【第8回】It’s a small Kawaii world~作家・下村さん編~

アート系ライターケース沼にどっぷり浸かる!

前回は現代美術家の境さんに、まるで本物のような小豆で覆い尽くされたKawaiiライターケースを作っていただき、おいしそうなルックスにキュンとしました

アート系ライターケースの沼、深過ぎない……!?
いろんな方法で、どんどん違うタイプのものができるし、思いもよらない新しいKawaiiが形になるから毎回感激しちゃう。これは開拓しがいがある!!

今回もやる気MAXで世界で1つだけの、リッチで面白&可愛いライターケースを作るべく、本日も編集部謹製のデコ用ライターケースとともに街へと繰り出します!!

すっかりお馴染み♪Kawaiiの原点・渋谷へ!

SNSやネットでライターケースをデコってくださる方を探していたところ、とっても可愛い作品を作っている方が!!

早速メッセージを送ってみると、今回もありがたいことにご快諾いただけました〜〜〜!よし!!(ガッツポーズ!って古いかw)

本日の舞台はこの企画では3度目の、オシャレが集まる便利な、何よりもKawaiiもので溢れている街渋谷!!

初対面でそわそわしているものの、久々に女性の作家さんなので、多少はリラックスして臨めそうな心持ち。

待ち合わせ場所に向かうと、いらっしゃいました!!

今回デコってくださるのは、作家の下村さん!

下村 史 Fumi Shimomura

1996年 – 福岡県生まれ
2020年 – 東京藝術大学美術学部工芸科 卒業
卒業制作 メトロ文化財団賞受賞
現 在 – 同大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻漆芸 在籍

今回ライターケースデコを引き受けてくださったのは、作家の下村さん(癒やし系で可愛い♡)!!

下村さんは、漆の木の幹から採取された樹液である『漆』を使った作品を作っているそうです。

漆ってこんなにカラフルなの!?

漆と言えば黒・赤くらいしか思い浮かばなかったから衝撃的過ぎる!色づかいや形もKawaii♡

漆を使ったライターケースになるのかな?

想像が付かなくてわくわくする〜〜〜!!

このライターケースが、どう変身するのか!?

今回も、ライター「クレーターネオ」の寸法にぴったりのABS製デコ用ライターケースを、ケムール編集部が特別にご用意♪

この何の変哲もない真っ白いケースが、果たしてどんな変貌を遂げるのか……!?

ちなみに漆は乾かす時間がかかるため、下村さんが事前にいくつかの工程を準備してきてくださいました!神過ぎる〜〜〜!!

ライターケース、デコスタート!

手始めに下村さんが「乾漆板(かんしつばん)」と呼ばれる和紙を漆で固めたものを取り出し、水に浸しました!

乾いた状態の紙は繊維が固いので折り曲げると破けやすいですが、水に浸けると繊維が柔らかくなって加工しやすくなるのだそうです。

実は国宝である阿修羅像も麻布を漆で貼り重ねてあり、今回のライターケースと似た技法で作られているのだとか!そんな昔から受け継がれている技法を使っていただけるなんて、尊い!!!

ライターケースに和紙を巻き付ける!!

柔らかくなった紙を、そのままライターケースに巻き付けます。

ちょうどいいところでカットしてから20分ほど乾かすと、そのままの形で固まりました!

麻の和紙を巻き付けたまま、接着剤で留めます。

上から透漆を塗って硬化!

「生漆(きうるし)」と呼ばれる、漆の木から採れたそのままの状態の漆から水分を飛ばすと「透漆(すきうるし)」になるそうです。この透漆をライターケース全体に、数分かけて塗っていきます!

全体が焦げ茶色になりました〜!!

塗り終えたら「湿し風呂(しめしぶろ)」という湿度を高く保つための箱に入れて、1日置いて漆を乾かします。

専用の保管庫もあるようですが、これは下村さんお手製の、スポンジタオルを使った湿し風呂(持ち運びに便利)!

漆は、漆のなかの成分と空気中の水分が結合することによって硬化するので、空気が乾燥していると乾きづらく、湿気が多いとすぐ乾くのだそうです。

そのためドライヤーの風を当てても乾かないのだとか。

漆って不思議〜〜!そして何とも紛らわしい!(笑)

表面を耐水ペーパーで研ぐ!

表面が乾くと、厚いところだけ引っ張られて平らではなくなる「縮み(ちぢみ)」と呼ばれる現象が生じるため、「耐水ペーパー」に水を付けて、20分ほど研ぎます!

仕上げなどできっちり平らな面にしたい場合には、炭を使って研ぐ「炭研ぎ」をすることもあるのだとか。

ツヤがある面に漆を塗り重ねると馴染みにくいため、研ぐ行為は表面を整えつつ、漆が馴染むようにするためでもあるそうです。

黒い漆を塗り重ねてから、ケースの隙間を埋める!!

