たいへんよくもえました【2022年1月後半のSNS炎上ニュース】

1月下旬は大火災は少ないものの

みなさん、炎上対策してますか? ネット炎上ウォッチャーのせこむです。

あちこちで景気のいい火力を観測できた2022年のスタートダッシュでしたが、さすがに少し落ち着いてきました。やはり私の持論「年末年始は特番やイベントきっかけの炎上が意外に多い」「人はヒマを持て余すと何かを燃やす」は間違っていなかったようです。

というわけで、若干趣が変わってきた感のある2022年1月後半の主な炎上です。★の数は独断と偏見の炎上度合いバロメーターで、5つ星が満点です。


2021年12月後半~2022年上旬の主な炎上

①芸人・もう中学生、小道具を一部制作していた芸人に告発される ★★★
参考:サイゾーウーマン▶もう中学生を告発の芸人、「文春」リークは売名!? ネット上では問題児扱いも、吉本は「契約継続の方針」

②サンリオの人気キャラクター「マイメロディ」のバレンタイン用キャラクター商品が発売中止 ★★★★
参考:女性自身▶「女の敵は女」が波紋のマイメログッズが発売中止も購入希望するファン続出

③Youtuber「フィッシャーズ」、救急車をめぐる言動に賛否殺到、動画削除に ★★★
参考:J-CASTニュース▶「医療従事者に苦情」騒動、フィッシャーズが謝罪も賛否両論 無関係「豚汁動画」の概要欄で説明

④トンガ海中噴火の影響による津波警報に元BOOWYドラマーがコメント、炎上 ★★★
参考:ライブドアニュース▶津波警報に「逃げろとか言われても…」元BOOWYのドラマーに批判集まる

⑤呉座勇一氏をめぐる「オープンレター」問題、署名に関する事実などが判明し再炎上 ★★★★
参考:アゴラ▶呉座勇一氏のオープンレター問題再炎上: お粗末なこの問題、悪しきキャンセルカルチャーを許すな

 

いかがでしょうか。やはり年末年始の焼け野原状態よりは穏やかな火という印象。とはいえ、なかなか味わい深い火災が揃いました。
個人的には、周りの”エレ片リスナー”がザワザワしていた①もう中学生の一件がおかしくてしかたないのですが(注:告発した芸人の「ツクロークン」はエレキコミックと片桐仁氏のラジオ「エレ片のケツビ!」リスナーにはおなじみの存在)
あと、③フィッシャーズの一件に関しては、そのうち「Youtuber系炎上問題」をどこかでまとめてやりたいと思ってます。というかむしろあの界隈は積極的にボヤを起こしてなんぼというところがあるので、うかうかと反応したら負け感もあるのが厄介なところ。

⑤オープンレター問題ですが、編集部に相談したところ「静観しましょう」というコメントが返ってきました。まったくもって同感です。ただリアルタイムで泥沼の様相を呈しているので、来月くらいにはまた状況が変わってるかもしれないなという予感もありつつ。

今回の「たいへんよくもえました」

そこで、今回ピックアップしたいのは②マイメロディの火災バレンタイン商戦に向けて作られた商品が燃えてしまったという案件ですね。
状況を整理しますと、まずサンリオの人気キャラクター「マイメロディ」は、かつて『おねがいマイメロディ』(テレビ東京系)というアニメシリーズが放送されていまして。2005年から06年まで放送されたこのアニメ、当時女児だった視聴者が今20代となっており、ある意味「リバイバル人気」のような状況にもなっているわけです。フリーアナウンサーの宇垣美里さんが語って話題になった「マイメロ論」(注:降り掛かってきた理不尽は「私はマイメロだよ〜☆難しいものはよくわかんないしイチゴ食べたいでーす」と思えば大抵どうでもよくなるという意のことが書かれたコラム)も、ある意味このアニメ版マイメロをふまえてのことで、「サンリオのキャラクターであるマイメロディシリーズ」と、「アニメ版のマイメロキャラクター」はある意味別のユニバースになっているんですよね。

そして今回問題となったのは、主人公・マイメロディのお母さん、マイメロディママのグッズ。このママの「名言」が書かれたグッズが「ジェンダーバイアスを助長する」と批判され発売中止に追い込まれました。この名言、グッズ画像が今でも見られるのでぜひ確かめてほしいのですが「女ってね、ダメな男ほどほっておけないのよ」「男は先手必勝よ」など、一般的な母親の名言というか「ある一定世代の女性が呪いのように語りそうな典型的な言葉のカリカチュア」となってます。

 

▶火元となったグッズのパッケージ ©サンリオ

はい、今こう思った人はいませんか? 「なんでこんなグッズがバレンタインに?」……と。ここでもう1つ重要なのが、昨今のバレンタインはもはや「女性→男性への愛のイベント」ではないということ。むしろ「女性による女性のためのイベント」としてマーケティングされており、「男性ウケ」とかそういう観点は銀河系の果てまで置いておくというのが主流なのです。

ただ、このマーケティングが一歩間違えると難しいのも事実。2019年にはロフトのバレンタイン広告が物議をかもし取り下げになりましたが、これも「女子同士の陰湿さ(?)をあるあるネタに落とし込んだもの」でした。

 

参考:ハフィントンポスト▶ロフトのバレンタイン広告が物議で取り下げに。 「女は陰湿という考えが透けて見える」「なんの意図?」

▶ロフトの2019年バレンタイン広告。女子たちが「ズッ友」を装いながら裏で蔑みあうというストーリー仕立てだった(現在は全焼し削除済)

無駄にキラキラさせても嘘くさい、でもリアルさを追求して自虐にするとそりゃ「バカにすんな」となる。てか何度も言いますが自虐は自分を「虐げる」から「自虐」なのです。他人がやるとそれは中傷ですからね?

今回批判が殺到したこのマイメロママのグッズも、アニメ版のマイメロママを知っている20代女子にとっては笑えるし「なつかしー!」となる、ただその文脈を知らないと「なんでこんな旧世代の“呪いの言葉”が?」となる。最初は単にハイコンテクストなグッズが出される場所を間違えたという案件かと思いましたが、2018年に同様の「名言」がデザインされたグッズが出された際の担当者のインタビューとして、純粋な「名言」であるような意の発言とセレクトした担当者が全員女性だったということが発掘され、若干ややこしい様相に。
今回のグッズにも書かれ、特に問題とされた「女の敵は女なのよ」という言葉を引用して「やっぱり女の敵は女だったなpgr」「これだからフェミは」的な揶揄が飛び交う始末。

炎上ウォッチャーの意見

ネット炎上の世界ではフェミニズム案件の可燃性が高いのは常識中の常識ですが、そろそろ事象の中心にいる人の性別で判断の是非を分けるのやめません……? とか思うんですけどね。開発者が男だろうが女だろうが文脈把握が必要なグッズが誤解されたのは仕方ないし迂闊だったよねという話。そこで「同性が開発者だから」免責されるというのもおかしいし、「これだから女同士は」って言ってるのも充分性差別的発言だということに気づけと思うわけです。

本連載の初回で取り上げた「B子プロジェクト」もそうでしたけど。

参考:ケムール▶「たいへんよくもえました」12月前半の炎上ニュース

炎上ウォッチャーとしては、これからも軽率な代理店によってこの手の自虐マーケティングは生まれてしまうのではないか……という予測をしております。そしてバレンタイン等女子が主体となるイベントは絶好の商機、当然こういう事故も起こる可能性が高いわけで。これは「バレンタイン炎上」を毎年チェックしておかないとなと思った2022年です。

 

文・せこむ

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