ロボットや靴などの段ボールアートを作っているだんぼさんに、今にも飛び立ちそうな鷲をモチーフにしたライターケースを制作していただきました。
段ボールでできているとは思えない、迫力満点の鷲(ワシ)から目が離せない!!
飾って眺めたくなる、鷲のケースができるまで
今回は、渋いメタルブラックのライター「DEVIN」のケースを作っていただくことに!
どこにでもある段ボールが、かっこいい鷲のライターケースになるまでの工程とは!?
突如、姿を現した段ボールの鷲とドクロ
まずはケースの土台作りから始めます。「作品を段ボールと接着剤だけで作る」「爪楊枝や割り箸など、段ボール以外の素材は基本的に使わない」「ペンや設計図を使用しない」というのがマイルールのだんぼさん。今回も一切、下書きはしていません。
DEVINのサイズに合わせて段ボールをカットし、ライターに巻きつけて接着剤で固定するとまっさらなケースの状態になりました。
(ちなみに今回使用した段ボールは、段の高さやフルート(波の数)でA〜Gに種類分けされたなかでも一番薄いとされる「Gフルート段ボール」!厚さは0.9mm!)
そのまま休むことなく、次々と段ボールをはさみでカットしては細かいパーツを作り、それらが組み合わさると鋭い眼光の鷲の顔が出現!ケースのド正面に大胆に貼り付けます。
平らなボール紙と波形のボール紙が組み合わさっている段ボールは、剥がし方や接着剤の塗り方によって色や質感が変わるため、首付近の羽根のパーツは剥がし方をわけてグラデーションに。
さらに羽根の色が薄い部分は接着剤を軽めに塗り、中間は二度塗り、濃い部分はパーツの表と裏に接着剤を塗布。裏から接着剤を塗ると強度がアップするんだとか。
鷲の目をくり抜くと、ライターの色が見えてきらりと光りました!どこから見てもこちらを見ているようで、まるでトリックアート!!
立体感を出すため、蝶番のある側面に波形ボール紙の凸凹を活かしたパーツを何層か貼りつけます。続いて赤い「カラー段ボール」を厚めに剥がし、ポイントに貼ることでアクセントに。
デザインカッターを駆使して「ケムール」のロゴも忠実に再現!よく見ると「ー」の先の火も、赤いカラー段ボールで作っているというこだわりっぷり!
ボリュームたっぷりの片面装飾が完了したら裏面へ。DEVINの箱に描かれているドクロのエンブレムを見ただんぼさん、ケースにもドクロを入れてくださるとのこと。王冠、馬、ライオンも徹底的に再現(芸が細かすぎる〜!)。
ケースのキャップ側の段ボールをくり抜いて、“DEVIN”のロゴもメタルブラックの輝きに!ボトム(ケース下)側の土台もデザインに合わせてくり抜き、先ほど作ったパーツを上から貼り付けたら裏側も完成!!
側面にもDEVINに刻印されている「IN DEVIN TM」を薄く彫ります。ボトム側の底面には、ケースを取り外しやすいように空気穴を開けてくださいました(ケースが外しにくいときは、この穴から割り箸などで押すと外れます)。
翼の生えた光る台座によって、ますますクールに!!
裏表の装飾が終わってケース完成!と思いきや、今回のケースはひと味違う!?なんと、ケースを置く「台座」まで作っていただけることに!!段ボールを裁断して組み立て、箱を作成。その箱の上に、ケースを立てかけられるスタンドも設置。
段ボールをカットして、羽根を1枚1枚丁寧に作ります。接着剤でパーツを貼り合わせると、大きく広げた鷲の翼の出来上がり♪
うす〜く剥がした段ボールを丸めて、爪楊枝のように細くて丸い棒を作るだんぼさん。断面を斜めにするためにニッパーで切り、先が尖った爪も装着すると鳥の足ができました!
台座にも“DEVIN”の文字を切り抜き足をつけて、左右に岩のようなパーツも設置。岩のパーツは段ボールを曲げた状態で接着剤を塗って形を固定させるという、かなりハードな作業です。
さらに「面白いことを思いついた!」とばかりにだんぼさん、台座をオープン!曲げられるライトをイン!!翼などに光が当たるように、台座や岩の部分に穴を開けます。
ケースの外側にニスをスプレーしたら、段ボールでできた大迫力の鷲ケースが完成(制作時間は合計約30時間)!!
驚くような仕掛けがある、こだわりのある作品
──なぜ、段ボールの作品を作り始めたのでしょうか?
