【第7回】It’s a small Kawaii world~現代美術家・境貴雄さん編~

Kawaiiアート系ライターケースの進化は加速する!!

前回は作家の古賀さんが、金属によって緻密な癒やされKawaiiライターケースを作ってくださり、芸術作品としても評価されること請け合いの手の込んだライターケースを見てうっとりしました♡

アート系ライターケースは予想以上に可能性が無限大。
こんなの、もっと開拓するしかない!
そうしたら思いも寄らない、すごいものができるかもしれない……!

胸の高鳴りを抑えきれないまま、今日も編集部謹製のデコ用ライターケースをポケットに詰め(詰めるな)、世界で1つだけの、リッチで面白&可愛いライターケースを作る旅は爆走しながら新たな地へ!

次なるKawaiiを探して、おしゃれな下町・北千住へ!

Kawaiiライターケースをデコってくれそうな人を探して、またもやネットサーフィンしていると、「何これ!?すごい!!」と気になる方を発見!!

瞬く間にメッセージを送信。
すると今回もご連絡して間もなくお返事が届き、ご快諾いただけました!やったー!感謝の気持ちが溢れ出る〜〜〜!!

早速向かったのは、最近人気の街・北千住。駅前は結構栄えているけれど、駅から少し離れると、レトロな商店街などもある下町です。

待ち合わせ場所に到着してキョロキョロと辺りを見回していると、……あ、あの遠くからでもすぐにわかる、個性的なひげは……!?

今回デコってくださるのは、現代美術家・境貴雄さん!

境 貴雄 Takao Sakai

1978年 – 東京都生まれ
2004年 – 平山郁夫奨学金賞 受賞
2005年 – 「明日はどっちだ」オオタファインアーツ / 六本木
2007年 – 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程デザイン専攻 修了
2009年 – タグボート・アワード辛美沙賞 受賞
2011年 – 「Wabi Savvy」JAUS / ロサンゼルス、「OHAKO」ICN gallery / ロンドン
2014年 – 「NEW CITY ART FAIR New York」hpgrp GALLERY / ニューヨーク
2016年 – 「EAT! “Enjoy Art and Table”」スパイラルガーデン / 南青山
2018年 – 「第30回ふれあいふぇすてぃばる」SOGO百貨 / 台北
2021年 – 「ようこそ『えんぎやど』へ」旅館 澤の屋 / 谷中

現在 – AZURER(アズラー) ディレクター、芸能プロダクション株式会社BBE所属
作品収蔵先 – 高橋コレクション(東京)、Gana Art Center(韓国) 他

今回デコってくださるのは、現代美術家の境さん(明るくて面白いお兄さん)!!

芸能事務所にも所属していて、アーティスト活動の一環としてメディアに出ることもあるのだそうです。……え、普通に芸能人じゃないですか……!!(急に緊張w)

境さんは、和菓子や小豆に関する作品を作っていらっしゃる美術家さんです。

どれもユニークでぶっ飛びKawaii!!!サイズや形を問わず、どれもおいしそうに見えるから不思議ですね!!(お腹空いてる?w)

ライターケースもこういう感じでデコってもらえるとしたら、どんな感じになるんだろう?早くもわくわくしてきた〜〜〜!!

このライターケースが、どう変身するのか!?

今回もライター「クレーターネオ」の寸法にぴったりのABS製デコ用ライターケースを、ケムール編集部が特別にご用意♪

このケースがどんな進化を遂げるのか……!?

というか境さんはそのひげを着けたまま作業されるんですか……?(ニッコリ笑顔でお返事いただきました笑)

なんということでしょう、すでに面白いものができる予感しかしなくてテンション爆上がりです♡

ライターケース、デコスタート!

まずは境さんが、黒と赤の絵の具を取り出しました!2色を少しずつ混ぜていきます!!

絵の具を混ぜ終わったら、筆で絵の具をライターケースに塗っていきます。

迷うことなく、慣れた手つきでサクサクと色塗りを進める境さん。
何度でも言いますが、小豆のひげを付けながらの作業というのがもう、特別感があってたまりませんね(ニマニマ)。

ライターケースが小豆色に!

