第23回 アクセサリー作家・Koneru(コネル)さんが毒の深海へと引きずり込む!

普段から「ポリマークレイ」という粘土を毒のある作品に仕上げているKoneru(コネル)さんに、暗い深海に落ちて毒を帯びたようなライターケースを制作していただきました。

こちらをのぞく恐ろしげな生き物たちに、思わず固唾を飲んでしまう!?

毒いっぱいのkawaiiケースができるまで

クールな金属製のライター「DEVIN」用の、飲み込まれそうなほどに毒々しいケースができるまでの工程をご紹介します!

まるでレザー!?道具を使いこなし暗闇のケース制作

Koneruさんが使用する「ポリマークレイ」とは樹脂粘土の一種。「オーブン粘土」とも呼ばれ、こねて造形したあとオーブンで焼き上げることでプラスチックのような硬さになる粘土です。
(海外ではかなり認知度が高いみたい!私は初めて知りました!ちなみに今回使うポリマークレイは「FIMO(フィモ)」というメーカーのもの)

黒いクレイ(粘土)をクレイクラフトではお馴染みらしい「パスタマシン」で伸ばすと、革のようにペラペラに!楽しそう♪

定規のような「スライサー」で端をカットしたら、粘土の貼りつき防止&サイズ調整のために紙でDEVINを覆います。

紙の上からクレイを巻きつけて成形し、150度のオーブンで30分ほど焼くと、レザーの趣をのぞかせたケースの土台が完成!

暗闇のケースが毒を纏う

次に取り出したのは焼成後と焼成前の粘土同士をくっつけるときに使うFIMO専用の液体のり。何をするのかと思いきや焼成前のクレイをちぎりはじめ、土台表面にぺたぺた。ランダムな凹凸がケースに個性を宿します。

その後「テクスチャーシート(ラバーシート)」を押しつけると、暗闇に波模様が!!

続いて金太郎飴を作るように……金太郎飴!?

これは「ケイン」と呼ばれる、ポリマークレイならではの技法です。
いろんな色のクレイを三角、丸、四角に形成して組み合わせたり、また別の色のポリマークレイを巻きつけたりして円柱や四角柱を作ることによりできる断面模様が魅力的。

柱をカットすると現れる断面がまさに金太郎飴のよう!

これで目のパーツ、目の周囲に散りばめられた青い万華鏡のようなパーツをつくりケースの土台に貼り付けたら、本日のメインディッシュ!(※食べられません)

赤いクレイを先が細くなるようにこねこね、曲げ曲げ、これはタコ足!細かい吸盤のパーツもポツポツと並べていきます。
忠実に再現しすぎると見た目がグロテスクになって身につけづらくなるため、吸盤はあえて適度な間隔で配置しているそう。

吸盤のパーツの真んなかを竹串で軽く潰していくと、今にも動き出しそうなタコ足が姿を現しました!

吸盤のパーツと同様に、青や紫の細い円柱も細かくカット。
表側の瞳周りに青パーツ、波模様のある裏側は紫パーツで毒を持つ海中植物が光を放っているような仕上がりに。

最後にメタリック系の「アクリルガッシュ」絵の具で、ケースの表面を着彩。
Koneruさんはメタリック系の色が好きで、作品でも使用することが多いそう。

オーブンを150度に設定して30分ほど焼くと……!すぐにでも海に引きずり込まんとするタコ足と、こちらを捉えて離れない大きな目のケースが完成♡(制作時間は約9時間)

毒々しい作品を、生活のなかに楽しく取り入れてほしい

──物作りをする上で、大切にしていることはありますか?

作るのが好きなので、作りたいという気持ちを大切にしています。

アメリカなどではポリマークレイは有名ですが、日本ではまだあまり知られていません。そのため作品を販売することで、ポリマークレイを多くの方に知っていただけたらと思い制作に取り組んでいます。

また、新しいデザインのアクセサリーを作ったときは特に、購入してくださった方に長く使っていただけるように強度を確認しています。

──確かに今まで、ポリマークレイのことは知りませんでした。ポリマークレイの作品を作るようになった理由を教えてください!

