【第17回】It’s a small Kawaii world~現代アーティスト・山田勇魚さん編~

前回は刺繍イラストレーターのMarronさんに、ちょっぴりこわくてKawaiiライターケースを作っていただきました♪

毎回面白&可愛いライターケースができあがるこの企画。

もう17回目になるんですね!すっかり長期連載企画に♡笑

今回デコってくださるのは、作家の山田さん!

山田 勇魚  Isana Yamada

1988年 神奈川県生まれ
2009年 多摩美術大学グラフィックデザイン科入学
2010年 東京藝術大学デザイン科入学
2014年
東京藝術大学美術学部卒業
東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻入学
2016年
東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了
東京藝術大学デザイン科教育研究助手 着任
山田勇魚個展(ACT/東京)
2017年
山田勇魚作品展(伊勢丹新宿店/東京)
2018年
山田勇魚個展 From Tee Seabed(代官山蔦屋書店/東京)
個展「クジラが紡ぐ龍馬の夢」(キラメッセ室戸鯨館/高知)
2019年
東京藝術大学デザイン科教育研究助手 離任
山田勇魚作品展-Lost and Found-(伊勢丹新宿店/東京)
山田勇魚 立体作品「輪廻」特別展示(レクサス小倉/福岡)
2020年
山田勇魚内田有二人展(代官山蔦屋書店/東京)
山田勇魚山田雄貴二人展「生々流転」(松坂屋上野店/東京)
個展「入場できない美術展」(とりでアートギャラリー/茨城)
2021年
個展(伊勢丹新宿店/東京)
2022年
個展(アルスギャラリー/東京)

山田さんは樹脂でできたクジラや、「付喪神(つくもがみ)」をテーマにした作品を制作していらっしゃるそうです。

付喪神とは日本に古くから伝わるアニミズム的な観念で、長い年月を経た道具や生き物を寄り代にして、神や霊魂が宿るとされる考え方。

きれいなものもグロテスクなものもあって、作品の幅が広い!今回のケースはどんな風に仕上がるのかな?ドキドキ♡

滅多に見られないアトリエと作品にワクワク!

今回はなんと、山田さんのアトリエで制作していただけることに!

いろんな工具や資料がいっぱい!自分専用の作業場って憧れる〜♪

レアな作品もお目にかかれて感無量♡

このライターケースが、どう変身するのか!?

ライター「クレーターネオ」にぴったり合うサイズのABS製デコ用ライターケースを、今回もケムール編集部が特別にご用意♪

一見、普通のケースが、一体どんな進化を遂げるのか……!?

デコスタート!エポキシパテで鼻作り

まずは粘土状の「エポキシパテ」をこねこね!

色が違う2種類のパテを折り混ぜて均一にするとサクサクとケースに盛る山田さん。

あっという間に鼻が完成!ここまでで20分ほどが経過しました。

ガラスに絵の具を塗り、制作するのは…!

今度は小さな透明のガラス玉が登場!

絵の具「アクリルガッシュ」をパレットに出し、ガラス玉の中心を茶色、茶色の外側を白で塗ります。

これはもしや、目玉ですね!

もう1つガラス玉を取り出して同様に色を塗ると、わずか数分で同じものが2つできました。

全体をパテで覆うと、顔が出現!!

パテでケースの表面全体を覆います!

手でパテをケースにくっつけながら厚みを出したり、凹みを作ったり。気づけばができていました!
石膏像みたいでKawaii〜♡

上からさらにパテを足して微調整。この工程は15分ほどでした。

続けて「スパチュラ」という粘土ベラを使い、細部の形を整えていきます!

すると目玉をケースの表面と裏面に1個ずつ埋め込みます!目が付いたら急に命が吹き込まれたよう!!

まぶたが付いて、もっとリアルに!

唇のシワも、スパチュラで線を引いて再現。

目玉の上下に少量のパテを足してから、スパチュラで形を整えるとまぶたができました!

形が完成!!リアル〜〜〜!!!

スパチュラで整えつつ、目玉とまぶたを付けるところまでの工程も、15分ほど。

パテが固まるまでに2〜3時間かかるそうなので、その間に山田さんについてもっと詳しくお伺いすることに!

山田さんについてもっと知りたい!

─物作りをする上で、大切にしていることはありますか?

