Record 1 佐々木亮介

ジョー横溝が、親交のあるミュージシャンを迎え“レコードと煙草”について語る連載『スモーキング・ミュージック』。

初回のゲストはa flood of circle佐々木亮介氏。ジョーとはすでに10年ほどの付き合いだそうだ。


<革ジャンとビール>というまさにロックなアティチュードで、持参したレコードについて語っているうち、若かったころの夢が実現し、夢が繋がっていることに気づく佐々木亮介氏…。

レコードにはそんな物神があるのかもしれないし、それがロックの力なのだ!?

と、エモいトークが炸裂しています。

■著者プロフィール


ジョー横溝 -Joe Yokomizo-
ライター/ラジオDJ/MC。1968年生まれ。東京都出身。
WEBメディア『君ニ問フ』編集長や音楽&トーク番組『ジョー横溝チャンネル』にて音楽に関するディープなネタを発信。

■ゲストプロフィール


佐々木亮介 -Sasaki Ryosuke-
ミュージシャン。1986年生まれ。東京都出身。
ロックバンド『a flood of circle』『THE KEBABS』のギター・ボーカルを担当。好きなバンドはスピッツ。

※【a flood of circle】の『如何様師のバラード』MVに主演登場した「金属バット」が本誌連載「たばこのことば」にもコラボ出演しました!
記事はこちら

『金属バット無問題』”一流のヤニカス”に聞くタバコ10の質問 #たばこのことば【Youtubeコラボ】

a flood of circleのMVはこちら
『如何様師のバラード』

▼こちらの記事は佐々木亮介氏厳選の「無人島に持っていきたい」プレイリストとともにお楽しみください
※記事の最後に佐々木亮介氏の解説もあります

――レコードは何枚ぐらい持ってます?
「かなり持ってたんですけど、引っ越したタイミングでめちゃくちゃ手放しちゃったんですよ。売った分だけでも5、60万になりましたね(笑)。だから、この取材の依頼が来たときに、タバコのジャケットは多分持ってないって返事したんです。でも、見たら意外にあった(笑)」

――世代的にはレコード世代じゃないですよね?
「CD世代っすね。Ayu売り上げ200万枚!?みたいな世代です」

――レコードを買い始めたきっかけは?
「ジャック・ホワイトの存在がデカいと思いますね。俺の世代のミュージシャンで、アナログ、アナログってうるさかったのは、ジャック・ホワイトしか思いつかないので。自分もめちゃくちゃジャックが好きで、音楽的にもすごく影響されてます。

あと、サウンド以外でも、ジャックがレーベルもやって、自分のレーベルのお店で過去のブルースマンたちに演奏させて、それをレコードにして売ったり、レコードプレス会社を持ってたりとかにもすごく注目してたんですよ。

ジャックが結構早かったのが、月額払うとアナログが毎月届いたり、レーベルのグッズが届いたり、ジャックが作ったエフェクターをゲットできたりとかそういう変なことをずっとやってて。

ジャックって大きな存在なんだけど、ローカルな手作りの何かをすごい大事にしてるというか、小さいコミュニティをすごい大事にやってるって感じがあって。俺ももともとはそういう感じがすごく好きだったので、ジャックがアナログ出してるから、これ買わなきゃって思った時に、アナログじゃなきゃ聴けないものもたくさん出したんですよ。

アナログレコードじゃなきゃ聴けないっていう価値観はもともとあったと思うけれども、それって過去の音楽をどうやって発掘するかって話だと思うんです。でも、ジャックはリアルタイムでそのリリースをし始めてて。たぶんそれで追いつかなきゃって思ったんじゃないかな。それが20代のときで、そこからかなり買いました」

――だとすると引っ越しで売る前は結構な枚数持っていた?
「600枚とか、700枚とかですね。1000枚はなかったと思いますけど」

――何を基準に買ってたんですか?
「一つは、ツアーでいろんな地方のレコード屋さんに行くので、とりあえず店に入ったら一枚ぐらい買おうかみたいなノリで買ってました。たまに、誰が来るの?みたいな店とかに行くと、俺が買わなきゃみたいな気持ちになって。余計なお世話なんですけど(笑)。そういう時に、ちょっと気になったやつとか、ジャケ買いもしますし。あとはSCOOBIE DOと対バンをやった時とかは、シュウさん(ボーカルのコヤマシュウ)と一緒にレコード屋に行って、レコメンドしてもらって。意外とホール&オーツ聴いたことないなとか…そういうのを買ってみたり、ですね」

