登山、キャンプ、BBQ……ひとりでも美味しいアウトドア飯 「をんなひとりそとごはん」〜vol.4 嗚呼、川の流れのように♪ 夕暮れの河川敷でチェアリングの巻〜

「チェアリング」って、ご存知ですか?

アウトドア用の椅子だけを持って出かけ、その椅子を公園や水辺など好きな場所に置き、楽しむというアクティビティなのだそうです。始めたのはフリーライターのスズキナオさんとパリッコさん達。彼らの記事をWEBで読むたびに、「いいなぁ〜」という思いをジクジクと温めてたんですよね、胸の奥で。私もどこかに椅子置いてまったりのんびりしたーい! 夕日を眺めながらビールとか飲みたーい!!

というわけで決めました。今回のテーマは「川を眺めながら、チェアリングでビール」。
前回は山だったので、今回は川にしてみます。ビールがあればどこでもいいんじゃないかって? 痛いところをつかr……いやいや、こういうのはロケーションが大事ですから。今年のゴールデンウィーク初日、近所の小さな公園にアウトドア用椅子とミニテーブルを持ち込み、テーブルの上にぎっしりとお酒と肴を並べて朝からチェアリング的なことをしている人を見かけましたが、羨ましいと言うよりはちょっと見てはいけないものを見てしまったような気分になりましたもの。アラフォー女が一人でやってるといたたまれなさは倍増、むしろ通報されそうな気がします。なのできちんと、河川敷まで足を運ぶことにしましょう。

というわけで、毎回素敵かつ美味しいレシピを提供してくれる蓮池先生には今回、こんなオーダーをしてみました。
「ビールに合う料理、よろしくお願いします!」

蓮池先生
蓮池陽子
ビストロ勤務の後、料理教室で講師を務める。アウトドアで山菜や貝などの山や海の恵みを採取する中で、美味しい物の背景には“美しい自然”や“沢山の物語”があることに開眼。現在は料理教室からフードコーディネートまで幅広く活躍し、アウトドア料理のレシピ本も多数出版。

このオーダーを送ったら「どんなビールにするかお決まりですか?」と返してくださる蓮池先生、控えめに言っても、。酒飲みにとっての。

そんな神からたまわったレシピを片手に、さっそくレッツチェアリング!……と言いたいところですが。少し家で準備をしてから出発することにします。今回のメニューはこちら。

●しらすアボカドホットサンド

<材料>
食パン(6or8枚切り)  2枚
A
・しらす          30〜40g (大さじ6〜8ほど)
・ニンニク(すりおろし)  少々
・こしょう         適量
・オリーブオイル 大さじ1と1/2〜
・イタリアンパセリ(みじん切り) 少々
・アボカド         1/2個

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まず、自宅でAの材料を準備。「ニンニクはぜひ生のすりおろしを。イタリアンパセリは打っているスーパーが限られるかもしれませんが、絶対入れたほうが美味しいです! オリーブオイルはたっぷりめに」と蓮池先生。その言葉を信じて、頑張って探しましたイタリアンパセリ。人生で初めて買いましたイタリアンパセリ。

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しらす、ニンニク、こしょう、イタリアンパセリ、オリーブオイルを混ぜます。これで下準備は完了。既にニンニクとオリーブオイル、イタリアンパセリのいい匂いが漂っています。
「これはこのままでおつまみになるので、たっぷり作って海苔に巻いて食べても美味しいですよ」(蓮池先生)
なんですとー! せっかくなので少しだけ海苔に巻いてパクリ。あ、これものすごく美味しい……。しらすはイタリアン風味なのに海苔の和風に合う、不思議なマリアージュ。そのまま食べつくしそうなので心を鬼にして容器にしまいます。

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今回飛び乗ったのは東横線。じゃーん、鶴見川です! 
梅雨の晴れ間の青空ですが、すっかり夏本番の色をしています。日も落ちてきて少し風が吹いている、なんともベストな陽気。さすがに昼間はね、死ぬからね。気温で。

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いい感じの場所を見つけたので、さっそく椅子をセット。今回は調理もするので机もね。チェアリングは椅子だけちゃうんかーい! というツッコミはなしで。

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実は今回、蓮池先生にはもう1つリクエストをしていたのでした。それが「バウルーを使った料理がやりたいです」。
このバウルー、要はホットサンドメーカーなんですが、少し前からTwitterやYoutubeで「ホットサンドメーカーで何かを焼いてキメる」動画がバズっているのをご存知ですか? ご存じない方は「ホットサンドメーカー 動画」とかでググってみてください。特に夜中に観るのをオススメします。単なる飯テロです。
この動画を見るうちに、またも心中に湧く「私もなんか焼いてキメたい」の心。タイムリーなことに、蓮池先生はバウルー公認のホットサンドの本も出されているプロではないですか! というわけで今回のメニューがこうなったわけです。