精度を納得のいくレベルに仕上げるところと、流れ作業にならないようにすることです。

それぞれのシリーズごとに作り方は決まってきますが、新しく作品を作るときはアイディアを大事にしています。

なおかつ「アニミズム」というテーマは外さずに、いかに自分や相手が興味を持てるアウトプットにできるかを意識して、連続性と広がりを重視しています。

─どんな作品を得意としているのでしょうか?

立体作品全般です。藝大デザイン科の入試項目で立体があり、水粘土を使ってテーマに沿って造形を作るという課題がもっとも得意で好きでした。

多摩美ではグラフィックデザイン科にいて、学校ではグラフィックばかり作っていましたが、それとは別に立体も自主制作していて。その頃に立体作品が売れて、立体が好きだと実感しました。

最初に売れたのはタイプライターを分解して、アイロンなどを使って再構成した機械じかけの魚のような作品です(画像3枚目参照)。この作品は、ものから生まれる生き物をテーマにしています。

─どういったお客さんが多いですか?

作品はパソコンを買えるほどの価格帯がメインなので、購入してくださるのは30代〜50代の男性が多いです。おそらく会社を経営している方や、ご家族の理解があって作品を買っても怒られない方、経済的に豊かで自由にお金が使える方などだと思います。

展示などに作品を観に来てくださるのはSNSやTVで知った方など、若い方も多いです。女性も多く、男女比は半々くらいです。

クジラの作品が好きな方が多いですが、なかには付喪神系の作品が好きな方もいらっしゃいます。

─この企画について、どう思いましたか?

ライターケースは平面でも立体でも作れて、それぞれの作家さんが個性を出せるので面白いと思いました。

今までの企画に参加している人のなかに知っている人がいたのも、引き受けることにした理由のひとつです。

─現代付喪神シリーズの作品を作り始めたきっかけは?

もともと幼い頃から、ものに対する思い入れが強い子どもでした。

おもちゃを出しっぱなしにしていると、親に捨てられそうになるので泣き喚いていました。でもその理由は、お気に入りのものだから、というわけではなくて。

ものに対して人格を見ていて、おもちゃは子どもに遊んでもらうために作られたのに、すぐに捨てられるなんてかわいそうだなと思っていたんです。

昔からそのように考えていたので、作品もジャンクアート系のものが多くなりました。

藝大に入ってから、作品のコンセプトを考えるときに「付喪神(付喪神)」という言葉に出会いました。

現存するもののなかで、付喪神の考え方に触れている最初の書物として『付喪神絵巻(つくもがみえまき)』があります。そのお話のなかでは、作られてから100年経ったものは妖怪になるとされています。

そのお話が非常に興味深く、付喪神に惹かれたため、付喪神をテーマにした作品を作ろう、人が作ったものを改造して作品にしようと思いました。藝大の卒業制作では、部屋まるごと付喪神という作品を作りました(画像4枚目参照)。

─クジラの作品を作り始めたきっかけも教えてください!

大きな作品を作りたい気持ちがあったのと、勇魚という名前は昔の言葉でクジラという意味なので、付喪神とクジラをテーマにした作品を作りたいなと。

そこで思いついたのが、沈没した船がクジラの姿になって故郷に帰るというストーリーを、模型の船を使って作るということです。

ただの模型ではなく、外側を生き物の形にして、内側に沈没した船の様子が見えたら作品としても成立しますし、面白いのではないかと。

それなら外側は透明にして、ガラスではなく樹脂にしよう、気泡をなくす「真空脱泡機(しんくうだっぽうき)」を使ってみよう、と試行錯誤した結果、今に至ります。

幼い頃からの考え方や、自分の名前がルーツになって今の作風があるって素敵!と山田さんの探究心に感激したところでケースの表面が乾き、作業はラストスパートへ!

絵の具でケースの表面を塗り塗り!

表面に、鮮やかな赤や青のアクリルガッシュを塗っていきます!山田さんによると、赤は動脈青は静脈をイメージしているのだそう。

いったんドライヤーで乾かしてから、白い光を当てて色味を確認しつつ、肌色を塗り重ねていきます!!

塗装も約10分。さすがプロ、爆速……!!

