どうもこんにちは。最近、一緒に取材に回っていた20代男子撮影スタッフたちと食べる量がほぼ一緒だということに気がついたライター・カワグチです。「食欲がないからおにぎりだけでいいです……」という同行女子スタッフを尻目に、男子スタッフの「ラーメンにライス」「うどんにおにぎり」オーダーに便乗する日々。おっかしいなー食欲っていつなったら落ちるんでしょうね。アラフォーなんですけどね。
まさか続くとは思わなかったこの企画。しかし終わる気配のないコロナ禍。明けない緊急事態宣言。というかそろそろこういう前置きにも飽きてきました。ああ、心おきなく飲み食いがしたい。ソーシャルディスタンスを気にしなくていいところに行きたい……。
そうだ、奥多摩行こう。
思い立ったときには飛び乗っていました中央線。嘘です、第一回でマーベラスなレシピを提供してくれた蓮池先生には連絡をしました。先生、今回もこのやさぐれきったアラフォーに、なにか、なにか美味しいものを教えて下さい……。
蓮池陽子
ビストロ勤務の後、料理教室で講師を務める。アウトドアで山菜や貝などの山や海の恵みを採取する中で、美味しい物の背景には“美しい自然”や“沢山の物語”があることに開眼。現在は料理教室からフードコーディネートまで幅広く活躍し、アウトドア料理のレシピ本も多数出版。
そんなわけで。到着しましたよ奥多摩駅。都心在住で、アウトドアに興味がない人は降り立ったことすらないかもしれません。新宿から約2時間、JR中央線から立川駅で乗り換えるJR青梅線のまさに終点。でも昨今のアウトドアブームもあり、オシャレな店とか美味しい店も増えててなかなかに面白いスポットであります。
奥多摩駅から5分歩いて、やってきました氷川キャンプ場。はい、今回はキャンプ場です。駅から歩いてアクセスできることもあり、都内屈指の人気キャンプ場。実は存在は知っていたけど、実際使うのは初めて。
受付を済ませ、日帰りキャンプで使用できる川原に降ります。見て、この雄大な自然! 流れる川! 前回の高尾山に引き続き、天気はどんよりしてるけど!! 何、日頃の行いが悪いの? いや身に覚えはあるけどさ……天気予報は直前まで晴れだったのに……。
この日は平日ゆえに人は少なめ、BBQやデイキャンプを楽しんでいる人も多く。中にはテント貼って焚き火しながらPCで仕事してる人も……いいっスねそのリモートオフィス。というか皆さん平日なのに何やってるんですか。いや私もだけどさ。放った言葉を自ら突き刺していくブーメランスタイル。
持参した折りたたみテーブルと椅子をセット。
「ここをキャンプ地とする」
某番組の名ゼリフが思わず頭に浮かびます。いや普通に考えて、これ持ち歩くだけでどこでもゆっくり食事が楽しめるってすごくない? 楽しくない?
ちなみに今回はなんでキャンプ場にしたかというと、ほら今流行ってるアニメとドラマがあるじゃないですか。若い女の子たちがキャッキャウフフと楽しくアウトドアするっていう……『ゆ◯キャン△』とかいうやつ、あれがやりたくて♪ ほら腐っても元“女の子”だしー、ああいう感じで楽しんでもいいかなーと……
すいませんまたもや嘘をつきました。『ゆる◯ャン△』にはこんなものは出てこないですよね、彼女ら未成年だし。登山ではできないことをやりたかったのです。
登山ではできないこととは、なにか?
はい、飲酒です。
せっかくなので、すべて東京は多摩の地酒で揃えてみました。中心のワンカップが禍々しい存在感を放っているような気がしますが気にしない。さてどれから飲みましょうかねぐふふ。
と、この連載の本題はお料理ですもの。とりあえずお酒の一部は待機として、こう!! 川の水でいい感じに冷えてもらいましょう。
これです……これがやりたかったの……。
ただ、あまり悠長に冷やしている暇はないかもしれません。なぜって?
