「猫のダヤン」が有名な株式会社わちふぃーるどで革職人をしている太田(おおた)さんに、猫のジタン(猫のダヤンの友達)がKawaiiライターケースを制作していただきました。
今年は「猫のダヤン」生誕40周年! 記念すべきタイミングで作っていただいた、幻の逸品となるであろうケースと神業の数々に圧倒される!!
40周年記念のkawaiiジタンケースができるまで
わちふぃーるどの革工房にて、ライター「クレーターネオ」にぴったりサイズの革製ライターケースが完成するまでの工程とは……!?
木目入りの革に、キラキラの金箔をガシャン!
まずはケースの土台作り。「これは薄っぺらい木!?」と思いきや、本物の木を熱押しして模様をつけた木目入りの革なのだそう。
「革漉き機(かわすきき)」で、革の厚みを薄くペラペラに。靴底の接着にも使用されるほどに強力な「ゴムのり」を革の裏側にヘラで塗り、表面用の革・裏面用の革を貼り合わせたらローラーでゴロゴロ。
型紙の形に沿って、「千枚通し(せんまいどおし。穴を開けるための工具)」で革に印をつけます。型紙も今回の企画のために作っていただいたオリジナル!
印に合わせて鋭いナイフで革をカット。あっという間にケースのふた側・ボディ側の革が切り取られました!
今度は「箔押し機(はくおしき)」。機械のプレート部分に銅板を貼り付けて、フィルム状の金箔をセットしたら、熱した銅板をガシャン! ふた側の革に“Wachi Field”の金文字が刻印されました!!
別の銅板に貼り替えて、またガシャン! ふた側・ボディ側の革のどちらとも、キラキラと光る模様の出来上がり。
おしゃれでクールなジタンがこっちを見ている!!
次はケース表面の装飾をする工程へ。猫のダヤンの友達・ジタンを革にプリントしてパーツをカット。ジタンのマリオネットのキーホルダーがあり、そのデザインをもとにしているのだとか。
ミシンでケースの縁にステッチしたら、ライターの火で糸を焼き留め。すべてのパーツをケースに縫いつけて、ジタンの目や、マリオネットのパーツをつなぐ糸なども刺繍。
ひげは「銀ペン」と呼ばれる銀色のインクが出るペンで印をつけて糸で縫います。毛並みもジグザグに刺繍すると、立体感が倍増!
穴あけポンチと金づちで、ベルトと王冠の宝石部分に「カシメ」という金具を取りつけます。
革の裁断面に「コバ液」を塗り、ふた側・ボディ側の革のどちらとも2つ折りに。革の裏側のふちをゴムのりで接着してから、ミシンでチクチク。
ケースになじむように革で覆ったカシメを「ハンドプレス機」でカシャン! ふたを開閉できるケースになり、完成はもうすぐそこ!
少量の水をつけて革を柔らかくし、ケースにライターを入れて形を馴染ませます。硬化剤を塗って丸一日乾かすと、手作業で丁寧に作り込まれた贅沢な革のケースが完成(制作時間は、乾かす時間も入れると約30時間)!!
使いやすい・作りやすい・修理しやすいものを作る
──革職人になろうと思ったきっかけや、わちふぃーるどに入社した理由を教えてください!
高校生の頃から革の質感が好きで、はぎれなどで革小物を作っていました。
革職人になりたかったので、普通の大学に通いながらも工房に出入りしていて。革の絵や立体物を作る工房でしたがミシンや革漉き機を使わせていただき、革の財布やかばんなどを作っていました。
当時、日本には革の専門学校がなかったため、革専門のコースがあるイギリスの学校に編入しました。
学校を卒業してからはそのままイギリスで、コルセットやリストバンドなど、革のアクセサリー全般を作るファッション系の工房で1年ほど働きました。その後フランスの展示会に何度か参加して「いいな」と感じていたところに、工房でフランスにも働き口があるのを教えていただき、フランスのオートクチュール(最高級の1点ものの服)などを作るところで1年ほど働きました。
ビザが切れるタイミングで帰国して、かばんのデザインなどの企画ができる会社に就職しましたが、実際には販売の仕事ばかりでほとんど企画ができず……。
革職人の仕事を探していたところ、わちふぃーるどの求人を見つけて「働くならここしかない。この仕事に就きたい」と思って入社しました。
──革製品を作るのが本当にお好きで、夢中で取り組んできて今があるのですね! わちふぃーるどはどんな会社なのかも教えていただけますか?
世間的には猫のダヤンのイメージが強いと思いますが、もともとは小さな革工房でした。革小物の製造販売メーカーとして始まり、自由が丘に直営店を出して、お店の包装紙に描いた猫のキャラクターがダヤンのもととなったそうです。
本格的な革製品と、ダヤンというキャラクターをかけ合わせているのが強みの会社です。
革職人の仕事を探していたところ、わちふぃーるどの求人を見つけて「働くならここしかない。この仕事に就きたい」と思って入社しました。/span>
これだけ大規模で革に特化した機械や工具、材料が揃っている工房はそうないと思います。
──もっと機械化されている工程が多いのかと思っていましたが、ほぼ手作業なのが意外でした。今はダヤンに関するアイテムを作ることが多いと思いますが、ダヤンの製品はどのように作っているのでしょうか?