――今日はそんなコレクションの中から、<無人島に持って行きたいレコード>と<煙草のジャケットのレコード>を持ってきてもらっています。まずは<煙草のジャケットのレコード>から見せてください。
「反則の7インチ2枚(笑)。どのレコードが煙草ジャケットかって覚えてたわけじゃなくて、手元に残ってるレコードをバーって見てったら、あ、あった!みたいな感じです。まずは、ムッシュ・カマヤツさんの『我が良き友よ』。なんでこの曲で煙草なの?と思ったらB面が『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』だから。このレコードたぶんファンの人にもらったんだ思います」

――誰かのサインが入ったメッセージが書いてあるメモ用紙が入ってますが、誰のサインですかね?
「わかんないなぁ…」

――これムッシュのじゃないですか?
「そんなことってある?誰にもらったのかわからないので…確かめようがない」

――でもKの文字が見えるのでカマヤツさんかもしれないですよ。
「そうだったら、知らないでサインを持ってるわけ(笑)!?」

――これKenKenに見せたら鑑定してくれますよ!それにしてもいいジャケットですね。
「いかにも昔の日本の7インチのプリントって感じで無茶苦茶カッコいいですよね。もちろん曲は超カッコいいわけで」

――『ゴロワーズ~』はカバーしてないんですか?
「したことないです。誰かとやろうってなったけど、結局やらなかったんだよな…」

――もう1枚のEPがThe Kills。

「「Fried My Little Brains」。2003年のThe Killsの2ndシングル。これは世代的にドンピシャです。ジャック・ホワイト、ホワイト・ストライプスとかストロークスとかが好きだった時に、The Killsにもめちゃくちゃハマって。写真集とか持ってましたもん。The Killsってジャケも最高だから。アナログで持ってて、ちょっと自慢してかけたくなる。DJをしてても、The Killsのシングルかける時は、ジャケットを見せてかけますから(笑)」

――自慢しちゃうとThe Killsにインタビューしたことあるんですよ。
「え!嘘でしょ?」

――本当です。西麻布かどこかでアパレルメーカーと組んだイベントでインタビューしました。たしかCDにサインしてもらった記憶があります。

<「Fried My Little Brains」のレコードが流れる~>
この曲知ってます!調べたらアルバムからのシングルカット曲です。よくシングルで買いましたね!
「そうですね。2003年って自分が高校生か大学生になったぐらいだから、この曲を知った時は、まだバンド組んでなかったと思うんで。アナログを集め始めた時で、この曲や、その辺の2000年代初期の好きなバンドのシングルを買って、かけて、ドヤ顔してDJしてました。特に盛り上がらないんですけど(笑)」

――(笑)。The Killsも佐々木亮介の音楽に影響を与えた?
「そうですね。でもジャックよりも青春っぽい感じですね。ドラムのナベちゃん(a flood of circleのドラム・渡邊一丘)もすごく好きで。もしかしたらThe Killsを好きになったのはナベちゃんのおかげかもしれない」

――ナベちゃんが「この曲聴きなよ」って教えてくれた?
「だったかな…。The Killsは知ってたとは思うんですけど。というより、この曲パクろうみたいな感じだったかも(笑)。バンドを組んだ最初のころって、この曲のこの感じやりたくない?みたいな話とかするじゃないですか。別にプロフェッショナルとして出会ってるわけじゃないので。妄想トークの中にThe Killsの曲はよく出てきてたような気がする」

――具体的にa flood of circleの曲の中に、The Killsオマージュの曲ってあるんですか?
「うまくパクれた曲あるかな?The Killsってカッコよすぎて、パクれないんですよね。ベースいないしね。そういうスカスカなカッコよさがすごいあって。ナベちゃんがもともと2ピースのバンドやってたんですよ、a flood of circleも入りつつ。その2ピースのバンドでこういう感じのことやりたくてやってたんじゃないかな。で、フラッドでもどうにかしようとしたんだけど、俺にそういう才能がなかったんで(笑)」