鉄粉(てっぷん)を混ぜて、化学反応で黒くなった漆「蝋色(ろいろ)」を10分ほどで塗りました。

その後、巻き付けた麻の和紙とライターケースの隙間を、「刻苧漆(こくそうるし)」で埋めていきます!!

刻苧漆は粘土のようなもので、これによって巻き付けた麻の和紙部分がさらに固定されて、安定感が増すのだそう。

塗った部分は分厚くなって固まりづらくなっているので2日ほど自然乾燥させて、さらに上から透漆を塗り、また1日乾かします。

膨大な時間がかかるんですね……!!

色漆を塗ると、一気にカラフルに!

黄色やピンク、青などの「色漆(いろうるし)」を塗っていきます!

先ほど巻き付けた和紙が、色を塗ったらピンクのリボンに早変わり!!優しい色味のリボンになってKawaii〜〜〜♡

下村さんの作品にはリボンがついているものもあり、リボンを付けるようになったのは卒業制作のときからなんだとか。

その理由は、漆でできているものは軽い」「薄い」「丈夫」「なかが空洞という特徴が面白いのに、せっかくの薄さや軽さを活かした作品があまりないことに気付いたため。

そこで薄さや軽さを表現できて、偶然的なしわができるリボンを作ってみたいと思ったと。発想力がすごい!!

色漆を約10分で塗り終えたら1日ほど自然乾燥させて、乾いたら今度は茎の部分を緑の色漆で描きます。

すでに完成と言われてもおかしくないほどに仕上がってる!!え、このままでも十分Kawaiiんですけど、ここからさらに可愛くなるの!?

細い筆で花びらが描かれていく!

タッパーの台にライターケースを載せたら、これから蒔絵を施す部分に、蝋色で花の輪郭を描いていきます!

「蒔絵(まきえ)」とは、漆で絵や文様を描き、乾かないうちに金や銀、錫(すず)といった金属粉を蒔いて、固着させて造形する技法です。

筆も線も細くて、塗り方が丁寧!!筆も「蒔絵筆(まきえふで)」と呼ばれる、専用の筆だそう。

輪郭が描かれて、一気にお花らしくなってきた〜〜〜!!

ライターケースに刺さっている棒が気になったので何なのか聞いてみると、これは「粉筒(ふんづつ)」という葦(あし)でできた棒で、金属粉を蒔く際に使うものだそうです。

ライターケースにぴったり合っていて、かつ既視感があってすごくいいですね(※連載第3回で、ライターケースに刺さっていたフォークを思い出しましたw)。

わずかに数分間だけ乾かします。
息を吹きかけてみて、表面がほんのり白くなったら乾いた証拠!

キラキラした錫の粉を蒔く!

トレーシングペーパーを敷いたら、真綿を使ってポンポンと錫の粉を蒔いていきます!

下村さんは蒔絵をアクセントで入れることが多く、「ここに粉を蒔いたら可愛いだろうな」と思ったところに、表現に合わせて蒔くのだそう。おっしゃる通り、表面がキラキラしてKawaii♡

トントンとライターケースを軽く叩いて蒔絵部分以外の粉を落としたら、そのまま湿し風呂に入れて1時間ほど置きます。

乾くのを待っている間に、下村さんについてもっと詳しくお伺いすることに!

下村さんについてもっと知りたい!

─物作りをする上で、大切にしていることはありますか?

「見る人が楽しい気持ちになってくれたらいいな」と考えながら作っています。

一見よくわからない形の作品を作ることもありますが、イメージしているものはあります。ただ、好きなようにとらえてほしいので、作品を誰かと一緒に見ながら「これは何だろうね?」とちょっと楽しい会話をしてもらえたら嬉しいです。

─漆を使うようになったきっかけは?

大学に入ってから漆を体験できる機会があり、やってみたら面白かったからです。

藝大の工芸科で学べる専攻のなかに漆もあり、アジア特有の歴史ある素材なので興味を持ち、「ここでやらなかったら一生やらないだろうな」と思って選択しました。

漆は堅苦しいイメージがあったけれど、ピンクや紫、青など、色が想像以上に多くあることを知って、もっと自由に表現できるなと思いました。

作りは和風、デザインは洋風にしたりと、組み合わせるのも好きです。

下村さんによると漆は日本中国ミャンマータイといったアジアにしかないそうです。知らなかった〜!

─この企画について、どう思いましたか?

お仕事の依頼をいただけて、素直に嬉しかったです。小学生の頃に『東京カワイイ★TV』という番組を観ていたのですが、それに似ているなと思って楽しみにしていました。

─この期に読者へ伝えたいことはありますか?

