世の中には2種類の人間がいる……。
「持っているヤツ」と「持ってないヤツ」
それは金も、人脈も、情報も、そして経験も同じこと。
持っているヤツと持ってないヤツ、その違いはどこにあるのだろう?
答えは簡単。
全部を欲しいと思えるかどうか。
その本能に従い、行動し続けられるかどうか。
強欲?傲慢? 言いたいヤツには言わせておけ。
磨き続けた本能と直感に従い、自由な生を謳歌した先に人間の本質を探し続けるネオホームレス・SHO。
その生活は、365日ホテル暮らし。
個人資産として車や現代アートもコレクションしているそう。
そんなSHOの最高にクールでエキサイティングな新連載。
第2回は、ネオホームレスというニューウェーブな生き方を支える資金の根本――「投資」について。
ネオホームレス的投資術を紐解くと、金額という情報に左右されない確固たるSHOの生き様が明らかになった。
ケムール読者諸氏、覚悟はできてるか?
本能を解き放て!!
本名、野口昌一路(のぐち・しょういちろう)。2010年、株式会社citrusを創業。飲食業界に特化したコンサルティングサービスのほか、飲食店経営、不動産、デザイン、発送代行など多くの事業を手掛ける。2021年ごろより現在のホテル暮らしを開始し、リュック1つで世界中を旅し続ける。車や現代アートを多数所有。モットーは3Sミッション「死ぬまでに知らないことを少なくする」。
投資でも重要なのは”経験”
――前回、キャッシュマシーンとしてかなりの投資をされていると仰ってましたが、具体的には何に投資をしてるんですか?
SHO 大きく分けて、無形投資と有形投資がある。無形でやっているのは、主に株・投資信託・債権・REIT(不動産投資信託)・ブリッジ取引・ホテルファンドとか。有形は現代アート、不動産、バイオリンとかの楽器、車、飛行機、コンテナとかかな。
――いま、ちらっと飛行機って聞こえたんですが、飛行機を持ってるってこと?
SHO そうだね。でも別に個人で所有してるわけじゃなくて、仲間と配分してシェアしてる。
――すげぇ…ぜひ写真とか見せていただきたいです!
SHO 俺も見たことないんだよね。あくまで投資が目的だから。俺もよく知らないんだけど、イスラエル空港に貸し出してるらしいよ。
――相変わらず色々と規格外ですね…。
SHO あとは出資。いわゆるエンジェル投資ってやつもやってる。
――事業や人への投資もやってると。
有形の投資だと、前に専門家に話を聞く機会があって、アンティーク時計とかがパッと思い浮かぶんですが、時計はやられてないんですね。
SHO 時計はあんまりやりたくない。というのも競合が多いし、ロレックスとかは今、素人でも関係なくみんなこぞってやってるから。俺はみんながやってるようなレッドオーシャンの投資はあんまりしない。関係者だけの小さいパイでやってるなら、急激な価格変動があんまりないから確実に勝てるけど、いろんな人がやってると大きく跳ねることもあるけど、逆にガクンと下がる可能性も高くなるから。
――たしかに楽器とかもあまり投資対象としては聞かない気がします。
SHO あんまりやってる人はいないね。それに俺は楽器のなかでも子ども用のバイオリンなんだよね。
ストラディバリウスとかになると鬼のように高くなるし、高い分売りづらくもなる。だから世界一高いバイオリンとは言われてるんだけど、子ども用のものを持ってる。
――ちなみになんていうブランド…?
SHO 知らない。別にマニアじゃないし、興味がないから。1800年代のアンティークってことだけ知ってる。
1800年代アンティークの子ども用バイオリン。残念ながら詳細は不明(子ども用バイオリン、ニッチすぎて情報が出てきません…無念。
バイオリンを持ってはしゃぐSHOさんの少年のような笑顔が素敵なので、まあよしとしましょうか…。
SHO 俺はお金儲けだけを目的に投資はしない。経験とか非日常が体験できるとか、誰かとシェアできて喜んでもらえるかってことを重視してる。
バイオリンだとさ、ジュニア向けのコンクールとかあるじゃん。上にいけばいくほどいいバイオリンを使わないと勝てなくなるけど、たとえばそういうコンクールに挑む子どもに無償で貸し出すとかね。そうすると、俺のバイオリンが日本一・世界一になるような経験ができるかもしれない。
”SHOちゃん式投資式”
SHO ちなみにさ、お金を使うときの基準ってどうやって決めてる?
――うーん、そのものの価値が金額に見合うかってことですかね。あ、でも友達とかと遊んでるときとかは、楽しければけっこうてきとうに使っちゃいますね(笑)
SHO なるほどね。その楽しさとか金額に見合うかっていうのが抽象的なんだよね。だからワケ分からんことに使っちゃうんだよ。
――(ぐっ…耳が痛い!!)
