【後編】100年使える!“革のダイヤモンド”で1点ものの使いすてライター用ケースを作る!

この記事は”革のダイヤモンド”とも呼ばれる最高級の革「コードバン」を使って、「使いすてライター用の100年使えるライターケース」を作るまでの制作日記(奮闘記)です。

ぜひ前編からご覧ください。

前編はこちらから

さて前半ではデザインや、なぜこのお仕事が始まったのかなど、背景に触れてきました。
ここからは実際にケースを作っていきます。制作編ですね!

試作品を作って、改良し、本番の革であるコードバンを使って10個作ります。
地味な作業ですが、ここにクラフトのすべてが詰まっているといっても過言ではない。
慎重に、1つ1つ作っていきます!

試作品を作る!

いきなりコードバンを使って作るのではなく、試作品を作っていきます。
そのためにまずは型紙の作成です。

コードバンライターケース作_1

1回目のテストなので、余ったコピー用紙をライターに巻きつけてカットしました。
この紙を元に、余っていた馬のヌメ革を使用して仮縫いしたケースはこちらです。

コードバンライターケース作_2

途中までしか縫われていませんが雰囲気はでています。
がしかし、、、ケースへ試しにライターを入れてみたら、

コードバンライターケース作_3

入らない・・・!

これは型紙の段階でライターの立体感を甘く見ていたのが原因です。
あと革と紙では厚さが違いますので、中の空洞が思ったよりも窮屈になってしまいました。

でもこの失敗は大きな一歩です。
型紙の幅を2mmずつ広くすればいい感じになると予想します。

コードバンライターケース作_4

仮で作った型紙を本番用の厚い紙の上において、再設計します。

コードバンライターケース作_5

一回り大きい型紙が完成。

コードバンライターケース作_6

余ってる革を裁断します。

コードバンライターケース作_7

綺麗に切れました。

コードバンライターケース作_8

サイズはこんなかんじです!
縫うともう少しタイトになるのでいい感じ!
(一旦ほっとしました)

コードバンライターケース作_9

テストなので土手を掘っていきます。

コードバンライターケース作_10

そしてここで菱目打ち!糸が通る穴をあけます。

コードバンライターケース作_11

裏側からみるとわかりやすいですね。こんな風にひし形の穴が開きます!

縫ったらものがこちら!
サイズのテストだからステッチも土手も適当すぎるのはご愛嬌です笑

コードバンライターケース作_12

お!!サイズはとてもいい感じ!!!!
本番では着火部分(ケース上部)を斜めにします!
、ということで最終的に出来上がった型紙がこちら!

コードバンライターケース作_13

次はいよいよ本番の革であるホーウィン社の「コードバン」を使っていきます。
(ここからは失敗が許されないのでちょっとビビってます・・・笑)

いよいよコードバンで完成版を作成!

試作品と大きく違うところは、革の裁断をレーザーカッターで行うこと!
ハイテクですよね!職人もどんどんアップデートしていかなければいけません。
機械の方が得意なことは、どんどん機械に任せていきます。

コードバンライターケース作_15

こちらがレーザー加工機です!この機械で切った革はこちら。

コードバンライターケース作_16

めっちゃ綺麗にくり抜かれてます。
革包丁だと端切れが多く、革がもったいないので、これは素晴らしい!
そしてなんだかんだで10個ちょい分とりきって残った端切れはこんな感じに。

コードバンライターケース作_17

余すことなく使い切った感がすごい…。手で切っていたのではよほどの職人でないとここまできれいにはいかないでしょう。

コードバンライターケース作_18

裁断した革を試作品と同様に加工していきます!
画像はコバの処理と床面の処理を終えて、菱目を打った状態です。

上で見せた試作品と比べると菱目の奇麗さが際立ちますよね。
実はコレ、↓こういう治具を3Dプリンターで用意して、正確に革のコバから一定の距離に菱目を打てるように工夫しております。

コードバンライターケース作_19

ちなみに、「コバ」とは革をカットした裁断面のことです。
漢字では木端と表記され、もともとは木材について使われていた言葉です。

なぜコバの処理を行うかというと、まずは手触りです。
コバをあえて残す製法もありますが、コバを綺麗に処理することで手触りがよくなります。

さらに、コバの処理を行わない場合は、革の線維がほつれたり、革の貼り合わせ部分が割れたり、コバ自体が黒ずんだりします。

今回のライターケースは、せっかく上質でとても丈夫な革であるコードバンを使うため、できる限り長く使っていただきたいと思いコバも綺麗に処理しています。

コードバンライターケース作_20

そしてこちらが完成版です!
菱目の部分を縫い合わせて、ロゴのタグを追加しました。
我ながら素晴らしい出来です。

この時点でコードバン自体(革)自体の高級感や質感がわかりますね。

今回のクラフトは、コードバンという最高級の馬革を使っています。
しかし、そこに無骨さやクラフト感を残したかったのです。
なので糸もすこし太いものを使いました。
すべて機械に頼ってしまうと、このクラフト感はなかなか出せないのではないでしょうか!

1点もののライターケースにこめたこだわりポイント

ここからはこだわりのポイントをご紹介します。

コードバンライターケース作_21

こちらは処理をした後のコバです。
みなさんがお手持ちのお財布や、名刺入れは革と同じ色の処理剤で統一感のある仕上がりになっていると思います。

今回はワックスを塗りこみ、磨き、塗りこみ、磨き、・・・・・
これをなんども繰り返し、革をつるつるに仕上げました

着色はなし!
黒くなっているところは、レーザーカッターで裁断した際の、コゲです!
これを全部やすりきってしまわずに、すこし残して、木目のような表情を残しております。

正直コレは作る側の勝手なこだわりで、たとえばお店に並んでいて、お客様がこれに気がつくことはないと思います。
でも細部にクラフトの神は宿りますからね!見た目も、手触りも、存分に楽しんでいただけると幸いです。
正直コバに一番時間がかかっています!

革のダイヤモンド「コードバン」で最高級ライターケースを作ってみた感想

さて完成したケースをすべて並べますとこうなります。

コードバンライターケース作_22

やはり革質は素晴らしいものがあります。
革のダイヤモンドの名に引けを取らない光沢、手触り!
ライターの滑りやすさをカバーで補填していますので、着火しやすい使用です。
使えば使うほど手になじむ革の特徴と、よく使うライターケースというものも、相性がいいと思います。

今回のクラフトは以上!
レーザーカッターを使ったクラフトは初めてでしたが、この記事を通して、
・クラフトって意外とハイテク!
・時間かかってるんだな
・革製品いいな
なんて感じてくれたら嬉しい限りです。

正直な話をすると、ここまで自由に仕事をできることは珍しいです。
コードバン使いたい!手で触るもの作りたい!
といったように、私がやりたかったことを詰め込みました。

お気に入りのポイントとしては、使い捨てライターと長く使えるケースこの矛盾というか、コントラストというか、芸術を感じます。

タバコを吸う際に、このケースを毎回触ることになると思いますが、長く使っていくことで、人生の相棒のような気持ちになる。
そんな革製品との対話を楽しんでいただけると幸いです。

皆様がお手持ちの革製品も、ぜひ大切にしてあげてください!