漆はアジア独特の素材なのに、重箱などにしか使われていなくて、普段の生活とは疎遠になっているのがもどかしいので、漆をもっと若い人にも知ってもらいたいです。

欠けた食器も漆で塗り直したらまた使えるので、「サスティナブル(地球環境を守り、持続可能な社会や経済を目指すこと)」ブームとともに、もっと注目されたらいいなと思います。

下村さんのお話を夢中で聞いているうちにライターケースの表面が乾き、作業はラストスパートへ!

いらない粉を落として、漆で線をなぞる!

漆を塗っていない部分に付着した粉を、筆で優しく落とします。

透漆は液体がやや固いので「テレピン」という溶き油で薄めて、この薄めた透漆を、錫の粉を蒔いた部分に上から筆で塗っていきます!
この工程には金属粉が散らばらないように、ふたをする役割があるのだとか。

10分ほどで、なぞり終わりました。

ケースに塗った漆をしっかり乾かして……!

余分についた漆はティッシュでオフ。ティッシュに付かなくなるまで数分間拭き取ったら、また湿し風呂で乾かします。

本来であれば1日ほどかけて確実に乾かしたいそうですが、今回は時間の都合もあって1時間少々。

ライターケースが乾き切ったら……!

和風でお上品なしっとりKawaiiライターケース完成!!!!

ライターケースが大人っぽく、お上品に仕上がっていて、しっとりKawaii〜〜〜!!!

着物や浴衣を着ている人が持っていたら最高に似合う!!
このライターケースをお正月夏祭りに持って行って、さりげなく巾着袋から取り出したら、とっても粋ですよね!!!おしゃれ過ぎる!!!

漆が使われていて全体的に和風なのに、リボンや花、色づかいは洋風だから、日常的にも使いやすそう!和洋のバランスが絶妙です♡

漆を塗っては乾かすという数々の工程を経て、膨大な時間をかけて、じっくりと作り込まれた逸品です!!!

下村さん、素敵なライターケースをありがとうございます♪

ケースのイメージと、デコった感想は?

最後に下村さんに、ライターケースのイメージや、作った感想を聞いてみました♪

─デコったライターケースのイメージを教えてください!

「ポケットに花束を」です。普段から花束モチーフの作品を作っているのと、小さいライターケースとミニブーケの組み合わせっていいなと思い、花束のイメージで作りました。

ライターは休憩するときに使うと思うので、ライターケースを見てほっこりしてほしいです。

漆独特のツヤが出て、しっとりしていて落ち着いた感じに仕上がりました。

─作ってみてどうでしたか?大変だったところはありますか?

楽しかったです!ライターケースのサイズは小さ過ぎず大き過ぎず、作るうえでちょうどいいな、と思いました。

リボン部分の結び目がケースから浮くと強度が落ちてしまうので、ケースのラインに沿ってキュッと締めるのが難しかったです。

─こだわりポイントを教えてください!

男女ともに使えるように、可愛くなり過ぎないように工夫しました。

直感で、なるべく鮮やかに見える色を選びました。今回使用した黄色ピンクは普段からよく使いますし、好きな色でもあります。

ちなみにこちらが、今回デコったライターケースのデザインに近い作品だそうです。黒を基調としていて、リボンがライターケースとお揃いでKawaii♡

─今回の出来は何%くらいですか?

100%です!ちゃんと乾けば大丈夫だと思ったので。イメージ通りにできました!

─デコったライターケースは、誰に使っていただきたいですか?

このライターケースをいいな、と思ってくださった方に使っていただきたいです。

下村さんの活動が気になる方は、こちらもチェック!

今回ご協力いただいた下村さんは、ほかにもさまざまな作品を作っているそうです。

上記の写真のように、卒業制作の作品が実は1個1mほどあり(こんなに大きいんだ!!)、欲しい方がいらっしゃったらご購入いただきたいとのこと。

こちらの作品はプレゼントを表現していて、プレゼントは大きい方が嬉しいことから作品のサイズも大きくしたのだとか。

確かに予想を超えるほどデカくてテンション上がる!!!

また、破損部分を漆で接着してから金属粉で装飾して仕上げる「金継ぎ」も、お仕事として引き受けていらっしゃるとのこと。

陶器の割れや欠け、ヒビなどのお直しを依頼したい方や、作品に興味がある方は、ぜひインスタのDMでご相談してみてくださいね!

下村さんのSNSや作品は以下のリンクから♪

*クレーターネオのライターケースアートをしてくださる方を大募集!*

好きなようにライターケースをデコりたい!
自分の世界観をケースにぶちまけたい!
とにかく宣伝になることをしたい!

という“熱意”ある方はぜひ、下記までご連絡ください!

【クレーターネオケースアート企画部】
電話番号:03-5577-5153
メールアドレス:info@b-rock.jp

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