SHO 俺にはさ、明確に基準があってさ。「SHOちゃん式投資式」っていうんだけど。
SHO この数式に当てはまれば全部「買い」なのね。この数式が明確にあるからお金の使い方でブレないし、後悔も一切しない。
たとえばまず、さっき買ってきたこのドリンクは買った瞬間に資産価値ないじゃん? もう賞味期限が切れる前に飲むしかないから。
次に有用性。今暑いよね。喉が乾いているし、乳酸菌足りないなって思うならこのドリンクには有用性が生まれる。
――有用性はすごく分かります。だいたいの買い物はそこですよね。
SHO だいたい普通の人は有用性を超大事にしてる。タクシーに乗ったり、短い移動でビジネスクラス・ファーストクラスの飛行機に乗ったりするのもこれ。俺は絶対に乗らない。「有用性最低理論」って呼んでて、俺はこの数式で有用性が1番優先度の低いものだと思ってる。
それ以上に、無形価値の「経験」と「話題性」が重要なんだよ。
――きた、「経験」!!
編集部メモ:
「経験」はSHO氏の生き様を語る上で欠かせないエッセンシャルなピースの1つ。
詳細は365日ホテル暮らしというライフスタイルの哲学を語ってくれた前回を読んでくれ。
>> ネオホームレス-自由と稼ぎの流儀-【No.1-前編】”なんで家に住んでるの?”
SHO 俺にはこの数式に基づいて、4つの要素の合計が金額を超えれば買うっていう明確な基準がある。
――無形価値の「経験」や「話題性」で投資を決めたものって具体的にお伺いできますか?
SHO ウクライナのマンション。
――は? え? ウクライナ??
SHO なんでかって言うとさ、まず仮にそのマンションを1000万として、有用性はいつか引っ越すかもしれないから100万円くらい。資産値は国の経済も今はどうなるか分からないし、遠すぎて本当に建ってるのかも分からないから300万円くらい。
これで400万。
――ん? ちょっと待ってください。行ったことないのはまあ遠いからいいとしても、写真とかでも見たことないんですか?
SHO うん。車とかも(買う前に)見ないし、マンションも外観とか細かい住所とかなしで買える。俺は価格じゃなくて価値で見てるから。
――(今日は前回以上についていくのが大変だ…)
SHO 話を戻すと、無形価値の合計が400万円。次にここで経験なんだよね。マンションを持っていたら、行こうかなって思うきっかけになるし、マンションを買うことで国や土地についても調べるから視野も広がる。俺はこの経験に100万円位の価値を見込んだ。
最後に話題性。たとえばこの話をすれば「えーやばくないすか!」ってなるから、ネタとしてかなり話題でしょ? 面白いものを持っているという話題性は俺にとってのブランディングになる。俺はこの話題性に600万円の価値を見出した。
――4つを合計すると、有用性100万+資産価値300万+経験100万+話題性600万で、1100万円ですか。
SHO そう。だから俺にとっては「買い」になるわけ。
でも普通の人は有用性と資産価値だけを重視するから、1000万に対して400万の価値だから買わないって結論になる。
だけど俺は有用性を4つの要素のなかで最低だと思っていて、経験とか話題性っていう無形価値を数値化して可視化してる。だから普通の人とお金の使い方が全然違うし、投資にも勝てる。買ったもので失敗したことは一度もない。
100均で死ぬほど悩む男
――とはいえ、話題性に価値を見積もって1000万を使うのって普通にはできませんよ…。
SHO 違うよ。その考え方もナンセンスでさ、額は関係ない。1億だろうが、100円だろうが、俺は同じジャッジをしてるし、同じ悩み方をする。
昔、社員にさ、「昌一路って1億円使うとき即決するけど、100均でめちゃめちゃ悩むよね」って言われたことがあって、なんでだろうと思って考えてみた。
で、「1億即決・100均お悩み理論」ができた。
――100均お悩み理論…(笑)
SHO なんでかって言うと、さっきの数式って1億円みたいに額が大きいとあてはめやすい。けど100均だと、これあってもなくてもいいし、資産価値ゼロだし、経験にもならないし…ってなって、純粋にその商品の有用性でみないといけなくなるから。
だから俺、100均に1時間とかいる。けどけっきょく何も買わずに出て行く(笑)
――今回はお金の使い方の話ですが、経験やブランディングを重視してる部分は本当にブレませんね。
SHO 有用性って、今楽したい、今こうしたいっていう一時の欲望ってイメージが近い。俺は未来を見て、未来に生きてるから。話題性や資産価値があるもの、経験として価値があるものにお金を使いたいなって思うね。
――ちなみにSHOさん、家がないと思うんですが、車は駐車場借りるからともかくとして、現代アートとかさっきの子ども用バイオリンとか、保管はどうしてるんですか?
