版画家・北嶋勇佑さん
年が明けてしばらく経ちましたが、改めましてあけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年もこの企画では、さまざまなアーティストにオリジナルのライターケースを作ってもらいたいと思います。
さて、2024年の1発目に登場いただくのは、版画家の北嶋勇佑さんです。肩書きこそ版画家ですが、北嶋さんは版画を使って1点モノの絵画作品をつくっています。そう聞いて、多くの方が、“ え、それってどういうこと? ”と頭に大きな?マークを浮かべたはず。ご安心ください。僕も最初はそう思いました。でも、制作方法を知れば、納得します。なるほど、これは確かに版画を使って作られた1点モノの絵画作品であると。
そんな唯一無二の技法で生み出される北嶋さんの作品は、カラフルでパワフル。見るだけで元気になれるその作風は、まさに新年を飾るのにピッタリです。
果たして、どんな唯一無二のライターケースが生まれたのでしょうか?
北嶋勇佑 -Kitajima Yusuke- – 版画家。東京都生まれ。武蔵野美術大学大学院版画コース修了。
「Art is Happy」をモットーに、”親しみのある作品”を心がけて1点モノの絵画作品を制作しています。
主なモチーフは動植物や日用品。モチーフ(本物)を目にした時に感じた強さ、怖さ、ユーモアなどをポジティブに解釈して、木版画とモノタイプ(1点刷り版画技法)をミックスした独自技法「木版モノタイプ」で、そこに見出した感興を摺り込みます。
Instagram:@yusuke_kitajima
■展示会情報
「北嶋勇佑 個展 – POWER OF ANIMALS –」
会期:2024年2月7日(水)~13日(火)
会場:松坂屋名古屋店本館8階アンテナプラス・アート
(〒460-8430 名古屋市中区栄三丁目16番1号)
詳細はこちら:https://www.matsuzakaya.co.jp/nagoya/garou/index.php
はじまりから完成まで
制作工程動画
版画ライターケースが完成
北嶋さんの制作方法を知っていたにも関わらず、冷静に考えたら、とんでもない無茶ぶりをしていたことに完成作を見て気が付きました。小さい作品を作るのには、しかも、曲面に対しては、困難を要する制作方法でしたね。この場を借りて申し訳ありませんでした!
しかし、さすがは北嶋さん。アーティスト魂に火が付いたのでしょう。その困難を見事に克服してくれました。
それと、素地となるライターケースを予備用の意味で2個送ったところ、2個とも作品にしてくれました。ちゃんと伝えておらず、申し訳ありませんでした!
ただ、それが高じて、北嶋さんの版画家人生における最小作品が出来ましたし、対作品として素敵な仕上がりでしたし、結果オーライということで。
ちなみに、モチーフの鳥は、ホトトギスとのことです。
「鳴かぬけど ライターに添う ホトトギス」
完成動画
おまけ
北嶋さんの唯一無二の作風がどのように生まれたのか。その意外な誕生秘話が語られました。いやぁ、人生って何が起こるかわからないものですね。いくつかの偶然が積み重ならなかったら、北嶋さんの作風は生まれてなかったわけで。そもそも、版画家にもなっていなかったかもしれないわけで。人生もまた、1点モノということですね。
インタビュー動画
アートテラー・とに~
1983年生まれ。千葉大学法経学部法学科卒。元吉本興業のお笑い芸人。
芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」に転向。
現在は、美術館での講演やアートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など幅広く活動している。
著書に『名画たちのホンネ』(三笠書房)、『東京のレトロ美術館』(エクスナレッジ)など。公式ブログ(アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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