ライター・カワグチが「どこか屋外でご飯を作って食べてくる」というこの「をんなひとりそとごはん」。
さーて、次はどこに行こうかなあ…… なんてつらつら考えていたら、ケムール編集長から電話がかかってきました。
編集長「山梨県、行きませんか?」
ほほう、山梨とな? いやキャンプ場も手頃な山も多いし、いつかは行ってみたいと思ってましたが……なぜに?
編集長「実は、こんな企画があるんです」
「キャンプの聖地と呼び声高い山梨県で開催される、ソロキャンプのコンテスト」
とのこと。山梨で行ったキャンプやキャンプ飯の写真をアップすると、サイトに掲載&副賞もいただけるそうです。
なにその楽しそうな企画!
編集長「これにちなんで、をんなひとりめしin山梨県、やりません?」
カワグチ「やります(即答)」
だって面白そうなんですもの。せっかくの残り少ない夏、東京でひきこもって居たくないんですもの。
というわけで、山梨県へと向かったわけです。
ちなみに今回は番外編、いつもはカワグチひとりの旅程ですが、今回は編集長も運転手として参加です。
カワグチ「そういえば編集長、キャンプとかアウトドアのスキルってあります?」
編集長「まっっったくないですね(笑顔)」
はーい、これで現地までの移動以外は実質いつもの「ひとりめし」と変わらないことが確定!!!
さて当日。気持ちいいほどの夏日となりました。
ただ……予想以上に、夏。いやそんなに本気出さなくていいよ、夏。都心から中央道を2時間ほど進み、南アルプス市へと向かったんですが……材料買い出しのために市内に降り立った編集長、車を降りた瞬間「暑っ!」と叫びます。
編集長「自然豊かな場所で避暑、的なイメージをしてたんですけど」
何を言ってるんですか編集長。ここはあの埼玉県熊谷市と並び称される日本有数の「暑い場所」甲府盆地ですよ?
「思ってたんと違う」と釈然としない顔の編集長ですが、放置して先へ進みますよー。
今回の目的地「アウトドアコミュニティロッジ gosen」へ。市街地から山の方に向かい、ちょっと高台にある立地。山道をぐるぐると登ると……
……あれ、涼しくなってきたぞ? さすが山!
山梨県南アルプス市築山5000
とうちゃーく!
……正直カワグチ、到着時点で「いやマジっスか」的なテンションです。
かつて住居だった建物をリノベーションしたというこのロッジ、庭に巨大BBQテラス付き!
見てくださいよ、テラスからは甲府盆地が一望!!
すぐ裏手には南アルプスの天然水がたっぷり使える湧き水……!
このロッジ、テントサウナプランもあるとのことで。その際はこの湧き水で冷水浴できるんですってよ奥さん(誰に?)。山から湧き出したばかりの天然水、超ひんやりです。
完全に舞い上がってるカワグチ、本来の目的を忘れるところでした。いかんいかん。
さて、満を持して今回作る料理を発表します。
レシピ提供はいつものように蓮池陽子先生。「山梨県で作ります」というざっくりとしたオーダーでした。いつもすいません。
蓮池陽子
ビストロ勤務の後、料理教室で講師を務める。アウトドアで山菜や貝などの山や海の恵みを採取する中で、美味しい物の背景には“美しい自然”や“沢山の物語”があることに開眼。現在は料理教室からフードコーディネートまで幅広く活躍し、アウトドア料理のレシピ本も多数出版。
そして、蓮池先生から来たレシピはこちら!
◯15分で完成! 牛肉の白ワイン煮
<材料>
牛ステーキ肉(厚めの焼肉用でも) 150g 甲州ワインビーフ
あればおいしい牛脂 1個
玉ねぎ 1/4個
マッシュルーム 3個
ミニトマト 3個
A
・白ワイン 100ml
・水 100ml
・鶏がらスープの素 小さじ1/2
片栗粉 大さじ1ぐらい
生クリーム 大さじ1〜2
塩、こしょう 適量
イタリアンパセリ 2本ほど
「山梨には『甲州ワインビーフ』というブランド牛肉があるんです。またワインも美味しい場所なので、ワインに合わせられるような短時間で仕上がる煮込む料理にしました。このメニューには、ワインはロゼか軽めの赤ワイン、白なら少し樽が効いているタイプが美味しそうです。ぜひ美味しい甲州ワインビーフを堪能してください」
蓮池先生談。
牛肉―! しかもブランド牛―!!