――そこは才能じゃなくて趣味の問題だと思いますが!
「好きなので、カバーもしていて。『Future Stars Slow』って曲があって、そのカバーをソロでやって、ネットに音源もあげて、しかも自分で絵まで描いちゃってます。煙草ってことでいうと、The Killsもずっと煙草を吸ってるイメージがあるなぁ」

――亮介、煙草は?
「今は吸ってないですね。カッコつけて学生のころ吸ってたけど、続かなかったっすね」

――何キッカケで煙草をはじめたの?
「先輩っすね。みんなでコピーバンドやるようになって。先輩がカッコつけて吸ってるから、それで一緒に」

――憧れのスモーカーや、煙草を吸ってるロッカーはいなかった?
「それはないかな。人を見て、この吸い方カッコいいなとか思ったことないかな。カッコいいと思ったのは自分の父親ぐらい。父親ももう煙草やめちゃいましたけど、やめるまでは吸ってる姿が好きでした」

――そして煙草ジャケットもう1枚はアルバム。
「ニルソンの『A Little Touch Of Schmilsson In The Night』」

――ハリー・ニルソンは60年代、70年代にヒット曲をたくさん世に放ったアメリカのSSWで、亮介が聴いてるイメージはゼロでした。
「(笑)。でもこのジャケットいいでしょ?アルバムのタイトルもすげーふざけてるんですけど、曲も全部いいんですよ。ちょっと聴いてみますか?ニルソン好きって言うと、なんかわかってる感出ません?」

――出ます(笑)。
「最初は結構背伸びして買ってたけど、途中から本当に好きになって。最初のフラッドのメンバーに岡ちゃん(岡庭)ってヤツがいたんですけど、岡ちゃんがめちゃくちゃ70年代オタクで、教えてもらったんだと思う」

<「A Little Touch Of Schmilsson In The Night」の曲がかかる>
――やはり歌声が素晴らしい。ニルソンは“七色の声を持つヴォーカリスト”と評され、ジョン・レノンにえらく気にいられて、一時はポールの代わりにビートルズに加入する?なんていう噂が流れたなんていう伝説もありますからね。それにしてもこのアルバム、激シブでいいなぁー。
「アメリカの往年のスタンダードをストリングス・オーケストラをバックに歌ったアルバムです。こういうアメリカの室内楽っぽい、ポップスみたいな感じってロック的には嫌われそうなんですけど、俺好きなんですよ」

――しかも、レコードのあったかい音で聴くのに向いてますよね。こういう音はデジタルで聴くよりレコードで聴くべきだと思います。
「俺もそう思います。しかも、俺の中には『サウンド・オブ・ミュージック』が入っちゃってるんですよ。で、『サウンド・オブ・ミュージック』もロック的にはすごく嫌われるじゃないですか?でも俺やっぱり曲もアレンジも好きなんですよね。歌もので室内楽っぽいの好きなんです。だからサラ・ヴォーンも好きです。ジャズのボーカルだけど、ゴリゴリのジャズよりも『ラヴァーズ・コンチェルト』みたいなポップな感じが好きです。ちょっと恥ずかしやつが好きなんですよね(笑)。『雨に唄えば』的なダサさって好きで。超ダーティーな本物のパンクスとかを自分は通ってないから、自分ブレンドでいくと、こういうのもありになってくるんですよね」

――優等生的でなよなよとしていて、ロックからバカにされがちな感じのジャンルがたまらないと?
「そう!かわいい感じのものとか。俺、スピッツから音楽に入ってるから。マサムネさん見ていてすごく感動したのが、日本のロックバンドでかわいいを持ち込んだのは、自分たちが初めてだって言ってて。本当そうだなって思うし。それにすごく影響されてるのかもしれない。あとで話すけど奈良美智さんの画のかわいさも、自分的にはもうバッチリって感じです」

