プラ板(プラスチックの板)でジオラマやプラモデルを制作しているゆうすけ(U-suke)さんに、古びたサーフショップ風のライターケースを作っていただきました。
小人が建てたとしか思えない極小サイズのジオラマを、虫眼鏡で隅々まで覗き込みたくなる!
古い建物風のkawaiiDEVINができるまで
今回はクールな金属製のライター「DEVIN」の外側ケースに直接、装飾していただけることに!
おしゃれで精巧なサーフショップDEVINができるまでの工程とは……?
パーツ制作から目を凝らすような作業のオンパレード!
まずは黙々とパーツ作り。重ね合わせる予定のパーツのうち、土台となるプラ板をチョッパーでカット!
ケース上部に貼りつけるパーツは下部との段差をつけるために厚みを出します。プラ棒の骨組みの上に、デザインナイフで木目を彫った極細プラ板をペタリ(写真右)。
次にケースの下部に貼るプラ板にレンガの模様を彫っていくゆうすけさん。横長の線はチゼルと呼ばれる工具、縦の短い線はレンガの形が潰れないように細い彫刻刀の平刀を使うのだそう(写真左)。
続けて窓枠を作るために、方眼紙に描いた下書き通りにプラ棒を組み立てて固定(写真右)。隙間が空きづらいように卍型に組んでから接着剤を塗り、はみ出た部分を切ったら出来上がり!
小人のDIY!?色から汚れ・錆びまで忠実に再現
上部表面の屋根パーツ・下部表面の壁パーツはどちらとも、貝殻の粉入り「胡粉(こふん)ジェッソ」をブラシでトントンと叩いて塗布します。
するとザラザラした質感が出て、モルタルの壁に変化!
ケース上部に貼るパーツは、緑やオレンジなどの塗料と茶色い缶スプレーで塗装。木でできているとしか思えない仕上がりに!(写真1,2枚目)
屋根表面のパーツは黄色い塗料をスポンジでポンポンと叩きます。その上から白を混ぜて調整した黄色を塗り重ねると、爽やかなグラデーションになりました(写真3枚目)。
“KEMUR(ケムール)”の文字も暗めの赤い塗料を塗ってから、白を加えて調整した塗料を重ねることでグラデーションに(写真4枚目)。作品にサイト名を盛り込んでいただけるなんて、特別感があってKawaiiですね♡(歓喜)
今度は下部パーツ。なかでも特に手が込んでいるのがレンガの壁で、茶色をメインとした複数の水性アクリル塗料を塗り分けます。レンガの「目地(めじ。レンガの継ぎ目)」にも筆を当て、薄め液でシャバシャバにした白い塗料を流し込むという徹底ぶり(写真2枚目)。
目地を塗り終えたら黄色い塗料と、立体感を出せる塗料をミックス。混ぜた塗料を筆に染み込ませ、鉄の棒に当てて弾き飛ばすと、雨垂れや泥跳ねで汚れたレンガに早変わり!(写真3枚目)
さらに粉状のアイシャドウのような「ウェザリングマスター」をトントンと塗り、年季の入った埃っぽいレンガを再現(写真4枚目)。
下部に貼る青い壁のパーツも、上部に貼る屋根表面の黄色いパーツと同様の手法で塗装します。ヨットの絵を薄いグレー、さりげない“DEVIN”の文字も白の塗料でステンシル。
青い壁に汚れ風の色を加えたり、窓の下に影を作ったりすると、ヴィンテージ感が漂い立体感も倍増!
白熱したゆうすけさん、「青い壁にもうひと手間加えたい!」ということで電線も追加することに。
真鍮線と、鉄の小さな模型用部品「エッチングパーツ」をカット。真鍮線は黒い塗料を塗り、青い壁にも錆びが流れたような描写をしたらパーツを慎重に貼りつけます。
窓は透明のプラ板につや消しのトップコートを塗ると曇りガラスになりました。ケースの表面に室内風の写真を貼り、窓との隙間を作って奥行きを持たせます。
すべてのパーツを接着剤で貼り合わせ、トップコートで全体をコーティングしたら、馴染み深いお店のような佇まいのDEVINが完成(制作時間は約24時間)!!
明るい色で、覗き込んで楽しめるジオラマを作りたい
──ジオラマの作品を作り始めたきっかけは?