わずか数分でライターケース全体が、きれいな赤黒い色になりました!

どことなく小豆っぽい色で、このままでもシンプルでKawaii!!

色が定着するように、ドライヤーで乾かします!

可愛い小豆が次々と生み出されていく!

次に境さんが、黒い紙粘土を取り出しました!

紙粘土をひとつまみ、そこからさらに小さい紙粘土をつまんで、手先で丸めていくと……!

小豆ができました!!!

境さんの手によって、どんどん小豆が生み出されていきます!!!!

作るのがスムーズ過ぎて、今までいかに多くの小豆を生み出してきたかが見て取れました。

あっという間に、似た大きさの小豆がたくさんできました!丸っこくてコロコロしていて、一粒一粒がKawaii!!すでに本物にしか見えない!!!

全部丸めたところで、1時間ほど経過しました。

初めて見た!串刺しの小豆!!

先ほど丸めた紙粘土の小豆を、今度は串に刺していきます!

なんで小豆の串刺し……?と疑問に思っている私をよそに、次々と小豆の串刺しができていきます!!!ここから小豆はどうなってしまうの?小豆の串焼きとか?(焼くための道具はないけどw)

紙粘土が本物らしい小豆色に染まる!!

紙粘土の小豆を串に刺し終えたら、今度は小豆に筆で絵の具を塗って色を付けていきます(色塗りをするための串刺しだったんだ!)。

赤黒い色を塗ることによって、紙粘土そのものの状態に比べてより小豆らしくなり、適度な重みとなめらかさが出てきた気がしますね!!

小豆の色塗りが終わったら、作業用の板に開いている穴に、串を刺して立てていきます!
色を塗った小豆を乾かすための穴だったんですね!便利!!

ものの数分で、あっという間にすべて色を塗り終わりました。(この絵面がとてもシュールです…)

本物の小豆も色味や大きさの差があるので、リアルに見えるように、塗る段階で絵の具の混ぜる量を変えるのだそうです。言われてみると確かに、それぞれ色味や大きさが少しずつ違うかも!

普段、小豆を作るときは自然乾燥で、ほかの作業をしているうちに乾いているのだそうですが、今回は時短のためにドライヤーを使って乾かします!

ライターケースに小豆が貼り付けられていく!!

色を塗ったことによるツヤが消えてきたら小豆が乾いた証拠なので、串から外します。普通に買ってきた小豆と並べられたら、どっちが本物か全然わからなさそう!!

接着剤を塗るとき専用の串を使って、シリコン樹脂系接着剤をライターケースに塗っていきます!

シリコン樹脂系接着剤は柔軟性があるので、物に付けるときにもフィット感があるんですって。

接着剤を塗るための串は、塗りやすいように先端を丸めてあるのだとか。乾いてきて固まってしまうと作業しづらくなるので2本用意してあり、固まってきたら新しい串に替えるのだそうです。用意周到ですね!

ライターケース上部の輪郭をなぞるように小豆をくっつけて、縁取りをしていきます!

小豆がライターケースの枠の外にはみ出ると、ライターを入れたときに引っ掛かってしまう可能性があるとのことで、縁はより丁寧に、気を遣いながら作業してくださいました!(親切!!)

それにライターケースの縁が先に固まれば、その後に貼り付ける小豆の位置がずれないそうです。

ただ何となく小豆を貼り付けていらっしゃるだけではなく、しっかり使うときのことを考えてくださっていて素敵ですね……!!私だったら手に取った小豆を何も考えずに貼っていって、気付けばぐちゃぐちゃ&ライターが入らなくなりそうです(どうしても不器用w)。

ライターケースに小豆がびっしり!!

輪郭を基準にして、どんどん下に向かって小豆が貼り付けられていきます!!地道な作業過ぎる〜〜〜!!!よくこんなに細やかな作業ができますよね!

1時間弱で、ライターケース全体が小豆で覆われました!
マットな粒々が敷石のようで、なんだか日本家屋を彷彿とさせます。
そしてよく見るとやっぱり、小豆の色や大きさがどれも少しずつ違いますね!