ほかの革製品を作るときと変わりません。革をいじっているうちに、作りたいもののイメージが頭に浮かんできます。
──太田さんは、どんな作品づくりを得意としていますか? 作ったなかで印象に残っているものは?
小物ケース、バッグなど、アクセサリー系の革製品を作るのが得意です。個性的なものを作りたくなる時期と、シンプルなものを作りたい時期があります。
楽しくて印象に残ったのは、イギリスで作った「チュッパチャップス(飴)のケース」です。
──面白いですね! 物作りをするうえで、大切にしていることはありますか?
実用的で、使いやすい・作りやすい・修理しやすいものを作ることです。
革製品は自分が原型を作り、それをもとにパートさんたちが作業を分担して量産します。使いやすさはもちろん、パートさんたちが一定のクオリティで同じものを作れるように、作りやすさも重視しています。
商品の修理依頼も自分が対応しているので、修理するときに糸をほどけるか、ミシンで縫い直しやすいかなども考えて作っています。
作品イメージと、制作してみた感想
──完成したライターケースのイメージを教えてください!
マリオネットのジタンをメインとして、40周年のおめでたい感じを演出しました。毛並みが茶色いダヤンよりもジタンのほうが使う革の色に映えるので、ジタンにしました。
どんな作品にするかを社長と話し合った際、社長から「マリオネットを取り入れてみたら?」という提案がありまして。手や足をケースの外にぶら下げるのも検討しましたが、そうするとケースを握りにくくなってしまうため、今のデザインに落ち着きました。
──こだわったポイントも教えていただけますか?
ジタンの毛並みです。テクスチャーを加えたかったため、糸で毛並みを表現しました。ミシンで細かくジグザグに縫うのは大変でした。
──作ってみた感想は?
普段の仕事の延長のような感じで作りましたが、楽しかったです。オンリーワンで手の込んだものを作れたので満足しています。
ジタンのライターケースを抽選で1名さまにプレゼント!
王冠をかぶったジタンがkawaii革のライターケースを、抽選で1名さまにプレゼント!
【太田さんからの一言コメント】
興味を持って、ケースを使ってくださる方にもらっていただけたら嬉しいです。
※ケースは革製で水に弱いので、水で濡らさないように気をつけて使ってください。
応募方法は、ケムールのX(旧Twitter)アカウント(@kemur_tw)をフォローしたあと、該当のポストをリポストするだけ!
期間は1週間なので、ご応募はお早めに!
わちふぃーるどと、太田さんのプロフィール
太田さん Ota Shigeru
株式会社わちふぃーるど 在職
株式会社わちふぃーるどはダヤンのグッズだけでなく、財布のサンプルなどのOEM(他社ブランドの製品を作ること)も行っているそうです。
OEMのご依頼や革製品関連のお仕事があれば、ぜひご連絡してみてください♪
■株式会社わちふぃーるど
公式サイト:http://www.wachi.co.jp/
X(旧Twitter):https://x.com/wachifield_com
Instagram:https://www.instagram.com/wachifield_com/
■株式会社わちふぃーるどのイベント情報はこちら!↓
40th EVENT information
https://www.nekono-dayan.com/40th/event.php
開催日 – 2023年9月16日(土)〜10月1日(日)
会場 – 全国わちふぃーるど取扱ショップ
イベント情報 – お買い上げ金額でステキなノベルティをプレゼント!
開催日 – 2023年9月9日(土)〜11月13日(月)
会場 – 安城産業文化公園デンパーク内 デンパーク館1F
イベント情報 – 入口からタシルの街が広がる体感できるアート空間がデンパークに登場!
謎解きやコラボカフェも開催。アートとお買い物が存分に楽しめる特別イベントです。
開催日 – 2023年9月15日(金)~10月1日(日)
会場 – 紀伊國屋新宿本店
▶池田あきこサイン会
開催日 – 2023年9月24日(日) 11:00~
イベント情報 – 40周年アニバーサリーを記念して、40thグッズやイベントグッズを多数ご用意!先着100名様
開催日 – 2023年9月9日(土)~
会場 – わちふぃーるど新宿ラビリンス店
イベント情報 – わちふぃーるど新宿ラビリンス店が新宿三丁目に移転しました! 9日オープンより3,300円以上お買い上げで何かが当たる⁉ ラビならではのオープニングイベントを開催中。
▶池田あきこサイン会
開催日 – 2023年9月24日(日) 14:00~
詳しくは店舗へお問い合わせください。
電話番号:03-5919-2334
多崎 ろぜ:TwitterフリーランスのWebライター。美術系の大学に通っていたため、ものづくりをしている人の作業を見たり、話を聞いたりするのが好きです。学芸員資格保持。