もともと小さい頃から、新聞紙などで何かを作るのが好きでした。
2019年頃のある日、子どもたちと買いものに出かけたときに1万円のハサミを見かけ、何を血迷ったのかそのハサミを買ってしまったのです。
「どうしよう、さすがに高すぎる。バレたら奥さんに怒られる」と焦ったものの、どうするか悩んだ結果、「使おう」と決めました。
大きめのはさみだったので、使い道を探してネットサーフィンしたところ「段ボールアート」を見つけて、何か作ってみようと思ったのがきっかけです。
初めて作った作品はスターウォーズの宇宙船で、作っているうちに本気になりました。出来栄えも満足のいくものができたので、家族に見せるだけでなくTwitterに投稿したところ、ありがたいことに初投稿からバズるという結果になりました。
──高いはさみを買ったことがきっかけだったとは、面白いご縁ですね。オリジナルの作品を作るようになった理由も教えてください!
かっこいいトカゲの写真を見かけて「作ってみたい。きっと作れるだろう」と思って作りました。キャラクター、動物、昆虫など、そのときに作りたいものを衝動的に作っています。
──どんな作品づくりを得意としていますか?
「おっ!」と驚くような仕掛けがあるものを作るのが得意です。段ボールで作った靴は実際に履けるようにしましたし、ほかの作品では関節を動かせるようにしました。今回のケースにも、そのようなギミックをたくさん盛り込んでいます。
──物作りをするうえで大切にしていることはありますか?
「簡単には作れない、こだわりのある作り方をしよう」「自分なりのテイストや驚きを、1つでも入れておきたい」と考えながら作っています。
同じ段ボールという素材を使っていても、人によって作り方が異なります。自分の場合は段ボール以外の素材を使わず、ペンも使いません。そのような制限を設けつつ、眺めながら頭のなかで立体を作り、それを形にしていきます。
──ファンの方は、どのような方が多いですか?
小学生から高校生くらいの方や、40代〜50代の男性が多いです。
作品に驚くような工夫をしているところと、作る工程に興味を持っていただけるのだと思います。
作品イメージと、制作してみた感想
──完成したライターケースのイメージを教えてください!
「オリジナルの鷲のモチーフを使い、台座付きのライターケースを作りたい」と思って制作しました。
立体的にして奥行きや躍動感を出しつつ、耐久性も考えて作っています。台座も含めるとサイズは大きいですが、軽くするために段ボールのなかでも薄い「Gフルート段ボール」を使っています。“DEVIN”と「ケムール」が中心にくるように配置しました。
──こだわったポイントも教えていただけますか?
耐久性と、見ていて楽しい作品になるように心がけました。
耐久性については実際に使う方を想定して、手に馴染むデザインを意識しつつ、使うときに引っかかって表面のパーツが剥がれることがないように調整しました。
「持ったときに、ケムールのロゴが手で隠れないようにしよう」「ケースを握りながらライターを開けやすいように、鷲の顔を立体的に作ろう」といった考慮もしています。
そして見て楽しんでもらえるように、台座にライトを入れて光らせました。鷲の目の部分はライター本体のメタルブラックが見えてキラキラと光りますし、どの角度から見ても鷲の目が自分のほうを向いているかのように見える工夫もしています。
──作ってみた感想は?大変だったところはありますか?
ペンを使わないのと試作品を作らないので、デザインを考えながら作っているうちに、作品自体が自分で成長していきました。
構想を書き起こしているわけではないので、あくまで素材の主張や制約があるなかでイメージを形にしたものです。そのため、イメージしているものが形になるのかが少し心配で、取材の日までに完成させるのが大変でした。
躍動感のあるライターケースを抽選で1名さまにプレゼント!
台座も含めて楽しめるライターケースを、抽選で1名さまにプレゼント!
【だんぼさんからの一言コメント】
デザインやギミックを楽しんでもらえたら嬉しいです。
※水や汗で濡れないようにしていただきたいのと、スタンドは壊れやすいので壊れないように丁寧に扱ってください。
応募方法は、ケムールのTwitterアカウント(@kemur_tw)をフォローしたあと、該当のツイートをRTするだけ!
期間は1週間なので、ご応募はお早めに!
だんぼさんのプロフィール
だんぼ Danbo
ダンボール作家
だんぼさんは、情熱を持って取り組めるお仕事であれば作品を作りたいそうです。また、今年の秋以降、もし展示会などがあってタイミングが合えば参加したいとのこと。もし該当しそうなお仕事やイベントがありましたら、ぜひだんぼさんにご連絡ください!
だんぼさんの作品をもっと見たい方は、ぜひSNSもチェックしてみてくださいね♪
■だんぼさん活動場所
Twitter:https://twitter.com/danbo_2019
Instagram:https://www.instagram.com/msky0423/
多崎 ろぜ:TwitterフリーランスのWebライター。美術系の大学に通っていたため、ものづくりをしている人の作業を見たり、話を聞いたりするのが好きです。学芸員資格保持。