――なるほど。確かにロックとかわいさって、なかったですね。
「ビートルズもかなりかわいいところがあると思うんです。あと、例えば、ストーンズとかラモーンズも俺的にはかなりかわいいんです(笑)。リチャード・ヘルやジョニー・サンダースとか、あの辺ってかわいさとちょっと違って、自分はそっちじゃないんだよな、みたいな感じです」

――実は私も1枚<煙草のジャケットのアルバム>を持ってきています。一応毎回ゲストに合わせて選んでます。で、今回はトム・ウェイツ2ndアルバム『The Heart Of Saturday Night』。

で、なぜこのアルバムかというと、アルバムの最後の曲が「ザ・ゴースト・オブ・サタデイ・ナイト」という曲なんですが、サブタイルが<After Hours at Napoleone’s Pizza House>なんです。トム・ウェイツがプロになる前にバイトしていたピザ屋さんの名前で、そのピザ屋さんで見た景色をベースに詞を書いていて…。
「1枚目のアルバムが『クロージング・タイム』?」

――はい。でも1枚目は実はトム・ウェイツ自身あんまり気に入ってないらしいんです。もっとジャズっぽいイメージで録りたかったそうで…。
「確かに1枚目は結構歌ものですよね。その後からもっとジャズになっていったんだ…」

――そうなんです。1stの歌もののアレンジがあんまり好きじゃなくて、ジャズ畑のミュージシャンとプロデューサーを迎えて作ったのがこの2ndアルバム。で、「ザ・ゴースト・オブ・サタデイ・ナイト」の詞は、バイトの時にピザ屋で見ていた景色なんですが、それが、以前聞かせてくれた、亮介がデビュー後もハンバーガー屋さんでバイトしてたという話と重なったんです。バイトをしてた亮介が何を思ってたのかわからないですが、きっとロックスターになる夢とか、バンドで食っていくことを思いながら詞を書き溜めたんじゃないかなって…。
「まさにそうですね」

――ですよね?で、この頃のトム・ウェイツと亮介が重なったんです。
「なんか立派な話になってるけど(笑)。ありがとうございます。でもまさに繋がったんですよ。同じバイトしていた友達が絵を描いてたんです。俺がバイト辞めた時って、SHIBUYA-AXのライブで、初めてフラッドが売り切れたワンマンだったんです。それでやっとバイトは辞められるかもって思って辞めたんです。で、同じタイミングでそいつもバイトを辞めて、絵を描くって言ってドイツに行ったんですよ。今もずっと描いてるんですけど、4月26日にソロアルバム『HARIBO IS MY GOD』を出したんです。で、なんの因果か、インスタグラムでその画家の友達と連絡取り合ってたんで、ソロアルバムのジャケットを描いてもらおうと思って、お願いしたんです。それで絵が送られてきて…そのアルバムのジャケットになってます」

――それはすごい!!
「あの頃の何かが繋がってきたんだなって。まさに最近思ってました」

――僕の世代って青春時代はレコードを聴いてたんで、レコードを聴くと若い頃の夢や、想いを自然と思い出させてくれるんです。そこはCDと配信と圧倒的に違います。
「俺もレコードってドリームしかないです。いいオーディオもいいかもしれないけど、そっちはあんまり興味はなくて。そもそもレコードに針落として音が鳴るってすごくないですか?そのマジカル感がもうたまんない!それでテンション上がること自体が一番で。だから中身なんでもいいってわけじゃないんだけど。そのマジカル感はデカいですよね」

――マジカル感や、青春時代感のあるトム・ウェイツにしても、a flood of circleも、レコード聴きたくなるし、レコードで聴いたほうが奇跡が起きる感じ、夢がかなう感じがしちゃうんです。で、a flood of circleの最新アルバム『花降る空に不滅の歌を』もアナログで出ていて、今日の取材用の<無人島に持っていきたいレコード>として持ってきてくれてますね。

「<無人島に持っていきたいレコード>として、何枚か持ってきたんですが(※)、その中の1枚がフラッドのニューアルバムで、そのアルバムのジャケットを、俺が大好きな奈良美智さんが描いてくれてます」