もともと中学生の頃に、レーシングカーなどの既製品のプラモデルを組み立てて塗装していました。
その頃もミニチュアが好きだったので、「ジオラマを作りたい」という気持ちはありました。ただ当時は情報が少なく、ジオラマを作るには専門書を買わないといけなかったので、そこまでして作ろうとは思いませんでした。
それからずっとプラモデルからは離れていましたが、2017年頃に子どもがガンプラ(アニメ「機動戦士ガンダム」に登場する機体を模型化したプラモデルのこと)にハマったため、一緒に作り始めまして。
「そういえばジオラマを作りたかったな」と思い出してネットで調べてみたところ、作り方を見つけて作り始めたのがきっかけです。
──どんな作品づくりを得意としていますか?
縮尺が200分の1、700分の1などの小さい作品を作るのが得意です。
縮尺が200分の1、150分の1などの戦車の作品を作ってみたら、同じくらいのサイズで本格的なジオラマを制作している人があまりいなくて、SNSでも多くの方に見てもらえるようになりました。
「これぐらいのサイズで作り込んだら面白いのでは」と思い、そこから小さいスケールの作品を作ることが増えました。
──物作りをする上で、大切にしていることはありますか?
作品を見ていただいた時に、その人なりのストーリーを思い浮かべてもらえるような世界を作れたらいいなと思っています。
あと、自分は本来すごく大雑把な性格なので、それが作品作りに出ないように、いつも気をつけながら製作しています。
──ファンの方は、どのような方が多いですか?
ガンプラが好きな人や、ジオラマ好きの人が多いです。
見に来てくださる方の年齢層や男女比率は、参加する展示会によって違います。たとえばプラモデル関係の展示では40代や50代の男性が大半です。一方、ミニチュア・ドールハウスの展示会だとミニチュアフードなどの女性向けの作品を作っている方々も参加しているため、いらっしゃるのも女性が多いです。
基本的には自分が作りたいものを作っていますが、参加する展示会に合わせて興味を持ってもらえるような作品を意識して作る場合もあります。
作品イメージと、制作してみた感想
──完成したライターケースのイメージを教えてください!
「サーフショップ」をイメージして作りました。試作の段階では男性が使うことを想定して作りましたが、女性にもいいなと思ってもらえるように明るくて柔らかい印象にしてみました。
サーフショップの壁を連想させる淡い色にしたのと、作品にもよく使う青系など、好みの色を取り入れています。壁表面のモルタルが剥がれて下のレンガが見えているような感じも表現してみました。
ちなみにこちら(写真右)が試作品。渋くてかっこいいですね!
──こだわったポイントも教えていただけますか?
普段は窓の前にべランダを作るなどして、凸凹をつけることを意識しながら作っています。しかし今回は立体感を出すと強度が落ちるので、なるべくフラットに仕上げる必要がありました。
制約があるなかでも変化をつけるために、グラデーションをいつもより意識してつけたり、電線のパーツなどで情報量を足したりしています。
“KEMUR”のロゴは四角い板の上に貼って看板にするのも検討しましたが、うまく仕上がった黄色い下地が隠れないように、かつシンプルになりすぎないようにプラ棒で下線をつけました。
──作ってみた感想は?大変だったところはありますか?
普段から小さい作品を作ることが多いので、今回のライターのサイズは問題ありませんでした。ただ、普段と違って立体的には作れず、なおかつ情報量を増やす方法を考えるのが大変でした。
その考える過程でいいアイディアもいくつか思いつきましたが、時間的・技術的な問題で今回は試せなかったのが心残りです。
それでも思った以上に可愛く仕上がったので、とても満足しています。
ジオラマのライターを抽選で1名さまにプレゼント!
細部まで作り込まれていてkawaiiジオラマのライターを、抽選で1名さまにプレゼント!
【ゆうすけさんからの一言コメント】
男女問わずに使っていただけるようなデザインにしました。使ってくださるのが男性でも女性でも、喜んでもらえて大事に使っていただけたら嬉しいです。
※雑に扱うと壊れたり塗装が剥げたりする可能性があるため、できるだけ丁寧に扱ってください。
応募方法は、ケムールのTwitterアカウント(@kemur_tw)をフォローしたあと、該当のツイートをRTするだけ!
期間は1週間なので、ご応募はお早めに!
ゆうすけさんのプロフィール
ゆうすけ U-suke
ミニチュアジオラマ作家
ゆうすけさんは作品をたくさん作り、いつか個展を開きたいそうです。ゆうすけさんの作品にご興味がある方は、SNSもチェックしてみてくださいね♪
■ゆうすけさん活動場所
Twitter:https://twitter.com/yu5ukejbk
Instagram:https://www.instagram.com/yuusuke9129/
■ゆうすけさんが参加している展示はこちら!↓
開催日 – 2023年7月28日(金)~30日(日) 11:00~19:00(最終日は17:00まで)
会場 – ギャラリー1616
展示会情報 – http://www.atelier1616.com/