ものづくりは昔から好きで、編み物をしていた母の影響で、小学生の頃からレース編みなどをしていました。

被服の勉強もしましたが、服はサイズなどの制限があります。一方、アクセサリーなら誰でも好きなものを自由に身につけられるため、アクセサリーで自分の主張をしようと考えました。

最初はビーズなどの既成パーツで作っていましたが表現に限界があったので、1から作りたいと考えていたときに、たまたまポリマークレイを知りました。

雑誌を読んでいたら、とんぼ玉やポリマークレイの紹介をしているページを見つけて。どちらとも挑戦してみたら、とんぼ玉制作よりも自分のペースで作れるポリマークレイ制作に魅力を感じ取り組むようになりました。

──ポリマークレイによる、どんな作品制作を得意としていらっしゃいますか?

コンセプトである「毒のある生活」を表現した立体作品を作るのが得意です。毒々しいなかにも、楽しさが共存する作品を作っています。誰しもが抱えているであろう毒を表に出してもいいと思ったのと、生活に楽しく毒を取り入れられたらと考えています。

ただ、意識して毒々しいものを作ろうとしたわけではなく、自分の感性で好きなように毒を吐き出してみたら、たまたま現在のような作風になりました。

──作品には、自然に自分らしさが反映されますよね。作品を作るときは、何かを参考にすることはありますか?

作品のイメージは寝起きに思いつくなど、作っているとき以外のタイミングで自分のなかから出てきます。

あとは神社の建物の彫刻や屋根、トイレの壁紙といった日常的に見るものから着想を得ることが多いです。実際にあるものを忠実に再現するというよりは空想上のものを作る感覚で、インスピレーションを受けて自分なりの形にしています。

──Koneruさんの作品を購入なさるのは、どのような方が多いですか?

派手な髪色の方やおしゃれな方、オタク系の方など、普通のものに飽きた方が多いです。

年齢は幅広く、男女比率としては女性が多いものの、男性も増えてきました。特にタコ足の作品は男性にも人気です。

作品イメージと、制作してみた感想

──完成したライターケースのイメージや、こだわったところを教えてください!

テーマは「深海」で、海っぽさや深海の暗さを表現しました。いつもの作品にもよく使う、タコ足や目などのモチーフをケースに落とし込みました。

タコはもともと好きな食べ物で、タコを食べているときに「耳からタコ足が生えていたら面白いな」と閃きました。それからタコ足のモチーフを作品に取り入れて、タコ足のピアスやイヤーカフなどを作っています。

目のモチーフも以前、寝起きに急に思いついて、目とタコ足のパーツを合わせてみたら新しい作品が出来上がりました。

今回も普段のテイストを崩さずに、小さいケースでどう表現するかにこだわって作りました。

──作ってみた感想は?大変だったところはありますか?

ライターケースを作るのは初めてだったので、どのようなデザインで作るか、機能的にどう作り込んだらいいのか勝手がわからずに悩みました。

難しかったですし、もう少し試行錯誤する時間があればよかったです。

作品イメージと、制作してみた感想

ボリューミーなタコ足や目のモチーフがkawaiiライターケースを、抽選で1名さまにプレゼント!

【Koneruさんからの一言コメント】

人と違うものが好きな人に使っていただけたら嬉しいです。

※ケースは上下にわかれています。DEVINからケースを外す際は、下のケースを外してから上のケースを外すとスムーズです。下のケースは底に開いている穴を押しながら外し、上のケースは中央を押しながら、蝶番付近などを押してゆっくりと外してください。

応募方法は、ケムールのTwitterアカウント(@kemur_tw)をフォローしたあと、該当のツイートをRTするだけ!

期間は1週間なので、ご応募はお早めに!

↓該当ツイートはこちら。

Koneruさんのプロフィール

Koneru コネル(Keiko Shinohara)
アクセサリー作家・ステッドラー認定FCC アクセサリーコースインストラクター

Koneruさんは、ポリマークレイの楽しさをたくさんの方に伝えたいとのことです。Koneruさんの作品をもっと見たい方は、ぜひSNSもチェックしてみてくださいね♪

Koneruさんが参加する展示はこちら!↓

2023年3月18日(土)〜4月8日(土) – Strong habiT / ららぽーと名古屋(委託)
2023年5月 2日(火)・3日(水) – HOW HOUSE ピックアップクリエイターズ / 日暮里駅
2023年5月20(土)・21日(日) – デザインフェスタ vol.57

■ライター紹介


多崎 ろぜTwitter

フリーランスのWebライター。美術系の大学に通っていたため、ものづくりをしている人の作業を見たり、話を聞いたりするのが好きです。学芸員資格保持。

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