――そこのところ詳しく教えてください。
「アルバムの中身はもちろん一生懸命やったけど、奈良さんにジャケットお願いしたら、絵を7枚描いてくれたんで、ジャケット、ジャケ裏、歌詞カードで7枚の絵全部入ってるんです。これはものとして楽しむべきでしょって。これはストリーミングじゃないでしょ?」

――ええ。しかもCDよりもレコードです。
「レーベル面にもちゃんと奈良さん絵が入っていて超かわいいんです。8千円ぐらいのポータブルプレイヤーを買えるので、リビングとかみんなの目のつくところにプレイヤーをおいて、そこにこのレコードを載せてほしいなぁ。プレイヤーのポータブルのレコードが見えるやつのほうが、テンション上がると思います。まぁこれはもう宝物です。これが自分のレコードっていうのがいまだにちょっと信じられないぐらい。まさに夢がかなった感じだし、夢のようです」

――そもそも奈良さんとの出会いは?
「10数年前に、ルースターズの大江慎也さんのバースデー企画が新宿LOFTであってそこで会ったんです。俺らLOFTマネジメント所属だったので、LOFTが大江さんと繋いでくれたんです。若手枠みたいな感じで、演奏しない?って繋いでくれて。それで大江さんがいいよって言ってくれて。たぶん大江さん、正直誰でも良かったと思うんです。その時俺のこと全く知らないから。それは卑屈で言ってるんじゃなくて、そんな感じがカッコいいなって思ったんですよ。で、その時、ホワイトファルコンっていうギターを買ったばっかで、俺も気合入ってたから、そのライブで初めてそのギターを弾こうと決めてて。で、大江さんと演奏するってことでそのギターを持っていったら、楽屋に奈良さんがいて。

奈良さんのこと16ぐらいから好きだったんで、そのホワイトファルコンにサインを書いてもらって。そこからはライヴハウスとか、フェスとか、年に一回ぐらい会ってたんです。で、自分の新作を渡したりしてて。奈良さんに初めて会った時に、ジャケットを自分で作ってみたら?って言われたんですよ。絵でも写真でもいいから。プロの仕事もすごいけど、別にプロに頼まないで、下手でも自分でやってみたらいいと思うよって言ってくれて。それに結構勇気付けられちゃって。なるべく自分でジャケットを考えるようになってって。だったら奈良さんに頼んでみようって。10年ぐらい経った時に、勇気出して頼んだら、描いてくれたっていう」

――そして7枚も絵を送ってきてくれたという。
「全部ジャケットにしたいぐらいなんですよね」

――7枚の中からジャケットにした1枚を選んだ理由は?
「それは単純で、送ってきた7枚中、奈良さんがこの絵を一番上に置いてたんです」

――絵はどうやって送られてきたのですか?
「データです。タイトルの部分は本当は別でダンボールみたいのに描いてるんです。たぶん7枚中どれと組み合わせてもいいよっていう意味だと思うんですよ。でもその前にまだタイトルも書いてくださいってお願いしてないのに書いてくれたのが嬉しかったんですけど。で、一番上の絵にタイトルも載ってたんですよ。それってこれにしてくれってことかな?って(笑)。イチオシなのかなって思ったんで。実際奈良さんの絵のジャケットって、たくさんあるはあるじゃないですか。でもこのテイストの絵が表紙になってるのはなかったんで。だからいいなって思ったのもあってこの絵にしました」

――レコードはどこで買えるんですか?
「ツアーの会場でも売ってるし、レコード屋でも売ってます」

――さっきのトム・ウェイツの話じゃないけどさ、バイト時代から始まってさ、自分の憧れの人がジャケット描いてくれるところまで来てたのって、改めてすごいですよね。
「まさに奈良さんに出会ったのが、初めてバイト辞められた年だったんですよ」

――しかも、この『花降る空に不滅の歌を』のテーマが“佐々木亮介”ですし、本当エモいですよね。
「すぐにエモくなっちゃうんだよな、俺。トム・ウェイツのセカンドみたいに、じゃあジャズの方でってできない。できないっていうか、やらない(笑)」