SHO バイオリンは買ったところでそのまま保管してるけど、知り合いの事務所とか自営業の実家に飾ったりしてる。やっぱりいいやつだから保管しとくだけはもったいないなと思って。
――無料でリースしてる感じですか。
SHO そうだね。喜んでくれるから。それが経験とか話題性になるし。
福岡の陶芸家で、古賀さんって人がいて、めちゃくちゃ面白いアート作ってるんだよ。ネオ招き猫っていうんだけど。
東京だとアートが好きなご飯屋さんにたまに置いてあったりするんだけど、東京以外だとあまり知られていないし、見かけない。
だから買った瞬間に親にプレゼントして、実家の岐阜のお店に置いてある。自分の地元にちょっとでも還元できたら嬉しいなと思って。
編集部メモ:
『NEO MANEKINEKO』
陶芸家・古賀崇洋氏によって2022年に発表された「暗号資産」をモチーフとした作品。一度見たら頭から離れなくなるパンキッシュな造形美が印象的。
実家にプレゼントしたという「NEO MANEKINEKO」。プレゼントの様子は下記YouTubeから。
SHO うちの実家って、もちろん商売もしてるんだけど近所の人たちが集まってきてお茶をしながら話すような、地域のコミュニティにもなってるから。
そういう場で「何これ」って面白がって会話のきっかけになったり、発想の刺激になったりしてるみたいだね。
――SHOさんは所有する、無料で貸し出すっていう経験になりますけど、アートを飾って触れることができたり、アンティークのバイオリンを弾けたり、貸してもらう側にも経験が広がってく構造が出来上がってるんですね。
SHO そう。だから俺、投資ってけっこう好きなんだよね。
お金だけじゃなくてシェアとか共感が生まれる。俺は「同喜怒哀楽者」って呼んでるんだけど、経験を共有することで喜び2倍・悲しみ2分の1になる。
車とかも、もし乗ってみたかったら貸すよ?
――ペーパーなので、ランボルギーニなんか乗ったら手震えてハンドル握れません(笑)
※前回、SHO氏はランボルギーニに乗って颯爽と登場した。
ブレない金銭感覚は育ちから
――普通の人は有用性を重視しているってお話がありましたが、SHOさんは、いつから有用性が最低だって気づいたんですか?
SHO 最初からかな。今みたいに理論化できてたわけじゃないけど感覚で。
実家が自営業だったから、使うときは使う、無駄なことには使わないっていう商売人のお金の使い方をずっと横で見ながら育ったことが大きかった。
――知らず知らず英才教育的な影響があったわけですか。
SHO なんでもいつでも買ってもらえるかは別として、買ってもらおうと思えば買ってもらえるだろうっていう安心感は子どもの頃からあったから、今もブランドものがほしいとか、そういう目先の物欲ってあんまないんだよね。
――そうなると、有用性に引っ張られるお金の使い方をしてる僕みたいな人は、どうしたらいいんでしょう…。
SHO まずは使いまくって、あれは無駄だったなとかって失敗してみるのがいいかもしれない。
たとえばさ、俺がタクシーに乗らないのは、お金がもったいないってこともあるけど、もう1つ、ストレスが溜まるからっていう理由がある。
――タクシーでストレスですか?
SHO タクシーに乗るからには快適に早く着くだろうってイメージがあるから、遠回りされたり、車線変えないせいで追い抜かれたりしたら、何でだよって思ってストレスになる。ストレスも、ストレス代として金額換算すると、けっきょくタクシーに払うお金ってマイナスなんだよね。
――ストレスフリーが最上位概念って仰ってましたね。
SHO そう。だから同じ理由で飛行機のファーストクラスとか、新幹線のグリーン車も好きじゃない。期待することでストレスを溜めたくないんだよね。
――考え方が一貫してますね。
SHO そういうことも全部経験した上で、どうしたら生きやすく、ストレスフリーでいられるかってことを考えた結果が「有用性最低理論」だった。
でもこれは俺の場合で、自分の基準とか式って絶対に誰でもあるはずだから。一時の欲とか周りに流されたりするんじゃなく、自分の大切している基準や式に対してしっかりあてはめながらお金の使い方を決めていけばいい。
SHO だから、まずはタクシーも、ビジネスクラスもファーストクラスも乗ったらいいと思うね。1回も乗ったことなければ経験になる。同じ使い方でも、有用性が高い買い方と経験が高い買い方と、その時々で違うから今がどういうときなのか考えていくのがまずは大事じゃないかな。
――なるほど。
SHO 失敗経験が多いと判断が洗練されていくから。そういう意味で失敗にも価値はある。それに「全ては目減り論」だから失敗も早めに経験しておくと、後の人生に活かすことができるからね。
◆ネオホームレス・SHO/野口昌一路(のぐち・しょういちろう)
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ケムール編集部員。前は古着屋。潰れたソフトケースのなかにあるしわしわの煙草がすき。担当連載は「鳥居服装学院」「Talk at Fillers」「ネオホームレス-自由と稼ぎの流儀-」。
株式会社アクロスソリューションズ所属。
HP:https://www.acrossjapan.co.jp/