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バウルーを広げてパンをのせ、家で作ってきたAとスライスしたアボカドをのせます。アボカドが少し崩れたのはご愛嬌。

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上にもう一枚パンをのせ、バウルーをセット。バーナーで両面を2分半〜3分ほど焼きます。

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あっという間に完成! ちょっと見てください、なかなかの“映え”具合じゃないです? 蓮池先生からは「最後にカットするイメージをしながら具材をのせるといいですよ」とアドバイスをいただいていましたが、初めてにしては大成功じゃないですか?(←自画自賛)

さて、簡単だったのでもう1品作ります。

●いかのオリーブオイルソテー 大葉仕上げ

<材料>
いか(ワタを取ったもの)  1杯分
大葉            3枚
ニンニク          1かけ
オリーブオイル       大さじ1〜
しょうゆ、こしょう     適量

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今度はバウルーをフライパンのように使います。私が憧れてた「焼いてキメる」使い方ですね、ふふふ。スライスしたニンニクとオリーブオイルを入れて、弱火にかけます。

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ニンニクがいい匂いがしてきたら火を強め、胴体は輪切り、ゲソは食べやすい大きさに切ったイカを投入。ざっと混ぜて油をなじませ、蓋をします。
この時点でかなりニンニクの暴力的な匂いが周囲に立ち込めます。周囲の釣り人の人たち、心を乱してすいません……。

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1分経ったら蓋を開け、しょうゆを加えざっと炒め、火を止めて千切りにした大葉を散らします。こしょうをかけて完成!
ホットサンドメーカーだと蓋をしめて蒸し焼きにする形になるので、火の通りが早いしふんわり仕上がるのがいいですね。あっという間にできました。

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料理は完成、ここで満を持して取り出しますのは麦ジュース……

嘘です。

実はこれ、中野にあるクラフトビール専門店「中野ビール工房」で買ってきたテイクアウトのクラフトビールなのです。緊急事態宣言でお酒を出すお店が厳しい状況に立たされる昨今、せめてテイクアウトでも楽しみたい。そんな気持ちも込めて購入してきました。まあ、単にここのビールが好きなだけなんですけどね。

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というわけで、いただきまーす! 
まずはアボカドサンドにかじりつきます。しらすの程よい塩気とアボカドのクリーミーさに、イタリアンパセリとニンニクの風味がパンチを添える逸品。ホットサンドってついついガッツリした中身を選びがちなんですけど、とても上品な味わいで、でも食べごたえは抜群。蓮池先生、さすがです。ちなみにこのホットサンド、「シャンパンや白ワインにも合いますよ」とのことです。やだ危険。
続いてビールを一口……今回はアルコール度数が低め、風味も爽やかなヴァイツェンを選んでみたのですが、合う! いやまあ、ビールは一口じゃ終わらないよね。グビグビと飲みつつ、今度はイカをパクリ。
なんじゃこりゃー! 死ぬほど簡単だったのにこれまた美味しい。いやイカって普通に醤油で焼いただけでもおいしいじゃないですか。オリーブオイルとニンニクと大葉足すだけでこんな味になるんですか。今度からイカは常にこうします。一軍レギュラーメンバー入り確定です(何の?)

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美味しい料理を食べながらビールをプハーッとやりつつ、夕日に暮れなずむ川の流れを眺めていると、なんだか日常のストレスがゆるゆるとほどけていくようです。

と、ぼんやりしてたら通りすがりのおじさんに声をかけられました。挨拶されたので、酔っぱらいの陽気さで「こんにちはー!」と返事をします。と、おじさんの口から思わぬ一言が。

「ウナギですか?」

ウナギ?……見れば先方の手には釣り竿とクーラーボックス。そこで状況を察しました。いいえ違います、単に河川敷で何かを焼いてキメにきただけなんです……そう言うわけにもいかず、「あ、釣りじゃないです!」と大声で返すのみにとどめました。その人も私が手にしたビールと足元の状況に気づいたのでしょう、気まずそうに去っていきました。ごめんなさいね釣りのポイントを教えることができなくて。というか鶴見川ってウナギ釣れるんですね。

河川敷で一人、ホットサンドメーカーでひたすら何かを焼きつつビールを飲んでいる女はおじさんの目にどう写ったんでしょうか。でもまあ、公園で一人でいるよりはおおらかに受け止められたような気がします。それもこれも、雄大に流れる川の流れのおかげ……そう思いましょう。茜色に染まる空を見ながら、グイグイとビールを煽っていったカワグチなのでした。

文・川口有紀