――(笑)。でも今回のアルバムの歌詞で自分=佐々木亮介自身のことを徹底的に書いちゃったわけですよね。そうなると次はどうなるんですかね?
「本当そうなんですよ。次を書くには、ちょっとまだ経験不足だなっていうのがあるから。すぐにはアルバム出さないかなって思いますけど」

――そこはやはり経験がベースになるんですね?
「結局経験して学んだことしか書けないなって思って。それがファンタジーっぽい顔をしている詞だとしても、自分の経験がこうだったってことしか表すものがないのかなって思ってます」

――でも、自分のことを徹底的に書いたアルバムを出し終わって、本人的にはどんな感じなのですか?
「まだ自己否定の中にいますね。どうすんの?って。どうにしかしなきゃなって思ってるまま生きてるからね。自分のアクションがこれしかないってだけで」

――このアルバムを出したからと言って、何か救われたとか、一個何かをクリアした感じはないと?
「死ぬまで悩むんじゃないですか?(笑)。だからもう悩んでない状態をあんまり望んでないですね。悩んでないって、つまり、例えば誰かが天国があると教えてくれて、それを目指せばいいとかってことになってきちゃうじゃないですか。そういう人がいてもいいですよ。でも俺にとっては、それは自分で探してるんですよねって感じだから。自分で探す限りは、悩まないのは無理だなって思ってるから、このまま続けようって思ってますけどね。

ただ、奈良さんがジャケット用に絵描いてくれたり、ジョーさんがトム・ウェイツを教えてくれたり、ドイツに行った画家の友達が俺のソロアルバムの絵を描いてくれたり…そういういいことが繋がっていくから。それがあると、ギリギリやっていけるかな、みたいな感じです」

――なかなかハードな人生ではありますよね、お互い。休みもないし。
「でも、今日だって俺にとっては休みみたいなもんですから(笑)」

※佐々木亮介氏が<無人島に持っていきたいレコード5枚>

●a flood of circle『花降る空に不滅の歌を』:記事参照
●ヒカシュー『私はバカになりたい』:『この蛭子さんの絵、無人島で見たい。曲の途中の加山雄三さんのパロディも最高です。西新宿で買いました』
●ジョン・レノン『(JUST LIKE) STARTING OVER』:
●ジョン・レノン プラスティック・オノ・バンド『POWER TO THE PEOPLE』
 :『DJやる時に7インチだけでかけようっていうのをやってて。『パワー・トゥ・ザ・ピープル』って見て、あ、これ買おうって。ジャケットがやっぱいいし、曲を聴くと本当にパワーが湧いてくる気がする。歌詞もシンプルですし』
●YOLA TEN GO『SLEEPLESS NIGHT』:『奈良さんがジャケットを描いてるのと、奈良さんが曲を選んでるんで、ヨ・ラ・テンゴがカバーしてる。このアルバムがいいのが、奈良さんが山口富士夫さんとか、バーズとか、いろんな名前を書いてるんです。これを買って一個ずつ検索していけば、もうロック博士になれる(笑)』
今後の【a flood of circle】ライブスケジュール2023.6.1.thu 名古屋CLUB QUATTRO
a flood of circle”Tour 花降る空に不滅の歌を”

2023.6.2.fri 大阪umeda TRAD
a flood of circle”Tour 花降る空に不滅の歌を”

2023.6.3.sat 渋谷STREAM HALL / SPACE ODD / CIRCUS TOKYO / IKEBE SHIBUYA / Creator Collaboration Space / FS. ※佐々木亮介ソロ
“SHIBUYA SOUND RIVERSE 2023”

2023.6.8.thu 下北沢Flowers Loft
“One Gareden” Presented by THE PERMANENT PICTURES

2023.6.16.fri 東京Zepp Shinjuku
a flood of circle”Tour 花降る空に不滅の歌を”

2023.6.16.fri 新宿LOFT ※深夜公演
Getting Better “AFOC THE MIX” x a flood of circle “AFTER PARTY MONSTERS”

2023.6.18.sun 吉祥寺bar Days
“カワノと百々と亮介と”

2023.6.24.sat 浅草フランス座演芸場東洋館
佐々木亮介弾き語り興行 “雷よ静かに轟け” 第二夜

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