いつもは予算を考えて言い出しづらかったんですけど、そろそろ「お肉メニュー、やりたいな……」と思ってたところにこの提案! しかも今回は編集長という名のスポンサー付き。蓮池先生大好き愛してる。
さっそく、BBQテラスの片隅で調理開始しますよー。今回、道中の買い出しで手に入れたのは……。
お に く !!!
先生オススメの「甲州ワインビーフ」、手に入れました。ワインを搾って残ったブドウ粕を飼料として育てている牛肉なのだとか。
部位に悩んだのですが、イチボとミスジ、両方買ってみました。編集長ありがとう……ありがとう! 牛脂もお店でゲットしました。
まずは牛肉を大きめの一口大に切り、塩こしょうをして、片栗粉を全体にまぶします。玉ねぎは薄切りに、マッシュルームは石づきを取って3等分、ミニトマトは半分に。
フライパンに牛脂を熱し、油が出てきたら強火で牛肉に焼き色をつけ、取り出しておきます。この時点ですでに美味しそう……。
フライパンに玉ねぎとマッシュルームを入れて少し焼き色がつきしんなりするまで中火で炒め、牛肉、トマト、イタリアンパセリ の茎とAを加え、常にクツクツさせながら7〜8分煮ます。
さてあとは待つだけ……となっていたら、おもむろにボトルを取り出す編集長。
編集長「実は白ワイン、いただいてます」
きゃー!!(狂喜乱舞)
差し出されたのは「白百合醸造 ロリアン勝沼甲州2020」。DWWA(デキャンター・ワールド・ワイン・アワード)プラチナ賞受賞ワインだそうです。いいんですかそんな贅沢しちゃって。
カワグチが喜びの舞を踊っている間に、煮込みも終わりました。
仕上げに生クリームを加え、塩で味を整えて完成です。生クリームは大さじ1〜2で調整、「あればレモンを添えても合いますよ」と蓮池先生。
あと本当は少し冷まして味をなじませ、食べるときに温めると美味しいとのことで、キャンプなどで時間がある方はぜひ。
そしてすいません。仕上げにこしょうと刻んだイタリアンパセリをかける予定が、ワインに浮かれすぎていてついうっかり忘れました。前回のネギに続いてカワグチの凡ミスです……。蓮池先生ごめんなさい。
みなさんは仕上げにイタリアンパセリとこしょう、しっかりふりかけてください!
持ってきたバゲットと、きりっと冷えた白ワインとともにいただきます。
パクリ。
(言葉にならない)
おーいーしーいーーーー! 甲州ワインビーフ、うっまああああああ!! 白ワイン煮、うっまああああ!!! いや食べてみてくださいよ凄くないですか編集長!
編集長「……なんか、ビストロとかで食べる味がします」
でしょ? 凄いですよね蓮池先生のレシピ。そして運転手なのでアルコールが飲めない編集長を放置して、一人ワインをいただくカワグチ。
わ、このワイン美味しい……辛口だけれどもしっかり風味があり、暑さもあってすいすい飲めてしまう。外飲み楽しーい!
そんなこんなで編集長と2人、絶景を目の前に言葉少なに飲み、喰らいます。
いい感じに午後の日差しになり、風も吹いてきました。ああ、2021年の夏の終わりにして、最大の快楽がここに。
ところで。
写真に写った肉が余っていることにお気づきでしょうか。一応ね、予備で多めに買ったんですよ。というわけで……。
これを、こうして、こう!
焼いて添え付けの塩コショウしただけ。味? これはこれで美味しくないわけがない。そもそも肉のポテンシャルが凄い。白ワインもまだまだ残ってますしねー。
編集長「高速が混まないうちに、そろそろ帰りますよー」
えーーー。やだー、帰りたくないー。ここでもっと「そとごはん」してたいー。保護者の如く帰宅を促す編集長と、すっかり酔っ払いと化したカワグチ。
そんなこんなで「そとごはんin山梨」は最高の1日となったのでした。
みなさんも山梨でソロキャンプ&ひとりごはん、ぜひ!