ラッカースプレーを吹きかけたら……

絵の具が乾いたら、ケース全体に透明の「ラッカースプレー」を吹きかけます!こうすることで、表面を保護できるのだとか。

目玉がくすまないように、綿棒に「エタノール」を浸して目玉の部分だけ軽く拭くと……!

生命の息吹!グロKawaiiライターケース完成!!!

魂が宿っているとしか思えないほどリアルな顔で、グロKawaii〜〜〜!!!♡

今にも動き出しそうで、瞬きをするのでは?口を開くんじゃないか?と気になって目が離せない!!!下手したら、そのうち本当に動くのでは?(恐怖)

マットな質感と独特の色味によって、血が通っている人間のようにも、年季が入った人形のようにも見える!しかも笑っているようで、どこか哀愁漂う表情にも感じられて、まるでモナ・リザのアルカイックスマイルのよう!!

こわいから大事に保管しておいて、たまに取り出して眺めたい気もするし、見た目のわりにケース自体は軽いから持ち歩くのもいい!ポケットからこれを取り出したら、初めて見た人は絶対にビビるけどw

山田さん、素敵なライターケースをありがとうございます♡

ケースのイメージと、デコった感想は?

最後に山田さんに、ライターケースをデコった感想を聞いてみました♪

─完成したライターケースのイメージを教えてください!

タイトルは「表情【かお】」です。ライターケースの付喪神をイメージしました。

ライターケースはライターが被るマスクのようなものなので、それに表情をつけたら面白いんじゃないかなと。

人が仮面を被るように、表面上の顔と、頭のなかで考えている感情は違うかもしれない、ということを表現しています。

ちなみにこちらが、今回作っていただいたケースのラフ画です。

ラフ画と比べると、実物はさらに不気味な生々しさが加わりましたね!!(興奮)

─作ってみてどうでしたか?

普段は機能性を度外視して、作りたいものを造形として表現していますが、ケースなので使えるように機能性を残してどう活かすかを考えるのが楽しかったです。

─大変だったところはありますか?

今回初めて挑戦した、ガラス玉の半球に絵の具で目玉を書く作業です。

ガラス玉が小さくて、手で持つと滑ってしまうので、きれいな円を描きづらくて苦戦しました。

─こだわりポイントを教えてください!

表情です。笑っているのか怒っているのか泣いているのかわからない、何ともいえない顔にしたかったので。

素朴な表情になったと思います。

─今回の出来は何%くらいですか?

イメージ通りに完成したので、100%です!

─デコったライターケースは、誰に使っていただきたいですか?

付喪神シリーズに興味がある方や、ものの魂って面白いなと思ってくださる方にお譲りしたいです。

デコったライターケースを抽選で1名さまにプレゼント♪

生きていそうなグロKawaiiライターケースを、抽選で1名さまにプレゼント!

この機会にぜひ応募してくださいね♡

プレゼント応募方法

ケムールのTwitterアカウント(@kemur_jp)をフォローしたあと、該当のツイートをRTするだけ!

期間は1週間なので、ご応募はお早めに!

↓該当ツイートはこちら!

山田さんの活動が気になる方は、展示やSNSもチェック!

山田さんの活動や作品に興味がある方は、ぜひ展示SNSもチェックしてみてくださいね♪

直近の展示はこちら!↓

『深層ニアミス』
山田勇魚、石野平四郎 二人展

開催日 – 2022年10月14日(金)〜10月24日(月) 11:00〜19:00 ※火曜・水曜休み
会場 – 東京都港区六本木5-2-4 ANB Tokyo
展示コンセプト – 過去に出会った作家同士が再会し、馴れ合いではなくお互いの9年間の成果をぶつけ合い確かめ合う。

山田さんは、作品に使うための海洋ごみも募集しているそうです。

においがしなくて適度な大きさのものがよく、写真を見て判断したいため、DMでご連絡いただきたいとのことです!

山田さんのSNSは以下のリンクから♪

*クレーターネオのライターケースアートをしてくださる方を大募集!*

好きなようにライターケースをデコりたい!
自分の世界観をケースにぶちまけたい!
とにかく宣伝になることをしたい!

という“熱意”ある方はぜひ、下記までご連絡ください!

【クレーターネオケースアート企画部】
電話番号:03-5577-5153
メールアドレス:info@b-rock.jp

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