接着剤を乾かす間、境さんの活動についてもっと詳しくお伺いしました!

境さんについてもっと知りたい!

─モチーフとして、小豆を選ぶようになったきっかけは?

学校の課題がきっかけです。芸大在学中に古美術研究旅行に行ったのですが、課題が「伝統とデザイン」というテーマだったので、「(テーマにぴったりなのが)和菓子じゃん!」と思いつきました。

京都は和菓子発祥の地ですし、あんこを食べるのは幼少の頃からずっと好きだったので、おまんじゅうやお団子などの和菓子をモチーフにした作品を制作しました。

その課題が終わってからも「和菓子の作品って面白いな」と思い、ライフワークとして和菓子の作品を作っていて。

和菓子の歴史も調べてみたところ、小豆の赤という色に魔除けの意味があることを知りました。魔除けと作品を絡められたら、高尚なイメージと、下らないもののギャップが面白いですよね。

こうして大学院生のときから小豆自体をモチーフとして選ぶようになり、作品として色々なものに小豆を付けるようになりました。小豆は何にでも付けられますし、相手とのコミュニケーションツールにもなっています。

「小豆の生活」という私物を預かってお返しするプロジェクトでは、「小豆をどんな風に付けてほしいですか?」とご要望をお伺いしながら進めています。このようなコミュニケーションを取る時間も楽しいですし、制作する上で大事にしています。

小豆に込められた熱意がすごいですね!!小豆にここまで深い意味や可能性が秘められていたとは、今まで知る由もありませんでした。

大きな可能性を秘めているという意味では、境さんにとっての小豆は私にとってのライターケースも同然!
なんとも胸に込み上げてくるものがありますね……!!(感動)

─作品のファンは、どのような方が多いですか?

アートファンの方が多いです。美術にそこまで詳しくなくても、小豆が好きで作品を知った方もいらっしゃいます。

応援してくださっている方は、大体「アズラー」になっていますね。北海道の小豆農家の方もいらっしゃいますよ(笑)。

「アズラー」とは、小豆をひげに見立てたファッションのことで、世界中に5,000人近くもいらっしゃるのだとか(そんなにいるの!?)。

女性が小豆のひげを付けているのって新鮮で面白いし、アズラーになるのは一生の思い出になってすごく楽しそう!!

境さんが小豆のひげを作って装着するようになったのは、小豆の作品を作り始めた頃に自分も小豆を身につけたいと思い、絶妙に本人だと認識できるけれど変身できる感じが面白いと思ったのが始まりだそうです。

確かにほかのパーツに比べて、ひげって圧倒的に個性が出せる面白さがありますよね♪

境さんのお話を夢中で聞いているうちに接着剤も乾き、作業はいよいよラストスパートへ!

小豆にツヤが出て命が吹き込まれる!!

接着剤を、小豆の表面に塗っていきます!!……え!?接着剤!?

接着剤をツヤ出しとして塗るという方法は境さんが編み出したもので、透明度が高い接着剤なら、ツヤのコーティングとして使えるのでは、と思いついたそうです。

この接着剤は年月が経つとやや茶色くなるので白いものには向いていませんが、色が濃い小豆には最適だとか!

ツヤが入ると得体の知れないものから一変して小豆らしくなるので、境さんは小豆のツヤ出しをする工程が特に好きなのだそうです。確かに急に、リアルさが一段と増しましたね!!

表面全体にいっぺんに塗ろうとするとツヤに厚みが出てしまうので、なるべく薄くなるように少しずつ伸ばして塗っていきます。

小豆と小豆の隙間にも接着剤を塗っていくと、より自然で、かつリアルな小豆のベタッとした質感が出てきます!
この工程で約1時間が経過しました。

仕上げにメディウムを塗ったら……!

最後にメディウムと呼ばれる、トロトロとした液体を全体的に塗っていきます!これによってベタつきが抑えられて、表面がベタベタして手にくっつく、といった事態を防げるそうです。細部まで気配りが行き届いてますね……♡

15分ほどで塗り終えたら、自然乾燥で約1日乾かします!この工程はドライヤーを使うと気泡ができてしまうので、自然乾燥一択なのだとか。

このライターケースを完全に乾かすと……!