「腹が、減った」by『孤独のグルメ』井之頭五郎
うん、『ゆる◯ャン△』じゃないね。私の場合、食欲っぷりといいこっちだね。私の頭の中の五郎さんが呟きだします。
「俺は今、猛烈に腹が減っている」
五郎さん、下戸だけどね。そこはツッコミ不要で。
さて。今回蓮池先生が用意してくださったレシピはこちら
【材料】
豆腐 小1パック(150g〜200g)
きのこ(なめこ、しめじなど) 1/3パック
揚げ玉、めんつゆ、七味、好みの薬味 適量
卵 1個
冷凍うどん 1玉
「5月のキャンプ場はまだ肌寒いと思いますので、温かい料理にしました! アウトドア料理の中でも、『煮る』料理は失敗が少ないです。このレシピは調味料も少なくて済むし、切り物がほとんどないので、作りやすいと思います。揚げ玉のおかげで満足感があり、豆腐が入るのでタンパク質も取れる。しかも、めんつゆの甘辛い味わいはみんな好きですよね? 満足感のある一品だと思います。薬味は万能ねぎやせり、三つ葉など、緑のものだと彩りもきれいですよ」――蓮池先生談。
先生―!!!(涙)。薄曇りの奥多摩になんてピッタリのレシピ……。
さっそく作っていきますよー。
材料はこんな感じ。きのこ多めにしたかったのでしめじとなめこ2種類にしてみました。気分だけは『ゆる◯ャン△』ぽく、鍋もメスティンを用意。メスティンって何?という人に説明すると、要は「オシャレ飯盒」です。
めんつゆをそばつゆ程度の濃度になるように水で薄め、メスティンの半分くらいまで入れます。そしてバーナーのスイッチをオン!
豆腐を9等分したものと、石づきをとってほぐしたしめじ、パックのなめこを投入。なめこがちょっと多かったような気もするけど気にしない。ぼんやりと川の流れを眺めていたらあっという間にふつふつと沸騰してきます。そのまま1〜2分弱火にして加熱。
しめじが煮えてきたら揚げ玉を加え、溶き卵を入れてさらに加熱。
卵が好みの固さになれば完成! 薬味(今回は万能ねぎ)をかけて……うわ、すでにめちゃくちゃ美味しそうな匂いがただよってます。言うなればカツ丼のアタマ部分とか柳川とかあの風味。めんつゆ、たまんないっスね。お酒もいい感じに冷えたし、さっそくいただきまーす。
アツアツなので、シェラカップにとりわけ、七味をふって一口……。
「うおォン!!」
私の頭の中の井之頭五郎さんが唸ります。美味しい、美味しいよ先生……。甘じょっぱく味付けられた豆腐に、揚げ玉が濃厚さをプラス。きのこ類の食感もよく、食べごたえ抜群。今回なめこを入れたのでかなりとろみがプラスされましたが、これが体を温めてくれて大正解。
お酒もすすむすすむ。このお酒、カップ付きでまさにいたれりつくせり。一人やさぐれ飲みに最高すぎますわ。
さて、ひとしきり鍋の中身を食べたら、冷凍うどんを投入。そのまま持ってきたのでいい感じに自然解凍されてます。この方法、保冷剤代わりになって一石二鳥かも。
はーい、締めのうどんでーす! 余った薬味と七味、あと予備で持ってきていた卵も投入していただきまーす。
え、味? 間違いないに決まってるじゃないですか!!! あっという間に完食。
はー美味しかった。
ふと周りを見渡すと、楽しそうな大人たち。再度繰り返しますが、平日です。
まあ私も一人で美味しいもの作って食べて、川でお酒冷やして飲んで、んでこのあとにバーナーでお湯沸かしてワンカップの燗を付けて飲もうとしてますけどね。
随分と十代のころに思い描いてた「ちゃんとした大人」からは遠いとこに来たような気がするなあ……と一瞬アタマをよぎるも、気にしないことにしました。うん、やっぱ『ゆ◯キャン△』は無理だったね!!!
というわけで。今回のそとごはん、にわか五郎さん的には
・氷川キャンプ場はいいぞ
・キャンプ飲みもいいぞ
の二本立てでお送りしました。
レンタル品も充実しているので手ぶらで焚き火とか出来ちゃいますよ氷川キャンプ場。2時間で大自然にプチトリップ、ぜひお試しあれ。
氷川キャンプ場
〒198-0212
東京都西多摩郡奥多摩町氷川702
https://www.okutamas.co.jp/hikawa/
※現在は完全予約制にて営業中
文・川口有紀