プロジェクトK vol.1中編 イラストレーター村田蓮爾の創造と破壊、未来主義が構築した新時代の扇子「FUTURICA CHORD PRODUCTS №01 SEN」

「プロジェクトK」はあまり世に知られてない「商品」たちが、なぜ・どうやって作られていくのかというのを面白おかしく伝えていく連載です。普段目に止まらなかったり、気にしていなかったモノが生まれる背景に潜むドラマをぜひお楽しみください。

はじまりは謝罪から…

と、いうことで冒頭からいきなりですが、この記事を読んでくださり、なおかつコミケにまで出向いて、あまつさえ本稿で紹介している扇子「FUTURICA CHORD PRODUCTS №01 SEN」を購入してやろうかなんて考えてくださっていた1億2千万の読者の皆様に謝罪しなければならないことがあります。

前回の記事の見出し「本邦初公開!村田蓮爾氏によるデザイン原画公開、プロダクトデザインの要点を絞る」のくだりで、「最終的には上手くまとまりました。多分。」などと記載しておりましたが、こちら真っ赤な嘘でした。正確に言うと、記事を発表した後に状況がひっくり返りました。

それは7月13日のことでした…。待望のサンプル品がPROFECT INDUSTRIES株式会社の事務所に届いたとの連絡が入りました。夜の22時頃でしたが、これ自体は締めきり間近になると稀によくあることですので、すぐさま引き取りに向かい、そして手に入れたのがコチラ。

村田蓮爾デザイン・アルミニウム扇子・サンプル①
村田蓮爾デザイン・アルミニウム扇子・サンプル②

ここまでの駆け足スケジュールにしてはなかなかイイ出来です。要注意ポイントなどの細かいところは詰めなくてはなりませんが、まずまずこちらの意図が反映された状態になっております。「これは御大も文句あるまい」と楽勝気分でサンプルを村田氏に見せに行ったところ…。

要(扇子の支点をつなぎとめるパーツ)のメッキを変えたい」と仰せになられました。画像ではわかりづらいかもしれませんが親骨(扇子の一番外側のパーツ)のアルミの色(透明アルマイト)と要の亜鉛合金にニッケルメッキをかけた色の違いが気にいらないというご意見。

村田蓮爾デザイン・アルミニウム扇子・サンプル③

さあここからが大変です。正直「頒布スケジュールもあるんだからちょいと我慢してよ」という気持ちもなきにしもあらずですが、このプロダクトは村田蓮爾という作家のデザイン性を遺憾なく発揮してもらうことが至上命題。このスケジュール感のさなかに仕様変更が可能なのか、そもそも村田氏の気に入る選択肢が存在するのか、とか胃の痛みを感じながら「ハイ喜んで!」とPROFECT INDUSTRIESさんにとんぼ返りで再相談をキメることになりましたとさ。

で、色々調整した結果、力及ばずコミケでの実物頒布は見送りという結果になりました。当日の頒布を楽しみにされていた1憶2千万の皆さま誠に申し訳ありません。一応当日予約を取って、実物が手元に届き次第(この記事を書いている8月1日現在、日付未定9頭ごろ予定)順次発送という手はずになるはずですので、何卒よろしくお願いいたします。

ちなみに要のメッキ問題については、準備していた工場とは別の工場にて無理を言ってお願いすることになり、シルバー・黒・金の3種のサンプルを超特急で作ってもらい、村田御大に確認、めでたくシルバーを採用となりまして、今度こそ仕様確定と相成りました。

メッキ加工サンプル3種(シルバー・黒・金)

オリジナルプロダクトを世の人たちに届けよう!

とんだハプニングで予定がかなりズレましたが、今回はこの話をしたかったんです…。さあ気を取り直していきましょう。さて、本稿で題材としている村田蓮爾氏オリジナルデザインアルミニウム扇子「FUTURICA CHORD PRODUCTS №01 SEN」、始まりは本当に村田氏と藤岡の個人企画プロダクトです(後付けでライテック社様にご協力いただいておりますが)。

当然僕自身、村田氏のプロダクトデザインが好きで「こんなの世の中にあったら絶対売れるでしょ」とか思っているからこそ、御大をそそのかしてとりあえず作り始めちゃうみたいなことを推し進めてきているのです。が、こういった大きな企業ブランドの後ろ盾のないプロダクトを売る、さらには利益を出すというのはホントーーーーに大変なことです。

そもそも作り上げて売り始めたとしても、誰もその存在を知らないなんて事が普通に起きうるわけです。なのでこういったプロダクトをより広く世に知らしめるためには、王道なモノ以外にも色々と裏技的なマーケティング手法をとらないといけなくなることもあります。

今回製作している「FUTURICA CHORD PRODUCTS №01 SEN」でいうと王道的なマーケティング活動としては今あなたが読んでいるこの記事「ケムール」と、さらに村田蓮爾氏本人のTwitter(X?)による告知が全て。まあ普通の個人製作プロダクトのマーケティング媒体としてはこれでも恵まれている方でしょう。でもコレだけではちょっとパンチが足りないかなということでこんなモノを作ってみました。

藤岡謹製「扇子展示用ロボット」です!見てくださいこの華麗で優美な動きを。風一つ起きませんw。本当はこの猛暑の中、通りすがる方々に涼をお届けしながら扇子の展示も行ってしまおうという一石二鳥を狙っていたのですが、モーターの仕様でこれ以上のスピードは出せませんでしたっ…orz。

ちなみにこのロボットは、秋葉原のコミックZIN様の店頭に置かれているガチャガチャの筐体の上で展示させてもらっています。ので皆さまお近くにお立ち寄りの際は是非一度ご笑覧ください。

さらにちなむと、この記事を書いている8月1日現在全く何も観測できておりませんで、バズらなかったバズ狙いの販促手法を解説するのは大変心苦しいものではあるのですが、一応コレは秋葉原のニュースサイトと言えばここでしょというくらい有名な「アキバblog」さんとかで取り上げられたらいいなあ、と思って投入した渾身のネタでした。こんな解説するの恥ずかしい…。

ともあれ、こんな感じで手持ちの使えそうなものは全部使って販促活動に勤しむわけですが、いかんせんネタを仕込もうとも当たらぬ時は当たらぬものです。が、やれることは全部やっておかないとただただ爆死して悲しいだけなので、恥はかき捨てということで色んなことをやってみるのが神の身ならぬ人の子の為すべきことなのでしょう。

もちろんこのままで終わると、ただただ僕が恥をかいただけという、どうしようもない結果になってしまうので、もう夏の大イベント(コミックマーケット)までさほど時間もありませんが、もう一つ二つどこかしらにネタを仕込んでいきたいと考えております。

最後に宣伝させてください…

と、いうことで一旦、村田蓮爾氏デザインの扇子「FUTURICA CHORD PRODUCTS №01 SEN」は最終生産工程に入っておりますので、8月12日(日曜)コミックマーケット会場の西め-60a村田蓮爾サークルPASTA’S ESTAB」ブースにておそらく予約頒布している、はず。そして最終的には9月頭ごろからお手元に順次発送されていく、はずです。

コミックマーケット当日は最終サンプルをお手に取ることもできる、はずなので皆さま奮ってご参加くださいませ。予約数には限りがございますので先着順のご案内となりますことご了承くださいませ。

はずはず言って、明言しきれないことばかりで大変申し訳ありませんが、このあやふやな状況が結果どうなっているのかも楽しみに確かめに来ていただけると幸いです。

村田蓮爾デザイン・アルミニウム扇子・サンプル④

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