小豆で埋め尽くされたKawaiiライターケースが完成!!

ライターケースにふんだんに敷き詰められた小豆が、ツヤツヤに輝いていてKawaii〜〜〜!!!!!!!!!小豆の一粒一粒が本当にKawaiiし、表面が凸凹していて独特の触り心地もたまりません!

おいしそうで、普段そこまで和菓子を食べない私でも、思わずあんこが食べたくなってきた!!!むしろ小豆が忠実に再現され過ぎていて本物にしか見えないんですけど、このライターケースって食べられないの?(※食べられません。良い子は口に入れないでください)

和菓子やあんこ好きな人に自慢したいし、このライターケースをポケットに忍ばせて和菓子屋さんに行きたい!!!すでに和菓子屋さんをググっている私がいます(落ち着けw)。

境さん、素敵なライターケースをありがとうございます♪

ケースのイメージと、デコった感想は?

最後に境さんに、ライターケースのイメージや、作った感想を聞いてみました♪

─デコったライターケースのイメージを教えてください!

「ベタかわ」です。ベタベタでKawaiiをテーマにしました。

ベタベタした質感が小豆のポイントなので、そこが可愛いと感じていただければと思います。

─作ってみてどうでしたか?大変だったところはありますか?

「小豆の生活」というプロジェクトでお預かりしたものに小豆を付けるので、それに近い感覚でした。なので、いつも通りでしたね。

ライターケースの縁のカーブにぴったり合わせて、隙間なく小豆を埋めていくのが難しく、大変でした。

─こだわりポイントを教えてください!

小豆のツヤ感です。本物の小豆を付けているようなリアルさを大事にしました。

これは実は、煮たあとの小豆を再現しています。本物の小豆は煮ると水分が含まれて黒ずむので、本物でこの状態を再現するのは不可能です。そのため紙粘土で作り、「おいしそう」「本物なの?」と思わせるほどのリアリティーを出しました。

小豆一粒一粒を接着する位置のバランスや、光沢感にもこだわっています。赤っぽい小豆と黒っぽい小豆がランダムになるように、大きさも「狭いスペースには小さめの小豆を付ける」という風に、なるべく隙間ができないように調整しています。

また、小豆を1層にしてコーティングする案と、何層かを積み重ねてより立体的にする案を考えました。ただ、ライターケースには「ライターを入れて持ち運ぶ」という用途があるので、凹凸にし過ぎると持ち運ぶときなどに引っ掛かるのではと思い、機能性を考慮して1層にしました。

─今回の出来は何%くらいですか?

100%です!ライターを入れたら完成なので、そのときにどう見えるのかが楽しみです。小豆とのギャップが面白いと思います。

─デコったライターケースは、誰に使っていただきたいですか?

小豆や和菓子にそこまで親しみがなく、普段は食べていない人に使っていただきたいです。

日常生活で小豆のことを考える機会がない人が、このケースを見て「あんこが食べたいな」と思って和菓子屋に寄ってくれたら嬉しいです。

境さんの活動が気になる方は、こちらもチェック!

今回ご協力いただいた境さんは、「アズラー」のポートレート撮影や、私物を預かって作品化する企画「小豆の生活」にも力を入れていて、参加者を随時募集してらっしゃるとのことです。

興味が湧いた方はぜひ、以下のリンクから詳細をチェックしてみてくださいね!!

「アズラー」のモデルさんと「小豆の生活」の参加者を随時募集中
https://takaosakai.tumblr.com/post/190041180131/contact

境さんのサイトやSNSは以下のリンクから♪

*クレーターネオのライターケースアートをしてくださる方を大募集!*

好きなようにライターケースをデコりたい!
自分の世界観をケースにぶちまけたい!
とにかく宣伝になることをしたい!

という“熱意”ある方はぜひ、下記までご連絡ください!

【クレーターネオケースアート企画部】
電話番号:03-5577-5153
メールアドレス:info@b-rock.jp

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