【前編】100年使える!“革のダイヤモンド”で1点ものの使いすてライター用ケースを作る!

この記事は”革のダイヤモンド”とも呼ばれる最高級の革「コードバン」を使って、「使いすてライター用の100年使えるライターケース」を作るまでの制作日記(奮闘記)です。

作る工程やデザインといった細かい話はあとにして、まずは私(筆者)の自己紹介をしていく。
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株式会社ツクモ_坂田有生
株式会社ツクモ
代表取締役社長 坂田 有生(さかた ゆうき)
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ツクモが何の会社かというと、革製品をメンテナンスして、もっと綺麗に長く使うことで、ごみも減っていいよね!っていう発想から、個人のお客様向けに革製品のメンテナンスサービスを展開している会社です。

当たり前のことですが「革」は動物の「皮」から出来ていて、命を頂戴している訳です。ご飯は残してはいけないのに、革は使い捨てにして良い訳がないですよね!

ライターケースを作ることになった背景

そんな活動をしている私が、ちょっとしたご縁でケムールさんで何か面白いことをやってくれないかとお願いされたのがほんのひと月前。まだなにも決まっていない段階で、面白そうな企画をいくつか提案してほしいと言われたのです。

ちなみに没になった企画には、
・コロナ大流行中に起業した若手社長の奮闘日記
・紳士の常識 革製品ブランドの歴史
などがあった。
計10個ほど提案しただろうか。

そこでビビッときたのが、高級な革を使って作る使い捨てじゃない使いすてライター用のケース作りだった。革製品に携わるものとして、こんな面白い企画とチャンスを逃すわけにはいかない!
やってやりましょう!良い物を作ってみせますとも!

革にかける私の”想い”

ライターケース制作_革にかける私の”想い”
ライターケースを制作することになって初めにしたのは革の説明でした。デザインをどうするか、どのようにエッジを効かせるか、どのような工程で作るか、そんなことよりも、とにかく革の説明に苦労しました。

以下のような説明を、そりゃあもう熱く語りました。

革って100年程度使えるものもあって、めちゃくちゃ丈夫な素材なんですよ。
しかしケアをしないとすぐに駄目になる・・・

これが革の面白いところなんですが、ライトユーザーには本当に面倒な作業なんです。
でもね、今地球はゴミが多すぎて大変なことになっているわけで、今あるものをメンテナンス or 修理して使い続けることがとっても重要なわけです!

しかし、日本は世界的に見てもメンテと修理のリテラシーが特に低いんです。昔は着物を何代にも渡って大切に使っていて、大切に長く使われたものにはツクモ神っていう神様が宿るなんて言われてました。

今の日本は豊かになり、物を大切にする気持ちが薄れているんですかね・・・

さらに身だしなみの1つとして、お手持ちの革製品を綺麗にすると、本当にワクワクするものです。新しいお洋服を買ったときってワクワクしませんか?あのワクワクがメンテナンスをする度に味わえる訳です。

私はそんな革製品が大好きなのです。

もう一度言いますが、そりゃあもう熱く伝えました。これでもかってぐらいに。

素材を決める|”革のダイヤモンド”「コードバン」に決定!

ライターケース制作_材を決める|”革のダイヤモンド”「コードバン」に決定!
で、今回使う革ですが、ただの革ではないんです!!革のダイヤモンドとも称される「コードバン」!!

予算の問題で実際に触ることはあまりない貴重な革ですが、私の熱い熱いプレゼンに共感していただいたケムールスタッフ様に快く予算を出していただけることになりましたw。

早速ですが、実際にライターケースを作るのに使う革はこちら!!!
コードバン

革の上に置いてある定規は30cm定規なので、とんでもない大きさの革であることがわお分かりいただけると思う。
大体代替20dsくらい。
( 1デシ(ds)とは、10cm×10cmの正方形の面積のこと)

馬1頭からとれる半分のサイズを仕入れました!

革ってね、本当にピンきりなんです。2000円くらいの革製スマホケースとかは老いた牛の皮を使ってます。ブランドものの高級品だと生後3ヶ月ぐらいの子牛の皮を使ってます。
キメの細かさや艶が全然違うんですね。

そして今回は馬の革!!!!

しかも1頭の馬から少ししか取れない、馬の臀部(おしり)の皮を薄く漉いて、さらにつぶして、なんやかんやすると綺麗なコードバンの完成です。

手間もかかるし、使える部分は少ないしで、「革のダイヤモンド」なんていわれてます。

さらにコードバンと言ってもピンきりで、なめした工房がどこかによって、値段が10倍くらい違う。。。
シャンパンとスパークリングワインみたいなものですかね。

今回は世界一有名で、確かな技術と歴史を持つタンナー(革をなめす工房の加工会社のこと)、ホーウィン社のコードバン!
簡単に言うと、素材も貴重で、加工した工房も世界一。そう、最強の革です。

最高級の大間産天然本マグロを、世界最高の技術を持つ職人が仕込んでいるようなもの、と考えると分かりやすいかもしれません。

例えば、このホーウィン社がなめした世界一と言えるコードバンを、製品の素材として使ったもので有名なのは「ALDEN(オールデン)」の革靴・革ブーツですね。

ALDEN(オールデン)

ALDEN(オールデン)

ご覧のようにホーウィン社が加工したコードバンを素材として使った革靴を買おうとしたら、15万円ぐらいするのです。
革靴・ブーツというカテゴリーで考えれば、非常に高価であることが分かります。

また、日本で流通する量も限られていて、日本産の革製品でホーウィン社のコードバンを使ってるものはとても少ないです。

今回はそんな最高級の革でライターケースを作る企画。ライターって使いきりのもので、なんとなくどれも同じように使っていますが、使い捨ての物に半永久的に使えるケースをつける。これすごくオシャレじゃないですか?

このアンバランスさに私は芸術を感じます。
相反するものの共存ってかっこいい!

デザインを決める|シンプルイズベスト!

ライターケース制作_デザインを決める|シンプルイズベスト!
ここまでのやり取りでようやく素材が決まっただけ。デザインはみんなでとにかく色々と出しました。

中でも面白かったアイデアは、ライターの着火を妨げる風を防止できる「風除け機能付きケース」ですね。最高級の革を使うため、できる限りシンプルなデザインにしたい私と、機能やデザインでこだわりを出したい人たち。

そりゃもうメチャクチャ話し合わないと理解し合えないわけで・・・

セーラー付きライターケース
(セーラーつきライターケース 没案)

トータルで5時間程度の会議の末に「革で風除けを作るとケースが焦げる」この盲点(当たり前すぎる点)に気がつき、シンプルなケースに決定!

物作りで一番難しいのはシンプルにすることだと思います。無駄を排除して洗練させる。その中にこだわりを残す。これはすごく大変なことでした。

結果的にライターケースでライターを限界まで隠す。しかしライターとしての機能を損なわない。このギリギリを攻める。

そして男女ともに使えるデザインで、さらにライターの無骨さを多少残す。
そんなことを意識して出来たデザインはこちら

コードバンライターケース
(コードバンライターケース 採用案)

火力調整のつまみは毎回調整するわけではないため、ケースで隠れる仕様に。

ステッチは小物にしてはすこし大きな4mmステッチを採用した。すこし無骨なイメージがここで出せる。

さらに着火するために上部を斜めの切り口にして、ワンポイントのロゴタグを作って縫い付ける。

これはいいモノが出来そうだ。
後編では制作工程をご紹介します!!

後編はこちらから