのが一番です。好きなことを深掘りして、自分についてもっと知ることが大事だと思います。

──鱗の作品が代表的ですが、どうして鱗の作品を作り始めたのでしょうか?

爬虫類カフェで初めてヘビに触れたときに、鱗はそこまで硬くなくて、生き物の温かさはあるけれどひんやり湿っぽかったんです。それまで思い描いていた質感とのギャップが衝撃的で、そこから鱗を作品のモチーフにし始めました。

──ここまで質感を重視している作品は珍しいですよね。質感にこだわりのある作品を作るようになった理由も教えてください!

幼い頃からものづくりや泥遊び、絵を描くことなどと、特撮のウルトラマンや怪獣が好きでした。

高校1年生の時に美術と出会い、ウルトラマンなどの制作側に興味を持ち始めました。

怪獣や宇宙人は実在しないので、柔らかさ、重さ、温度などは全部フィクションです。それなのに「岩みたいな肌」というように、それぞれの記憶や経験から質感を勝手に想像で補えるのは面白いことです。

存在しないものに対して自分が想像した質感が、誰かと同じことはあり得ませんし、それを他人とは共有できません。

掘り下げてみると、自分が怪獣を好きなのは表面のゴツゴツした感じや、未知の質感に惹かれているのではないかということに気づきました。そこから、見たこともないけれど想像できる質感を、作品で表現したいと考えるようになりました。

ちなみに、爬虫類は怪獣のモデルになっているところと質感が好きです。

作品イメージと、制作してみた感想

──完成したライターケースのイメージを教えてください!

テーマは「怪獣」です。絵と同じでオリジナルの質感を作り出したいと考えて、思うがままに制作しました。パーツの多さとそれぞれの質感により盛りだくさんの仕上がりになりました。

ケースの形に沿うようにパーツを配置したので、樹脂粘土独特の弾力と軽さで壊れづらいと思います。出っ張っているのはツノくらい。

パーツは多いものの、色などで見た目の派手さをカバーできましたし、持ちやすくて機能的、かつスリムなシルエットできれいにまとまりました。

あとはわかりやすくパーツを「ツノ」「目玉」などと呼びましたが、どれも自分がイメージしたフィクションで、「絶対にツノだ」とは言い切れません。ツノに見えても実在しない存在なので、景色、植物、雲などそれ以外のものとして捉えられてもいいと考えています。

──こだわったポイントも教えていただけますか?

質感と色です。パーツごとに質感の差を出せましたし、グラデーションにもこだわりました。

樹脂粘土を使ってみたら、特撮の怪獣の着ぐるみのようなソフビ(ソフト塩化ビニール)っぽさが出せて、いい意味で手作りらしい質感を作り込めました。自分が想像した質感を趣味全開で再現して、そのなかでクオリティを上げていけたと感じています。

また形も可愛くできて気に入っています。しっぽのパーツは筋肉質で中身がありそうな感じを意識しました。ほかにもよく見ると、ツノになりかけている恐竜の背びれのようなコブもついています。

──作ってみた感想は?

実際に手で触って作り出せるのが面白かったです。立体に挑戦してみたら、表現したいものが具現化したような感覚があってワクワクしました!

樹脂粘土は面白い素材だったので、今後も作品制作に使ってみたいです。

色塗りは日頃から絵画を描いている分、納得がいくまで塗り重ねられましたし、色彩も含めて上手く仕上げられました。立体に絵を描く感覚は今までになかったので、楽しかったです。

──大変だったところはありますか?

絵だと現実ではあり得ないような形や配置が可能で、影を描き込めば見栄えがかっこよくなるといった工夫ができますが、立体だと物理的に影ができてしまいます。そのため、どうすればかっこよく見せられるかを考えながら形を作り込むのは難しかったです。

ケースが小さいため、片面を作っているうちに裏側の形が崩れてしまうことがあって苦戦しました。表面の形を作ってから、なめらかに整えたり、樹脂粘土が手にくっついてポロポロ落ちてくるのをはがしながら作ったりするのも大変でした。

素材の扱いには慣れておらず、形を作るのがなかなか思い通りにいかなかったので、いずれは立体の精度を完璧にしたいです。

色塗りについては、グラデーションを作るのと、樹脂粘土に色を塗る作業に慣れるまでが大変でした。

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【柳澤さんからの一言コメント】

怪獣のような変わった質感が好きな方、質感を面白がってくださる方に使っていただきたいです。

良い作品になったので、タバコを吸わない方やライターを使わない方にも、オブジェや記念品として飾って楽しんでもらえたら嬉しいです。

※高温の場所に置いておくと、樹脂粘土が柔らかくなって変形してしまう可能性があります。そのため、炎天下の日に室内に置きっぱなしにすることなどは避けてください。

応募方法は、ケムールのTwitterアカウント(@kemur_tw)をフォローしたあと、該当のツイートをRTするだけ!

期間は1週間なので、ご応募はお早めに!

↓該当ツイートはこちら。

柳澤さんのプロフィール

柳澤 樹 Itsuki Yanagisawa
武蔵野美術大学造形学部油絵科 在学中

柳澤さんは特撮の怪獣の着ぐるみをソフビで作れる方や、怪獣模型の原型師の方から、作り方などのお話を伺いたいそうです。思い当たる方がいらっしゃいましたら、ぜひ柳澤さんにご連絡を♪

柳澤さんが参加している展示はこちら!↓

「誰も通らない廊下だけど…密かに藝(愛)が育まれているんだぜ展3」

開催日 – 2022年12月2日(金)~27日(火) 9:00~20:00
会場 – 文京シビックセンター地下1F吹き抜け周囲
入場料 – 無料
概要 – 湯島界隈で若手アーティスト支援事業を営む「藝を育むまち同好会」による作品展。

■展示会情報
https://www.city.bunkyo.lg.jp/bunka/gejutsu/bunka/artwall.html

■ライター紹介


多崎 ろぜTwitter

フリーランスのWebライター。美術系の大学に通っていたため、ものづくりをしている人の作業を見たり、話を聞いたりするのが好きです。学芸員資格保持。

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