#32 アーティスト犬飼将隆は、線を生み続ける。@点灯者たち -LIGHTERS in It’s a small Kawaii world-

この企画では株式会社ライテックの商品、「クレーターネオ」に合わせたライターケース作品と制作したアーティストをご紹介します。今回は一発描きで緻密な線を描画する「犬飼将隆」さん!

アーティスト・犬飼将隆さん

 早いもので今年もあとわずか。年末といえば、「M-1グランプリ」や「輝く!日本レコード大賞」など、さまざまなアワードも行われています。銀座画廊<美の起原>で毎年開催されている美の起原展もその一つ。プロアマ問わず、年齢制限も無し。既定のサイズ以内であり、壁に掛けられるものであれば、ジャンルは何でもありのアートのアワードです。203名・271作品の中から、今年は水彩画家のU-kuさんが3度目の正直で大賞に輝きました。
 そんな美の起原展の特別審査員を昨年より務めているのですが、僕が個人的にもっとも惹かれたのが、今年初めて美の起原展に出展したという犬飼将隆さんの作品でした。繊細な印象の作品ながらも、描かれた女性の秘めた強さのようなものも感じます。この実力はきっとベテランに違いない!…と思ったら、まだ20代の新星でした。今でこの実力なら、この先どんなに成長するのだろうか。そんな期待も込めて、「とに~賞」に選ばせて頂きました。美の起原展的には、とに~賞の副賞は「賞金1万円(美の起原での二人展へ招待)」なのですが、せっかくなので僕個人からは、こちらの企画へのゲスト出演権を贈ろうと思います。受賞後初作品、期待しています!

アーティストプロフィール

犬飼将隆 -Inukai Masataka- – 小学生の頃、細かな迷路を描くことに夢中になっていた事を思い出し、大学のドローイングの授業で何気なく迷路を描いた事がきっかけとなり、今の画風に繋がっている。
現在の作品は主に鉛筆で描いた人物(時に水彩で彩色)に、ペンによる装飾的な模様を加えて構成。
具体的なモデルはなく、その時々に生まれる瞬間的な動きの中にある美しさを具現化し、さらにその流れを意識し装飾的な模様を加えて作品を描いている。

Instagram@masa_inu_art

犬飼将隆さんの作品
銀座画廊<美の起原> 第二回とに〜賞受賞作品

■展示会情報
「端月譚 2024」
会期: 2024年1月6日(土)~21日(日) 月曜・火曜休 12:00~19:00
場所:みうらじろうギャラリー(〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町2-5 石倉ビル4F)
詳細はこちら:https://jiromiuragallery.com/

はじまりから完成まで

制作工程動画

線画ライターケースが完成

 犬飼さんの作品の特徴は何と言っても、画面全体を埋め尽くす流麗な線でしょう。その原点は、おそらく多くの人が子どもの頃に一度は書いたことがあろう迷路なのだとか。誰もが書いたであろう迷路が、犬飼さんの手にかかるとこんなにも芸術的になるのですね!
 普段の作品では、あくまで人物がメインで、線による装飾は引き立て役に徹して(?)いますが、今回のライターケースでは装飾が主役を務めています。犬飼さん曰く、「ケースの面によって変化してみえる線の流れを意識しました。あと、少し和を感じられるようなイメージで制作しました。」とのこと。確かに、北斎の波を彷彿とさせるところがあり、全体的に和の印象があります。あと、ライターケースなので、そこからの連想で煙のようにも思えてきました。
 ちなみに、完成品はもちろん素敵なのですが、線が引かれ続ける制作中の姿も素敵です。思わずボーっと見続けてしまいました。焚火の火を映し続ける動画と同じくらいのリラックス効果がありそうです。良かったら、犬飼さんにはこれからも制作中の動画をYouTubeに挙げて欲しいくらいです。

完成した線画ライターケース

完成動画

おまけ

今回のライターケースでは、線が主役でしたが、普段の犬飼さんの作品は人物が主役です。おまけのインタビューでは、そちらの話を掘り下げています。特に印象深かったのは、最も描くのが難しい身体のパーツについての話題。目が難しい、手が難しいというのは他の画家から聞いたことがありましたが、なるほど、あのパーツも難しかったとは!このインタビュー以来、人物画を観るたびに気にするようになりました。

インタビュー動画

著者
アートテラー・とに~アートテラー・とに~
1983年生まれ。千葉大学法経学部法学科卒。元吉本興業のお笑い芸人。
芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」に転向。
現在は、美術館での講演やアートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など幅広く活動している。
著書に『名画たちのホンネ』(三笠書房)、『東京のレトロ美術館』(エクスナレッジ)など。公式ブログ(アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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